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採用活動の質を高める鍵となる「採用ペルソナ」。本記事では、その重要性や採用ターゲットとの違いに加え、具体的な作り方をフレームワークを用いて解説します。自社にマッチする人材定義やミスマッチ防止にお役立てください。
採用ペルソナとは?
採用活動の質を高めるには、理想の人材像を明確にすることが重要です。その軸となるのが「採用ペルソナ」です。まずはその基本的な意味や目的を解説します。
採用ペルソナはなぜ重要なのか
採用活動では、入社後の早期離職を防ぐことが大きな課題です。内閣府の調査によると、初職で離職した理由の多くは「仕事が自分に合わなかったため」であり(※1)、離職率も3年以内で3割を超えています(※2)。
こうしたミスマッチが起これば、採用や育成にかけたコストが無駄になるだけでなく、既存社員のモチベーションや事業計画にも悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで重要になるのが、採用ペルソナの設定です。ペルソナを明確にすることで、自社に本当に必要な人物像が共有され、採用部門と現場・経営層の間の認識のズレを最小限に抑えることができます。その結果、入社後の定着率向上や組織の安定にもつながります。
(※1)参考:内閣府「子供・若者白書 P.7 」
(※2)参考:JMAM「入社3年以内の新入社員の離職率|将来性がある人材の離職を防ぐ方法とは」
採用ターゲットとの違い
採用における「ペルソナ」と「ターゲット」は混同されがちですが、設定の粒度に明確な違いがあります。
「ターゲット」は年代・性別・居住地など、比較的広いスペックで想定された人物像を指します。それに対して「ペルソナ」は、趣味や価値観、行動特性まで含めて詳細に描かれた、よりリアルな1人の人物像です。
ターゲットのままでは、経営層や現場がイメージしている人材と、採用部門が想定する人材の間にズレが生じる可能性があります。だからこそ、全社でイメージを共有するために、より具体的で解像度の高い「ペルソナ」の設定が重要です。
採用ペルソナを設計するメリット3つ
採用ペルソナを設計することで、採用活動はより効果的かつスムーズになります。ここでは、採用ペルソナがもたらす代表的な3つのメリットを紹介します。
採用活動が効率的に
採用ペルソナを設計することで、求める人材のパーソナリティまで詳細にイメージできるようになります。その結果、どの採用手法を用い、どのような情報を発信すべきかが明確になり、戦略が立てやすくなります。
さらに、効果的な採用広報やスカウト文面を選びやすくなるため、自社にマッチする人材に絞って効率的にアプローチできるようになります。また、採用方針の軸が明確になることで、社員間の議論もスムーズに進みやすく、途中で方向性がブレる心配も減らせます。
採用のミスマッチを防止
採用ペルソナを設計することで、経営層・現場・採用担当の間で「理想の人材像」を共有でき、認識のズレを防げます。これにより、入社後のギャップや期待との違いを感じさせずに済み、ミスマッチによる早期離職のリスクを抑えることができます。
特に、現場や経営層の意見をペルソナ設計に反映させることで、実際の業務や組織文化にフィットした人材を見極めやすくなり、長く活躍してもらえる可能性が高まります。
社内で求める人材のイメージの共有が簡単
採用ペルソナがあれば、面接官や採用担当者の間で「採りたい人材像」に対する認識を統一できます。特に面接官が複数いる場合でも、それぞれの主観に左右されず、公平な視点で評価を行えるようになります。
また、社員全体で理想の人物像を共通認識として持てるため、採用活動のあらゆる場面でスムーズな意思決定が可能になります。これにより、組織全体で一貫した採用方針が維持されやすくなります。
採用ペルソナの具体的な作り方をフレームワークで解説
理想的な人材像を明文化するためには、適切な手順を踏むことが重要です。ここでは、誰でも実践できる採用ペルソナ作成のステップをフレームワークで解説します。
1. 経営者・現場にヒアリングし必要な人材を定義する
採用ペルソナを設計する第一歩は、経営戦略と人員計画を結びつけることです。部署や職種ごとに求められるスキルや性格特性は異なるため、経営者や現場の声を丁寧にヒアリングすることが欠かせません。
