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採用フローとは? |基本的な流れやメリットを解説
採用フローとは、企業が人材を募集し、入社に至るまでの一連の過程を整理したものです。工程を可視化することで、採用活動を効率化し課題を把握できます。ここでは、基本的な流れやメリット、中途採用との違いについて解説します。
採用フローの一覧
採用活動は大きく3つの段階に分けられます。それぞれの段階で行う内容を整理すると、全体像を把握しやすくなります。
母集団形成から入社に至るまでの主な流れは、以下の通りです。
| フェーズ | 主な内容 | 目的 |
| 母集団形成 | 採用広告、人材紹介、カジュアル面談、説明会など | 自社の選考を受ける候補者を集める |
| 選考 | エントリー、書類選考、筆記試験、面接 | 候補者の能力・人柄・適性を見極める |
| 入社承諾・入社 | 入社承諾、内定者フォロー | 入社意欲を高め、入社・定着へつなげる |
このように採用フローを分解して把握することで、各段階での役割や目的が明確になり、採用活動全体の効率化と改善につながります。
採用フローを作るメリット
採用フローを明確にすることで、関係者全員が採用活動の進捗(しんちょく)を共有でき、情報不足による行き違いやトラブルを防げます。
さらに、工程ごとに進捗や結果を振り返ることで、ボトルネックとなっている段階を特定し、改善策を講じることが可能です。採用活動は複数部署や経営層が関わるため、フローを基盤に分析と改善を繰り返すことが、効率化と質の向上につながります。
中途採用と新卒採用の採用フローの違い
新卒採用は、学生を対象に政府が定めるスケジュールに沿って一斉に進められる点が特徴です。入社時期も多くの企業で4月に統一されており、集団的・定期的に採用活動が行われます。
一方で中途採用は、欠員の補充や新規事業の立ち上げなど必要に応じて随時実施されるのが一般的です。募集人数や職種ごとに柔軟に対応できる反面、即戦力を求める傾向が強く、採用フローも個別性が高くなります。
新卒採用フローのフェーズ別の作り方
新卒採用では「集める・選考する・フォローする」の3つの段階を踏むことが重要です。ここでは、それぞれのフェーズの具体的な進め方と工夫のポイントについて解説します。
「集める(母集団形成)」
最初の段階は、選考に進む候補者を集めるフェーズです。広報活動や会社説明会を通じて、学生に自社の求人や事業内容を認知してもらい、選考希望者の母集団を形成します。
ここでのゴールは「企業との接点を持ち、次のフローに進む意思がある学生を増やすこと」です。
採用広報
目的は「採用中の事実を伝え、接点を作る」こと。手法は大きく2つに分かれます。
- オーディション型:求人に学生が応募する従来型。ナビサイトや求人媒体の掲載、合同説明会などが該当します。
- オファー型:企業側から学生へ働きかける攻めの手法。ダイレクトリクルーティングやリファラル採用などがこれにあたります。
いずれも、学生に認知を広げ、エントリーにつなげるための起点です。
会社説明会
プレエントリーや本エントリー後の学生に向けて、求人広告だけでは伝わらない情報を補い、理解を深めてもらう場です。目的は、相互理解を進めて選考に進む意思を固めてもらうことです。
形式は、説明+質疑に加え、座談会のような双方向の場を設ける方法や、さらに踏み込んだ一対一面談も効果的です。理解を深めた上での候補者集団の形成につなげます。
「選考する」
ここでは、集めた候補者から採用すべき学生を見極めます。対面以外の選考、集団形式、個別面接を組み合わせ、多面的に能力・適性・人物像を確認し、最終的な候補を絞り込みます。
書類選考・適性検査
まずは対面前のスクリーニングです。エントリーシートなどの書類選考、一般教養などを問う筆記テスト、職業適性や性格特性を測る適性検査を通じ、定義した人物像に照らして最低限の要件を満たしているかを確認します。以降の面接段階に進める母集団を適切に選別することが狙いです。
集団選考
グループディスカッション、グループワーク、集団面接などで、学生の人との関わり方や役割の取り方を把握します。評価の焦点は、発表内容そのものよりも「話を聴けるか」「場を回せるか」「周囲を支えられるか」といった行動特性です。
