目次
「スタートアップ・ベンチャーの採用戦略が分からない」と悩んでいる採用担当者必見!
本記事では、スタートアップの採用戦略や採用が難しい理由について解説します。また、スタートアップの採用を成功させるポイントや実際の成功事例も併せて併せてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
スタートアップ・ベンチャーの採用は難しい? その理由を解説!
スタートアップは魅力的な挑戦の場である一方、大企業に比べ採用が難しい現実があります。ここでは、採用が難しい理由について解説します。
大企業と比べ、認知度や待遇が劣っていることが多いから
転職を考える人材が候補に挙げるのは、大手企業やメガベンチャー、外資系といった知名度が高く待遇が整った組織が中心です。その中でスタートアップは、給与水準や福利厚生、安定感、ブランド力などが見劣りすることが多く、選ばれる確率は低くなりがちです。
さらに、仮に業界内で注目度が上がったとしても、その知名度は「スタートアップに興味がある人材のコミュニティ」に限られるケースが少なくありません。転職市場全体で広く知られている企業とは違い、優秀な人材に届きにくいという現実があります。
このように、待遇や環境が整った大規模企業に優秀層が流れてしまう点が、スタートアップ採用を難しくする要因のひとつです。
採用に充てるリソースやコストが限られるから
スタートアップは事業立ち上げや成長投資に資金を集中させるため、採用に回せる予算が限られがちです。専任の採用チームを設ける余裕も少なく、数名の人事担当者や経営者が兼務で対応することも多いでしょう。
その結果、大手や中堅企業のように、インターンシップや合同説明会といった幅広い採用活動を展開することは難しくなります。加えて、人員不足により採用活動のスピードも落ちやすく、母集団形成や候補者対応に十分な工数を割けないことも課題となります。
こうしたリソース・コストの制約が、採用競争をさらに不利にしているといえるでしょう。
即戦力人材の獲得競争が激しいから
スタートアップは人材育成に長い時間や大きなコストを投じる余裕が乏しいため、入社後すぐに戦力となる人材を求める傾向があります。
しかし、同じ即戦力人材は待遇や安定性に優れる大手企業からも引く手あまたであり、採用市場では激しい争奪戦が繰り広げられています。
スタートアップ側が提示できる条件やブランド力が大企業に比べて見劣りし、採用に苦戦しやすい傾向があります。このため「即戦力が必要だが確保しにくい」というジレンマが生じやすく、採用活動全体の難易度を一層高めています。
スタートアップ・ベンチャーこそ採用戦略が重要な理由
成長スピードが早いスタートアップほど、人材採用が事業の成否を左右します。ここでは、なぜ採用戦略が重要なのかについて解説します。
優秀な人材の獲得は高難易度であるため
スタートアップは既存市場に新しい価値を提供する存在であり、革新的なアイデアを形にするためには、専門性と柔軟性を兼ね備えた人材が不可欠です。しかし、優秀な人材はどの業界でも需要が高く、他社との激しい争奪戦にさらされています。
特にテック系のスタートアップでは、高度なスキルを持つエンジニアやデザイナーが必須ですが、彼らは待遇や安定性に優れた大手企業からもオファーを受けやすいのが現実です。
そのため、採用戦略を持たずに場当たり的に動いていては、魅力ある候補者を競合に奪われるリスクが高まります。計画的かつ差別化された戦略を立てることで、スタートアップならではの挑戦や成長機会を打ち出し、優秀層を惹きつけることが可能になります。
限られたリソースで成果を最大化するため
スタートアップは資金・人材・時間のいずれも潤沢ではなく、一度の採用ミスが大きな事業リスクにつながります。そのため、採用活動を効率的に進めるための戦略が欠かせません。
具体的には、まずポジションごとに必要なスキルや役割を明確化し、採用要件を定義することが重要です。その上で、リファラル採用やダイレクトリクルーティング、エージェント利用など、候補者像に応じたチャネルを選択する必要があります。
さらに、採用フローを標準化することで、公平かつ迅速な意思決定が可能となり、限られたリソースでも成果を最大化できます。計画性を持った戦略的な取り組みこそ、スタートアップが採用で失敗を避け、持続的に成長していくための基盤となります。
採用を通した企業ブランディングを行うため
採用活動は単なる人材確保の手段にとどまらず、企業そのもののブランドづくりに直結します。特に知名度が低いスタートアップにとっては、「働きたい会社」としての魅力をどのように伝えるかが採用成功の鍵です。
SNSや採用オウンドメディアを活用して社員の声や日常を発信すれば、候補者だけでなく、顧客や投資家にも企業の価値観や魅力を示すことができます。また、透明性の高い採用プロセスを構築することは、信頼感を醸成し、企業イメージを強化する大きな要素です。
採用を通じて積極的にブランディングを行うことで、採用市場での競争力を高めると同時に、企業全体の評価向上にもつながります。
スタートアップ・ベンチャーの採用戦略が不十分なときに起こる失敗
採用戦略が弱いと、人材のミスマッチやコスト増大など大きなリスクが生じます。ここでは、不十分な戦略によって起こり得る失敗について解説します。
企業の社風・価値観とのミスマッチによる人材の早期離職
