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「初めて新卒採用をするけど、何から始めたらいいかわからない」と悩む採用担当者様必見! 本記事では、初めての新卒採用を成功させるために、新卒採用の基礎知識や流れを解説します。また、新卒採用活動での注意点やよくある失敗ケース・対策も併せてご紹介しますので、参考にしてください。
新卒採用を始める前に押さえておきたい基礎知識
新卒採用を成功させるには、まず全体の流れや採用市場の動向など、基本的な知識を理解することが大切です。ここでは、新卒採用を始める前に知っておくべきスケジュールや最新トレンドについて解説します。
新卒採用のスケジュール
まずは、一般的な新卒採用のスケジュールを確認しましょう。ここでは、4年制大学の学部卒業予定者を例に、年間を通じた主な流れを解説します。
新卒採用は、大学3年生の春ごろから動き出します。大学3年生の5月〜8月頃には、前年度の採用活動を振り返り、次年度の方針を整理しながらインターンシップを開催する企業が多く見られます。続く9月〜11月頃には、インターンシップを通じて得た学生との接点を活かしながら、採用広報の準備が進められます。
12月〜翌年2月頃には、採用ターゲットとなる人材像や採用予定数の最終確認を行い、企業説明会などを実施します。3月〜5月頃になると本格的な面接選考がスタートし、6月〜9月頃には内定者フォローが行われるのが一般的な流れです。
大学院生や短大・専門学校卒業予定者の場合も、基本的にはそれぞれの卒業年度を基準に、四年制大学のスケジュールに準じた流れで進みます。ただし、専攻分野や地域によっては、インターンシップの参加率や選考時期のピークに多少の違いが生じる点には注意が必要です。
また、高校生を対象とした新卒採用の場合は、企業と直接やり取りするのではなく、学校を通じた採用選考が基本となるため、大学生向けとは異なるスケジュールとなります。
なお、採用スケジュールの大枠は、政府による「就職・採用活動日程に関する要請(※1)」をもとに、大学側の求人票公開日や就職ナビサイトのエントリー受付開始日が決定されます。大きな変更がある場合は、学生の学業に支障が出ないよう、早期に周知依頼が行われる仕組みです。
(※1)参考:内閣官房「就職・採用活動日程に関する要請」
新卒採用の最新動向
近年の新卒採用を取り巻く環境は大きく変化しています。ここでは、制度面や市場の動きなど、押さえておきたい最新トレンドについて解説します。
経団連による「就活ルール」の廃止
かつて新卒採用は、経団連(日本経済団体連合会)の定める「就活ルール」に基づき、企業が同一スケジュールで採用活動を行う「新卒一括採用」が主流でした。しかし、2021年以降、このルールは廃止され、企業が自由なタイミングで採用活動を実施できるようになりました。
この結果、通年を通して学生と接点を持ち、選考を行う「通年採用」を導入する企業が増加。企業ごとに独自の採用スケジュールを設計できるようになった一方で、学生側の活動時期も多様化しています。採用担当者は、自社の採用計画に合わせた柔軟なスケジュール設計が求められます。
インターンシップが内定につながる可能性
「就活ルール」の廃止により、企業がインターンシップを通じて早期に優秀な学生と接点を持つ動きが広がっています。かつては職業体験や業界理解を目的としたプログラムが中心でしたが、近年は選考に直結するインターンシップを実施する企業も増加傾向にあります。
インターンシップをきっかけに学生の志望度が高まり、結果的に内定につながるケースも少なくありません。学生にとっては早期に企業理解を深めるチャンスであり、企業にとっては自社への関心を高めてもらう有効な手段となっています。
新卒採用では売り手市場が続いており、採用競争が激化
新卒採用市場では、近年売り手市場が続いています。
企業側にとっては、限られた学生を確保するための採用競争が激化している状況です。従来の採用手法だけでは母集団形成が難しくなっており、SNS発信やダイレクトリクルーティング、インターンシップなど、多様なチャネルを組み合わせたアプローチが必要とされています。
このように、新卒採用のルールやトレンドは年々変化しています。採用担当者は、常に最新の動向を把握し、採用戦略を継続的にアップデートすることが成功の鍵となります。
【表で確認】新卒採用を導入するメリット・デメリット
新卒採用のスケジュールや最新動向を確認した次は、新卒採用を導入するメリット・デメリットを表で確認しましょう。
| メリット | デメリット |
| ・企業文化を継承した人材になる ・新たな考え方や視点を導入できる ・将来の幹部候補となる ・1人当たりの採用コストが抑えられる ・企業知名度やイメージの向上につながる ・社内の年齢構成の偏りを無くすことができる ・選考スケジュールが立てやすい ・既存社員の成長につながる ・中小企業も優秀な人材を獲得できる | ・戦力になるまでに時間、コストがかかる ・採用にかかる時間が長い ・学生が一斉に就活をするため、人材確保競争が激しい ・多くの企業を受けるため内定辞退のリスクが高い ・入社時期が固定されている ・社会人経験がないため、ミスマッチが起こりやすい |
新卒採用の流れ|始めたばかりでも安心の6ステップ!