人的リソースの都合で個別選考を絞る前段として活用されることもあります。各社で重視点(アウトプット重視など)は異なります。
個別選考
学生1人との双方向コミュニケーションで相互理解を深め、内定出しに向けた判断につなげます。1回で全てを見切らないのが要点で、一次・二次・最終と段階を分け、各面接で見る要素を分担します。
たとえば、初期は基本的な受け答えなどの基礎能力、二次は事前の人材要件に基づくパーソナリティと行動特性の深掘り、最終は候補者同士の相対比較を行い、本当に採用したい学生を決定します。
「フォローする」
最終段階は、選考結果を踏まえて入社まで伴走するフェーズです。内定提示から入社までの間に関係を保ち、入社してほしい学生の意思を確かなものにします。目的は、辞退や離脱を防ぎ、入社へと確実につなげることです。
内定出し
合格基準を満たした学生に内定を通知します。注意点は不採用連絡のタイミングです。優先度の高い学生の承諾前に他候補へ不採用を出すと、辞退が発生した際の繰り上げの余地を失い、候補者プールを縮めてしまいます。
追加の採用フローが必要になったり、目標採用人数の達成が難しくなったりするリスクがあります。
内定者フォロー
内定承諾後は、モチベーション向上と離脱防止を目的に継続的なコンタクトを取ります。社内外イベントへの案内や参加依頼、メッセージでの近況のやり取りなどを通じて、放置せず関係を保つことが重要です。
プライバシーに配慮しつつ、質問を一方的に求めるのではなく、担当者側も適度に応答する双方向コミュニケーションを心がけます。
新卒採用フローのタイプ【3選】
企業によって採用フローは異なり、目的や採用人数に応じて設計する必要があります。ここでは代表的な3つのタイプを取り上げ、それぞれの特徴や向いている企業について解説します。
1. 標準タイプ
最も一般的な進め方です。学生への広報でオンライン上からエントリーを受け付け、会社説明会(来社型やウェブセミナー)で企業理解・社風理解を深めた上で選考試験に進みます。
理解が進んだ状態で選考を受けるため学生の納得感につながりますが、実施には数カ月単位の期間を見込む必要があります。
2. 説明会・選考一体形式タイプ
説明会と選考を同日にまとめて実施し、フローを短縮して内定提示までを迅速化します。他社が内定出しを進めている時期に説明会参加を促す際や、後半戦でスピードを上げたい場合に切り替える例があります。
選考の優先度が高い傾向を踏まえ、説明会+選考で同じ段階まで到達できますが、企業理解が浅いまま選考に入るため志望度に不安が残ることがあります。2つのステップを同日に行うため拘束時間が長くなりやすく、交通費への配慮が必要になる場合もあります。
3. 試験選考タイプ
応募数が採用人数を大きく上回る状況で有効な方法です。会社説明会より先に試験で絞り込むことで、大量の母集団を効率よくセグメントできます。人気業界・人気企業で活用されますが、説明会に呼ばれなかった学生は納得感を得にくい点に注意が必要です。
内定出しまで(内定後フォローを含む)で候補者が納得できる状態をつくることが重要で、能力の高い学生への注力のあまり企業理解がおろそかになり、入社後に「イメージと違う」とならないよう細心のケアが求められます。
新卒採用のフローを運用する際の注意点
採用フローは作るだけでなく、運用の段階で工夫することが成功の鍵です。ここでは、計画性の確保や歩留まり管理、関係者との連携など、運用における注意点について解説します。
採用する上で会社のビジョンや人材像を明確にする
採用フローを設計する前に、会社のビジョンや求める人物像を明確にしておくことが不可欠です。「いつまでに」「どんな人材を」「どの部署で」「何名採用するか」といった具体的な採用計画を立て、経営層へのヒアリングを通じて方向性を固めましょう。
計画を共有しておけば、担当人事だけでなく周囲の社員とも認識をそろえやすくなります。
採用フローが運営可能な計画かを検討する
理想的なフローを作っても、現実に運用できなければ成果につながりません。採用戦略や目的と合致しているか、コストが過剰ではないか、人的リソースや時間が足りているかなどを確認することが重要です。