採用戦略が不十分だと、自社のビジョンやカルチャーに合わない人材を採用してしまうリスクが高まります。このようなミスマッチは、入社後に仕事への意欲が続かず、早期離職につながることが少なくありません。
結果として、採用や研修に投じたコストが無駄になり、組織全体の効率も低下します。さらに、退職者が出ると残されたチームの士気が下がり、他の社員のモチベーションやパフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。
スタートアップにとって一人ひとりの役割が大きい分、ミスマッチ人材の採用は企業の成長に直結する重大な損失となります。
人材不足による事業成長の停滞
計画的な採用戦略を欠いた場合、必要な時期に必要な人材を確保できず、事業の成長スピードが鈍化してしまいます。特に急成長を前提とするスタートアップでは、採用のタイミングを逃すことが致命的な遅れにつながります。
人材が不足すれば、プロジェクトの進行が遅れ、リソース不足によって目標達成が困難になるケースも少なくありません。その結果、製品やサービスの開発が後ろ倒しになり、競合他社に顧客を奪われるリスクが高まります。
限られたチャンスを逃さないためにも、成長計画と連動した採用戦略が不可欠です。
採用コストの増大
採用戦略が曖昧なまま進めると、適切なチャネルを選べずに広告費や紹介料が膨らみ、コスト効率が大きく低下します。さらに、マッチしない人材を採用しては退職が繰り返され、採用のやり直しに時間と費用を余計に投じる悪循環に陥ることもあります。
本来なら事業拡大やプロダクト開発に活用すべき貴重な資金が、人材確保の失敗で消耗されるのはスタートアップにとって大きな痛手です。特に初期段階の企業では資金繰りの余裕が少なく、採用コストの増大は運転資金を圧迫し、経営全体に影響を及ぼしかねません。
スタートアップ・ベンチャーの採用手法|ステップごとに解説
採用活動には目的設定から広報、母集団形成、面接まで多くのプロセスがあります。ここでは、ステップごとに採用手法を解説します。
ステップ1. 採用戦略段階
採用活動を進める前に欠かせないのが、全体の軸となる採用戦略の設計です。
スタートアップでは限られた人材で大企業と競う必要があるため、ターゲット像の明確化から訴求ポイント、広報方針や予算設計、採用チャネルの選定、ツール導入、体制づくりまでを一貫して整理しておくことが重要です。
採用の目的を明確にする
採用活動に取り組む際、まず確認すべきは「なぜ今、人材が必要なのか」という目的の整理です。事業のどの局面に人を加えるのか、成長戦略の中でどの役割を補強したいのかを明確にすることで、以降の採用戦略全体がぶれなくなります。
スタートアップの場合、限られた人員で複数の役割を担うことも多いため、単なる人数確保ではなく「どのポジションを補うことで事業が前進するか」を具体化することが重要です。
目的を曖昧にしたまま採用を進めてしまうと、入社後に期待と現実がずれてしまい、早期離職やモチベーション低下につながるリスクも高まります。そのため、まずは採用目的を丁寧に言語化し、採用戦略の出発点とすることが不可欠です。
採用ターゲットを明確にする
目的を定めたら、求める人材像をできるだけ具体的に描き出します。スタートアップは少人数で市場に挑むため、採用する人材の質が成果を大きく左右します。
そのため「最低限これができればいい」という発想ではなく、理想を前提にターゲットを設定しましょう。参考情報でも強調されているように、この段階では「うちには採用できないかもしれない」という制約を外し、挑戦的な人物像を描くことが推奨されます。
例えば「自走できるエンジニア」「成長フェーズに適応できるデザイナー」といった具体的な人物像を設定し、ペルソナとして整理しておくと効果的です。この作業を怠ると、採用活動が場当たり的になり、結果的にミスマッチ人材を採用してしまうリスクが高まります。
自社の特徴を分析する
次に、候補者に対して訴求できる自社の魅力を整理します。スタートアップは大企業のように待遇やブランド力で勝負できないことも多いため、他社にない強みを見極めて伝える準備が欠かせません。事前に自社の強みと弱みを洗い出し、どの点が候補者の関心を引きやすいかを把握しておくことが重要です。
例えば「新しい市場に挑戦できる」「意思決定のスピードが速い」「経営層と近い距離で働ける」といった特徴は、成長意欲のある人材にとって大きな魅力になります。逆に課題面も把握しておけば、候補者との面談や広報時に誠実に伝えられ、信頼感を高めることにもつながります。強みと弱みを客観的に分析し、採用活動で一貫したメッセージを打ち出すことが大切です。
採用広報の方向性を検討する
ターゲット像と訴求ポイントが固まったら、採用広報の方向性を設計します。具体的には「どんなメッセージを一貫して届けるか」「媒体ごとにどんなクリエイティブを展開するか」といった方針を決め、採用に関わるメンバー間で共通認識を持つことが必要です。
例えば、訴求ポイントを基に「挑戦できる環境」「裁量の大きさ」といったタグラインを作り、SNSや採用サイト、イベント資料に反映させます。また、各コンテンツで伝えるべき情報を統一しておくことで、候補者がどのチャネルを見ても一貫した企業イメージを受け取れるようになります。
こうした準備を怠ると、広報の内容がバラバラになり、せっかくの魅力が十分に伝わらない恐れがあります。
