- 課題
- 都市部を中心に就職活動が早期化しており、能動的なアプローチが必要となっている。
- 学生の考え方が多様化したことで、学生の考え方を掴みにくくなった
- 導入の決め手
- クチコミを通して、インターネットで企業情報を細かに収集する学生のニーズに応えることができる
- 企業からターゲット学生に個別カスタマイズしたメッセージでアプローチできる
- 得られた成果
- 銀行を候補に入れていなかった学生や県外に進学した学生にスカウトでアプローチできた
- 学生の経験に合わせて個別カスタマイズしたメッセージと他社との違いを意識したメッセージを学生に届けることができた
青森県の持続的な成長・発展に貢献しているプロクレアホールディングス。グループ会社である青森銀行、みちのく銀行と共に「挑戦と創造」を掲げ、新卒採用にも注力しています。
同行の人材採用戦略やONE CAREERのサービス活用について、青森銀行の人事部の藤井宗太さんとみちのく銀行の人事総務部で採用担当をしている田中友勝さんにお話を聞きました。
青森経済を支える金融グループの役割
――まず両行の紹介をお願いします。
田中:青森銀行とみちのく銀行は2025年1月に合併し、新たに青森みちのく銀行としてスタートする予定で、今はちょうど転換期を迎えています。その銀行合併に向け、2022年4月1日にプロクレアホールディングスという会社を設立し、青森銀行とみちのく銀行は経営統合するとともにそれぞれがプロクレアホールディングスのグループ会社となっています。
現在は新卒採用に関して、プロクレアホールディングスと青森銀行、みちのく銀行の3社共同で行っています。

――両行が拠点を置いている、青森県の特徴や強みを教えてください。
田中:まず一次産業に強みがあります。私たちの営業エリアは青函圏と言われる、青森県と函館をはじめとする北海道の道南地区になり、農業や畜産業、漁業などの第一産業は、日本だけでなく世界に誇れます。また、自然などの観光資源も豊富で、観光業も魅力といえます。
藤井:青森と言えば、リンゴやマグロ、ホタテ、ねぶた祭りなどが思い浮かびますからね。ほかにも、世界的にも桜の名所として知られ、ウィンタースポーツも盛んです。
田中:一方、人口減少や高齢化という大きなテーマのほかに、情報発信といった訴求力に課題があります。私たちとしても地域の魅力を掘り起こして発信することで、地域経済をより活性化させていきたいと考えています。
藤井:魅力があるにも関わらず若者が県外に出て行ってしまったまま戻ってこない点は、人材採用でも大きな課題ですね。

