目次
採用担当の人事の皆さんには、採用選考に時間をかけたにもかかわらず、ミスマッチが生じた苦い経験があるでしょう。 採用のミスマッチは求職者も企業側も双方ともにデメリットになりますから、できるだけスムーズに定着してほしいですよね。 特に採用にはコストがかかりますから、予算の限られている場合や企業規模が小さい場合にはトライアル雇用の精度の活用も検討してみてください。 この記事ではトライアル雇用のメリットデメリットから、事前に把握しておきたい制度の申請の流れまで解説していきます。
トライアル雇用とは

引用:厚生労働省公式サイト
トライアル雇用とは、求職者が一定期間企業で働くことで、実際の業務環境や職務内容を体験しながら、企業と求職者の双方が適性を確認するための制度です。
この制度は、求職者にとっては自分のスキルや職場環境への適応度を見極める機会となり、企業にとっては求職者の実際の働きぶりを評価する場となります。
原則3か月間のトライアル期間が設けられており、常用雇用に結びつくかを判断可能です。
求職者の就業救済措置として作られた制度ですので、トライアル雇用制度を活用して求職に結び付いた場合、助成金が受け取れる仕組みになっています。
トライアル雇用の種類
トライアル雇用には、一般トライアルコースと障害者トライアルコースの2つの主要な種類があります。
一般トライアルコース
一般的な求職者を対象としたコースで、職業経験が少ない若年者や再就職を目指す人などが対象となります。
このコースは、企業が求職者の適性を見極めるための期間を提供し、ミスマッチを防ぐことを目的としています。
支給額:一人当たり月額最大4万円(35歳以下の場合最大5万円)
支給期間:最長3か月間
支給対象:以下すべてに該当する者
①1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用による雇入れを希望している者
②ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等に求職申込をしていること
③ハローワーク等の職業紹介の日において、
- 安定した職業に就いている者
- 自ら事業を営んでいる者又は役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が30時間以上のもの
- 学校に在籍している者
- トライアル雇用期間中のトライアル雇用労働者
④以下の項目にすべてに該当している者
- 紹介日の前日から過去2根にないに2回以上離職や転職を繰り返している
- 紹介日の前日時点で離職している期間が1年を超えている(パートアルバイト含め一切の就労をしていないこと)
- 妊娠・出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
- 生年月日が1968年4月2日以降で、かつ安定した職業に就いておらず、ハローワーク等に置いて担当者制による個別支援を受けている
- 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する
参考:厚生労働省トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)
障害者トライアルコース
障害者の雇用促進を目的としたコースです。
このコースでは、企業が障害者を一定期間試用し、適性や職場環境への適応を確認することができます。
また制度の目的として、障がい者の雇用機会の創出を図ることがあげられています。
支給額:対象者が精神障害者の場合月額8万円、月額最大4万円
上記以外の場合月額最大4万円
支給期間:精神障害者の場合8万円を3か月、4万円を3か月
上記以外の場合4万円を3か月間
支給対象:以下の1と2双方に該当する者
①継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解したうえで障害者トライアル雇用による雇入れを希望している者
②障碍者雇用促進法に規定する障害者のうち、以下のいずれかに該当する者
- 紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
- 紹介日前2年以内に離職が2回以上または転職が2回以上ある者
- 紹介日前において離職している期間が6か月をを超えている者
- 重度身体障害者・重度知的障害者・精神障害者
トライアル雇用と試用期間との違い
試用期間は、企業が新入社員の適性や能力を評価するために設ける期間であり、正式な雇用契約の一部として位置づけられます。
トライアル雇用と異なり、試用期間中の労働者は通常の従業員と同様の待遇を受けますが、期間終了時に本採用とならない場合、解雇されることもあります。
トライアル雇用は、あくまでお試しの雇用形態であり、試用期間とは法的な位置づけや目的が異なります。
ただしトライアル雇用でもマッチングをしない場合においては、企業側が雇用期間終了を選択することも可能です。
研修期間との違い
研修期間は、企業が新入社員に対して業務に必要な知識やスキルを習得させるために設ける期間です。
この期間中、社員は教育訓練を受け、実務に必要な能力を身につけることを目的としています。
一方、トライアル雇用は、求職者が実際の業務を通じて職場の適性を確認することを目的としており、研修とは異なり、実務経験を通じた適性確認が主な目的です。
トライアル雇用のメリット
トライアル雇用は、企業と求職者の双方にとって多くのメリットをもたらす制度です。
以下に、トライアル雇用の主なメリットを詳しく解説します。
ミスマッチのリスクを軽減
トライアル雇用の最大のメリットは、採用のミスマッチを軽減できる点です。
企業は実際に求職者を職場で一定期間働かせることで、その人のスキルや職場環境への適応度を直接観察することができます。
これにより、履歴書や面接だけでは分からない、実務での適性やチームとの相性を確認することができ、採用後のミスマッチによる早期退職のリスクを大幅に減らせます。