新卒採用は、戦略設計から入社後フォローまで複数の工程で構成されています。どの段階で何をすべきかを理解することで、スムーズな採用活動が可能になります。ここでは、初めてでも安心して進められる6つのステップについて解説します。
1. 採用戦略の設計
新卒採用を成功させるためには、まず全体の方向性を定める「採用戦略」の設計が欠かせません。採用戦略とは、企業や組織が新しい従業員を効果的に募集・選考・雇用するための計画的なアプローチのことを指します。
新卒採用を行う目的の整理
採用戦略を立てる上で最初に明確にすべきなのが、「なぜ採用を行うのか」という目的の整理です。単に欠員を補うためや、現場の要望を受けて人を増やすといった短期的な発想だけでは、採用の方向性がぶれてしまう恐れがあります。
新卒採用の目的を明確にすることで、採用活動全体が自社の中長期的な事業戦略や経営方針と整合したものとなり、結果的に企業成長へとつながります。例えば「将来の幹部候補を育成する」「新しい事業分野に適応できる若手を確保する」といった具体的な目的を明示することが重要です。
自社に合う人物像(ペルソナ)の設定
採用目的を整理したら、次に「どんな人を採用したいのか」という人物像を明確にします。いわゆる採用ペルソナの設定です。これは、企業の文化や価値観、今後の事業方針に沿った人材を見極めるための指針になります。
ペルソナを設定する際は、現場社員やマネジメント層からの意見を取り入れ、採用後の配属先や研修体制との整合性を考慮することが大切です。自社に合う人物像を具体化することで、採用活動全体に一貫性が生まれ、ミスマッチの防止にもつながります。
採用コンセプトの設計
続いて行うのが「採用コンセプト」の設計です。採用コンセプトとは、採用活動全体を通じて学生にどんな印象を持ってもらいたいか、どんなメッセージを伝えたいかを明文化したものです。
これは採用広報や説明会、面接での発言など、あらゆる接点で一貫したコミュニケーションを行うための軸になります。採用コンセプトが明確であれば、学生側にも企業の姿勢や採用方針が伝わりやすく、結果として志望度向上にもつながります。
経営方針や事業計画をもとにした採用目標・KPIの設計
最後に、企業の経営方針や事業計画を踏まえて採用目標を数値化し、KPIを設定します。例えば採用人数や配属部門、新卒研修の実施方針などを具体的に決めることで、採用活動の進捗を客観的に管理できます。
採用目標が明確になると、短期的な採用成果だけでなく、中長期的な人材育成の視点からも計画を立てやすくなります。採用の体制づくりや年間計画にも直結する重要なステップといえるでしょう。
2. 採用計画の立案
採用戦略を定めたら、次に行うのが採用計画の立案です。採用計画とは、経営方針や事業計画に基づき、新しい人材の採用や既存社員の異動・配置などの方針を具体化するプロセスを指します。
「いつ・どのように行動するか」を明確にすることで、社内での協力体制を築きやすくなります。計画を文書化して関係者と共有することで、役員・人事担当者・配属先の責任者の間で認識のズレを防ぎ、説明会や面接、会場確保などの準備もスムーズに進められます。
採用計画では、求めるスキルや能力・経験などの求人要件、評価項目や選考方法、採用スケジュール、採用後のフォローアップ方法などを整理しておくことが重要です。
採用予算の設定
採用活動にかかる費用を明確にするため、まず採用予算の設定を行います。予算には、採用媒体の掲載料やイベント出展費、選考・面接に伴う運営費、内定者フォローや研修に関するコストなどが含まれます。
経営計画に沿って適切な予算を設定することで、無理のない範囲で効果的な採用活動を実施できます。また、予算を明確にすることで、複数の採用手法を比較検討する際の判断基準にもなります。
採用チャネルと手法の選定
次に、採用計画の中核となる採用チャネルと手法の選定を行います。新卒採用では、ナビサイト、合同説明会、大学との連携、インターンシップ、SNS発信など、活用できる手法が多岐にわたります。
どのチャネルを利用するかは、採用したい人材の属性やスキル、そして予算とのバランスを踏まえて判断する必要があります。また、採用スケジュールと連動させることで、母集団形成から選考までの流れを効率的に設計することができます。
