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現代の採用活動は、求職者の多様化や情報収集手段の変化により、従来の方法だけでは優秀な人材の獲得が難しくなっています。特にコロナ禍以降はオンラインでの情報発信やコミュニケーションの重要性が高まり、企業はより効果的な採用手法を求めています。
そんな中、採用動画は企業の魅力を直感的に伝え、応募者とのミスマッチを減らす有効なツールとして注目されています。
本記事では、採用動画により期待できる効果やメリット・デメリット、制作ステップやポイント、成功事例から費用相場まで、企業の採用担当者が知っておきたい情報を網羅的に解説します。
採用動画とは
採用動画とは、企業が新卒採用や中途採用の際に、自社の魅力や働く環境、社員の声などを映像として伝えるためのツールです。従来のテキストや静止画による情報提供と比較して、動画は視覚的にも情報量が豊富で、企業の雰囲気や文化を直感的に伝えることができます。また、音声や映像の効果を用いることで、企業の理念や働く人々の生の声をリアルに伝えることが可能になります。
近年、若年層を中心に、動画コンテンツの視聴が増加しており、採用活動においても動画を活用することは、効果的なアプローチ方法として注目されています。採用動画は、企業ウェブサイトやSNS、求人サイトなど、様々なプラットフォームで活用することができ、企業が求めるターゲット層に直接アプローチすることが可能です。
採用動画の種類
採用動画のフォーマットは多岐にわたります。主なフォーマットは以下の通りです。
- 企業紹介動画:企業認知を高めたり、採用活動のコンセプトを伝えることを目的とする動画
- 社員インタビュー:現場で働く社員が、仕事の面白さや社内の雰囲気を伝える動画
- 会社説明動画:具体的なビジネスモデルや事業内容などを伝えることを目的とした動画
- 経営者メッセージ:経営者の人柄や、会社の目指す未来、経営戦略について、トップ自らが語る動画
- 座談会動画:複数の社員同士で会社や仕事について語ることで、就活生に会社のことを知ってもらう動画
- 説明会動画:実際に開催された企業説明会のプレゼンテーションや会場の様子を映像化した動画
採用動画が与える6つの効果・メリット
採用動画は、企業の魅力や働く人のリアルな姿を伝えることで、求職者の理解促進やミスマッチ防止につながります。視覚と音声で訴求できるため、採用競争が激化する今、重要度が高まっています。
ここでは、採用動画がもたらす6つの効果・メリットについて解説します。
事業内容・組織の理解が深まる
採用動画は、事業の全体像や職場の雰囲気、社員の働く姿など、文字情報では伝わりにくい内容を視覚的に届けられる点が大きな強みです。実際の業務風景や社員同士のコミュニケーション、組織体制やプロジェクトの進め方を映像として提示することで、求職者は「働く姿」を明確にイメージできます。
これにより、応募前の不安が軽減され、企業理解とキャリアのすり合わせが行いやすくなります。企業側にとっても、自社の強みや文化を自然な形で訴求する機会になります。
認知度や知名度が向上する
採用動画は、企業の存在や魅力を広く知ってもらうための効果的な手段です。SNSや採用サイト、会社説明会、オウンドメディアなど複数の媒体で公開することで、多くの求職者の目に触れやすくなり、結果として認知度向上につながります。
実際、学生への認知強化を目的に制作された動画が、公開後の採用サイト訪問数と回遊率の向上につながった事例もあります。
企業イメージが向上する
採用動画は、企業の実績やビジョン、働きがいなどの魅力を短時間で整理して伝えられるため、企業イメージ向上に大きく貢献します。
たとえば、学生が理解しやすい表現と親しみやすい演出を重視し、短時間でも魅力が伝わる動画を制作することで、視聴者が自然と企業の価値を受け取れる構成になります。こうした動画活用は、より良い候補者からの関心を集め、人材獲得力の向上にもつながります。
信頼性の獲得
採用動画を通じて職場の雰囲気や働き方のリアルな様子を見せることは、求職者に安心感と信頼を与える重要な要素です。
実際に働いている社員のインタビューや働き方に対する企業の取り組みを示すことで、応募前に抱きがちな不安を解消でき、応募行動に進む心理的ハードルを下げられます。
柔軟な働き方を実践する社員のリアルな姿を動画で伝えることで、自社への信頼性向上につながります。
ミスマッチの防止
採用動画は、職場環境や業務内容を具体的に伝えられるため、入社後に「イメージと違った」というギャップを防ぐ効果があります。
働く様子や人間関係、社風など、求職者が本当に知りたい情報を映像で確認できることで、入社後の定着率向上にもつながります。
実際に、業界に対するネガティブな先入観を払拭する目的で動画を制作し、適切な理解促進とミスマッチ低減を実現した事例もあります。
感情訴求による効果的なアピールが可能
採用動画は、文章中心の求人票では難しい「共感」を生み出せる点に大きな価値があります。社員の表情や会話、現場の空気感を映像化することで「この人たちと働きたい」という感情を喚起しやすく、応募行動への強い後押しになります。
社風や人柄といった非言語情報を届けられることで、理解だけでなく共感を得られる点は、採用活動における大きなメリットです。特に学生は職場の雰囲気を重視する傾向があり、エモーショナルな訴求は高い効果を発揮します。
採用動画が効果的な理由
採用動画は、多くの求職者に効率的に情報を届けられる手段として注目されています。文章や静止画だけでは伝わりにくい企業の雰囲気や働く姿を可視化でき、印象形成に大きく寄与します。ここでは、採用動画が採用活動において効果的である理由について解説します。