チャネルを設計する
採用予算を前提に、どのチャネルを利用するかを決定します。従来型の求人広告や人材紹介会社に加え、現在はダイレクトリクルーティングやリファラル採用など多様な手法が存在します。
スタートアップは知名度や資金力で大企業に劣る部分があるため、型にとらわれず、複数のチャネルを組み合わせることが効果的です。例えば、限られた予算の中でもSNSを活用すれば低コストで多くの候補者にリーチできる上、社員の紹介を通じたリファラル採用は、カルチャーフィットの高い人材を獲得しやすい手段となります。
このようにチャネル設計は単なる媒体選びにとどまらず、「予算に応じてどう候補者に接触するか」を戦略的に整理することが大切です。
採用管理ツール(ATS)の導入を検討する
採用活動を効率化するには、採用管理ツール(ATS)の導入が有効です。ATSを使うことで、候補者情報の一元管理や進捗の可視化が可能となり、工数削減とスピーディーな選考が実現できます。
有料の本格的なサービスだけでなく、一部には無料で利用できるツールも存在するため、企業の規模や予算に応じて導入を検討すべきです。さらに、レポート機能を活用すれば応募経路ごとの効果測定や選考フローの振り返りが容易になり、次回以降の採用改善にも役立ちます。
短期的な費用負担はあるものの、長期的にはコスト削減と採用の質向上に直結するため、早期導入を検討する価値があります。
採用体制を確立する
最後に、採用を円滑に進めるための体制づくりを行います。ここでは、選考フローごとに誰が意思決定を行うのかを明確化し、役割分担をルール化しておくことが重要です。ワークフローを整備せずに採用を始めると、書類選考の返答が遅れたり、面接後の結果通知が滞ったりして、候補者に不信感を与えるリスクがあります。
特にスタートアップは採用力そのものがブランドに直結するため、体制の不備は企業の評価を下げかねません。あらかじめ意思決定者と判断基準を定め、選考に関わる全員が迅速に動ける仕組みを構築することで、採用活動の成功率を高めることができます。
ステップ2. 採用広報
採用戦略を立てた後は、実際に候補者と接点をつくる採用広報の段階に進みます。ここでは、SNSや自社サイト、オウンドメディアを通じて認知を拡大し、応募を後押しする取り組みが求められます。
優秀な人材とのタッチポイントを増やし、自社の魅力を効果的に伝えるために欠かせないプロセスです。
SNSの運用
スタートアップが効率的に候補者と接点を持つ手段として、SNSの活用は非常に重要です。企業アカウントだけでなく、経営陣や採用担当者自身が積極的に情報発信を行うことで、候補者に「顔が見える」安心感を与えられます。
特にXは、無料で利用できる上に幅広い層へリーチでき、認知から応募獲得までつなげられる点で有効な媒体です。近年では、スタートアップの採用チャネルとして定番化しつつあり、採用広報の柱と位置づけられます。SNSを使った発信はコストがかからないため、リソースが限られるスタートアップにとっても優先度の高い施策となります。
自社ホームページ
採用広報において、自社ホームページの整備は必須です。採用ピッチ資料や会社紹介ページをはじめとしたコンテンツを、あらかじめ定めた広報戦略に沿って整理・作成していきます。
Slideshareなどを活用してピッチ資料を公開することも有効で、最近は多くの企業が高品質な採用資料を積極的に発信しています。これらのコンテンツは母集団形成に役立つだけでなく、候補者とのやり取りの中でリンクを共有するだけでも応募意欲の向上に貢献します。
採用ピッチ資料の制作には工数がかかりますが、可能な限り準備しておくと候補者の理解を深める武器になります。
採用オウンドメディア
自社サイト以外にも、Wantedlyやnoteといった外部プラットフォームを活用した情報発信が効果的です。Wantedlyは「企業名+採用関連の検索」で上位表示されやすく、応募を検討中の候補者にポジティブな情報を提供できる定番の媒体です。
また、noteを利用する企業や経営者も増えており、SNSでの発信力がある場合は相性が良いケースもあります。これらの媒体に限らず、外部サービスを通じて情報を発信し、候補者との接点を広げることが重要です。
SNSと組み合わせて活用すれば、広報効果を最大化し、スタートアップの存在感を高めることにつながります。
ステップ3. 母集団形成
採用戦略や広報を整えたら、実際に候補者の母集団をつくる段階に進みます。ここでは、媒体やエージェントを通じて自社に興味を持ってもらう仕組みを整えることが重要です。
求人タイトルやサムネイル、求人内容、スカウト文言といったコンテンツは、定量データと定性データをもとにPDCAを回し続けることで成果が高まります。
ダイレクトリクルーティング
スタートアップやベンチャーの母集団形成においては、ダイレクトリクルーティングも有効です。
「ダイレクトリクルーティング」とは、企業が自ら候補者を探し、直接アプローチをかける採用手法のことです。ダイレクトリクルーティングは、企業の採用担当者や現場の社員が直接、求めるスキルや経験を持つ人材にメッセージを送信します。
この手法の大きなメリットは、企業が採用したい人物像を明確に定義し、それに合致する人材にピンポイントでアプローチできる点です。これにより、応募を待つだけでなく、積極的に採用候補者を発掘し、潜在的な転職希望者や、現時点では転職を考えていない優秀な人材にもアプローチできる可能性が広がります。つまり、母集団形成の主導権を自社で握ることが可能になるということです。
