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こんにちは、ワンキャリ編集部です。
「中小企業の採用の成功事例を知りたい」「中小企業の採用に苦戦してるけど、どうすれば良いか分からない」と考えている採用担当者様は多いかと思います。本記事では、中小企業の採用の成功事例を4つご紹介します。また、中小企業が採用に苦戦する理由や、採用戦略の立て方なども解説します。
中小企業の新卒採用は確かに困難な課題かもしれませんが、適切な戦略と継続的な取り組みによって、必ず成果を出すことができます。本記事の事例やポイントを参考に、理想的な人材との出会いを実現していただければと思います。
中小企業における新卒採用市場の現状
中小企業は大手企業と比べて採用面でさまざまなハンデを抱えており、計画通りに採用が進まないケースも少なくありません。まずは市場の現状を把握しましょう。
中小企業と大手企業の有効求人倍率の違い
日本の新卒採用市場では、有効求人倍率の高さが続いており、企業は人材確保に苦戦しています。有効求人倍率とは、有効求人数を有効求職者数で割ったもので、1を超えると売り手市場を示します。
有効求人倍率は、2024年は1.25倍となっています(※1)。これは労働人口の減少が背景にあり、特に中小企業は人材獲得競争で大手企業に比べて不利な立場にあります。
有効求人倍率の高さが続く中、限られたリソースの中小企業は、戦略的な採用活動が求められているといえるでしょう。
(※1)参考:日本経済新聞「2024年の求人倍率1.25倍、3年ぶりに低下 失業率は2.5%」
中小企業の約47%が「人材の確保」を最優先課題としている
中小企業庁の調査によると、中小企業の46.6%が最も優先度が高い経営課題として「人材の確保」を挙げています(※2)。
また、中小企業の中核人材・業務人材の過不足状況について、中核人材については74.5%の中小企業が「不足」と回答しており、業務人材については64.8%の中小企業が「不足」と回答しています(※2)。
これらの調査からも、人口減少トレンドが続く中で、人材の確保は避けては通れない経営課題であると言えるでしょう。
(※2)参考:中小企業庁「2024年版『中小企業白書』第1節 人材の確保」
建設業、宿泊業・飲食サービス業で採用難が目立つ
人材の不足状況について業種別に見るみると、「建設業」と「宿泊業、飲食サービス業」では中核人材、業務人材いずれについても約8割の企業が「不足」と回答しています(※2)。
特に建設業は現場仕事が多く、若年層からの人気が集まりにくいという構造的な問題もあります。中小企業にとっては、業界特性に応じたアプローチや採用支援策の活用が求められています。
中小企業が新卒採用に苦戦する理由5選|大企業との違いとは?
新卒採用がうまくいかない背景には、大企業との知名度や資金力の差など、構造的な要因があります。中小企業が直面している、主な課題を確認しましょう。
知名度が不足しているから
中小企業が新卒採用で最も苦戦する理由のひとつが「知名度の低さ」です。企業名や事業内容が学生に知られていないため、求人を出しても目に留まらず、応募すら集まらないことが多くあります。
特に有名企業が数多く並ぶ求人サイト上では、中小企業は埋もれてしまいがちです。その結果、少ない応募者から採用してもミスマッチが起こりやすく、早期離職につながるケースもみられます。
広告出稿や採用サイトなど、母集団形成に向けた露出を工夫する必要があります。
応募数が不足しているから
中小企業は、応募者の母集団形成においても課題を抱えています。少子高齢化の影響で学生の数自体が減少しており、加えて大手企業との人材獲得競争が激化する中で、応募数が十分に集まらないという状況が顕著です。
