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新卒採用でSNSを活用したいものの、「どのSNSが適しているのか」「どう運用すれば学生に届くのか」悩む採用担当者は多いです。
こちらの記事では、新卒採用でSNSが注目される背景、主要SNSの特徴、運用のポイント、成功事例の紹介、そしてSNSチェックの注意点までをわかりやすく解説します。
自社に合ったSNS活用のヒントをつかみ、学生との接点づくりに役立ててください。
SNS(ソーシャルリクルーティング)採用とは?
SNS採用とは、InstagramやXなどのSNSを活用して学生に企業情報を発信し、認知や応募を促す採用手法です。ここでは、新卒採用におけるSNS活用の背景と、今後の発展可能性について解説します。
新卒採用でSNSが多く使われるようになった背景
現在の新卒採用市場の中心は、1990年代後半から2010年代に生まれたZ世代です。Z世代はITリテラシーが高く、SNSを日常的に活用する世代として知られています。
総務省の調査によると、平日の1日のソーシャルメディア利用時間は全世代平均が34.7分であるのに対し、10代・20代は67分に達しています。
(参考:総務省情報通信政策研究所|令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書)
このようにSNSの利用頻度・利用時間ともに突出していることから、採用活動においてSNSを活用することは、Z世代への効果的なアプローチ手段といえます。
さらに、求職者の情報収集手段も多様化しています。かつては求人サイトや会社説明会、OB・OG訪問が主流でしたが、現在は企業HPや口コミサイト、SNSを通じて企業の情報を得る学生が増加しています。採用活動の情報発信チャネルとしてSNSの重要性が急速に高まっています。
新卒採用でのSNS採用の将来
SNSを活用した採用活動は、今後ますます重要性を増していくと考えられます。Z世代を中心に情報収集や企業選びの方法が変化しており、SNSはもはや一過性のトレンドではなく、採用戦略の中核的ツールとなりつつあります。
SNSが普及していなかった時代の採用手法とは異なり、企業と求職者の接点はよりオープンでリアルタイムなものになりました。企業の雰囲気や社員の姿勢が日常的に発信されることで、学生はより「リアルな企業像」を把握できるようになっています。
今後の採用活動では、従来型の求人媒体に頼るだけでなく、SNSを通じて自社の魅力を伝える戦略的な発信が欠かせません。変化を恐れず、新しい採用手法を積極的に取り入れることが、優秀な人材との接点を広げるカギになるでしょう。
新卒採用で活用できるSNSの種類
SNSと一口に言っても、採用活動に向いている媒体や得意分野はさまざまです。ここでは、新卒採用に活用できる主要なSNSの特徴と、それぞれの活用ポイントについて解説します。
Instagramは、写真や動画を中心に発信できるビジュアル重視のSNSです。以前は10〜30代の女性ユーザーが中心でしたが、近年では男性の利用も増え、全年代の半数以上が活用しています。特に10〜20代では利用率が7割を超えるなど、新卒層との親和性が高いのが特徴です。
視覚的な訴求がしやすいため、企業ブランドや社風の発信に適しています。また、Facebookと同じ運営会社のため、Facebook広告のアカウントからInstagram広告を出稿することも可能です。画像や動画を通して企業文化や働く姿を発信することで、学生の興味関心を高める効果が期待できます。
X(旧:Twitter)
X(旧Twitter)は、「リツイート」や「いいね」機能により、拡散力が非常に高いSNSです。情報発信だけでなく、学生の声を収集するツールとしても活用されています。
日本国内では月間利用者数が6,650万人(2023年12月時点)にのぼり、10〜30代の半数以上が利用していることから、企業ブランドの構築や認知度向上に向いています。
また、地域・年齢・性別・言語などでターゲティングを設定した広告配信も可能です。採用情報や社内文化を発信することで、学生との接点拡大が期待できます。なお、ブランド変更以降は仕様やルールが頻繁に更新されているため、常に最新の運営状況を確認しながら運用することが重要です。
LINE
LINEは、日常生活で家族や友人との連絡に使われる日本国内最大級のSNSです。チャット形式で気軽に返信できるため、メールや電話よりも柔軟なコミュニケーションが可能です。国内ユーザー数は約9,500万人(2023年3月時点)にのぼり、性別や年齢、地域などを絞った広告配信もできます。
ただし、面識のないユーザー同士のつながりが少ないため、幅広い認知拡大や無関心層への訴求には向きません。
採用活動では、LINE公式アカウントを活用して友達登録者に採用情報を発信したり、エントリーや内定者フォローの連絡手段として利用するのが効果的です。社内の様子や仕事の魅力を発信し、学生が気軽に問い合わせできる環境を整えることで、関心度を高められます。
YouTube
YouTubeは、10〜40代の9割以上が利用する動画共有サービスで、幅広い層へのリーチが可能です。動画をアップロードするだけでなく、広告配信による露出強化もできます。また、自社サイトや他のSNSを通じて拡散する活用法も効果的です。
採用活動では、テキストや画像では伝わりにくい職場の雰囲気や社員の人柄をリアルに伝えられる点が強みです。社員インタビューや仕事紹介動画など、臨場感あるコンテンツを発信することで、学生の企業理解を深めることができます。企業ブランディングと母集団形成を同時に狙える手段として有効です。
