- 課題
- 「小田急電鉄=鉄道の会社」のイメージが先行していた
- 総合職の採用にあたり自社が幅広い事業を展開していることを学生に伝えたい
- コロナ禍で学生の就活手法が変わり、自社の採用したい学生との接点を持つことが難しくなった
- 導入の決め手
- ワンキャリアがここ数年で就活ツールとして学生に浸透している実感があった
- ターゲットに合わせたイベントを企画してくれる
- 得られた成果
- 3社のオンライン合同説明会で他社希望の学生から自社に興味を持ってもらえた
- 動画形式で学生に自社の魅力を訴求した結果、入社後のビジョンを明確に持つ学生がエントリーしてくれた
「地域価値創造型企業」を経営ビジョンに、東京や神奈川で鉄道をはじめとしたさまざまな事業を展開している小田急電鉄株式会社。多様な事業を展開しているにもかかわらず、「鉄道」のイメージが先行しているという課題を払拭できない中、ワンキャリアが認知変容に役立ったといいます。
そこで、小田急電鉄株式会社人事部の中島遥希さんにワンキャリアの活用法や成果についてお話を聞きました。
地域密着でインフラや生活を支える企業
――小田急電鉄は東京と神奈川を中心に鉄道や不動産など幅広い事業を展開されていますが、改めて事業内容と中長期計画を教えてください。
小田急電鉄(以下、小田急)は、小田急グループ約70社の中核を担う企業です。交通領域を中心に、不動産、生活サービス、デジタルなどの事業領域で生活の基盤を担うサービスを提供しており、鉄道としては東京と神奈川を中心に地域密着でのインフラと生活を支えています。
中長期の経営ビジョンに「UPDATE小田急〜地域価値創造型企業に向けて〜」を掲げ、地域に新しい価値を創造すべくさまざまなことに挑戦していますが、取り組むべき課題はたくさんあります。
まず、沿線人口は横ばいで減少はしていないものの、高齢化が進む中でどのような移動手段を用いてライフスタイルを作れるかを考える必要があります。鉄道で移動した先のバスやタクシーを含めて、いかに目的地まで人を運ぶことができるか。そもそも目的地に行きたいと思ってもらうための不動産や生活サービス、観光などをいかに活性化させられるか。様々なステークホルダーとともに施策を進めています。
――鉄道だけでなく、沿線の生活や観光など幅広いサービスを提供する上で、人材戦略はどのようにお考えですか?
中長期的な戦略として、「価値創造型人財」を掲げています。具体的には、学び続けられて、いろんな人たちと共創できる人材。価値を創造するためにグループの事業を組み合わせて、沿線の自治体や大学、外部機関などと共創できるような、広い視野を持つ人材の育成に注力しています。

――グループ内外に視野を広げて沿線の価値を高めていく。クリエイティブで可能性は無限ですね。新卒ではどのような人材をターゲットにしていますか?
主にグループ全体の経営を担う総合職採用と、運転手や整備士など現場で働くエキスパート職を採用しています。その中で、総合職でターゲットにしているのは、いろんなことに興味を持って情報収集ができる学生です。
総合職はいろんなビジネスに関わることになるので、一つの専門領域に特化するのではなく、弊社の協力機関や新たなビジネスパートナーとやり取りしながら、地域と共にいかに成長できるかを考えられるポテンシャルと熱量のある人に来てもらいたいと考えています。
鉄道会社のイメージを払拭。幅広い学生にアプローチ
――ワンキャリアを知ったきっかけと、利用する前の課題、もしくはワンキャリアを使って解決できた課題があれば教えてください。
個人的には、学生の頃からワンキャリアのユーザーでした。ただ当時は、口コミで一部の学生が使う程度だったのが、ここ数年で就活ツールとして学生に浸透した実感があります。
ワンキャリア導入の決め手は、コロナ禍で就活の仕方が変わり、アクティブで優秀な学生との接点を持つことが難しくなったからです。学生の就活がオンラインや動画へとシフトする中で、ワンキャリアのビジネスモデルは時代の流れと学生のニーズ、弊社の課題解決にとてもマッチしていました。