また、求人情報の発信力が弱く、メディアの選定が適切ではないために、学生に届いていないケースも少なくありません。学生が日常的に利用するSNSなどを活用し、興味を持たれる発信方法を模索することが求められます。
条件面が不足しているから
中小企業は給与や福利厚生、教育制度など、入社後の待遇面で大手企業に見劣りする場合が多くあります。特に複数の内定を得た学生は、こうした条件を比較し、最終的に中小企業の内定を辞退する傾向にあります。
さらに「柔軟な働き方」や「キャリアアップの可能性」など、非金銭的な条件についても差別化できていない企業が多いのが実情です。学生に魅力的に映るよう、自社の特徴や成長環境を明確に伝える工夫が必要です。
採用費用・ノウハウ・リソースが不足しているから
中小企業では採用にかけられる費用や人員が限られており、専任の採用担当者がいないことも珍しくありません。多くの担当者が他業務と兼任しているため、採用活動に十分な時間と労力を割けないのが現状です。
さらに、最新の採用手法や応募者対応のノウハウが蓄積されにくく、応募者とのミスマッチや辞退の原因にもなります。リソース不足を補うためには、外部セミナーへの参加や採用ツールの活用など、効率的な仕組みづくりが欠かせません。
内定辞退、早期離職が多いから
ようやく内定を出しても、入社前に辞退されたり、早期離職につながったりすることが中小企業では多くみられます。その背景には、内定後のフォロー体制の不足や、学生との継続的なコミュニケーションが取れていないことがあります。
特に最近では、他社の選考を継続しながら内定を保留する学生も多く、連絡が途絶えたまま辞退に至るケースもあります。内定後は面談や懇親会を通じて定期的に接点をもち、信頼関係を築いていくことが重要です。
新卒採用を成功させるために中小企業が対策すべきこと
採用の壁を乗り越えるには、現状に応じた具体的な対策が必要です。ここでは応募数や内定辞退など、それぞれの課題に対する打ち手を紹介します。
知名度・応募数への対策
中小企業が大手企業と同等の知名度を短期間で得るのは困難です。そのため、従来の求人手法だけに頼らず、ターゲット層を見直し、新たな採用チャネルを模索する必要があります。
例えば、リファラル採用の導入や採用ホームページ・求人媒体の見直し、SNSの活用など、多角的な情報発信を行うことで、応募者との接点を増やすことができます。応募者に届く導線を丁寧に整えることが、母集団形成を成功させる鍵です。
条件面への対策
給与や福利厚生など条件面で大手に劣る中小企業は、自社の魅力を戦略的に伝える必要があります。応募者が入社後の成長やキャリアを具体的に想像できるよう、先輩社員の紹介などでロールモデルを提示することが有効です。
また、選考過程でのコミュニケーションを増やし、信頼関係を築くことも大切です。担当者との対話を通じて企業の人間味が伝われば、応募者の志望度向上につながります。カジュアル面談などの工夫も効果的です。
採用費用・ノウハウ・リソースへの対策
自社内で採用ノウハウを蓄積する余裕がない場合、外部リソースの活用が現実的な選択肢です。ダイレクトリクルーティングや採用代行サービスを活用すれば、コストを抑えつつも戦略的な採用が可能です。
また、採用広報の外注によって、採用サイトやSNSを迅速に整備できます。重要なのは、外部に任せきりにせず、自社の情報や思いを正確に伝え、継続的な発信を怠らないことです。
内定辞退、早期退職への対策
内定辞退や早期離職を防ぐには、選考後のフォロー体制を強化することが不可欠です。学生との接点が切れてしまうと、企業への不安や迷いが生まれやすくなります。