TikTok
TikTokは、他のSNSに比べて全体の利用率は低いものの、10代での利用率が特に高く、Z世代をターゲットにした広報活動に適しています。15秒〜1分程度のショート動画を投稿する形式で、YouTubeよりも動画作成のハードルが低く、拡散性が高いのが特徴です。
採用活動では、「面白さ」「かわいさ」「かっこよさ」といったエンタメ性を重視した動画で企業の存在を広く知ってもらうことが有効です。必ずしも採用情報に直結した投稿でなくても、企業の魅力を自然に伝えることで認知度を高め、興味喚起につなげることができます。
Facebookは、実名制を採用している点が特徴で、社会人層の利用が多いSNSです。近年は若年層の利用が減少傾向にあるものの、信頼性の高い情報発信ができる媒体として、企業やグローバル志向の学生に向けた採用活動で効果を発揮します。
また、Facebook広告は詳細なターゲティングが可能で、同一アカウントからInstagram広告も出稿できるため、複数SNSを連携したプロモーション展開がしやすいのも利点です。企業の理念やCSR活動などを丁寧に伝えるコンテンツを発信すれば、信頼性やブランドイメージの向上につながります。
新卒採用でSNSを活用するメリット・デメリット
SNSは魅力的な採用チャネルである一方、適切に運用しないと成果につながらないリスクもあります。ここでは、新卒採用でSNSを活用する際のメリットとデメリットについて解説します。
メリット1:低コストで拡散力が高い
SNSは無料または低コストで始められる採用チャネルでありながら、非常に高い拡散力を持っています。投稿に「いいね」や「シェア」が付くことで、短期間に多くの人へ情報を届けることが可能です。
特に投稿がバズると、1日で数万人に企業の存在を知ってもらうケースもあります。TVCMや紙媒体のような広告費をかけずに認知を拡大できるため、コスト効率の高い手法といえるでしょう。
中小企業やスタートアップでも導入しやすく、採用ブランドの立ち上げや母集団形成に大きく貢献します。
メリット2:学生との双方向のコミュニケーションができる
SNSは一方的な情報発信にとどまらず、学生との相互コミュニケーションが可能です。
コメント機能やDMを通じて求職者からの質問に答えたり、イベント情報を共有したりと、双方向の交流を生み出せます。メールや電話よりも気軽にやり取りできるため、学生との心理的距離を縮められるのも大きな利点です。
さらに、リアルタイムで反応を得られる点は採用活動の改善にも役立ちます。こうした対話型のコミュニケーションによって、企業への信頼感や親近感を高め、エンゲージメント向上にもつながります。
メリット3:将来的な候補者を確保できる
SNSを通じて情報発信を続けることで、今は応募意欲がない潜在層にも企業を認知してもらうことができます。求人サイトでは接点を持ちにくい層にも自然にアプローチでき、長期的な人材プール(タレントプール)の形成につながります。
学生が投稿をきっかけに企業を知り、将来的な応募候補になるケースも少なくありません。SNSを活用すれば、単発的な募集ではなく「中長期的な採用資産」として関係を築けるのが特徴です。採用を継続的なブランディング活動として展開できる点は、SNSならではの強みです。
メリット4:企業の認知度を上げることができる
SNSは、企業の雰囲気や社員のリアルな姿を発信できる場として、ブランド認知向上に有効です。
求人票では伝わりにくい企業文化や働く環境を、写真や動画で直感的に伝えられます。社員インタビューや社内イベントなどを発信することで、求職者が企業の日常をイメージしやすくなり、親近感を持ちやすくなります。
さらに、投稿のエンゲージメント(いいね・コメント・シェア)は企業好感度の指標にもなり、結果的に認知度と信頼性の両方を高めます。SNSは採用広報と企業ブランディングを同時に推進できる有効なツールです。
デメリット1:継続的な運用に手間がかかる
SNSは投稿作成こそ簡単ですが、運用を継続するには相応の工数とリソースが必要です。投稿の企画・制作、フォロワーとのやり取り、効果測定といった工程を繰り返す必要があり、運用担当者の負担が大きくなりがちです。
常に最新情報を発信し続けなければフォロワーの関心を維持できず、トレンドに沿ったコンテンツ企画も欠かせません。そのため、社内で明確な役割分担を設けたり、外部の専門サービスを活用したりすることで、効率的な運用体制を整えることが重要です。
デメリット2:SNSのアルゴリズムやトレンドで成果が左右される
SNSの特性上、アルゴリズムの変化やトレンドの移り変わりによって、投稿の閲覧数や反応率が大きく変動します。どれほど質の高い投稿でも、プラットフォームの仕様変更でリーチが減少することもあります。
また、運用の初期段階では閲覧数や応募などの成果がすぐに現れにくく、効果測定が難しい点も課題です。長期的な視点で取り組む覚悟が必要であり、定期的にKPI(重要業績指標)を設定して改善を重ねることが、安定した成果を得るためのポイントとなります。
デメリット3:不適切な発言や投稿で企業イメージ低下のリスクがある
SNSは拡散力が高い反面、不適切な投稿や誤解を招く表現が炎上につながりやすいリスクもあります。従業員が個人アカウントで会社に関する内容を発信する場合も含め、ルールを明確にしておくことが不可欠です。社内でSNS利用ポリシーを策定し、全従業員に周知徹底することでトラブルを防止できます。