先述の通り、スタートアップは大企業と比較して、採用に充てるリソースやコストが限られている傾向にあります。だからこそ、ダイレクトリクルーティングで自社が求める人材に主体的にアプローチすることで、限られたリソースでも最適な母集団を形成できるでしょう。
リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員から人材を紹介してもらう方法で、スタートアップに特に適した手法のひとつです。エージェント利用などに比べてコストを大幅に抑えられる上、既存社員とのつながりを通じて候補者を獲得するため、カルチャーフィットの面でミスマッチを減らせる効果があります。
ただし、社員が「どんな人材が必要か」を理解していなければ、紹介の精度が下がってしまいます。そのため、リファラル制度を導入する際には、採用ターゲットや求めるスキルを社員に共有し、意識をそろえておくことが大切です。制度設計次第で大きな成果が期待できる手法といえるでしょう。
人材紹介
人材紹介エージェントの活用も、スタートアップにとって有効な選択肢です。採用担当者が少ない場合でも、エージェントを利用すれば候補者探索やスクリーニングを外部に任せられるため、工数を大幅に削減できます。
また、スタートアップは待遇面や知名度で大企業に劣る場合が多いため、エージェントに依頼する際は「どのような魅力があるか」「どんな人材を求めているか」を明確に伝えることが重要です。情報が曖昧だと候補者への訴求力が弱まり、紹介数や質に影響します。
エージェントをパートナーとして活用することで、リソース不足を補いながら効率的に母集団形成を進められます。
求人広告
求人広告は、転職サイトなどに掲載して候補者からの応募を募る手法で、スタートアップにとっても定番の採用チャネルです。ただし、単に掲載するだけでは成果は出にくく、工夫が必要です。
まず、求人タイトルやサムネイルといったビジュアル面は、目を引くデザインであることが重要です。次に、求人内容は自社の魅力が端的かつ分かりやすく伝わるように作成する必要があります。
また、利用する媒体のユーザー層が自社の採用ターゲットと合致しているかを確認することも不可欠です。これらを踏まえた上で、データ分析や候補者アンケートを用いてPDCAを回し続ければ、広告効果を最大化できます。
ステップ4. 候補者獲得後
候補者から応募を得た後は、迅速かつ丁寧な対応が欠かせません。選考プロセス全体を通して「見極め」と「訴求」を両立させることで、他社との競争に勝ち抜くことができます。
応募獲得時
応募が入ったら、できる限り即時にレスポンスを返すことが大切です。候補者は複数の企業と同時に接触しているため、返信が遅れると他社に意識が移り、自社への応募熱が下がってしまうリスクがあります。
面接日程の調整においては、候補者任せにせず、企業側から候補日を複数提示することでユーザビリティを高められます。さらに、日時が確定した後は、面接までに参考になる自社のコンテンツを積極的に共有すると効果的です。
例えば、確認メールに「ぜひご覧ください」と自社の採用ページや広報資料のリンクを添えることで、候補者の理解と期待値を高められます。各フェーズで訴求を意識することが、最終的なクロージングの成功につながります。
面接実施時
面接は一方的に候補者を評価する場ではなく、相互理解を深める「お見合いの場」と捉えることが重要です。したがって、候補者の適性を見極めるだけでなく、自社の魅力を丁寧に伝える工夫が求められます。
また、来社から面接終了までの体験が候補者の印象を大きく左右するため、人事や面接官だけでなく、社員全体が好意的な対応を心がけることが大切です。さらに、面接後は担当者ごとの評価にばらつきが出ないよう、フィードバックルールを事前に設けておくと安心です。
候補者に対しては、面接後にヒアリングを行い「他社の進捗」「自社への印象」「志望順位と理由」などを確認しておくと、今後の対応やクロージング戦略に活かせます。
内定時
内定のクロージングでは、これまで積み重ねてきたコミュニケーションの質が結果を左右します。候補者は複数のオファーを比較していることが多いため、最後の段階でいかに自社の魅力を伝えられるかが決め手になります。
特に有効なのは、マネージャーや経営陣が直接候補者と向き合い、共に働く未来像や企業の想いを率直に伝える場を設けることです。形式的な条件提示だけではなく、候補者が「この人たちと働きたい」と思えるような体験を提供することがポイントです。
ここで誠実かつ熱意を持ったクロージングを行うことで、内定承諾率を高め、競合との採用競争に勝つことができます。
スタートアップの成長フェーズごとの採用戦略
企業の成長段階によって必要な人材像や採用手法は変化します。
例えば、創業期はゼロから挑戦できる起業家精神を持つ人材、ミドル以降はマネジメント経験者や専門スキル人材を採用するなど、段階に応じた戦略が重要です。
ここでは、創業期からレイターステージまでの具体的な採用戦略を解説します。
創業期
創業期は、アイデアが生まれ、それを具体化するための最初の検証が行われる段階です。この時期は市場調査や競合分析を通じて、ビジネスアイデアの有効性を確認することが最優先課題となります。