具体的には、定期的な面談や懇親会を設け、入社後のイメージを具体化してもらうことが重要です。また、内定者同士や社員との交流機会を用意することで、企業との距離を縮める効果が期待できます。
人間関係の形成を重視し、安心感を与えることが定着率向上につながります。
【6STEP】中小企業の新卒採用戦略の立て方
成果につながる採用には、事前の戦略設計が欠かせません。採用の目的から実行・検証まで、戦略立案の基本ステップを順を追って解説します。
1. 採用活動の目的を決める
採用活動を始める上で最初に行うべきは、「なぜ採用を行うのか」「どのような人が必要なのか」を明確にすることです。単なる人員補充ではなく、経営課題に対する解決策として採用を位置づけることが重要です。
例えば「新規事業を牽(けん)引する若手リーダーが不足している」といった課題があれば、それに対応する人物像を具体的に設計します。あわせて、「半年以内に◯名採用」など、いつまでに・誰を・何名採用するかのゴールを数値で設定することもポイントです。
この段階を曖昧にしたままで進めると、早期離職やミスマッチの原因になりかねないことを覚えておきましょう。
2. 採用ターゲットを明確にする
採用戦略を成功させるには、「どんな人に来てほしいか」を具体的に定めることが不可欠です。学歴やスキルだけでなく、価値観・思考傾向・カルチャーへの適応性など、深いレベルでの要件設計が求められます。
具体的には、まず社内で活躍している社員を棚卸しし、共通する行動特性や価値観を言語化しましょう。これにより、自社らしさにフィットする人物像=採用ペルソナを構築できます。
この設計を面接官や現場とも共有することで、採用体験に一貫性が生まれ、候補者から「自分を理解してくれている」と感じてもらえる採用につながります。
3. 自社の強み・魅力を洗い出す
求職者に選ばれる企業になるには、まず自社の強みや魅力を正しく把握することが重要です。自社で働く価値や他社にはない特徴を洗い出すことで、採用活動全体の訴求力が高まります。
そのためには、事業内容や働き方、社風、成長機会などを多角的に見直し、整理する必要があります。また、強みは自社内だけで考えず、現場の声を取り入れてリアルな魅力を掘り起こすことが鍵です。
従業員に自社の魅力をリサーチする
自社の魅力を客観的に把握するには、現場で働く従業員へのヒアリングが欠かせません。社員アンケートや1on1面談を通じて、価値観・判断基準・行動特性を聞き取ることで、現場に根づいたリアルな魅力が見えてきます。
とくに「どんなときにやりがいを感じたか」「入社前後で印象が変わった点」などの質問は有効です。得られた情報をもとに、曖昧な印象ではなく行動ベースで魅力を言語化することで、求職者にとって共感しやすい訴求が可能です。
4. 採用戦略を策定する
採用の目的やターゲット、現状の課題を整理したら、「誰を・どの手法で・いつ・どのくらい採用するか」という戦略設計に移ります。重要なのは、どのチャネルで・どう動機づけていくかを設計することです。
チャネル選定では、目的とコストのバランスを軸にしながら、複数の手法を戦略的に組み合わせると効果的です。必要に応じて外部パートナーを活用することで、社内の限られたリソースでも実行可能な戦略を構築できます。
採用支援ツールを活用する
限られたリソースで効果的な採用戦略を実行するには、採用支援ツールの活用が欠かせません。例えば、ダイレクトリクルーティング(DR)ツールを使えば、自社にマッチした候補者に対し、スカウトメールで直接アプローチすることが可能です。
また、採用管理システム(ATS)やタレントプール、LINEや動画などのツールを組み合わせることで、候補者との接点強化や歩留まりの改善が期待できます。