また、万が一の際には即時対応できる危機管理体制を整えることが重要です。ガイドラインの徹底とスピーディーな対応により、ブランドイメージの毀損を最小限に抑えることができます。
新卒採用でSNSを活用する方法|フェーズ別で解説
SNSは、母集団形成から学生理解、企業認知拡大まで幅広いフェーズで役立ちます。ここでは、新卒採用の各段階でSNSをどのように活用できるかをフェーズ別に解説します。
母集団形成
SNSは、ダイレクトリクルーティングの一種として母集団形成に活用できます。企業が気になるユーザーに直接アプローチし、採用案内や説明会、カジュアル面談など、関心度に合わせた柔軟な接点づくりが可能です。
特にSNS上では1対1のコミュニケーションとなるため、企業側の信頼感が重要になります。アカウントのプロフィールや投稿内容を充実させ、透明性のある情報発信を心がけましょう。
企業活動や社員紹介など、信頼できる情報があることで、学生に安心感を与え、質の高い母集団形成につながります。
人柄の見極め
SNSを通じたやり取りは、従来のメールや面談よりもカジュアルなコミュニケーションになりやすい特徴があります。そのため、学生の発言内容や言葉遣い、メッセージへの反応速度、質問への対応姿勢などから、人柄や関心度を自然に把握できます。
直接的な選考の場では見えにくい「普段の表現」や「価値観」が伝わりやすく、採用後のミスマッチ防止にも役立ちます。SNSを観察・活用することで、履歴書では判断しにくい人物像の理解を深めることが可能です。
認知度の拡大
SNSは採用広報の強力なツールとして、企業の認知度を高めるのに役立ちます。求人情報だけでなく、社内の雰囲気や福利厚生、社員のキャリアパスなど、企業のリアルな姿を発信することで、学生が企業を身近に感じられるようになります。
さらに、企業理念や社会貢献活動を継続的に発信すれば、Z世代をはじめ「企業の社会的価値」を重視する層にも強く訴求できます。単なる採用情報ではなく、ブランディングと採用を一体的に行うことで、長期的なファン層の形成にもつながります。
情報収集
SNSは情報発信だけでなく、採用活動の改善につながる情報収集にも活用できます。検索機能やハッシュタグを用いることで、自社に関する評価や学生の声を把握することが可能です。たとえば、採用イベントや説明会の参加者が投稿した感想から、好評だった点や改善点を把握できます。
また、自社では気づかなかった魅力的な要素が発見できることもあります。こうしたSNS上のリアルなフィードバックは、採用戦略を磨き、より効果的な広報・発信へとつなげる貴重なデータとなります。
新卒採用でSNS採用を成功させるポイント
SNS採用を成功させるには、目的設計やターゲット設定、社内体制の構築などが欠かせません。ここでは、成果を出すための実践的なポイントや運用のコツについて解説します。
先にガイドラインを決める
SNS採用を始める前に、まずは運用方針やガイドラインを明確にしておくことが重要です。発信内容やトーン、コメントへの対応方針を定めずに始めると、炎上や誤解を招くリスクが高まります。
ガイドラインを策定する際は、企業のブランドイメージを損なわない表現を意識し、社内で共有・徹底することが欠かせません。
また、投稿の承認フローや担当範囲を事前に整理しておくことで、スムーズな運用が可能になります。信頼性のある発信を継続するための「ルールづくり」は、SNS採用を成功に導く第一歩です。
ターゲットを明確にしてペルソナを作成する
SNS採用の成功には、明確なターゲット設定とペルソナ設計が欠かせません。ペルソナを設けることで、求職者がどのような情報を求め、どのような点に魅力を感じるのかを具体的に把握できます。ターゲットを曖昧にしたまま発信を続けると、意図しない層に届いてしまい、採用ミスマッチを招く恐れがあります。
例えば、新卒採用であれば10〜20代の利用者が多いTikTokやInstagramを中心に展開するのが効果的です。自社が求める人物像を具体化し、その層に響く内容・媒体を選定することが成果への近道です。
SNSで発信できそうな企業の魅力を洗い出す
SNS採用では、自社の魅力を的確に伝えるために「どのような情報を発信すべきか」を整理する必要があります。社風や働く環境、キャリア支援制度、社員の声など、求職者がリアルに関心を持つテーマを洗い出しましょう。
事前に企業の強みを明確にしておくことで、発信コンセプトに一貫性を持たせることができます。もしこのプロセスを怠ると、発信内容がバラバラになり、せっかくの閲覧機会を逃すリスクがあります。企業の魅力を可視化し、ペルソナの関心に沿った形で発信することが重要です。
情報発信の目的に合わせたコンテンツを企画する
SNSでは、発信の目的を明確に定めることが欠かせません。ブランディングの強化、認知度の向上、内定辞退の防止など、目的ごとに適した内容を企画しましょう。
目的が曖昧なまま投稿を続けると、狙いと異なる層を集めたり、採用サイトの一部を小出しにしたような印象を与えてしまう恐れがあります。
まずは自社の採用課題を整理し、解決に結びつく情報発信を設計することが大切です。発信目的を意識することで、SNSが単なる広報ではなく、戦略的な採用ツールとして機能します。
企業全体の協力を得るようにする
SNS採用では、採用担当者だけでなく社内全体の協力が欠かせません。発信内容として多い「社員インタビュー」や「内定者の声」は、人事部以外の協力があってこそ実現します。
もし企業全体にSNS活用への理解がなければ、情報提供が滞り、発信の質も下がってしまいます。運用開始前に、SNS採用の目的や重要性を社内へ丁寧に説明し、協力体制を築くことが大切です。