実績の振り返り方法の設定
採用活動を継続的に改善するためには、実績の振り返りと分析方法をあらかじめ設定しておくことが欠かせません。例えば、どのチャネルが最も多くの応募を集めたのか、どの選考プロセスで歩留まりが発生したのかなど、具体的なデータをもとに検証します。
また、振り返りのタイミングを決めておくことで、年度途中でも柔軟に施策を見直すことが可能になります。採用計画の段階で評価項目や分析方法を定めておくと、次年度の採用戦略にも活かしやすくなります。
3. 母集団形成
採用計画をもとに、実際に応募者を集める段階が「母集団形成」です。新卒採用では、採用期間が長期にわたることや、他社と選考・内定の時期が重なりやすいことから、中途採用とは異なる工夫が求められます。自社の都合だけで広報を行うのではなく、新卒採用全体の流れを踏まえた情報発信や接点づくりを行うことが大切です。
母集団形成にはさまざまな手法があり、それぞれに費用や効果の特徴があります。複数の手段を併用するとコストは増えますが、ひとつの方法に依存するとリスクが高まるため、バランスよく組み合わせることが重要です。
新卒採用サイト、SNS発信などの採用広報
まずは、自社の新卒採用ホームページやSNSを活用した広報活動です。採用専用サイトを立ち上げて企業の魅力や採用情報を発信するほか、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSで日常の社風や社員の声を紹介する方法も効果的です。これらの発信は、企業理解の促進や認知度向上に役立ちます。
また、就職ナビサイトに求人情報を掲載することで、多くの学生にリーチすることも可能です。オンライン上での情報発信は、母集団形成の基盤として重要な役割を果たします。
大学・キャリアセンターとの連携
大学やキャリアセンターとの連携も、新卒採用で有効な手法のひとつです。大学を通じて求人票を提出したり、学内イベントや説明会に参加したりすることで、学生に直接アプローチできます。学校側との信頼関係を築くことで、毎年安定した応募を得やすくなる点もメリットです。
合同説明会・イベントへの出展
合同企業説明会や就職イベントに出展することで、多くの学生と一度に接点を持つことができます。特に、対面での交流を通じて企業の雰囲気を伝えられるため、学生の印象に残りやすいという特徴があります。就職ナビサイト主催のイベントに参加する企業も多く、広報活動の初期段階として有効です。
ダイレクトリクルーティング
「就活スカウトサイト」を活用し、学生にオファーメールを送る手法も近年注目されています。企業側から積極的に学生へアプローチできるため、自社の求める人物像に近い学生と早期に接触することが可能です。これにより、母集団の質を高める効果も期待できます。
インターンシップの実施
インターンシップを開催し、インターン情報サイトに出稿するのも効果的な方法です。学生に実際の業務や職場の雰囲気を体験してもらうことで、企業理解を深めてもらえます。さらに、インターン参加者を通じて自社に関心を持つ学生が増え、選考への参加につながるケースも多く見られます。
4. 選考設計・実施
新卒採用の選考では、中途採用と異なり、職務経験や実績といった明確なスキル指標ではなく、将来の成長可能性やポテンシャルを評価することが基本です。そのため、「どのような点を評価するのか」をあらかじめ定め、それを見極めるための選考プロセスや評価方法を明確に設計することが重要です。
選考プロセスの構成(ES・Webテスト・面接など)
まずは、選考全体の流れを整理し、各ステップでどのような方法を用いるかを決定します。一般的には、エントリーシート(ES)提出、適性検査(Webテスト)、グループ面接や個人面接といった段階的な構成が取られます。
また、各選考ステップにおける目的を明確にしておくことも大切です。例えば、ESでは志望動機や価値観を確認し、Webテストでは基礎能力や性格傾向を把握、面接ではコミュニケーション力や将来性を見極めるといった具合です。こうした整理を行うことで、選考全体の一貫性を保ちやすくなります。