ヒアリングでは、「どの部署に、どんな人物が、何人必要か」を軸に、自社や各部署が求める人材の条件を可能な限り洗い出します。判断が難しい場合は、実際に自社で活躍している社員をモデルにすると、具体的なイメージがつかみやすくなります。
書き出した条件は、すべてを満たす必要はありません。要件に優先順位をつけながら、自社にとって本当に必要なペルソナを定義していくことが大切です。
2. 採用目的を明確にする
採用ペルソナの精度を高めるには、「なぜその人材を採用するのか」という採用目的を明確にする必要があります。人数や条件だけでなく、採用の背景にある目的に目を向けましょう。
たとえば、欠員補充であれば、退職者と同じスキルやコミュニケーション力を持った人を採るか、それとも未経験者を育成するかで、求める人材像が大きく異なります。後者を選ぶ場合は、教育担当者の意見もふまえた上で設計を進める必要があります。
一方、新規プロジェクトの立ち上げが目的なら、その業務に必要な能力や適性をもとにペルソナを組み立てることが求められます。目的に合致した人材像を描くことで、ミスマッチの少ない採用が実現できます。
3. 求める人材像の条件を書き出す【フォーマット付き】
ペルソナを設計する際は、求める人材の条件を具体的に書き出すことが重要です。年齢や学歴だけでなく、価値観・キャリア志向・スキル・志望動機など、人物像の背景まで明確にすることで、より実態に近いペルソナが浮かび上がります。
新卒採用と中途採用では重視すべきポイントが異なるため、それぞれに適したフォーマットを用いて設計する必要があります。以下では営業職を例に、フォーマットの使い方を紹介します。
新卒採用のフォーマット
新卒採用では実務経験がないため、サークル活動やアルバイト経験、将来のキャリア志向、価値観を中心にペルソナを設計します。以下は営業職を想定した新卒ペルソナの一例です。
- 年齢:22歳
- 学歴:関西の私立大学 経済学部卒業
- キャリア志向:将来的に営業チームを率いるリーダーになりたい
- 価値観:人との信頼関係を大切にする/成果で評価される環境を望む
- 志望業界:人材・広告・ITサービス
- 応募企業に求めるもの:成長環境・若手への裁量・明確な評価制度
- 保有スキル:傾聴力・課題発見力・目標達成意識
- エピソード:居酒屋のバイトで月間売上トップを達成し、店長代行を任された経験
中途採用のフォーマット
中途採用では、これまでの職務経歴やスキル・転職理由などを含めて、よりリアルな職業人としてのペルソナを設計します。以下は営業職の中途採用を想定したペルソナ例です。
- 年齢:29歳
- 学歴:地方の国立大学 商学部卒業
- 経歴:大手通信会社の法人営業を5年経験。エリアリーダーとして新人育成も担当。
- 職業:ITベンダーで営業職(在籍中)
- 年収:550万円
- 最近の悩み:ルーチン化した営業業務に課題を感じ、裁量の大きい環境を求めている
- 応募企業に求めるもの:営業企画へのキャリアパス・インセンティブ制度の充実
- 保有スキル:提案力・関係構築力・目標管理スキル
4. 条件を参考に詳しいペルソナを作る【テンプレート付き】
採用目的と人材要件が明確になったら、それらの条件をもとに、より具体的な人物像を組み立てていきます。まずは「年齢」「経験」「資格」など、求める条件をすべて書き出しましょう。
書き出した情報を軸に、その人がどのような背景や価値観を持ち、どのような動機で転職や就職を考えているのかを、ストーリーとして構築していきます。
たとえば「経理経験者・有資格者」という条件から、「給与に不満を持ち転職を検討している既婚男性」というように、人物像に深みを持たせることができます。
そこから「どんな趣味を持っているか」「現在の悩みは何か」など、よりリアルに人物を想像しながら仮のペルソナを作成していきましょう。
| カテゴリー | 項目名 | 記入例 |
| 社会的特徴 | 年齢 | 28歳 |
| 性別 | 男性 | |
| 家族構成 | 妻と子ども1人 | |
| 所得 | 年収500万円 | |
| 学歴 | 私立大学 経済学部卒 | |
| 職歴 | 営業職5年 | |
| 会社的特徴 | 業種 | IT業界 |
| 職種 | 法人営業 | |
| 地域 | 東京都 | |
| チーム人数 | 5人 | |
| 心理的特徴 | ライフスタイル | 週末はスポーツ観戦 |
| パーソナリティ | 明るく前向き | |
| 仕事で大事にしていること | チームとの信頼関係 |
5. 仮のペルソナを社内で共有してすり合わせる