社員が主体的に関わることで、よりリアルで信頼性のあるコンテンツを発信でき、企業全体の一体感も高まります。
社内アンバサダーやインフルエンサーの活用を検討する
社内でSNSに慣れている社員や発信力のある人物をアンバサダーとして起用するのも効果的です。彼らが自発的に企業文化や日常を発信することで、学生に親しみやすいリアルなメッセージを届けられます。
また、社員自身のネットワークを通じて企業情報が拡散されることで、認知拡大や信頼性の向上にもつながります。
重要なのは、個人の発信が企業の公式方針とズレないように、一定のルールとガイドラインのもとで行うことです。アンバサダー制度の導入は、企業の「内側からの発信力」を高める手段です。
複数のSNSや他の採用方法も一緒に活用する
SNS採用においては、1つのプラットフォームだけに頼るのではなく、複数のSNSや他の採用手法と組み合わせることが重要です。各SNSの特性を試しながら、自社に最も適した媒体を見極めましょう。
また、SNS広告の出稿や、オウンドメディアとの連携も有効です。SNS投稿を広告化したり、採用サイトへ誘導するなど、多面的な施策を展開することで成果を最大化できます。
SNS単体での効果が見えにくい場合も、他の手法と掛け合わせることでより確実な成果が期待できます。
継続的に発信する
SNS採用は短期的な成果を求める手法ではなく、継続的な情報発信によって信頼と影響力を積み上げていく取り組みです。SNSは情報の更新頻度が高く、投稿の鮮度が注目度を左右します。更新が途切れるとフォロワー離れが進み、情報も埋もれやすくなります。
中長期的な視点で発信を続ければ、フォロワー数の増加や応募者の質向上につながります。安定して投稿を継続するために、運用ルールやスケジュールを明確化し、長期的な計画をもって取り組むことが成功の鍵です。
【4選】新卒採用でSNSを活用した企業の成功事例|Instagram編
Instagramは、ビジュアルを通じて企業文化を伝えるのに最適なSNSです。ここでは、実際にInstagramを活用して新卒採用を成功させた企業の事例を4社紹介します。
サイバーエージェント
株式会社サイバーエージェントは、インターネット広告事業で国内トップシェアを誇り、テレビ&ビデオエンターテインメントサービス「ABEMA」を運営するメガベンチャー企業です。新卒採用向けのInstagramアカウントでは、約1万人のフォロワーを獲得しています。
発信内容は自社紹介や内定者紹介など、学生が知りたい情報を短くまとめた実用的なコンテンツが中心です。投稿デザインはフレームや色味、レイアウトを統一しており、全体として統一感があるためブランドの一貫性が際立っています。
さらに、どの投稿でも伝えたいポイントが明確で、一目で内容が理解できる構成になっています。思わずスワイプしたくなるビジュアル設計と、就活シーズンには高頻度の更新を行う継続的な運用が、認知向上につながっています。
参考:サイバーエージェントの公式Instagramアカウント
三井住友カード
クレジットカード事業を展開する三井住友カード株式会社の新卒採用Instagramアカウントでは、社員インタビューを中心に、社風や社員一人ひとりの人柄を伝える投稿を行っています。
加えて、内定者の紹介や就活生へのアドバイスなど、採用情報に限らず就職活動全般で役立つ内容を発信している点が特徴です。その結果、同社を志望していない学生でも自然とアカウントを訪れ、企業への興味や応募につながる導線が生まれています。
投稿コンテンツはスマートフォン撮影と簡単な字幕編集を中心に構成されており、特別な技術や高額な制作費を必要としません。コストを抑えながらも発信効果を高める運用方法として、費用対効果の高い好例といえるでしょう。
プレナス
「ほっともっと」や「やよい軒」などの飲食ブランドを展開する株式会社プレナスでは、Instagramを活用して先輩社員の紹介や自社の魅力を発信しています。投稿内容の中には、社員の休日の過ごし方やプライベートに焦点を当てたものもあり、求職者が入社前から職場の人々の人柄や働く雰囲気を具体的にイメージできる構成です。
このように、リアルな日常を切り取った投稿は、企業文化や人間関係の温かさを自然に伝える効果があります。結果として、求職者と企業の間での認識ギャップを減らし、入社後のミスマッチを防ぐことにもつながっています。現場社員の素の姿を発信することで、信頼性の高い採用広報を実現している好事例です。
山善
大阪市西区に本社を置く株式会社山善は、学生への知名度向上と企業理解の促進、志望動機形成を目的として、2020年11月1日に採用担当者が運営するInstagramアカウントを開設しました。
Instagramは国内で月間3300万以上のアクティブアカウントを持ち、とくに就職活動中の20代では64.0%という高い利用率を誇ります。
山善では、学生にとって身近なSNSを活用することで、企業をより親しみやすく感じてもらうことを狙いとしています。投稿は主に20代の採用担当者が担当し、会社紹介に加えて学生からの質問に回答するなど、双方向の発信を実施しています。
さらに、社員座談会などのライブ配信も予定しており、入社後の働く姿や「社員を大切にする企業文化」を伝える場として機能しています。年間を通じて更新を続け、採用シーズンを問わず学生との交流を深めるアカウント運用を行っています。
【4選】新卒採用でSNSを活用した企業の成功事例|X(旧:Twitter)編
X(旧Twitter)は、リアルタイム性を生かして学生との接点を作れるSNSです。ここでは、Xを採用活動に活用し、成果を上げた企業の事例を4社紹介します。