他業務に負担をかけすぎていないかもチェックポイントです。もし不具合があれば、過去のデータも参考にしながらフローを見直す必要があります。
記号や図表を活用して採用フローを分かりやすくする
採用フローは関係者全員が理解できる形で示すことが望まれます。矢印を使って流れを示したり、工程ごとに記号を分けて表現したりすると、直感的に把握しやすくなります。
時系列を左上から右下に整理して並べると一目で分かりやすく、経営層や他部署に共有する際もスムーズに認識を合わせられます。
フェーズ別で歩留まりを算出する
各工程で「対象者のうち次に進んだ割合」を数値化することで、どの段階に課題があるかを把握できます。
計算式は「通過人数÷選考対象者数×100」で求められ、エントリーから入社承諾までの流れごとに算出可能です。目標値よりも大きく下回る工程があれば、その段階の改善が必要であると判断できます。
改善を定期的に狙う
一度整えたフローをそのまま使い続けても、必ずしも成果が安定するとは限りません。歩留まりを定期的に確認し、平均的な基準と比較しながら見直しを図ることが大切です。
数値をもとにPDCAサイクルを回し、選考内容や工程の順序を改善していくことで、採用効率やマッチング精度を高められます。
関係者とのコミュニケーションを怠けない
数値による検証と同じくらい重要なのが、関係者間の認識共有です。人事担当、現場部門、経営層が課題や改善点を話し合い、共通の目線を持つことで次回以降の採用活動の質を高められます。
情報伝達を欠かさず、採用フローを全員が理解できる状態にしておくことが、安定した採用成功につながります。
フローを見直して採用課題を解決しよう|課題別に対策を解説】
採用活動には「候補者が集まらない」「辞退率が高い」などの課題がつきものです。ここでは、よくある課題をケースごとに取り上げ、それぞれに適した解決策について解説します。
ケース1:専門性の高い人材を集めるのが難しい
専門性を持つ学生は市場での競争率が高く、特に理系や機電系、IT系の新卒は複数の企業から同時に声がかかる状況にあります。
全体として母集団は集まっても、肝心の希少人材に接触できず採用が進まないケースは少なくありません。従来の求人広告や説明会を中心とした方法では、こうした人材と接点を持つこと自体が難しいのが現実です。
対策は、待ちの姿勢から攻めの姿勢に転換することです。具体的には、ダイレクトリクルーティングを活用して学生データベースから直接声をかける、専門職の既存社員のネットワークを通じて後輩を紹介してもらう、あるいはSNSで情報発信をしている学生にコンタクトを取るなど、採用担当者自らが会いに行く取り組みが求められます。
こうした方法は求人広告よりも工数やリソースを要しますが、応募が自然発生しない状況では最も現実的な選択肢です。結果として、対象人材に直接接触し、丁寧に動機付けをしていくことが採用成功のカギとなります。
ケース2:中小企業で候補者集めに苦戦する
新卒採用市場では、大企業と比べて中小企業は候補者を集める難易度が高いのが一般的です。有効求人倍率の高さを踏まえても、中小企業は不利な立場にあり、知名度が限られている企業では求人広告や合同説明会を出しても応募が期待ほど集まらないケースがあります。
単に「認知してもらえば応募が来る」という考え方では、学生優位の市場環境では成果につながりにくいのが現状です。
対策は、1対1のコミュニケーションを採用フローに組み込むことです。求人広告や説明会に頼るだけでなく、個別面談やカジュアル面談を通じて双方向の理解を深める場を設けることが効果的です。
メッセージの送り方も重要で、企業側の都合を押し付ける表現ではなく、「あなたの経験や強みを弊社で生かせると思う」「もっと詳しくお話を聞きたい」といった相手を尊重する内容で誘う必要があります。
初期段階から学生と丁寧にすり合わせを行うことで、企業に合う人材かどうか、また学生にとっても活躍できる環境かどうかを確認でき、応募者数の少なさを相互理解の深さで補うことができます。
ケース3:辞退率の高さに悩む