目的に応じてツールを戦略的に選定し、負担を減らしながら成果を高めることがポイントです。
5. 採用戦略を実行する
採用戦略の実行にあたっては、年間スケジュールと選考プロセスを明確に設計することが重要です。例えば、最終的に5名採用したい場合、各フェーズの通過率を逆算し、必要なエントリー数や面接回数を具体的に算出します。
さらに、スケジュールには候補者の心理を踏まえた工夫も組み込む必要があります。企業間で比較するタイミングや接点をもつ間隔など、候補者の心理をスケジュールに反映させましょう。
具体的には、面接の間隔は1週間以内に設定し、テンポよく進めることで辞退防止につながりやすいでしょう。戦略を運用できる形に落とし込むことが実行の鍵です。
6. 採用活動を分析・検証する
採用活動は実行して終わりではなく、振り返りと改善まで含めて初めて成果につながります。各フェーズの歩留まりやチャネル別の効果、内定辞退率などの定量データをもとに、ボトルネックを明確化しましょう。
加えて、候補者アンケートや辞退理由のヒアリングなど、体験ベースの定性分析も欠かせません。数値と実感の両面から検証することで、次回の採用に生かせる改善点が見えてきます。属人化を防ぐためにも、ナレッジの仕組み化・共有体制の整備が重要です。
【9選】中小企業の新卒採用戦略
限られたリソースでも成果を上げる中小企業は、さまざまな手法を柔軟に取り入れています。実践的かつ効果的な9つの採用戦略を紹介します。
自社ホームページの強化
求職者の約8割が応募前に企業のホームページを確認するといわれており、採用における自社サイトの充実は欠かせません。
特に、社員インタビューや座談会、写真・動画による職場紹介などは、働くイメージを明確に伝える要素となります。
また、待遇や募集要項を数字で具体的に示すことで、安心感や信頼につながります。どの媒体経由で知った応募者であっても、最終的にホームページを確認するため、情報の鮮度と魅力を保つことが重要です。
求人媒体の活用
求人媒体の選定は、採用ターゲットに合わせた戦略的な判断が求められます。例えば、新卒採用では「ワンキャリア」や「マイナビ」、「リクナビ」、経験者採用では「Indeed」や「type」など、利用層に合わせた媒体選択が効果的です。
また、新卒採用に特化した「ワンキャリア」では、クチコミ・就活データを活用し、媒体選びから掲載・スカウト・採用計画までを一括でサポートしています。
掲載料金と想定応募数のバランス、さらに媒体ごとの運用サポート体制も確認すべきポイントです。媒体任せではなく、自社の採用目的に合ったメディアを活用し、掲載内容の質にもこだわりましょう。
人材紹介サービスの利用
即戦力人材の確保や管理職採用など、確実な人材を採用したい場合には人材紹介サービスの活用が効果的です。
多くの人材紹介サービスは成功報酬型であるため、採用が成立するまでコストが発生せず、予算面でも柔軟に対応できます。
人材紹介はピンポイントで欲しい人材を獲得することが目的だからこそ、紹介会社と密な連携を行い、自社の求める人物像を丁寧に伝えることが成功のポイントです。
SNSを活用した採用活動
SNSは、企業の魅力を日常的に発信できる有効な採用チャネルです。InstagramやLinkedInを活用すれば、職場の雰囲気や社員の活躍などを視覚的に伝えることができます。
特に若年層に向けた採用では、エンゲージメントの高い時間帯に投稿する、ハッシュタグを戦略的に設定するなど、SNSならではの運用スキルが問われます。投稿の一貫性やトーンを整えることで、企業イメージの構築にもつながります。
インターンシップの実施
インターンシップは、学生に自社の仕事や社風を実際に体験してもらえる貴重な機会です。特に中小企業では、実務に近い経験を提供できることが魅力となります。