テレビ東京
テレビ東京の新卒採用公式アカウントでは、採用活動に関する最新情報を幅広く発信しています。エントリー情報や職種別の募集要項、選考フローの詳細、エントリーシート(ES)の締切日といった重要なスケジュールをリマインド形式で案内しており、学生が必要な情報をタイムリーに把握できる構成です。
また、インターンシップの募集要項や開催内容、申込締切などの情報も随時更新されており、学生が応募を検討しやすい導線が整っています。さらに、企業紹介や社員インタビューなどを通じて、テレビ東京の社風や仕事内容、現場で働く人々のリアルな姿を伝え、企業理解の促進を図っています。
このアカウントは、会社説明会やオンラインセミナーの告知も行うなど、採用広報と学生とのエンゲージメント強化を両立させた「ソーシャルリクルーティング」の実践例といえます。
Nabtesco
ナブテスコ株式会社の公式Xアカウントは、企業ブランディングと採用活動の両立を主な目的に運用されています。最大の特徴は、同社独自のキャラクター「ナブテスコモンスターズ」を活用している点です。
このキャラクターを通じて、技術職や理系学生を中心としたターゲット層に向け、理系ならではの共感を呼ぶイラストやネタ投稿を発信しています。親しみやすく、共感を生むアプローチで認知拡大を図っています。
また、社員インタビューや社内の様子、日常のオフショットなどをカジュアルに発信することで、企業文化や働く環境をリアルに伝えています。さらに、工場の様子を動画で紹介するなど、職場の雰囲気を具体的にイメージできるコンテンツも展開しています。
新光重機
新光重機のXアカウントは、重機を主役にしたユニークな投稿で注目を集めています。自社で取り扱う建設機器の写真を中心に発信しており、そこに添えられるテキストは思わず笑ってしまうような人間味あふれるユーモラスな内容が特徴です。
重機を擬人化したり、日常の「あるある」ネタと絡めたりすることで、建設業界に馴染みのない層にも親しみやすい印象を与えています。投稿頻度も高く、1日2〜3回更新されるなど、継続的な発信によって企業の認知拡大と親近感の醸成に成功しています。
また、このアカウントは直接的な採用情報を発信するのではなく、企業文化を伝えることで間接的に採用効果を生み出している点が特徴です。
ユーモアを交えた投稿からは、社内の風通しの良さや社員の個性を尊重する雰囲気が伝わり、求職者に「この会社で働いてみたい」と思わせるエンゲージメント効果を生み出しています。
DeNA
DeNAの広報Xアカウントは、グループ全体の事業活動や最新情報を発信する総合的な広報チャネルです。採用特化型の@DeNA_shinsotsuとは異なり、エンターテインメント(ゲーム・IP)やスポーツ(横浜DeNAベイスターズ)、スマートシティ、ヘルスケアなど多様な事業領域での新規プロジェクトや提携情報をタイムリーに紹介しています。
加えて、地域連携や社会貢献活動、技術者向けイベントなどを通じて企業文化や挑戦姿勢を伝えています。
採用面では、直接的な募集告知よりも、最先端技術や事業内容を通じてエンジニア・クリエイター志望者に企業の魅力を示す「間接的な採用支援」の役割を果たしています。多角的な事業展開や大企業との連携情報は、企業の安定性と成長性を示す効果もあるでしょう。
大規模キャリアイベントなどの情報発信も行われ、DeNAの「今」と「未来」を伝える最上位のブランディングチャネルとして機能しています。
【2選】新卒採用でSNSを活用した企業の成功事例|LINE編
LINEは、学生とのコミュニケーションや情報発信に優れたツールです。ここでは、LINEを新卒採用に導入して成果を上げた企業の成功事例を2社紹介します。
ニトリ
株式会社ニトリでは、新卒採用の公式アカウントとしてLINEを活用しています。トーク画面下部には「リッチメニュー」と呼ばれるボタンが設置されており、そこから他のSNSアカウントや採用サイトへスムーズにアクセスできる設計になっています。
学生が友だち登録をするだけで、同社の採用情報を一通り確認できるようになっており、非常に使いやすい導線設計が特徴です。
このように、ユーザー視点に立った運用方針は学生からの信頼や親近感を高める効果があり、結果として企業への好感度向上にもつながっています。採用活動の効率化だけでなく、学生の入社意欲を自然に高める仕組みとして、LINEを有効に活用している好事例です。
キーワードマーケティング
株式会社キーワードマーケティングでは、採用活動の効率化と候補者との関係構築を目的に、採用管理ツール「HERP」とLINE公式アカウントを導入しています。これにより、以前スプレッドシートで行っていた候補者管理の煩雑さを解消し、部署間での情報共有もスムーズになりました。
HERPが選考終了者の記録を担う一方で、LINE公式アカウントは応募前から選考終了者までのコミュニケーションに活用されています。
具体的には、①採用イベントへの集客、②採用ブログの配信、③カジュアル面談の日程調整の3点が中心です。LINEを通じてイベント参加URLを共有し、転職意欲の低い層とも接点を持つことで将来的な候補者プールを形成しています。
また、ブログ配信で継続的な情報提供を行い、YouCanBook.meと連携した日程調整機能でスムーズな面談設定を実現しています。こうした仕組みにより、候補者との関係を長期的に育む「タレントプール運用」を実現しています。
【4選】新卒採用でSNSを活用した企業の成功事例|YouTube編
YouTubeは、企業紹介動画や社員インタビューを通して理解を深めてもらうのに適しています。ここでは、YouTubeを活用して採用ブランディングを成功させた4社を紹介します。