通過率の設計と歩留まり対策
選考を円滑に進めるためには、各ステップごとの通過率を設計しておくことが欠かせません。エントリーから内定に至るまでの各段階で、どの程度の割合で候補者が次のフェーズに進むかを想定し、必要な応募者数を逆算します。
また、途中で辞退が発生しないようにするための歩留まり対策も重要です。例えば、合否連絡を迅速に行う、学生とのコミュニケーションを密にするなど、選考途中での離脱を防ぐ工夫が求められます。
面接基準や評価項目の設計
新卒採用では、明確な実務経験がない学生を評価するため、評価基準を事前に統一しておくことが特に重要です。選考で重視するポイント(例:挑戦意欲、協調性、論理的思考力など)を定め、どのような質問でそれを引き出すかを設計します。
また、面接官の選出や質問事項の事前共有も欠かせません。評価のばらつきを防ぐため、複数の面接官が同じ基準で学生を評価できるようにしておくことが理想的です。こうした基準づくりによって、より客観的で再現性の高い選考が可能になります。
選考中の学生フォロー
選考は、企業が学生を選ぶだけの場ではありません。面接や選考の場は、学生にとっても企
業を比較・検討する重要な機会です。したがって、選考中の対応やコミュニケーションは、企業の印象を大きく左右します。
面接中の姿勢や説明内容、合否連絡のスピードなど、学生との接点すべてが「企業の姿勢」として受け止められます。選考過程を通して学生が不安を感じないよう、誠実かつ丁寧な対応を心がけることが大切です。
5. 内定出し・内定者フォロー
新卒採用においては、内定から入社までの期間が長い点が大きな特徴です。特に、インターンシップ経由で早期選考を行う企業では、大学3年生のうちに最終選考を終えるケースもあり、1年以上の内定者期間が生じる場合もあります。
一般的には、大学4年生の6月前後が内定のピーク時期とされますが、それでも入社までに約10か月近いフォロー期間が必要です。この期間中、学生は引き続き就職活動を行い、複数の企業を比較・検討しているため、「内定=入社決定」ではないことを理解しておく必要があります。
内定者フォローを行う際は、学生が安心して入社を迎えられるよう、モチベーションを高める仕組みを整えることが大切です。ただし、学業や課外活動の妨げとなるような過度な課題や拘束的な研修を行うことは避けるべきです。
内定者フォロー(交流会、情報提供、OBOG紹介など)
効果的な内定者フォローとしては、内定者同士や社員との交流会の開催、企業情報や今後のスケジュールに関する定期的な情報提供、OBOGとの紹介機会の設定などが挙げられます。こうした取り組みによって、学生の不安を軽減し、入社意欲の維持につながります。
6. 入社・入社後フォロー
入社のタイミングは、多くの企業で4月1日(休日の場合は翌営業日)に設定されています。新卒入社式は一般的な行事として学生にも強く認知されており、企業にとっても社会人としての第一歩を祝う重要な機会です。
特に、採用や配属が各支社単位で行われている企業でも、入社式は本社での全社行事として開催することで、「同期入社」としての一体感を育むことができます。入社式に合わせて、新入社員研修や懇親会を実施する企業も多く、社会人としての基礎を身につける場として機能しています。
入社前準備と研修設計
入社直後には、就業規則やビジネスマナー、業務ツールの使い方など、社会人としての基本を学ぶ新入社員研修を実施するケースが一般的です。これにより、配属後にスムーズに業務へ移行できるよう支援します。
配属後の悩みなどについての定期的なヒアリング
入社後は、配属先に任せきりにせず、人事担当者が継続的にフォローを行うことが重要です。特に、入社後1年目から3年目にかけては、若年層の離職率が高い時期であるため、定期的なヒアリングを通じて悩みや課題を把握し、必要に応じてサポートを行います。
同期や先輩社員との交流の場の提供
また、同期社員との定期的な交流機会や、先輩社員との懇談の場を設けることも有効です。職場でのつながりを強めることで、社員のモチベーションや定着率の向上につながります。さらに、各段階に応じて必要な研修やキャリア相談を組み込み、将来的な成長を見据えたフォロー体制を構築することが理想です。
