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人事の新卒採用といえば、インターンシップや会社説明会などで社外に自社のPRを行うイメージです。しかし、実際は対外的な仕事だけではなく、採用フローの運用や面接官との日程調整など、事務的な仕事も多く存在します。今後も人口減少によって新卒採用が難しくなるなか、採用時期はどのように工夫すべきでしょうか。 この記事では、新卒採用に関するスケジュールのルールや、企業の採用活動の内容、新卒採用スケジュール策定のポイントと注意点などを解説します。
新卒採用に関するスケジュールのルール

新卒採用のスケジュールにはルールがあります。具体的に、就活ルールの指針となっている経団連の就活ルールをふまえて、2024年卒の採用スケジュールを紹介します。大手企業か中小企業かによってスケジュールが異なるため確認しましょう。
経団連の就活ルール
新卒採用には参考にすべきスケジュールがあります。2020年卒までは経団連の採用選考に関する指針が基準でした。
まず、学生に対して求人募集を解禁し活動開始する時期は、大学3年の3月からです。インターンシップに関しては、採用選考活動とは関係ないことを明確にすれば、3月より前にスタートできます。Webテストやエントリーシートの提出など、選考の解禁時期は大学4年の6月から、内定の解禁時期は大学4年の10月からと定められていました。
経団連の指針では、就職活動の早期化によって学生が勉強に集中できる時間が短くなることを理由に、広報・選考・内定の解禁時期を定めていました。しかし、経団連に加入していない外資系企業やIT企業などは自由に採用活動を行うことができ、公平性に欠けるという問題点がありました。
2024年卒の採用スケジュール
2021年卒以降は経団連に代わり、政府が主導して就活ルールを策定するよう変化しました。以前の経団連の就活ルールは違反しても罰則がありませんでした。そのため、多くの企業は優秀な人材を早期に囲い込むために、就活ルールより早めに採用を始めていました。
政府が策定した就活ルールは学生や企業の影響を防ぐために、しばらくは経団連の就活ルールを踏襲しています。2024卒も経団連が策定したルールが適用される予定です。
企業によって異なる採用スケジュール
採用スケジュールは企業が独自に計画するため、企業によってスケジュールが異なります。
大手企業の場合は、優秀な人材を獲得するために選考開始や内々定・内定出しの時期が早いことがあります。例えば、大学3年の6月ごろからインターンシップ・採用広報が始まり、翌年2月ごろから選考が開始され、3〜8月には内定の通知を出す企業もあります。
中小企業は大手企業やライバル企業との重複を避けるため、採用スケジュールと選考時期をずらして設定することが一般的です。例えば、大学3年の6月ごろからインターンシップが始まる点は大手企業と同じですが、採用は春だけでなく秋にも行います。春採用では、大学3年の2月から選考を始め、2〜4月には内定を出します。秋採用では、大学4年の7月〜10月に選考し、8〜10月に内定を出すスケジュールです。
また、外資系やベンチャー企業、マスコミも政府が主導して策定した就活ルールより早い時期から採用活動を始める傾向があります。
新卒採用の全体スケジュールと時期別の採用活動

新卒採用の一般的なスケジュールは上記の通りです。
上から学事日程、学生の就活動向、採用担当者の行動を表したものです。
企業の採用活動は、大学3年から4年にかけて行うため、複数年度の新卒採用が同時並行で進むケースが一般的です。
以下では大学3年生の夏から、内定出しまでの期間を各セグメントに分けて解説していきます
大学3年6月~9月:夏インターンと採用準備
大学3年の6月~9月は、テストが終了し始めて夏季休暇に入るタイミングです。
そのため学生は休暇を活用して、夏のインターンシップに参加して業界理解や企業理解、就職活動の準備を始めます。
中には大学の試験勉強と並行しながら、インターン参加に向けて準備をしている学生もいます。