例えば、実際のプロジェクトに参加してもらったり、経営者との対話の場を設けたりすることで、企業への理解が一層深まります。1〜2週間程度のインターンでは、学生との信頼関係も構築しやすく、選考へのスムーズな移行が期待できます。
採用イベントへの参加
合同企業説明会やキャリアフェアなどの採用イベントは、求職者と直接会って魅力を伝えられる絶好の機会です。中小企業の場合、ブランド力ではなく「人」や「雰囲気」で魅了できる点が強みです。
ブース装飾を工夫したり、説明担当者を事前にトレーニングしたりすることで印象を高めましょう。また、配布資料にも力を入れ、企業の魅力や実績をわかりやすく伝えることが採用成功の鍵です。
採用ブランディングの強化
採用ブランディングとは、企業の魅力を一貫性のあるストーリーで伝えるための仕組みづくりです。
例えば「地域に根差した技術力で世界に挑む」などのメッセージを軸に、求人票・SNS・説明会資料などを統一することで、求職者に強い印象を残せます。
まずは自社の独自価値を言語化し、ターゲットに響く表現に落とし込むことが重要です。長期的に自社ファンを増やすための基盤としても機能します。
採用活動におけるITツールの活用
採用活動の効率化と質の向上を図るには、ITツールの導入が効果的です。
例えば、応募者管理システム(ATS)を使えば、選考状況の可視化や応募者との連絡がスムーズになり、業務負担の軽減につながります。また、ウェブ面接ツールを活用すれば、遠方の候補者とも接点を持ちやすくなり、採用の幅が広がります。
導入にあたっては、自社の採用フローに合ったツールを見極め、使いやすさやサポート体制も含めて比較検討することが重要です。
リファラル採用の導入
リファラル採用とは、社員からの紹介を通じて候補者を採用する手法で、ミスマッチが起こりにくく、定着率も高いのが特徴です。
実際に、リファラル経由の採用では入社1年以内の離職率が通常の半分以下というデータもあります。
成功させるためには、紹介インセンティブの設定や制度の社内周知が不可欠です。また、紹介者・被紹介者の双方に対する丁寧なフォロー体制を整えることで、制度が形骸化せず継続的に活用されやすくなります。
【4選】中小企業における新卒採用の成功事例
採用に成功している中小企業は、工夫と行動で成果をつかんでいます。実際の企業の取り組み事例から、明日から使えるヒントを見つけましょう。
株式会社FUSION
株式会社FUSIONは、従業員数50名以上のインターネット広告事業を展開する企業です。同社は「ワンキャリア」を活用して、新卒採用における大幅な効率化を実現しました。
導入前の課題として、応募者管理の工数が膨大になっていたことが挙げられます。学生へのメール返信に多くの時間と労力が取られ、採用担当者の業務がひっ迫していました。また、面接官を務めていた現場社員の評価入力など、作業負担が大きな問題となっていました。
しかし、ワンキャリア導入後は、応募した学生の情報が自動でATS(採用管理システム)に登録されるなど、業務効率が劇的に改善されました。
結果として、初年度の2023年卒だけで約500名の応募を獲得でき、倍増した応募者数に対して、以前と同じ工数で応募者管理ができ、実質的に業務効率が50%向上しました(※3)。業務を効率化したことで生み出された時間を有効活用し、学生との接点の維持・強化など採用担当者の本来業務により注力できるようになりました。
(※3)参考:ワンキャリア「ワンキャリアを活用し、新卒採用3期目でエントリー数が500名から1,000名へ倍増! 応募者管理の工数を、採用管理システム(ATS)で1/2に削減」
中小企業の新卒採用を成功させるならワンキャリア!