初めての新卒採用におすすめの手法6選|それぞれのメリット・デメリットも解説
新卒採用の手法には、採用サイトや紹介サービス、イベント参加など多様な選択肢があります。自社に合った方法を選ぶことが成果を左右します。ここでは、初めての新卒採用で活用しやすい代表的な6つの手法について解説します。
新卒採用サイト
新卒採用サイトは、もっとも多くの企業が利用している代表的な採用手法です。学生にとって就職活動の第一歩は就職サイトへの登録といわれるほど、利用率が高いのが特徴です。
企業・学生ともに集まりやすく、幅広い層の母集団形成に適しています。掲載時に発生する費用は先行投資型で、基本的に追加コストがかからない点もメリットです。
一方で、掲載企業数が多く情報が埋もれやすいこと、原稿作成や更新に一定の運用工数がかかる点はデメリットといえます。学生への露出度を高めたい企業には有効な手法ですが、他の手法と併用することでより効果を高められます。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業が自ら学生を探し、スカウトを送って直接アプローチする「攻めの採用」手法です。従来のように応募を待つのではなく、企業側から能動的に候補者へ接触します。
採用担当者が学生のプロフィールを確認した上でスカウトを行うため、質の高い母集団形成が可能です。スカウト文面を通して企業の魅力やメッセージを個別に伝えられるため、知名度に左右されにくく、コストパフォーマンスにも優れています。
近年では、就活生の約3人に1人がスカウトサービスに登録しており、新卒採用を初めて行う企業にも導入しやすい方法です。ただし、スカウト対象の選定や文面作成には一定の工数が必要です。
ミートアップ
ミートアップは、数人〜30人程度の小規模な交流会・勉強会形式で行う採用活動です。採用を前提としない気軽な参加形式であるため、応募ハードルが低く、他の手法では出会えない層にアプローチできるのが特徴です。
イベントを通じて自社の雰囲気や社員の人柄を知ってもらえるため、知名度の低い企業でも応募を獲得しやすくなります。また、採用面接では見えにくい学生の一面を理解できる点もメリットです。
一方で、企画や集客に手間や時間がかかることが課題です。採用広報の一環として実施する場合は、事前準備と社内協力体制の構築が重要です。
新卒紹介
新卒紹介は、人材紹介会社を通じて学生を紹介してもらう採用手法です。企業の求める人物像にマッチした学生を紹介してもらえるため、効率的に母集団を形成できます。
この方法は基本的に成果報酬型で、採用が決定しない限り費用が発生しません。採用単価は1人あたり約50〜120万円と高めですが、採用担当者の負担を軽減できる点が大きな利点です。
デメリットとしては、紹介数が限られる場合があること、学生側の活用率が比較的低い傾向にある点が挙げられます。採用工数を抑えたい企業にとっては有効な選択肢です。
インターンシップ
インターンシップは、学生が実際に企業の業務を体験するプログラムで、現在の新卒採用において非常に重要視されています。学生の約9割がインターンシップに参加しており、企業側も約7割が実施しています。
体験を通じて企業理解が深まり、学生と企業のミスマッチを防ぐ効果があります。特に、社員と同様の業務を経験できる「長期インターン」は、採用後の定着率向上にもつながります。
2025年卒からは制度上「採用直結型インターンシップ」も導入され、インターンシップから選考へスムーズにつなげることが可能になりました。運営には工数や社内協力が必要ですが、早期から優秀層に接触できる効果的な手法です。
合同説明会・イベント
合同説明会や採用イベントは、1日で多くの学生と出会えるリアルな接点の場です。企業を知らなかった学生や、業界に関心を持っていなかった層とも接触できるのが特徴です。
この手法のメリットは、短期間で多くの学生に企業を知ってもらえる点と、他社の採用活動の傾向を知れる点にあります。プレゼン内容やブースでの声かけ方によって学生の関心を引きつけやすく、認知拡大にも効果的です。