仮のペルソナを作成したら、必ず現場や関係者とすり合わせを行い、認識のズレがないかを確認します。新卒採用であれば、近い属性を持つ若手社員や昨年入社した新卒社員へのヒアリングも効果的です。
ただし、経営層と現場のイメージが食い違うことは少なくありません。すべての要望を詰め込むと、理想が高すぎて現実離れしたペルソナになってしまう恐れがあります。
そのため、「必須条件」「あれば望ましい条件」「今回は必要ない条件」など、要件に優先順位を設けながら、現実的かつ実行可能な人物像に落とし込んでいくことが大切です。
6. 現在の新卒・転職市場に沿って要件を絞り込む
社内で仮のペルソナをすり合わせた後は、現状の新卒・転職市場と照らし合わせて要件を再確認することが重要です。市場に存在しないような人材をペルソナとして設定してしまうと、応募自体が見込めなくなってしまいます。
たとえば、転職市場に経験者が少ない場合は、「経験者」という条件をあえて外すことで、母集団形成の可能性を広げることができます。新卒市場でも同様に、学生の志向や価値観に合った要件へ調整する必要があります。
自社が求める人材像を一方的に押しつけるのではなく、候補者側の状況にも配慮しながら現実的なペルソナを組み立てることで、成果につながる採用が実現しやすくなります。
採用ペルソナを設計する際に欠かせない項目
採用ペルソナの精度を高く設計するには、押さえるべき情報があります。ここでは、必ず記載すべき基本項目について、具体例を交えて紹介します。
年齢・学歴・年収
採用ペルソナを設計する際には、年齢・学歴・年収といった基本的な属性を明確にしておくことが重要です。業務を円滑に遂行する上で、年齢や学歴が与える影響を検討する必要があります。
たとえば、特定の専門知識が求められる業務であれば、学歴や修得分野も要件として定義しておくとよいでしょう。
また、業務の難易度や責任の範囲に応じて適切な報酬水準を設定し、それに見合った年収イメージをペルソナに盛り込むことで、現実的な人材像を描けるようになります。
資格・経験
資格や経験は、業務適性を測る上で非常に重要な要素です。
たとえば経理業務であれば、簿記や会計に関する資格の有無や実務経験年数など、具体的な条件を細かく設定しておくと、候補者の選定精度が高まります。
また、資格だけでは見えにくい部分として、「フレキシブルに対応できるタイプか」「決められた手順の中で力を発揮するタイプか」といった行動特性も意識して設計すると、自社に合った人材像をより的確に描くことができます。
価値観・人柄
スキルや経歴が一致していても、自社との相性が良いとは限りません。特に価値観や人柄は、職場への適応や長期的な定着に大きく影響する要素です。
たとえば、ベンチャー企業であれば変化を楽しめる人や挑戦志向の強い人が向いている一方で、安定志向の強い人とはミスマッチが起こりやすくなります。
そのため、どのような価値観や人柄の人が自社に合うのかを言語化しておくことが、成功する採用ペルソナの設計には欠かせません。
採用ペルソナを活用できる3つの場面
作成した採用ペルソナは、採用活動のさまざまな場面で活用できます。ここでは、実際にどのような場面で役立つのかを3つの観点から紹介します。
求人要件の作成
採用ペルソナをもとに求人票や募集要項を作成することで、ターゲット層に刺さる情報発信が可能です。たとえば、挑戦意欲の高い人材を求める場合には、「裁量の大きな業務内容」や「スピーディな成長環境」といった表現が効果的です。
また、ペルソナの志向に合わせて働き方や社風、キャリアパスを明確に記載すれば、学生とのミスマッチを未然に防ぐことができます。こうした工夫により、学生の質が向上し、組織全体の活性化にもつながります。
スカウトメールの文面
スカウトメールやダイレクトリクルーティングにおいても、採用ペルソナは非常に有効です。明確なペルソナをもとにすれば、文面や送信のタイミング、利用するプラットフォームを戦略的に選べるようになります。
たとえば「安定志向で成長意欲のある若手層」を狙う場合には、キャリアパスや教育制度を訴求した文面にすることで、反応率が高まります。また、ペルソナに近い属性の候補者を条件で検索することで、より的確にアプローチできるのも大きなメリットです。
面接評価の基準
採用ペルソナに基づいて評価基準を設計すれば、選考の公平性と一貫性が保たれます。たとえば「論理的思考力」や「協調性」が求められる場合、それらを見極めるための質問や評価項目をあらかじめ面接官と共有しておくことで、主観に頼らない評価が可能です。