内定を出しても辞退されるケースは多くの企業が直面する課題です。理由はさまざまで、選考段階で志望度が高まったのに内定通知時に不安が生じて他社に流れるケースや、もともと第一志望ではなく滑り止めとして受けていたケースなどがあります。
さらに、候補者集団の形成自体が不十分なまま進めた結果、内定辞退率が高くなることもあります。
対策は、採用フロー全体を通じて辞退につながる不安や懸念を減らすことです。候補者集団が一定数集まっているのに辞退が多い場合は、初期段階でのコミュニケーション方法を見直す必要があります。
誰にでも響くような一般的な訴求ではなく、自社が本当に採用したい人材に絞ったメッセージを打ち出すことで、志望度の低い層を排除し、ターゲット学生に集中できます。
一方、候補者集団自体が少なく、かつ辞退も多い場合は、フロー全体を通じて1対1で向き合う姿勢が求められます。ダイレクトリクルーティングやリファラル採用、カジュアル面談、座談会、インターンシップなどを積極的に組み合わせ、学生に安心感を持ってもらうことが大切です。
選考段階では現場社員や若手社員との面談を挟み、入社後の働き方を具体的にイメージできるようにすることで辞退リスクを減らせます。
留意点として、選考通過率が高すぎる場合は潜在的なミスマッチが含まれている可能性があり、早期離職につながりかねません。むやみに通過率を上げるのではなく、相互理解を重視しながらフローを改善することが、結果として辞退防止につながります。
効果的な新卒採用フローを作りたいならワンキャリア!
新卒採用を成功させるには、母集団形成から選考通過、内定承諾までの採用ファネル全体を見据えた設計が不可欠です。そのためには、各ステップに対応できる新卒採用サービスのフローの設計がカギとなります。
ワンキャリアは、ペルソナ設計を起点に、情報発信・志望度醸成・歩留まり改善までを一貫支援できる新卒採用サービスです。業種や採用規模を問わず、企業ごとの課題に寄り添った運用が可能で、選考全体の質を高める設計がされています。
現在、5,000社以上が導入しており、採用フロー全体で成果を出す実績のある新卒採用サービスといえます。
ワンキャリアで新卒採用フローを改善した事例
こちらでは、ワンキャリアのサービスを通じて、実際に新卒採用のフローを改善できた企業の事例を2つ紹介します。
事例を読みながら、自社の課題と似たような状況はないか、参考にしてみてください。
事例1:電通デジタル
デジタルマーケティングのあらゆる領域を支援する電通デジタルでは、2016年の創業以来、学生からの認知度が課題となっており、新卒採用においてはエントリー数が不足している状況にありました。
そこで、年間100名以上の採用を目指す中で、効果的な母集団形成を実現するためにワンキャリアを導入し、新卒採用フローの入口から改善に着手しました。
その結果、エントリー数は2021年度から2022年度にかけて1.5倍に増加。さらに、ワンキャリア経由で応募した学生の中から内定者の20%を占める成果も得られ、デジタル志向の高い学生層とのマッチングにも貢献しました。
事例2:Works Human Intelligence
人事労務システムを手がけるWorks Human Intelligenceでは、新卒採用における大きな課題の1つとして、採用人数が多いがゆえに選考フローが長期化し、面談待ちの学生との接点が途切れやすい点がありました。学生の温度感が下がってしまうことは、選考全体の歩留まりに影響を及ぼす懸念がありました。
そこで、ワンキャリアクラウドを活用し、面談待ちの学生に対して動画URLを配信する仕組みを導入。非同期でも企業理解を深められる情報提供を行うことで、継続的に学生とのつながりを維持できるようにしました。
その結果、学生がフローの途中で離脱してしまうリスクを軽減し、選考体験の質を高めることに成功しました。従来は「待ち時間」となっていた部分を、企業の魅力発信の場に変えることで、効率的かつ効果的なコミュニケーションを実現できました。
おわりに
こちらの記事では、採用のフローの中でも、新卒採用にフォーカスし、メリットやフェーズ別の作り方、またフローを通した採用課題の解決方法について、詳しく説明しました。
自社にあった新卒採用のフローを作って、優秀な人材を獲得できるようになりましょう!