一方で、出展準備や当日の運営に工数がかかるほか、知名度の高い企業との差が出やすい点には注意が必要です。また、出展時期や天候によって参加学生数が変動するリスクもあります。
新卒採用活動での注意点
採用をスムーズに進めるためには、計画や業務の進め方だけでなく、効率化や市場変化への対応にも目を向けることが重要です。ここでは、新卒採用活動で押さえておくべき主な注意点について解説します。
新卒採用の成果が出ない場合は採用チャネルや手法を見直す
新卒採用では、複数の母集団形成方法を組み合わせて活用するのが一般的です。しかし、過去の成功体験にとらわれて同じ手法を続けてしまうと、採用市場の変化に対応できず、効果が低下することがあります。
例えば、手間や費用の問題で採用サイトやオウンドメディアの更新が止まっているケースや、成果が出ないチャネルを放置しているケースでは、学生の印象を悪くする恐れもあります。
そのため、どの手法がどの程度成果を上げているのかを常にモニタリングし、必要に応じて採用手法を見直すことが大切です。効果測定と改善を繰り返すことで、限られたリソースでも効率的に成果を高められます。
新卒採用の業務を効率化する
新卒採用の業務は、広報・選考・フォローなど多岐にわたり、時期が重なって発生することも多いため、業務効率化は避けて通れない課題です。
特に初めて新卒採用を行う場合、社内の人的リソースだけで全ての業務を対応するのは難しいケースもあります。そのため、業務を細分化し、必要な時期に必要な範囲でアウトソーシングを活用するといった対応も有効です。
業務負担を適切に分散させることで、採用活動全体の質を維持しつつ、担当者の負担軽減にもつながります。
新卒採用市場の変化に柔軟に対応する
新卒採用市場は、景気動向や教育環境、新しい採用サービスの登場などによって常に変化し
ています。例えば、コロナ禍をきっかけにオンライン説明会やWeb面接が急速に普及し、遠方の学生との接点が増えたり、対応できる学生数の拡大により採用基準を上げられるようになったといった変化が見られました。
こうした環境の変化に対応するためには、学生の価値観やニーズの変化を注視し、それに合わせて採用活動の方法や内容を調整することが欠かせません。市場の変化に柔軟に対応する姿勢が、持続的な採用成功につながります。
初めての新卒採用でよくある5つの失敗ケース&対策
初めての新卒採用では、スケジュールの遅れや母集団形成の課題など、想定外のトラブルが起こりがちです。ここでは、多くの企業が陥りやすい5つの失敗事例と、それぞれの効果的な対策について解説します。
スケジュール感がわからず、他社に後れを取る
新卒採用は、中途採用と異なり、あらかじめ大まかな年間スケジュールが決まっています。近年では採用活動の早期化が進んでおり、従来の経団連スケジュールを参考にしてしまうと、他社よりも遅れを取る可能性があります。
以前の就活スケジュールでは、広報活動は卒業年度直前の3月1日以降、選考は6月1日以降、内定出しは10月1日以降が目安とされていました。しかし現在では、面接のピークは3月上旬、内定出しのピークは4月下旬へと早まっています。
優秀な学生ほど早い段階で内定を獲得し、就職活動を終える傾向が強いため、早期のアプローチが採用成功のカギとなります。学生や競合企業の動きを把握しながら、適切な採用スケジュールを策定しましょう。
認知度が低く、母集団形成に苦労する
新卒採用を初めて行う企業や知名度の低い企業の場合、学生からの応募を待つだけの方法では、母集団形成が難しいことがあります。応募を「待つ」だけでなく、企業側から積極的にアプローチする姿勢が求められます。
自社にマッチした人材に対して効率的にアプローチすることで、知名度に左右されることなく母集団を形成することが可能です。学生への認知を広げるためには、複数の採用チャネルを活用し、戦略的に発信していくことが重要です。
書類や面接で学生を見極められない
新卒採用では、中途採用のようにスキルや実績をもとに評価するのではなく、ポテンシャルや将来性を重視します。そのため、従来の中途採用の基準をそのまま当てはめると、学生の見極めに苦戦するケースが多く見られます。