助成金がもらえる可能性がある
トライアル雇用を導入する企業には、国や地方自治体から助成金が支給される可能性があります。
これにより、企業はトライアル期間中の賃金の一部を補助として受け取ることができ、経済的な負担を軽減できます。
助成金は、企業の採用活動を支援するだけでなく、求職者にとっても雇用の機会を広げることにつながります。
任期満了後の契約解除を容易にできる
トライアル雇用は、一定期間の試用契約であるため、任期満了後に契約を解除することが比較的容易です。
企業はトライアル期間中に求職者の適性を評価し、期待に沿わない場合や企業文化に合わない場合には、契約を更新せずに終了することができます。
この柔軟性は、企業にとってリスクを抑えた人材採用を可能にし、求職者にとっても自分の適性を確認する機会として活用できます。
採用コストを減らせる
トライアル雇用を実施することで得られる助成金を活用して、採用にかかった人件費を補填できます。
結果として低いコストで新しい人材を採用できるので、採用コストに悩んでいる企業にとっては大きなメリットになります。
助成金はトライアル期間とコースに応じた金額を受け取れるものの、事前に申請が必要なので注意が必要です。
トライアル雇用のデメリット
トライアル雇用は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
企業がこの制度を活用する際には、以下の点に注意する必要があります。
人材教育の手間やコストがかかる
トライアル雇用では、企業が新たに雇用した人材に対して一定期間の教育や研修を行う必要があります。
教育や研修には時間や労力、そしてコストがかかるため、企業にとって負担となる場合があります。
特に、トライアル期間中に求職者が離職した場合、教育に投資したリソースが無駄になる可能性もあります。
トライアル雇用の対象者に合わせた対応が求められるので、制度の整備に時間がかかります。
事務的な負担がかかる
トライアル雇用を実施する際には、助成金の申請や雇用契約の作成、労働条件の調整など、様々な事務手続きが必要です。
これらの手続きは、通常の採用プロセスに比べて複雑であり、企業の人事部門にとって追加の負担となることがあります。
特に、中小企業では人事リソースが限られているため、この事務的な負担が大きな課題となることがあります。
書類選考ができない
トライアル雇用では、求職者を実際に雇用してから適性を見極めるため、通常の採用プロセスで行われる書類選考が省略されることがあります。
これにより、企業は求職者の経歴や資格を事前に詳しく確認する機会が減少し、トライアル期間中に求職者の能力が期待に達しない場合、再度採用活動を行う必要が生じる可能性があります。
厚生労働省からも書類選考ではなく面接での選考が推奨されていますので、面接の工数が増えてしまう可能性があります。
トライアル雇用助成金の手続きの流れ・手順
トライアル雇用助成金は、企業が求職者をトライアル雇用として一定期間雇用する際に活用できる助成制度です。
この制度を利用するための手続きは以下のような流れで進められます。
トライアル雇用の求人を出す
まず、企業はトライアル雇用を希望する求人をハローワークや民間の職業紹介事業者を通じて募集します。
求人票には、トライアル雇用であることを明記し、雇用条件や期間を詳細に記載します。
トライアル雇用自体は一般募集と同時に募集することが可能です。
求職者の紹介を受け面接を実施
求人に対して応募があった場合、ハローワークや職業紹介事業者から求職者の紹介を受けます。
企業は求職者と面接を行い、トライアル雇用としての採用を決定します。
この段階では、求職者のスキルや適性を見極めることが重要です。
書類選考はなく必ず面接が必要になりますので注意が必要です。
トライアル雇用開始~必要書類の提出
採用が決定したら、トライアル雇用を開始します。
雇用開始後、速やかに必要書類を管轄のハローワークに提出します。
一般的には、雇用契約書やトライアル雇用の計画書などが必要です。
トライアル雇用実施計画書は雇用開始してから2週間以内の提出が必要です。
また同時期に対象者の雇用保険加入手続きも行いましょう。
任期満了後、本採用に移行するかを判断する
トライアル雇用期間が終了する頃に、企業は求職者を本採用に移行するかどうかを判断します。
この判断は、トライアル期間中の求職者の業務成績や適応状況に基づいて行われます。
トライアル雇用助成金支給申請書を提出
トライアル雇用が終了し、必要な条件を満たしている場合、企業はトライアル雇用助成金支給申請書を管轄のハローワークに提出します。
申請書には、トライアル雇用の実施状況や求職者の勤務実態を示す書類が含まれます。
常用雇用が決まってから2か月以内の提出が必要です。
助成金の支給
申請が承認されると、企業に対してトライアル雇用助成金が支給されます。
助成金の金額や支給時期は、制度の内容や企業の状況によって異なるため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。
トライアル雇用併用求人で同時募集も検討しよう
トライアル雇用を目的に求人を出す際は、トライアル雇用併用型求人での同時募集も検討してみましょう。
トライアル雇用併用求人は、一般の正規雇用求人と同時にトライアル雇用の採用もできる求人のことを指します。
経験者やスキルがある人材を採用したいものの、未経験の人材を採用したい際に活用できます。
一般の枠とトライアル雇用の枠を両方活用できるので、応募者の属性から見てどちらで雇用するかを判断することが可能です。
トライアル雇用制度を導入すべきか状況を見て判断しよう
トライアル雇用は一定の条件で就労が難しい対象者を救済する制度ではありますが、企業側としてもマッチできる人材を時間をかけて見極められるチャンスです。
トライアル雇用制度を導入すべきか、社内の人材の状況をよく見て判断してみてください。