三朋企業
三朋企業では、従来型の採用動画では自社の魅力を十分に伝えられないと考え、「アルマゲドンの予告編のような採用動画」を制作コンセプトに掲げました。
限られた時間の中で課題が発生し、社員が試行錯誤しながら一致団結して解決に向かうストーリーを通して、同社の技術力とチームワークの強さを表現しています。
この動画は、「県内外での知名度向上」や「建設業にありがちな3K(きつい・危険・汚い)イメージの払拭」を目的として制作されました。その結果、動画公開後は自社ホームページ経由での応募が約4〜5倍に増加し、特に女子学生からの応募も増えるなど大きな反響がありました。
リクルートページやダクト工事関連ページの閲覧数も同様に4〜5倍へと伸び、採用広報施策として高い成果を上げています。
DMMグループ
DMMグループでは、採用広報専用のYouTubeチャンネルを運営し、幅広い事業内容をわかりやすく紹介しています。
チャンネル内では、デザイナー・エンジニア・Webサイト運営など職種ごとに先輩社員へのインタビュー動画を配信しており、実際の働き方や職場の雰囲気、仕事のやりがいなどをリアルに伝えています。これにより、会社説明会では伝えきれない“現場の声”を求職者に届けることができています。
さらに、動画の中では業務内容の紹介に加えて、社員の1日のスケジュールも公開しています。視聴者が入社後の働き方を具体的にイメージしやすい構成となっており、DMMグループの多様な事業環境や柔軟な働き方を自然に理解できるよう工夫されています。
水上印刷
1946年創業の水上印刷株式会社は、印刷事業をはじめ、アウトソーシングやシステム開発など幅広い事業を展開している企業です。同社では、会社説明動画を制作し、「営業ツール」「お客様向け紹介ツール」「採用ツール」という3つの目的で活用しています。
YouTubeチャンネルでは、社員インタビューや若手社員による座談会などを公開しており、社内の雰囲気や働く人々のリアルな声を伝えています。
これらの動画は、求職者への情報発信だけでなく、大学のキャリアセンターにも提供されており、採用広報の一環として高く評価されています。会社紹介と採用活動を両立させた効果的な動画活用事例です。
コネクシオ
コネクシオ株式会社は、大手通信キャリアの販売代理店として携帯電話の卸売・販売や法人向けモバイルソリューション事業を展開する企業で、全国に400店舗以上、5,000名を超える従業員を擁しています。同社では「人財が強み」という考えのもと、採用活動や人材開発に動画を積極的に活用しています。
動画導入の目的は、全国の拠点に新たな企業理念を浸透させること、そして生き生きと働く社員の姿をリアルに伝えることでした。社員インタビューを中心とした動画は、学生に「社員との距離が近い会社」という印象を与え、同業他社との差別化にも成功しています。
また、採用担当者が全国各地にいる同社では、動画を活用することで採用活動のクオリティを均一化できた点も大きな成果です。さらに、社員のモチベーション向上という相乗効果も得られており、動画を通じた採用広報の有効性を示す好例となっています。
【4選】新卒採用でSNSを活用した企業の成功事例|TikTok編
TikTokは、短尺動画で親近感や社風を伝えられるSNSとして注目を集めています。ここでは、TikTokを活用して学生との距離を縮めた企業の成功事例を4社紹介します。
大京警備保障
東京都新宿区に本社を構える大京警備保障株式会社は、警備業界では珍しくTikTokを活用して若手採用の課題解決に取り組んでいる企業です。同社の櫻井社長が採用難の打開策として2020年にアカウントを開設し、初年度でフォロワー数100万人を突破しました。
その後も成長を続け、2022年6月時点で240万人を超える人気アカウントへと発展しました。動画の企画から撮影・編集までを社内で行い、「企業アカウントでありながら面白さを追求する」というスタイルで多くのファンを獲得しています。
TikTokを通じて企業ブランディングの強化と採用改善を実現し、以前は応募者の大半が50〜60代だったところ、現在は20〜30代が70〜80%を占めるようになるなど、顕著な成果を上げています。さらに、動画をきっかけに社員間の会話が増えるなど社内コミュニケーションの活性化にも寄与しています。
参考:Adobe Blog「TikTokで200万人以上のフォロワーを獲得し警備業界の採用難を克服。全て内製で動画制作を行うメンバーを支えるAdobe Premiere Pro | 『大京警備保障株式会社』」
三陽工業
兵庫県明石市に本社を置く三陽工業株式会社は、若手人材の採用強化を目的に2021年2月からTikTokを活用しています。
フォロワー数はわずか8カ月で4万4千人に達し、最大再生数310万回、累計再生数1,200万回を突破しました。ライブ配信では約2,000人が視聴するなど大きな反響を呼んでいます。出演しているのは44歳・56歳・72歳の3名の男性社員で、平均年齢57歳のTikTokerとして毎日動画を更新。中高年社員の明るくユーモラスな発信が注目を集めています。
TikTokを導入した結果、2022年新卒採用では説明会参加者の7割が動画を視聴済みで、「ファンだった」という声も多く寄せられました。さらに、内定者8名のうち3名がTikTokをきっかけに応募するなど、SNSを活用した採用成功の好例となっています。
参考:PR TIMES「フォロワー4万人突破「おじさんTikTok」がZ世代採用の切り札に」
三和交通