株式会社FUSIONの事例からも分かるように、ワンキャリアは中小企業の新卒採用課題を解決する強力なツールです。IT、商社、金融、インフラ、小売・サービスなど幅広い業界で5,000社以上との取引実績があり、中小企業の採用ニーズに対応できる豊富なノウハウを蓄積しています。
特に注目すべきは、従来の採用プロセスで発生していた膨大な事務作業を自動化できる点です。例えば、学生のクチコミをもとにした企業分析機能により、自社の魅力を客観的に把握し、効果的な採用戦略を立案できます。面接を含む学生のクチコミを蓄積していくことで、個々の学生の解像度がグレードアップし、より精度の高い人材選考が可能です。
加えて、メールの一括送信や面接通知の自動化機能なども充実しています。これまで学生の認知や応募が少なかった中小企業でも、より効率的に、より幅広い層の学生を獲得できるでしょう。さらに、学生の志向性や行動データをもとにピンポイントでアプローチできる「スカウト機能」も備えており、企業側から能動的にマッチ度の高い学生へアプローチできます。スカウト機能があれば、単なる母集団形成だけではなく、質の高い接点づくりも可能になるでしょう。
中小企業の新卒採用を成功させるためにも、ぜひワンキャリアを活用してみてください。
株式会社doors
岩手県に拠点を置く株式会社doorsは、インフラ補修や建設事業を展開しながら、地域と一体となった活動を通じて企業ブランディングを強化しています(※4)。
自社ビルを地域コミュニティの場として開放したり、社員一人一人の「やってみたい」を応援したりする社風づくりを推進しています。また、経営陣が日常的に社員と対話し、個性や得意分野を生かせる環境を整えています。
こうした取り組みが地域に浸透し、意欲ある若手人材の採用に成功しました。一部事業では採用人数が1.5倍に増加する成果を上げています(※4)。
(※4)参考:厚生労働省「地域で活躍する中小企業の採用と定着 成功事例集」
新光重機株式会社
新光重機株式会社は、千葉県内に11営業所を展開する建設機械レンタル企業です。若手層の採用に苦戦していた同社は、「建機レンタル業界=古臭い」というイメージの払拭(ふっしょく)を課題と捉え、採用活動を刷新しました。
説明会のブース装飾やパンフレットのデザインを若者向けに変更し、SNSでの採用広報に注力しました。特にX(旧Twitter)では6万人を超えるフォロワーを獲得し、情報発信の強化が功を奏しました(※5)。その結果、次年度の採用も順調に進んでいます。
(※5)参考:新光重機「新着情報」
株式会社ヒーロープロデューサー
認可外保育所「ヒーロー幼児園」を運営する株式会社ヒーロープロデューサーは、かつて社長一人で採用活動を担っていましたが、業務の属人化に限界を感じ、採用代行サービスを導入しました。
導入後は、媒体選定の提案やスカウトメールの改善、自社の魅力に関する客観的なアドバイスを受けられるようになり、採用活動が大きく改善したといいます(※6)。
結果的に4名の採用に成功しています。外部の専門知見を活用することで、限られたリソースでも成果を上げた好例といえます(※6)。
(※6)参考:即戦力PRO「【株式会社ヒーロープロデューサー様】元採用コンサルタントが継続の価値を感じた『納得のいく採用支援』とは?」
中小企業の新卒採用を成功させるためのポイント
採用活動を成功に導くには、知名度向上から内定者フォローまで一連の流れを最適化する必要があります。中小企業が意識すべきポイントを整理します。
知名度を高める工夫をする
中小企業が新卒採用を成功させるには、まずは「知ってもらうこと」が第一歩です。拡散性の高いSNSを活用することで、求職者に企業の存在や魅力を効果的に伝えることができます。
InstagramやYouTubeでの職場紹介、社員インタビューの発信は、企業のリアルな雰囲気を伝える手段として有効です。また、採用ブランディングを意識し、自社ならではの文化や価値観に共感してもらえる情報発信を行うことが重要です。
母集団の数を競うのではなく、自社に合った人材からの応募を集めることを目指しましょう。
積極的に求職者に対してアプローチする
中小企業にとって待ちの採用ではなく、攻めの姿勢が求められます。学生の関心を引き寄せるためには、自社から積極的にアプローチすることが重要です。