また、全面接官が同じ人物像を想定して評価を行うことで、選考基準のブレを防ぐことができ、自社に本当に必要な人材を見極めやすくなります。
採用ペルソナを設計する際のポイント5つ
採用ペルソナを有効に機能させるには、設計時に注意すべき点があります。最後に、実践に役立つ5つのポイントをお伝えします。
自社の長所や魅力を客観視する
採用ペルソナを設計する前に、自社の魅力や強みを客観的に把握することが重要です。自社のことを十分に理解していなければ、どのような人材がマッチするのかも明確になりません。
仕事内容・事業内容・社員・文化・制度など、5つの視点から自社の特徴を洗い出してみましょう。入社間もない社員にインタビューし、「入社の決め手」や「他社より優れている点」を聞くのも有効な方法です。
自社の魅力を理解した上でペルソナを設計することで、訴求すべき情報やマッチする人物像が見えてきます。
複数のペルソナを想定する
ペルソナは1つに絞る必要はなく、複数パターンを想定しておくと、柔軟な採用活動が可能です。特に新卒採用では、さまざまな個性を持つ人材を採用することで、組織の多様性にもつながります。
たとえば「主力事業を支える人材」「将来の幹部候補」「新規事業開発を担う人材」など、活躍の方向性に応じてペルソナを分けて設計するのが効果的です。
ただし、多すぎると軸がブレてしまうため、新卒採用では2〜3パターン、中途採用では職種ごとに1〜2パターン程度に絞るとよいでしょう。
社内の部署間で認識をすり合わせる
採用ペルソナは採用担当者だけでなく、現場や経営層とも共有しておくことが重要です。個人のイメージだけで進めてしまうと、「採用した人が現場の想定と違った」といったミスマッチが起こりかねません。
関係部署とペルソナをすり合わせることで、必要なスキル・経験・人柄といった要件に対して優先順位がつけやすくなります。また、共通認識が生まれることで、選考や評価にも一貫性が生まれます。
組織全体でペルソナを共有することが、ミスマッチを防ぎ、採用の質を高める第一歩です。
定期的にペルソナを見直す
一度作ったペルソナも、状況に応じて柔軟に見直すことが大切です。設計したペルソナに当てはまる人がなかなか現れない、応募が集まらないといった状況では、想定が現実とかけ離れている可能性があります。
求職者の労働観は変化しており、条件だけでなく「やりがい」「働き方」「キャリアパス」への関心も高まっています。市場環境や職場の実態に合わせて、ペルソナをアップデートする姿勢を持ちましょう。
成長環境や柔軟な働き方の整備といった取り組みも、ペルソナとのマッチ度を高める重要な要素です。
採用ペルソナを細かく設計しすぎない
ペルソナをあまりに細かく設定しすぎると、該当者が極端に少なくなってしまう恐れがあります。たとえば「iPhoneを使っている」「休日は◯◯をしている」といった業務に関係のない項目まで盛り込むのは非効率です。
大切なのは「どのような人物が自社で活躍できるか」という軸を明確にすることです。あくまでもペルソナは手段であり、設計そのものが目的になってはいけません。
最低限必要な条件を見極めた上で、柔軟性を持たせて設計することで、より現実的で実用的なペルソナになります。
採用ペルソナを設計したら「ワンキャリア」の導入がおすすめ!
採用ペルソナを設計した後、本格的に採用活動を開始する必要があるが、どのように行えば良いのか悩むかもしれません。その際に、新卒採用に強い「ワンキャリア」をおすすめします!
設計した採用ペルソナをもとに、「ワンキャリア」では、年間の採用マーケティングを徹底的にサポートするサービスを展開しております。
単なる媒体掲載にとどまらず、新卒採用の成果最大化・業務効率化を実現する、以下のような特徴があります。
(1)就職活動に積極的な学生が多数登録
(2)圧倒的な学生のクチコミ・選考体験談を保有
実際、2025年5月時点で導入利企業が5,000社を突破し、大手から中小企業・ベンチャー企業まで幅広くご活用いただいていますので、ぜひ一度ワンキャリアをご検討ください!
ワンキャリアの詳しいサービスについては以下のリンクから確認ください
新卒採用の求人掲載・スカウトならワンキャリア【採用ご担当者向け】
おわりに
こちらの記事では、採用ペルソナの重要性から、具体的な作り方やフレームワークまで、詳細に解説しました。
採用ペルソナを明確に設計し、自社が求める優秀な人材を集めていきましょう!