採用基準や面接での質問内容をあらかじめ定め、評価項目を統一しておくことが必要です。明確な基準を設定することで、複数の面接官が同じ観点で学生を判断でき、評価のばらつきを防ぐことができます。
内定者フォローのノウハウがなく、内定辞退が続出する
新卒採用では、内定から入社まで半年〜1年ほど期間が空くことが多く、長期的なフォローが欠かせません。学生の多くは就労経験がないため、内定後も「本当にこの会社でよいのか」と不安を感じる傾向があります。
フォローが十分でないと、学生が他社への興味を持ち、内定辞退につながるリスクがあります。内定者交流会や情報提供などを通じて不安を軽減し、入社へのモチベーションを維持することが大切です。
また、新卒採用の実績が少ない企業では、候補者本人が入社を希望していても、家族からの反対を受ける場合もあります。そのため、社内報などを候補者の家庭へ送付するなど、本人だけでなく家族へのフォローも有効です。
適切な採用目標を設定できず、人材の不足・過剰が生じる
新卒採用では、短期的な採用ではなく、中長期的な視点で計画を立てることが求められます。毎年一定数の新入社員を採用し、安定した組織成長を支えることが目的となるため、採用人数の設定は慎重に行う必要があります。
経営層や関連部署と十分に連携を取らずに採用を進めると、人員の不足や過剰が生じるリスクがあります。採用目標を立てる際は、受け入れ体制・教育コスト・早期離職率などを考慮し、現場と経営双方の視点からバランスを取ることが重要です。
初めての新卒採用ならワンキャリアにおまかせ!
初めての新卒採用では、「学生が集まらない」「選考が回らない」「何から手を付ければいいかわからない」と悩む企業が少なくありません。特にここ数年は売り手市場が続き、採用競争は年々激化しています。大手だけでなく中小企業でも「採用の仕組み化」が求められています。そんな中で頼りになるのが、ワンキャリアの新卒採用支援サービスです。
ワンキャリアは、全国の学生が利用する就活プラットフォームとして急成長しており、そのデータ量と発信力は業界トップクラスです。学生の検索行動やエントリー傾向をもとに、貴社に最適な母集団形成や訴求ポイントまで一気通貫でサポートします。「初めての新卒採用で何から準備すべきか知りたい」「予算内で効果的に学生を集めたい」という企業こそ相性が良く、専任のカスタマーサクセスが採用戦略の立案から選考設計、内定者フォローまで並走します。
また、採用広報に必要なコンテンツ制作(企業ページ、社員インタビュー、選考レポートなど)もワンストップで依頼可能です。学生に選ばれる企業づくりを、情報発信から仕組み化までしっかり支援します。
「初めての新卒採用だから不安」ではなく、「初めてでも成果が出る」ための仕組みづくりを、ワンキャリアが全力でサポートします。まずはお気軽にご相談ください。
初めての新卒採用に関するよくある質問(FAQ)
最後に、初めての新卒採用に関するよくある質問を4つご紹介します。
新卒採用を成功させるために必要な社内体制とは?
初めて新卒採用を行う企業にとって、社内体制の整備は最も重要なポイントの1つです。新卒採用は、中途採用よりも「関係者が多く、期間が長く、工数も多い」ため、採用担当1人では完結しにくいからです。まず必要なのは、経営陣・現場・人事の三者が連携できる体制をつくることです。
経営陣は「どんな人材が必要なのか」「どの部署を将来的に強化するのか」といった採用方針を明確にします。人事はその方針に沿って採用戦略を設計し、全体のプロジェクト管理を担います。現場社員は面接官として学生を評価するだけでなく、仕事内容を語る「リアルな発信者」にもなる重要な存在です。
また、新卒採用は評価軸に一貫性がないとミスマッチを生みやすいため、面接基準の統一やフィードバックルールの設定も必要です。さらに、採用広報や説明会運営、インターン企画など、担当者の負担が増えやすいため、社内の協力者(リクルーター、OBOGなど)を早めに確保しておくとスムーズです。「採用は全社戦略」という意識を共有できる体制が、新卒採用成功への第一歩になります。
採用管理システム(ATS)は導入すべきですか?