参考:自社調べ26卒就活生全体動向
一方で企業側としては、インターンシップの準備と開催に時間を投資するタイミングになります。
またインターンの開催準備をするにあたり、3月以前からインターンに関する広報を展開する必要があります。
画像の通り、年々学生が夏インターンシップに対して意欲的になっており、開催予定の2~3か月前から情報収集をしていることがわかります。
そのためインターンシップの広報も事前に準備をしておく必要がある点に注意が必要です。
またインターンの開催と同様に、来年度の採用準備も同時並行で始める必要があります。
大学3年9月〜1月(秋・冬)
長期休暇明けからは、秋・冬季のインターンシップの開催がスタートします。
ただし、夏インターンシップとは異なり、大学の後期授業が始まるタイミングのため、プログラムを短期に設定したり、学事予定に合わせる必要があります。
学生は夏インターンシップに参加した後、行きたい業界の業界研究をおこなったり、選考対策に時間をかけ始める時期になります。
最近ではインターンシップの参加目的も業界研究だけではなく、今後の選考優遇を求めているケースも増えています。
学生の間でも志望業界で選考の進み方にばらつきが出てくる時期になります。
企業側としては、秋・冬インターンシップの準備・運営だけではなく、夏のインターンシップに参加した学生のつなぎ止めを進める必要があります。
また学生のつなぎ止めだけではなく、採用するための手法やの検討や準備を進める必要があります。
大学3年2月~大学4年5月(春季)
大学3年生の2月になると本格的に就職活動に本腰を入れ始める時期になります。
大学も春休みに入り、自由な時間が増える分、選考参加に向けて企業研究や自己分析に本格的に取り組むようになります。
3月に各社就活の広報が解禁された後は、企業の説明会に参加し始めます。
企業によっては早期選考を行っており、5月時点で内定を出している企業も出始めます。
一方で企業側では2月になるとインターンシップの広報から、会社説明会の広報に切り替え始めます。
就活解禁に向けて、採用サイトによっては仕様上、直前での編集ができなくなります。
ただし最近では就活の早期化が進んでおり、説明会に参加する前に学生がすでにほかの企業で選考が進んでいることがあります。
企業側は説明会参加後の歩留まりの数値を比較して、選考の早期化に向けての対応が求められます。
大学4年6月〜9月(夏季)
6月になると学生の間でも、内定獲得する層が出始めます。
一方で大手企業の場合、就活ルールを遵守している企業であれば、6月から選考をスタートすることもあります。
この時期になると複数の企業から内定を獲得する学生も増え、内定辞退の連絡が企業に届くようになります。
また、第一志望の企業から内定をもらったからと、途中で選考辞退されてしまう可能性があります。
人事担当としては選考期間の対応だけではなく、選考に参加している学生に対して定期的なフォローをしたり、内定後のフォローを徹底する必要があります。
新卒採用スケジュール策定のポイントと注意点

新卒採用はスケジュール策定が重要です。ここでは、スケジュールを策定する上でポイントとなる、採用戦略や学生の動向確認、採用手法の選定について解説します。
採用戦略を立てる
採用戦略で重要なことは、採用したい学生のターゲット像を決めることです。
ターゲット像は価値観やライフスタイル、行動まで詳細に具体化するのがポイントです。もし、採用ターゲットが明確でない場合、内定辞退や入社後のミスマッチのリスクが増え、企業にとっても学生にとってもデメリットがあります。
また、採用戦略として、自社の強みを把握し、学生にアピールすることが必要です。市場規模や成長性、社風、商材の魅力、給料・賞与、福利厚生などをアピールできる施策かチェックします。さらに、競合他社と差別化できているポイントがあると良いでしょう。
学生のスケジュールや動向を確認する
ターゲット学生の就活スケジュールから逆算して採用計画を立てます。具体的には、インターンシップ、広報、会社説明会、選考、内々定・内定の時期を採用計画に落とし込みます。説明会や選考の際に就活生の応募者を増やすには、中小企業は知名度の高い大手企業とスケジュールが被らないようにすることがポイントです。
採用手法の選定
自社の採用人数や求める人材に合わせて、採用手法を選定しましょう。
例えば、採用規模が大きい場合は、一度に多くの求職者と接点が持てる会場イベントがおすすめです。また、認知度の低い企業でも、学生に対して企業側から呼び込みをかけられることもメリットといえるでしょう。
年間数人ほどの採用規模であれば、自社の社員や知人などから紹介してもらうリファラル採用も可能です。自社を理解している人からの紹介のため、ミスマッチが起こりにくいことが特徴です。採用コストを抑えられるため、中途採用ではもちろん新卒採用においても実施している企業は増えています。
求める人物像や人材は、社内で活躍しているメンバーを参考にすることをおすすめします。採用フローの段階で適性検査を導入し、新卒採用者だけでなく社員にも適性検査を受けてもらい、データを比較することで採用のミスマッチが少なくなります。
他にも就活情報サイトや採用サイト、ダイレクトリクルーティングなど手法はさまざまです。採用サイトやSNSからの情報発信は近年重要視されている傾向があるため、力を入れて取り組むことが望ましいでしょう。
新卒採用はスケジュールや採用時期が重要

経団連の就活ルールや2024年卒の採用スケジュール、企業によって異なる採用スケジュールをそれぞれ紹介しました。採用戦略の作成や学生のスケジュールや動向の確認など、採用担当者は年間を通して行うべきことがあり、それぞれのポイントと注意点を意識することが重要です。
貴社の新卒採用が成功するかは採用計画で決まるといっても過言ではありません。採用戦略をしっかりと練り、最適な時期で採用が行えるように計画することが重要です。
新卒採用を実施・検討している企業の人事担当者は、今回紹介した内容をぜひ参考にしましょう。
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