採用広報の一環として、インターンシップの開催や合同説明会への参加、SNSでの情報発信を継続的に行い、接点を増やしましょう。また、ダイレクトリクルーティングやスカウトメールの活用により、求める人材へ個別にアプローチする方法も有効です。
採用チャネルを複数持ち、ターゲットに合わせた適切なアクションを取ることで、母集団の質と量を高めることができます。
採用担当者を育成する
採用の成否は、担当者のスキルや知識に大きく左右されます。中小企業では他業務との兼任が多くなりがちですが、それでも採用担当者の育成は欠かせません。
まずは、面接の基本的なスキルや質問技法、応募者評価の基準を明確にし、トレーニングを実施しましょう。また、採用市場や学生の傾向について常に情報収集し、戦略的な判断ができる力も養う必要があります。
さらに、候補者との信頼関係を築くためのコミュニケーション能力も重要です。採用力の底上げは、継続的な育成と仕組みづくりがポイントです。
面接の質を高める
面接は応募者との大切な接点であり、企業の印象を大きく左右します。中小企業では特に、限られた機会で自社の魅力をしっかり伝え、応募者の適性を見極めることが求められます。
そのためには、面接の目的を明確にし、質問項目や評価基準を統一した「構造化面接」を導入することがポイントです。また、面接官へのトレーニングを行い、フィードバックの質や対応力を高めることも重要です。
さらに、応募者の緊張を和らげ、リラックスした雰囲気を作ることで、より本音に近い情報を引き出すことができます。面接の質を高めることは、採用の精度向上とミスマッチの防止につながります。
内定者フォローを徹底する
内定を出した後も、入社までのフォローは欠かせません。特に新卒採用では、内定から入社までの期間が長く、その間に内定辞退が発生するリスクも高まります。
中小企業の場合、大手と比べて内定者一人一人に丁寧なフォローができるという強みがあります。例えば、定期的なカジュアル面談や社員との交流、社内イベントへの招待などを通じて、内定者との信頼関係を築いていくことが重要です。
こうした継続的なコミュニケーションは、安心感と帰属意識を育み、入社意欲の維持にもつながります。結果として、内定辞退の防止だけでなく、入社後の早期離職の防止や活躍の促進にも効果を発揮します。
採用活動の振り返りと改善を行う
採用活動の効果を高めるには、計画的な振り返りと改善のプロセスが不可欠です。例えば、応募者数の推移、内定承諾率、入社後の定着率、採用コストなどの指標を用いて、活動全体を定量的に評価します。
特に中小企業ではリソースが限られるため、成果につながった取り組みとそうでないものを明確に区別し、翌年以降の改善に生かすことが重要です。振り返りは担当者間の共有だけでなく、経営層とも情報を共有することで、企業全体での採用力向上にもつながります。
また、評価結果をもとに、採用チャネルの見直しや面接手法の改善、広報の方向性の修正など、具体的なアクションに落とし込んでいくことが効果的です。
補助金を活用する
中小企業が新卒採用を成功させるためには、補助金や助成金を活用することも有効な手段です。
例えば、中小企業退職金共済(中退共)制度では、企業が拠出する掛金に対して国からの助成が受けられ、福利厚生の充実をアピールできます。また、育児休業支援や出生時両立支援など、従業員のライフイベントをサポートする制度を導入すれば、働きやすい職場としての印象が高まり、採用力の強化にもつながります。
さらに、働き方改革推進支援助成金を活用してテレワーク環境を整備するなど、時代に合った取り組みを支援する制度もあります。補助金情報は厚生労働省や中小企業庁のサイトで定期的に確認し、自社に合った制度を賢く活用しましょう。
おわりに
いかがでしょうか。
中小企業の新卒採用は確かに困難な課題ですが、今回ご紹介した成功事例が示すように、適切な戦略と継続的な取り組みによって必ず成果を出すことができます。
重要なことは、自社の規模や業界特性を理解した上で、限られたリソースを効果的に活用することです。知名度向上、積極的なアプローチ、採用担当者の育成、面接の質向上、内定者フォローの徹底など、本記事で解説したポイントを段階的に実践していくことで、優秀な人材との出会いを創出できるでしょう。
また、採用活動は一度きりのものではありません。毎年の振り返りと改善を重ねることで、自社独自の採用力を構築していくことが可能です。補助金の活用も含め、さまざまな支援制度を上手に活用しながら、持続的な採用体制を築いていきましょう。