初めて新卒採用を行う企業こそ、採用管理システム(ATS)の導入がおすすめです。
新卒採用は、中途採用よりも応募者数が多く、説明会予約、ES提出、選考管理、面接調整、学生フォローなどの業務が膨大になりがちです。Excelやメールベースの管理は情報漏れや二重対応が起きやすく、歩留まり悪化につながります。
ATSを活用することで、「応募〜選考〜内定」までの一連のデータを一元管理でき、対応漏れを防ぎつつ業務効率を大幅に向上できます。学生ごとの進捗状況が一目でわかり、メールやLINEの一括配信、説明会予約ページの作成などが自動化されるため、採用担当者が本来注力すべき「学生とのコミュニケーション」に時間を割けるようになります。
特に新卒採用では、学生の志望度に影響を与える選考スピードが非常に重要です。ATSの導入によって連絡スピードが速くなり、辞退率が下がるため、初めての採用でも高い成果が期待できます。採用規模が小さくても、ATSは工数削減と歩留まり改善に直結する投資です。
面接官を務める社員にはどんなトレーニングが必要ですか?
新卒採用で学生を見極めるためには、面接官の質が採用成功を大きく左右します。特に初めて新卒採用を導入する企業では、面接官が学生に「圧迫だと思われる質問をしてしまう」「人によって評価がバラバラになる」などの失敗が起きやすいため、事前のトレーニングが必要です。
まず必須なのは、評価基準の理解と面接の目的共有です。「どんな人物を採用したいのか」「何を見極めるための質問なのか」を全員が同じ基準で理解していないと、採用の質が安定しません。また、学生は社会経験が少ないため、経験ではなく「ポテンシャル」を引き出す質問が必要です。「課題にどう向き合ったか」「成長したプロセスは何か」など、深掘りの仕方もトレーニングします。
さらに重要なことが、学生とのコミュニケーション力です。新卒採用では企業理解が浅い学生も多く、面接官の話し方や雰囲気が志望度に大きく影響します。ロールプレイ形式で模擬面接を行い、学生へのフィードバック方法や場のつくり方を訓練しておくと安心です。面接官の質は採用力そのものです。事前準備が新卒採用の成功を左右します。
採用担当が1人しかいない場合、どんな進め方が現実的ですか?
採用担当が1人しかいない場合でも、新卒採用は十分実施可能です。ただし「すべてを1人でやろうとしない」ことが成功のポイントです。まずは 採用業務を「やるべきこと」と「任せられること」に切り分けることから始めましょう。
例えば、説明会当日の運営や学生対応などは現場社員にリクルーターとして協力してもらい、広報や面接に関わる部分は採用担当が主導する形が効果的です。
次に重要なことが「採用業務の自動化・効率化」です。ATSの導入は必須に近く、説明会予約管理、メール送信、選考管理などはシステムに任せることで工数が激減します。また、採用広報もSNSや自社HPを活用すれば、費用を抑えながら発信の仕組みを作ることができます。
さらに、採用担当1人の場合は採用スケジュールの前倒しがおすすめです。早期募集・早期接触によって、じっくり学生と向き合えるため内定辞退の抑制につながります。採用担当が少ない企業ほど「仕組み化」と「協力者の確保」が重要です。無理なく成果を出すためにも、早期の計画と社内連携が成功の鍵になります。
おわりに
初めての新卒採用は、多くの企業にとって「ゼロからの挑戦」です。スケジュールの組み方や母集団形成、選考プロセスの設計など、やるべきことは多岐にわたります。しかし、1つ1つ丁寧に積み上げていけば、必ず自社に合う学生と出会うことができます。大切なことは、「どんな学生と、どんな未来をつくりたいのか」という軸をぶらさないことです。
また、新卒採用市場はここ数年で大きく変化し続けています。売り手市場の加速、インターンの長期化、採用チャネルの多様化など、従来のやり方だけでは成果を出すのが難しい場面も増えています。だからこそ、最新の市場動向に合わせて柔軟に動くことが、初めての採用では特に重要です。
本記事で紹介したステップや注意点は、まさに「今日から新卒採用を始める企業」が迷わず進むためのロードマップです。最初は不安もあると思いますが、採用活動は学生の人生だけでなく、自社の未来をつくる重要な経営活動です。じっくり向き合うことで、会社に新しい価値観や活力をもたらす「未来の仲間」に出会えるはずです。
「どこから始めればいいかわからない」と感じたときは、ワンキャリアのサービスやノウハウもぜひ活用してください。初めての新卒採用でも、正しいステップを踏めば必ず成功につながります。貴社の取り組みが実りあるものになることを、心から応援しています。