それ以前から抱えていた課題は、“小田急電鉄イコール鉄道の会社”というイメージが先行していたこと。それも間違いではないのですが、特に総合職は鉄道のイメージのままだと興味を持ってもらえず、採用につながらないという状態を払拭できなかったんです。
でもワンキャリアでは、たとえば「まちづくりに興味がある学生」に向けたイベントや、会社の魅力を深く掘り下げたイベントなどを企画してくれて、アクティブで幅広い層の学生と早期から接点を持つことができました。
――たしかに鉄道会社で働くとなると、運転士などのイメージを持つかもしれません。認知変容が必要だったのですね。
そうですね。総合職は再開発や観光地の魅力向上、新規事業、次世代交通の導入などさまざまなプロジェクトの企画から携わり、さまざまなステークホルダーと一緒にビジネスを作り上げるポジションです。そのため、幅広く手掛けている事業をいかに伝えるかが課題でした。
しかし、ワンキャリアを活用すると認知が変わることを実感しています。
たとえば、生活に密着したビジネスを展開する企業として、NTTドコモとベルク、弊社の3社でオンライン合同説明会を実施した際、「違う会社に興味があったけど、ワンキャリアを見て小田急にも興味を持ちました」という学生がとても増えたんです。
インフラという共通点はありつつも、鉄道会社が他の産業と比べてどんな特徴があるかを差別化しながら話ができたこと、普段当たり前に利用する鉄道には、いろんなビジネスがかけ合わさっていること、それを支えることのやりがいや面白さが他にない魅力であることなどを伝えられたのが良かったのだと思っています。
しかも、鉄道に興味を持っていない学生に興味を持ってもらうことが目的の合同説明会でしたが、鉄道に興味がある学生に対しても、「他の鉄道会社にはない小田急ならではの魅力が伝わった」という副次的な効果もありました。
ワンキャリアなら、文字で伝えきれない情報が伝わる
――ワンキャリアを活用することのメリットを教えてください。
オンラインでもライブ感のある座談会のようなスタイルで、自分たちの生の声を学生に伝えられるのが最大の魅力だと実感しています。プロの司会に深掘りしてもらえるので、学生もその場にいるような感覚で聞けているのではないでしょうか。
しかも、ワンキャリアは自然体で話しやすい場を演出してくれるので、我々も気負わずに深い話ができるんです。一問一答ではない自然な会話で深掘りしてもらえるのはありがたいですね。

加えて、「小田急にはこういった制度があり、それを活用してこのように活躍している社員がいます」といった情報を文字で発信してもなかなか伝わりませんが、社員が直接話している様子を動画で届けると、それがカルチャーの理解や働くイメージにつながっている実感があります。
その結果、「鉄道会社は堅いイメージがあったけど、小田急ならやりたいことに挑戦できるんだ」と認知され、「入社後はこういうことをやりたい」と熱い思いを持ってエントリーしてくれる人が増えました。
私たちが一番伝えたいメッセージは、鉄道会社は鉄道好きが集まった会社ではなく、むしろ鉄道好きではない人もたくさんいて、その人たちも活躍できる会社である、ということ。ワンキャリアはこの思いを汲み取って動画の企画や構成を考えてくれるので、私たちにとってメリットしかありません。
実際に、インターンや内々定につながった学生からも「実は動画を見ていました」という声をたくさん聞いています。
人材採用に限らず、小田急グループを知ってもらうためのツールに
――今後のワンキャリアの活用法についてお聞かせください。
これまでは比較的広くアプローチをしていましたが、今後はターゲットを絞ったイベントも考えたいと思っています。まだ使いきれていない機能もあるので、それらを使いつつ他社の成功事例を取り込みながら、まずは小田急に興味を持ってもらえるような動画コンテンツを作りたいですね。
ただ、人事として小田急に入社してほしい思いはもちろんありますが、小田急のサービスを使って欲しいという思いもあります。だから、より多くの人に小田急を知ってもらうためのツールとしても、ワンキャリアを活用したいと思っています。
ワンキャリアで小田急を知ったことをきっかけに、いつか小田急沿線に住む、小田急グループのサービスを使うなど、小田急グループが多くの人にとって身近な企業になれば嬉しいですね。
――人材採用を超えたつながりですね。
我々の目指す地域価値創造型企業は、社員だけが作るものではないと思っています。弊社に興味を持った学生がサービスを享受する一人になったり、外部パートナーの一人になったりすることもあり得ます。その意味でもいろんな人に知ってもらいたいと思っています。
――最後に、ワンキャリアに対する期待や改善点があれば教えてください。
ワンキャリアの強みは、学生と企業とワンキャリアの距離感がとても近く、臨場感があること。今後も学生と対等な関係で接点を密に取りながら、リアルな声をお互いに届け合い、将来の生き方を考えるツールとして使わせていただけるととても嬉しいです。