従業員は3〜5人程度で、資金調達は自己資金や日本政策金融公庫からの融資、補助金・助成金などが主な手段です。
また、場合によってはベンチャーキャピタルからの出資を受けるケースもあります。ベンチャーキャピタルとは、将来の成長が期待できる企業に資金を投じ、株式上場や売却によるリターンを狙う投資会社・投資ファンドのことです。
しかし、売上がほとんど期待できないことや資金の限界といった課題を抱えるため、周囲からの借入や各種支援を活用しながら、将来の収益につながる事業投資を行うことが重要です。
シードステージ
シードステージは、創業期のアイデアを具体的な形にし、事業化の準備が本格化するフェーズです。この時期にはプロトタイプが完成し、ユーザーテストや市場調査を重ねて改良を加えていきます。顧客のニーズや市場からのフィードバックを取り入れながら、製品やサービスの方向性を定めることが不可欠です。
従業員は5人程度が目安で、資金調達は自己資金や日本政策金融公庫、補助金、VCの活用が中心となります。ただし、創業に必要な人材がそろっていないことが課題であるため、事業開発や調査を支える資金を確保しつつ、ビジョンに共感する社員やパートナーを集め、チームビルディングを進める必要があります。
アーリーステージ
アーリーステージは、製品やサービスが市場に投入され、事業の成否が試される重要な段階です。
シード期に開発したプロトタイプをさらに完成度の高い形へと進化させ、ユーザーからのフィードバックを反映して使いやすさや機能を向上させることが求められます。競合との差別化を進めつつ、市場に適応できるかどうかが成功の鍵となります。
従業員数は5〜50人程度に拡大し、資金調達はエンジェル投資家やVC、補助金などが中心です。この段階の課題は、市場に適合できるか、事業が本当に成立するかという点です。ビジネスプランやアイデアの魅力を分かりやすく伝えることで、課題を克服していく必要があります。
ミドルステージ
ミドルステージでは、初期の成功をもとに事業を拡大し、市場での地位を確立することが主な目的となります。売上は急速に拡大し、認知度や社会的な信用も向上している時期です。
従業員数は50〜150人程度に増え、資金調達の手段としては金融機関からの融資や補助金・助成金、VCからの投資などが利用されます。一方で、事業が急成長することで「人員や設備が不足する」という課題が顕著になります。
その結果、生産性や効率の低下が懸念されるため、必要に応じて業務効率化ツールを導入し、生産性を維持・向上させることが欠かせません。
レイターステージ
レイターステージは、事業が安定し、さらに大きな飛躍を目指す成熟段階です。すでに市場での地位は確立されており、新たな成長の機会を模索することが課題となります。従業員数は150人以上が目安で、資金調達は金融機関やVCが中心です。
この段階での課題は、新規事業の立ち上げや拠点の拡大といった取り組みに膨大な資金が必要になる点です。既存事業が安定しているため資金調達の難易度は低めですが、規模の大きな挑戦を行うには緻密な資金計画が不可欠です。
安定基盤を活かしつつ、次の成長ステージに進むための戦略を描くことが求められます。
スタートアップの採用を成功させるポイント
採用成功にはスピード感やブランディングなど特有の工夫が欠かせません。ここでは、スタートアップが採用を成功させるポイントを解説します。
成功ポイント1. スクラム採用を実施する
スタートアップでは採用担当者が数名、場合によっては専任者すらいないことも多く、その場合は採用負担が大きく、特に専門外の職種を正確に評価するのが困難です。そこで有効なのが「スクラム採用」です。
これは現場社員を含め全社で採用に関わる手法で、職務内容をよく理解したメンバーの協力を得ることで、適切なスキル評価が可能になります。また、現場の声を反映することで、候補者にとって魅力的な求人広告やスカウト文面を作成できる点もメリットです。
社員全員が採用に責任を持ち、一丸となって候補者に向き合うことで、スタートアップならではのスピード感ある採用活動を実現できます。
成功ポイント2. 経営者がSNSで発信するなど、能動的な採用手法を選ぶ
採用競争の激しい市場で、経営者自らがSNSを活用して企業の魅力や将来性を発信することは効果的な手法です。経営者の考えやビジョンが直接伝わることで、候補者は「この人と働きたい」と感じやすくなります。
特にスタートアップは知名度や待遇面で不利になることが多いため、SNSでの積極的な情報発信は信頼感の醸成や共感獲得に直結します。能動的に発信を行うことで、受け身の求人掲載だけでは出会えない層にリーチでき、共感ベースで応募につなげることが可能になります。
成功ポイント3. 企業のビジョンやミッションを明確に伝える
スタートアップが優秀な人材を惹きつけるには、待遇面ではなく「働く意義」を訴えることが重要です。そのため、事業の目的や社会への貢献、企業が目指す未来像を明確に伝える必要があります。
特にミッションドリブンな人材は、自分の仕事が企業の成長や社会にどうつながるかを理解したとき、強いモチベーションを持ちます。ここでいうミッションドリブンとは、給与や条件よりも「企業の使命や社会的意義」を重視して行動するタイプの人材を指します。
面接や説明会では経営者や採用担当者が直接、自らの言葉でビジョンを語り、企業文化を伝えることが効果的です。