望まれるのは金融の枠に固執しない「主体性」と「挑戦心」
――採用に関して、人材戦略や求める人物像についても教えてもらえますか。
田中:まず求めるのは、「挑戦と創造」というキーワードからも、主体的に行動ができ、挑戦心と向上心のある人物になります。また「地域のために」という思いを持った人材がさらに活躍できる会社にするため、人事制度を改めて整備している段階です。
すでに運用している制度としては、集合研修やジョブローテーション、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)のほかに、職員が時間と場所を問わずに自身のスキルを高められるように、インターネットを使った学習であるe-ラーニングも整備され、金融知識はもちろん、ビジネスマナーや資格対策を学ぶことができます。
藤井:私たちとしても主体的にキャリアを切り開いてほしいという思いがあるため、キャリア開発として、望んでいる異動先や業務を自己申告する制度や、自らの意思で希望する業務等にチャレンジできるジョブチャレンジ制度も用意しています。
――新卒採用についても詳しく聞かせてください。
藤井:私たちはキャリア採用も行っていますが、割合としては新卒採用がかなり高いです。合併前から、両行とも採用から一気通貫で人材を育てていく方針は共通していました。
田中:就職活動の早期化やオンライン化が進む中、能動的に銀行の面白さを伝えていくことが課題と認識しています。
藤井:私は2024年4月から採用を担当していますが、自分の就職活動時に比べて情報収集の方法が変化し、多種多様な情報が飛び交う時代になったと痛感しています。
学生としても情報過多で大変でしょうし、それによって学生の考えも多様化して企業としても学生の考え方を掴みにくくなっていると感じています。
メールを開いた瞬間に「他社と違う」と思わせる秘訣
――ONE CAREERを知ったきっかけについて教えてください。
田中:より多くの学生に銀行の面白さを知ってもらうにはどうすればいいか検討していた時に、ONE CAREERを見つけました。
サイトを見ると、口コミが特徴で現代のインターネットを活用する就職活動と親和性があるとわかりました。多くの学生が利用している媒体だと考え、資料を取り寄せたことが利用のきっかけでしたね。
実際にサービスを利用したところ、サイトに登録した学生に個別にカスタマイズしたメッセージを直接送ることができる「ONE CAREER CLOUDスカウト」をはじめ、企業から学生にアプローチできるところが一番の魅力です。
現在は、銀行を候補に入れていなかった層や、青森県にゆかりがありつつ県外に進学した学生をターゲットに、毎月上限の50通、昨年度は合計で数百通のメッセージを送っています。学生が地元で仕事をするきっかけ作りとなるほか、弊行としても金融の面白さを個別アプローチできたところは大きなメリットとなりました。

――メッセージを送るときに意識していることはありますか。
田中:個別にメッセージを送れる機能を生かし、学生のプロフィールを考慮した上で「あなたの経験は社会に出て生きる」と、一人ひとりに合わせたメッセージを送っていました。
すべて定型文で一気に送ることももちろん可能ですが、私たちが望む学生は他社も望む学生のはず。メールを開いた瞬間に少しでも、「この会社は他社と違う」と感じてもらう必要があります。
学生としても届くメッセージが多ければ、見るのも1行2行でしょう。そのため、届いたメッセージのタイトルが表示される文字数を聞き、その文字数内で学生に響く言葉を送ろうと工夫しました。
「私たちの会社があなたの活躍する場所だ」としっかりと伝わるように意識していましたね。
――送った総数は数百通かも知れませんが、その何倍もの学生のプロフィールを確認し、それぞれに適したメッセージをカスタマイズしていると考えると、かなりの労力がかかっているはずです。
田中:私のなかでは、スカウトメッセージを送る日を決めていました。例えば毎週10通強のメッセージを送れば、1か月で50通になります。そのため、週で作業する日を決め、その日は学生とだけ向き合うようにしていました。
藤井:近年の売り手市場では、企業からのアプローチは欠かせません。その上、最近の学生はインターネットに慣れていますから、企業情報も細かに集めます。就職活動における口コミを知りたいと思えば、学生は必ずと言っていいほどONE CAREERを利用しますから、今後は企業もスカウト型のサービスを積極的に活用する戦略が必要になっていくでしょうね。

田中:以前は合同企業説明会に出展すれば、学生にも自然と認知されていきました。ところが、コロナ禍以降は学生側に対面イベントでなくても企業を知れる環境が根付いたことで、企業側の変革が求められています。今は私たちが変わって学生に合わせていかない限り、最終的に選ばれる会社にはなれないのではないでしょうか。
――今後の採用戦略やワンキャリアへの期待があれば聞かせてください。
田中:銀行の業務は今後、より幅広くなっていくはずです。青森銀行には仕事を通じて地域をデザインしていける面白さがあるということを、青森県の魅力とともに伝えていきたいですね。
藤井:現在は売り手市場であるからこそ、個別に思いを直接伝えていく重要性は高まっていると思います。
私たちから声をかけ、それに振り向いて来てくれた学生に丁寧に対応していくことが今後は主流となるはず。私たちの感じていることや思いを伝えるためにも、今後も「ONE CAREER CLOUDスカウト」をさらに活用したいですね。