神奈川県を中心にタクシー・ハイヤー事業を展開する三和交通は、約1,400人の従業員と600台の車両を保有する全国7位規模のタクシー会社です。同社では、乗務員の高齢化を背景に若年層の採用を強化するため、2019年からTikTokの運用を開始しました。
TikTokでは、ぽっこりお腹のワイシャツ姿でK-POPなどに合わせて踊る「踊るおじさん」動画が話題を呼び、2021年7月にはマンホール上で踊る動画が770万回再生を突破しており、2023年7月時点でフォロワーは約21万人に達しています。
テレビやWebメディアにも多数取り上げられ、広告換算で5億円以上の効果を生むなど、採用ブランディングとして大きな成功を収めています。
参考:ツギノジダイ「TikTokは採用につながる? 三和交通とロルバーンから学ぶ実践例」
DYM
DYM株式会社では、若い世代への認知度向上と情報発信を目的に、2021年8月にTikTokアカウント「同かわ」を開設しました。社員が中心となり、ユーザー目線で会社や社員の日常を紹介しており、「ベンチャー企業あるある」「オフィス紹介」「日常のちょっとした出来事」などを軽快に発信しています。
出演社員も積極的に企画に参加し、視聴回数やフォロワー数を伸ばすために意見を出し合うなど、自発的な運用体制が特徴です。実際に、2022年新卒入社者の中にはこのアカウントをきっかけに同社へ興味を持った学生もおり、採用活動における成果も見られています。
運営開始から1年後の2022年8月時点で、フォロワーは急増し、特に6月23日〜29日の1週間では1,274人のフォロワー増加、動画視聴回数は51万回超、「いいね」数は8,600件以上を記録しました。初回投稿は25万回再生を達成し、150本以上の投稿を通じて試行錯誤を重ねながら、より多くの人に自社を知ってもらう取り組みを続けています。
参考:DYM Press Release「DYM 運営の TikTok『同かわ』 フォロワー1 万人突破! 企業向けにプロモーションも支援」
【4選】新卒採用でSNSを活用した企業の成功事例|Facebook編
Facebookは、社会人層やグローバル志向の学生にリーチできるSNSです。ここでは、Facebookを用いて採用活動を展開した大手企業4社の成功事例を紹介します。
伊藤忠商事
伊藤忠商事株式会社では、InstagramとFacebookを中心にSNSを活用した採用広報を行っています。
社員の日常や働く姿を動画でわかりやすく紹介しており、これらの動画はキャリア採用向けYouTube公式チャンネルからも視聴可能です。社員インタビューを交えることで、同社が推進する働き方改革や多様な働き方について、求職者が具体的に理解できる構成になっています。
また、総合商社としての事業紹介やプレスリリースに対して、Facebook上で独自のコメントを添えるなど、企業としての見解を発信しています。
さらに、家族参観日といった社内イベントや先輩社員紹介など、学生にとって身近で興味を持ちやすいコンテンツも多く公開しています。これらの取り組みを通じて、企業の透明性や人間味を伝え、伊藤忠商事のブランディング強化に大きく貢献しています。
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループでは、採用広報専用のSNSアカウントを開設し、新卒採用と中途採用でアカウントを分け、それぞれに最適化された情報発信を行っています。
新卒採用向けアカウントでは、高頻度かつ短時間で読める形式で投稿を行い、選考情報やインターンシップの案内、最新の自社サービスや新規事業のニュース、そして先進的な福利厚生制度の紹介など、多面的に企業理解を促しています。
また、社員インタビューや企業ロゴの由来、社内制度紹介といったコンテンツを通じて、ソフトバンクの企業文化や価値観を学生に伝えている点も特徴です。
一方、中途採用向けアカウントでは、管理職による登壇セミナーの動画や中途入社社員のインタビュー、採用イベント情報など、より専門性とビジネス志向を重視した内容を発信しています。
博報堂グループ
広告代理店として知られる博報堂グループは、マーケティングやコンサルティングなど幅広い事業領域を展開しています。広報室が運営する公式SNSアカウントでは、最新のプレスリリースや企業活動に関する情報を中心に発信しており、同社の多様な取り組みを外部にわかりやすく伝えています。
さらに、2022年12月からは「博報堂人物図鑑」というシリーズ企画を開始。社内で尊敬されている社員を紹介する内容で、従業員のリアルな視点から描かれた投稿が特徴です。この連載は、社員の人柄や仕事への姿勢を通じて博報堂グループの魅力を伝えるもので、社外からの親しみやすさや共感を高める効果を発揮しています。
参考:Adver Times「博報堂の採用リクルーティング広報の真実」
P&G
P&Gジャパンでは、社員が実際に取り組んでいるプロジェクトや、自社製品における課題解決の様子を紹介する投稿が多く見られます。これにより、日々の業務内容や社員一人ひとりの挑戦が具体的に伝わる構成となっています。
さらに、ジェンダー平等に関するイベントへの参加など、多様性を尊重する企業文化も積極的に発信しており、グローバル企業としての社会的姿勢を示しています。
また、Facebookでは日本法人として日本語による採用情報の発信も行っており、国内の求職者に向けてP&Gの価値観や職場環境をわかりやすく伝えています。こうした取り組みを通じて、P&Gは多様性を重視する開かれた企業としてのブランドイメージを強化しています。
新卒採用でSNSチェックは大事!