また、文章化されたミッションステートメントを用意すれば、候補者が企業の価値観を理解しやすくなります。
成功ポイント4. 「成長機会」や「やりがい」を強調する
スタートアップで働く大きな魅力は、成長機会の豊富さです。社員一人ひとりの裁量が大きく、意思決定が速い環境では、短期間で幅広いスキルを身につけられます。
大企業では得にくい「自らの判断で動ける経験」や「急速なキャリア形成」が可能である点を強調することが、成長志向の強い求職者には強く響きます。
求人広告や面接で「裁量が大きい」「幅広い業務に携われる」といった表現を使うと、やりがいを重視する人材に魅力を感じてもらいやすくなります。
成功ポイント5. 採用ブランディングを強化する
知名度の低いスタートアップにとって、採用ブランディングは応募数や質を左右する大きな要素です。
自社サイトや採用ページ、SNSを通じて企業の魅力を継続的に発信することが必要です。その際、抽象的な言葉だけではなく、社員のリアルなストーリーや日常を伝えるコンテンツが効果的です。
例えば「社員インタビュー」や「働く環境を紹介する動画」を制作し、候補者が具体的に働く姿をイメージできるようにします。企業文化を可視化することで、候補者との親和性を高められます。
成功ポイント6. 採用をスピーディーに進める
スタートアップの採用では、スピード感が欠かせません。候補者は複数の企業を同時に受けているため、選考が長引くと他社に流れてしまうリスクがあります。特に優秀な人材ほど早期に内定が決まりやすいため、迅速な意思決定が採用成功の鍵です。
選考フローを簡略化したり、オンライン面接を活用して効率化したりすることで、候補者を待たせない仕組みをつくりましょう。また、結果連絡やフィードバックを早く返すことで、候補者に「大切にされている」と感じてもらえ、志望度の維持につながります。
成功ポイント7. 採用CX(候補者体験)を重視し、他社と差別化する
大企業と同じ手法で採用活動をしても、リソースが限られるスタートアップが勝つことは難しいため、「採用CX(候補者体験)」を重視することが有効です。
採用CXとは、候補者が企業を認知してから選考を終えるまでの一連の体験を設計することを指します。志望度を高めるだけでなく、仮に不採用であっても「この企業の選考を受けてよかった」と感じてもらえるようにすることが重要です。
スタートアップは忙しいからこそ、あえて一人ひとりに丁寧な対応をすることで差別化できます。結果的に辞退率の低下や採用効率の改善につながり、競争優位を築けます。
【4選】スタートアップが採用すべき人材
企業を大きく成長させるには、限られた枠で最適な人材を確保する必要があります。ここでは、採用すべき人材の特徴について解説します。
成長意欲の高い人
スタートアップは常に変化し続ける環境にあるため、働く個人も成長を止めることはできません。そのため、現状に満足せず、自らの不足を認識してスキルを補い、常に上を目指して努力できる人材が求められます。
自己理解を深めながら継続的に学び、スキルアップを続けられる人は、流動性の高い環境でも長期的に活躍できます。逆に成長意欲が低ければ、環境の変化に適応できず早期に離脱するリスクもあります。
自己研鑽を続ける姿勢を持つ人材は、スタートアップにとって組織を支える大きな力となります。
自分で意思決定できる人
スタートアップでは、整備された組織体制がない中で前例のない判断を迫られる場面が頻繁に発生します。「上司に確認してから判断する」といったプロセスに時間を割けない状況も多く、迅速な意思決定力が欠かせません。
自ら判断することを恐れず、「面白そうだから挑戦してみよう」と前向きに捉えられる人材は、この環境に適しています。選考においては、候補者が過去にどのような場面で意思決定を行ったか、また問題発生時にどのように対処したかを確認することで、この特性を見極めやすくなります。
変化に柔軟に対応できる人
スタートアップは変化のスピードが速く、常に新しい挑戦や想定外の状況に直面します。そのため、臨機応変に考え方を切り替えたり、新しい役割を前向きに受け入れたりできる柔軟性が欠かせません。
環境の変化を「怖い」と感じるのではなく、「やってみよう」と挑戦的に捉えられる人材は、スタートアップに馴染みやすいといえます。突発的な課題にも冷静に対応できる柔軟な思考力と適応力を備えた人材こそが、成長過程の組織を力強く支えてくれます。
ミッションやビジョンに共感してくれる人
スタートアップは少人数で仮説検証や試行錯誤を繰り返すため、決して楽な環境ではありません。その中で踏ん張り続けられるのは、企業のミッションやビジョンに心から共感している人材です。理念への共感があれば、困難な状況に直面しても「自分が現状を打破しよう」という主体性が生まれやすくなります。
一方、共感がないと「なぜこの仕事をしているのか」と不満を抱き、早期離職につながるリスクがあります。採用時には、企業側がビジョンや理念を明確に伝え、候補者との認識をすり合わせることが欠かせません。
スタートアップの採用担当者に必要な4つのスキル
少人数組織では採用担当者の力量が採用成果を左右します。ここでは、担当者に求められる4つのスキルについて解説します。
社内外のと連携して動ける「調整力」「交渉力」
スタートアップは、資金・人員・設備といったリソースが限られているため、採用担当者には調整力や交渉力が欠かせません。