応募者のSNSを確認する「SNSチェック」は、学生の人柄や発信傾向を把握する手段として注目されています。ここでは、SNSチェックの必要性や注意点、適切な実施方法について解説します。
SNSチェックが必要な理由|場面別で解説
SNSチェックは、採用リスクを軽減し、候補者の人物像をより正確に把握するために有効な手段です。面接で好印象でも、SNS上で問題発言や不適切な行動が見られるケースもあるため、特に注意が必要です。
全候補者に実施するのは難しい場合もありますが、「この候補者はもう少し詳しく知りたい」と感じた際に限定的に行う企業も少なくありません。
選考がオンラインで完結してしまうとき
最終面接まで一度も対面の機会がない場合、候補者の印象や非言語的な情報が得にくく、人物理解が浅くなりがちです。
特に、遠方に住む候補者など、やむを得ずオンライン面接で選考を行う場合は、SNSチェックによって候補者の普段の発信や価値観を確認することで、判断材料を補完できます。画面越しでは伝わりにくい候補者の人柄や思考傾向を把握するために有効です。
面接で「学生の本音が見えない」と感じたとき
候補者が準備された回答をしており、当たり障りのない印象に終始することもあります。限られた面接時間の中では深掘りが難しく、「本心が分からない」と感じるケースも少なくありません。
そうした場合、SNSでの発言や投稿内容を通じて、候補者の日常的な考え方や価値観を把握できます。SNSチェックは、面接だけでは見えにくい素の一面を知るための参考になります。
面接の中で違和感を感じる場面があったとき
候補者の発言に一貫性がなかったり、態度や返答に違和感を覚えた場合、SNSチェックを通じてその要因を確認する企業もあります。
例えば、面接中の何気ない発言から攻撃的な一面が見えた場合や、経歴に矛盾を感じた場合などが該当します。SNS上の行動を確認することで、経歴の信憑性や人柄の整合性を検証し、より適切な採用判断につなげることができます。
SNSチェックをする際に意識すべきこと
SNSチェックを実施する際は、候補者に関する膨大な情報が得られるため、目的を明確にして適切に活用することが重要です。SNSの内容は採用判断の一部を補う参考情報であり、決してそれ自体が合否を左右するものではありません。
SNSの内容だけで採用判断をしない
SNSでの投稿内容は、あくまで私生活の一部を反映したものです。プライベートな場では言葉づかいやテンションが面接時と異なることも当然であり、それを理由に「本音を隠していた」と判断するのは適切ではありません。
SNSチェックは採用判断の補助的な要素にとどめ、投稿内容のみで合否を決めることは避けるべきです。候補者の人物像を理解する一材料として冷静に活用することが大切です。
懸念としている箇所の確認を目的とする
SNSチェックでは、採用の過程で不明確な部分や懸念がある箇所を確認する目的に絞ることが基本です。すべての投稿を無作為に閲覧してしまうと、不要な情報に引きずられ、かえって判断を誤る可能性があります。
また、個人の趣味や嗜好といった採用基準に関係のない情報を評価に含めることは避けるべきです。チェックの前に「何を確認したいのか」を明確にして臨むことが重要です。
SNSでは候補者の一面しか見えないことを理解する
SNSの投稿からは、その人の性格や考え方の一部しか見えません。趣味の共有や感情の発散など、利用目的は人それぞれであり、発言が偏るのは自然なことです。
たとえ面接時の印象と異なる投稿が見つかったとしても、それが採用基準に直接関係しない限り、問題視する必要はありません。SNSは「候補者の断片的な側面」を知るための手段にすぎないという前提を忘れずにチェックを行いましょう。
SNSチェックをする際の注意点
SNSチェックは、候補者の人物理解を深める手段として有効ですが、法的・倫理的な観点から注意すべき点がいくつもあります。誤った運用を行うと、個人情報保護法の違反や不公正な採用とみなされる恐れもあるため、以下のポイントを正しく理解しておくことが重要です。
SNSからの情報取得は利用目的の通知・公表が必要
採用担当者が候補者のSNSを「閲覧」するだけであれば問題はありませんが、投稿内容をコピーして社内データベースに保存するなど「取得」する行為は、個人情報保護法の対象となります。
この場合、候補者に対して事前に利用目的を通知・公表する必要があります。例えば、投稿内容を転記して採用判断の資料とする行為は、明確に「情報取得」に該当します。したがって、SNSチェックを行う際は、閲覧と取得の違いを理解し、法令遵守のもとで実施することが求められます。
SNSアカウント情報は「採用に適しない判断基準」と扱われる可能性が存在
厚生労働省は「公正な採用選考」を推奨しており、応募者の能力・適性以外の要素で判断することを認めていません。
SNSには、人種・家族構成・思想・信条など、採用判断に用いてはならない情報が含まれている場合があります。そのため、同省は原則として、企業が応募者からSNSアカウント情報を取得することを認めていません。本人の同意があれば取得は可能ですが、こうした法的リスクを踏まえ、慎重な運用が求められます。
不利になる投稿は既に削除されているかも
SNSチェックを行う前に候補者へ事前通知を行う場合、候補者が「選考に不利」と感じた投稿を削除してしまうケースもあります。
そのため、実際に閲覧するタイミングでは、すでに不適切な投稿が消されている可能性を考慮する必要があります。SNSチェックはあくまで参考情報であり、候補者の全体像を判断する絶対的な手段ではない点を理解しておくことが重要です。
SNSをしてなかったり、アカウントが特定できなかったりする場合も
SNSを利用していない候補者も多く存在します。また、匿名性の高いSNSでは、見つけたアカウントが本人のものか特定できないケースもあります。
そのため、SNSチェックを前提とした採用フローを構築してしまうと、判断基準が揃わず公平性を欠く恐れがあります。SNSチェックは補助的な手段として位置づけ、あくまで面接や書類選考といった他の評価方法と併用することが望ましいでしょう。
おわりに
こちらの記事では、新卒採用において、sns採用を成功させるポイントから、snsの種類別での成功事例まで詳しく説明しました。
自社に最適なSNSチャネルを見極め、新卒採用の成果向上につなげ、優秀な人材の獲得を加速させていきましょう!