採用活動を進めるには経営陣や現場社員を巻き込み、一丸となって候補者に向き合う必要があります。いわゆる「スクラム採用」を機能させるには、社内の複数部署やメンバーをつなぎ、役割分担や選考フローを円滑に調整する力が求められます。
加えて、採用予算の使い道を交渉したり、外部エージェントや媒体との連携をスムーズに進めたりするスキルも不可欠です。限られたリソースを最大限活用するためには、調整力と交渉力が採用担当者の必須能力となります。
自社の思いや事業を伝える「コミュニケーション力」
スタートアップの採用担当者には、高いコミュニケーション力が必要です。候補者との面談や面接では、相手の価値観や本音を引き出しつつ、信頼関係を築くことが重要です。
特に母集団が小さいスタートアップでは、一人ひとりの候補者に寄り添い、密なやり取りを続ける姿勢が求められます。また、不安や悩みに共感し、気持ちの変化を察知して適切に対応できる力も大切です。
質問力や傾聴力に優れ、誠実に対応できる採用担当者であれば、候補者に「この会社なら信頼できる」と感じてもらえます。候補者とのつながりを強固にするために、コミュニケーション力は最重要のスキルといえます。
候補者を「見極める力」
スタートアップの採用は一度の採用が事業に直結するため、候補者の適性を見極める力が欠かせません。応募者が自社の文化や働き方に合うかどうか、スキルだけでなく性格面や価値観まで踏み込んで判断する必要があります。
採用担当者一人で多くの候補者に対応しなければならないことも多いため、効率的に「誰が本当にフィットする人材なのか」を見抜く力が重要です。この洞察力を持たなければ、ミスマッチによる早期離職につながり、採用コストの増加や事業停滞を招きかねません。
候補者の過去の経験や意思決定の仕方、困難をどう乗り越えたかを確認し、総合的に判断する姿勢が求められます。
成果を最大化する「採用マーケティング」の知識
採用活動にマーケティングの思考を取り入れる「採用マーケティング」は、スタートアップの採用担当者にとって必須のスキルです。
具体的には、候補者に自社の魅力を効果的に届けるために、媒体選定やコンテンツの最適化を行います。認知度の低いスタートアップは、潜在層を含む幅広い候補者に対して能動的にアプローチする必要があるため、従来型の待ちの採用では不十分です。
マーケティングのフレームワークを活用し、候補者の認知から志望度向上までを設計することで、自社のファンを増やしやすくなります。営業やマーケティング経験がある人材が採用担当に向いているのも、このためです。
【2選】成功したスタートアップの採用戦略
次に、実際に成功したスタートアップの採用戦略を2つご紹介します。
FUSION
株式会社FUSIONは、2020年に設立されたスタートアップで、従業員は約50名です。同社はデジタル×クリエイティブの力を駆使し「新しい問いを立て、新しい答えをつくる」広告・マーケティング会社として、ワンキャリアを活用し、新卒採用3期目でエントリー数が500名から1,000名へ倍増させるなど、戦略的な採用活動で大きな成果を上げています。
同社の採用成功の最大の要因は、採用管理システム(ATS)の効果的な活用にあります。応募者管理の工数を、採用管理システムで半分に削減することで、限られたリソースの中でも効率的に大量の応募者に対応できる体制を構築しました。これにより採用担当者は工数削減で生まれた時間を、応募者との接点の維持や強化といった本来の業務に割けるようになりました。
また、FUSIONでは「NEW ANSWER COMPANY」というビジョンを明確に打ち出し、採用広報においても一貫したメッセージを発信しています。デジタル広告業界における自社の独自性と、社会課題解決への取り組みを具体的に伝えることで、価値観に共感する成長意欲の高い人材の獲得に成功しています。
このように同社の事例は、採用テクノロジーの活用と明確なビジョン発信を組み合わせた、現代的なスタートアップ採用戦略の成功事例といえるでしょう。
ヒトクセ
「ヒトクセあるチームで、ヒトクセある革新的なサービスを生み出したい」という思いから2011年に設立された株式会社ヒトクセは、インターネット広告領域をメインとした広告サービスを運営しているベンチャー企業です。
同社は元々対面でのイベントで母集団形成を行っていましたが、社長と採用担当者が隔週ペースで東京大阪間を行き来するのを繰り返していたため、非常に工数がかかっていました。そのため、イベントの工数や時間の使い方が課題でした。
そこで、ヒトクセはワンキャリア求人掲載を導入し、効率よく母集団形成を行うことに成功しました。実際、同社の代表は最終面接だけ参加する形にできるようになり、それまでの5分の1程度にまで工数を削減できました。ワンキャリアを活用することで、学生一人一人と向き合うという従来の文化は残しつつ、効率的に母集団を形成できた好例です。
また、同社の採用戦略のもう一つの特徴は、経営陣だけでなくメンバー層も含めてミッション・バリューを一新し、採用ブランディングを大幅に強化したことです。ミッション・バリューの浸透に全社で力を入れ、採用に生かしていくことで、それらに共感する優秀な学生の注目を集めることに成功しています。
スタートアップの採用戦略に関するよくある質問(FAQ)
ここからは、スタートアップの採用戦略に関するよくある質問を4つご紹介します。
スタートアップが起こりやすい落とし穴は?
スタートアップの採用で起こりやすい落とし穴のひとつが「採用基準の曖昧さ」です。
限られたリソースで早急に人材を確保したいあまり、「とりあえず優秀そうな人を採る」という判断に偏りがちですが、その結果、企業のカルチャーやビジョンとのミスマッチが生じ、早期離職につながるケースが少なくありません。また、母集団形成に注力しすぎて、候補者体験(CX)の設計を怠るのもよくある失敗です。内定後の辞退や入社後の不安感を招きやすいため、採用プロセス全体を丁寧に整えることが不可欠です。さらに、業務内容を明確に提示できないまま選考を進めると「思っていた仕事と違った」という理由で離職リスクが高まります。
スタートアップこそ「誰を採るか」がその後の事業成長を左右するため、短期的なニーズに流されず、長期的な視点で人材要件を固めることが落とし穴を避ける第一歩です。
スタートアップの採用戦略で内定辞退を防ぐにはどうすればいい?
スタートアップで特に多い課題が「内定辞退」です。
候補者にとっては、大企業や他のベンチャーとの比較の中で、待遇や安定性の差が理由になることも少なくありません。そのため、内定辞退を防ぐには「納得感」を与えるコミュニケーションが重要です。
具体的には、経営者や現場社員が直接候補者と対話し、企業のミッションや成長戦略をリアルに伝えることで、「ここで働きたい」という意欲を高められます。また、採用プロセスをスピーディーに進め、候補者を待たせないことも大切です。加えて、候補者が入社後にどのような成長機会を得られるかを明確に提示し、「個人のキャリアと会社の成長が重なる」未来像を描かせることが有効です。
入社前からオンボーディングを意識し、不安を解消する取り組みを行うことで、内定辞退率を大きく下げることができるでしょう。
採用ターゲット(ペルソナ)はどう設定すればいいですか?
採用戦略を成功させるには、まず「誰を採用するのか」を明確にすることが欠かせません。
年齢や職歴といった基本情報だけでなく、「どんな価値観を持っているか」「どんなキャリアを描きたいか」「どのような働き方を好むか」といった心理的要素まで掘り下げる必要があります。またスタートアップの場合、即戦力だけでなく、「変化に柔軟に対応できるか」「ミッションに共感できるか」といった基準も重要です。
ペルソナを設定することで、求人広告や採用広報のトーンも統一でき、候補者に刺さるメッセージを発信しやすくなります。また、ペルソナが曖昧だと採用チャネルの選定や面接評価基準もぶれてしまうため、最初にしっかり固めておくことが採用活動の効率化につながります。
スキルよりもポテンシャル重視の採用はアリですか?
結論から言えば、スタートアップにおいて「ポテンシャル重視の採用」は十分にアリです。
特に創業初期やアーリーステージでは、求めるスキルが定まっていない場合も多く、柔軟に新しい業務を吸収できる人材が重宝されます。もちろん即戦力が必要なポジションもありますが、全てをスキルで固めようとすると採用の幅が狭まり、優秀な人材を取りこぼしてしまう可能性があります。
ポテンシャル採用を成功させるためには、「どのような成長余地を評価するのか」を明確にすることが大切です。例えば、学習意欲、挑戦心、変化への適応力、チームでの協働姿勢などが基準になり得ます。さらに、入社後に育成できる仕組みを整えることで、ポテンシャル人材が短期間で活躍できるようになります。
スタートアップにとっては「現在のスキル」以上に「将来の伸びしろ」を見極めることが競争力につながるのです。
おわりに
スタートアップの採用は、大企業に比べて知名度や待遇で不利な状況にある一方で、成長スピードを大きく左右する極めて重要な要素です。
本記事で解説したように、採用戦略を持たずに場当たり的な採用を進めてしまうと、早期離職や人材不足といった問題が生じ、事業成長の大きなブレーキとなりかねません。逆に言えば、明確な採用戦略を打ち立て、候補者との接点を工夫し、自社の魅力を適切に発信することで、スタートアップでも優秀な人材を惹きつけることは十分可能です。例えば、スクラム採用を実施したり、経営者自らが採用に積極的に関わったりすることで、大企業に負けない採用を実施できるでしょう。
本記事を参考に、自社の成長フェーズやリソースに合った採用戦略を描き、採用を事業成長の原動力へと変えていってください。