多くの人に気軽に見てもらえる
採用動画は、文章を読むよりも心理的な負担が少なく、求職者が気軽に視聴できる点が大きな利点です。長い文字情報を読み込む手間がないため、幅広い層に対してスムーズに情報を届けられます。
また、一度制作した動画は、自社サイトやSNSなどさまざまな媒体に掲載しやすく、オンライン上で多くの求職者へ効率的に配信できます。その結果、これまでリーチできなかった層にもアプローチできる可能性が広がります。
印象に残りやすい
動画は、映像と音声を組み合わせた訴求ができるため、文章だけの情報よりも強く印象に残りやすい特徴があります。企業が伝えたいメッセージやアピールポイントを演出として盛り込むことで、求職者の記憶に残る効果的なプロモーションが可能です。
さらに、繰り返し視聴されやすい点も強みであり、理解を深めながら企業に対する興味を継続させる働きがあります。
短時間で多くの情報を伝達可能
採用動画は文章と比較して圧倒的な情報伝達量を持ち、短い時間でも豊富な内容を届けられる点が強みです。映像を通じて職場環境や社員の姿、仕事内容を直接見てもらうことで、求職者は短時間で多角的な情報を理解できます。
「百聞は一見に如かず」と言われるように、実際の様子を視覚と聴覚で確認できるため、情報を正確に伝えやすい媒体といえます。
採用プロセスの合理化と工数削減
採用動画は、一度制作すると会社説明会や面談前の案内など複数のシーンで繰り返し活用できるため、採用プロセスの効率化に役立ちます。担当者が毎回同じ説明をする必要がなくなり、説明工数や必要なリソースを削減できます。
また、戦略的に動画を配置することで、求職者の理解を事前に深められ、採用活動全体をスムーズに進められる点もメリットといえます。
採用動画のデメリット
採用動画は効果的な施策である一方で、視聴環境や制作コストなど、注意すべき点も存在します。制作目的やターゲットが曖昧なまま進めると、逆効果となる可能性もあります。ここでは、採用動画における代表的なデメリットについて解説します。
通信制限の影響で見てもらえない場合も
採用動画は手軽に視聴できる一方、通信量を多く消費するという課題があります。特にスマートフォンでの閲覧が中心となる求職者にとって、通信制限を気にして視聴を避けるケースも考えられます。文章コンテンツに比べて通信負荷が高いため、動画を敬遠される可能性がある点は注意が必要です。
欲しい情報をピンポイントで検索困難
動画では、求めている情報に直ぐにアクセスするのが難しい場合があります。テキストであれば検索機能を使い、知りたい情報に瞬時にたどり着けますが、動画はキーワード検索ができません。
そのため「知りたい部分だけを早く確認したい」という求職者には使いづらさを感じさせる可能性があります。
場合によって印象悪化のリスクも
採用動画は、内容や演出によっては視聴者に悪い印象を与える場合があります。例えば、明るい職場の雰囲気を表現した演出が、受け手によっては「軽い」「不真面目」と感じられることもあります。
コメディ色が強い動画では志望度が下がる可能性を示す調査データもあり、対象者を明確にしたメッセージ設計が不可欠です。
費用がかかる
採用動画の制作は、撮影機材の準備や編集作業、出演者のキャスティングなどが必要となるため、費用が高額になりがちです。機材のコストや外注編集費、俳優やモデルへの出演料などが積み重なり、制作費が膨らむケースもあります。ただし、工夫次第でコストを抑えながら制作する方法も存在します。
制作に時間・スキルを要する
採用動画は、撮影や編集を行うための専門的なスキルと、準備・制作にかかる時間が必要になります。近年は撮影機材や編集ソフトの進化によりコストを抑えて制作できる環境が整いつつあるものの、一定の技術習得や作業負荷は避けられません。そのため、社内で内製する場合はスキル面とリソース面の課題も考慮する必要があります。
採用動画の制作ステップ
採用動画を成功させるためには、目的設計から公開後の改善までを計画的に進めることが重要です。行き当たりばったりでは成果を生みにくく、制作工程の理解が成功の鍵となります。ここでは、採用動画を制作するための具体的なステップについて解説します。
制作目的を明確化する
採用動画は、企業理解の促進やミスマッチ防止などさまざまな効果が期待できますが、目的が曖昧なまま制作を進めると、伝えたい内容がぼやけ、求職者の心に響きにくい動画になってしまいます。
そのため、「なぜ採用動画を制作する必要があるのか」「視聴者にどのような状態になってほしいのか」といった目的を明確に設定することが重要です。目的の整理が、企画や撮影内容の判断基準となります。
ターゲット(ペルソナ)を具体的に設定する
次に、採用動画を誰に見てもらいたいかを明確にするため、ターゲットとなるペルソナを設定します。年齢や性別、学歴、家族構成、趣味、性格、スキル、企業に求める条件などを具体化することで、映像の内容がブレず、伝えるべき要素を絞り込めます。
視聴者像が定まっていないと、訴求ポイントも曖昧になり効果が低下するため、ペルソナ設定は不可欠な工程です。
自社の強み・特徴を整理し明確化する
ペルソナ設定の後は、自社の強みや特徴を整理します。採用動画の内容が競合と似たものになってしまうと、差別化が難しくなります。
自社が特に優れている点や独自性のある取り組み、働き方や社内文化などを洗い出し、動画の中で表現できるようにしておくことが重要です。この工程により、オリジナリティのある魅力的な動画につながります。
コンテンツ企画・構成を作成する
自社の魅力を整理したら、動画の具体的な内容について検討します。採用動画には、事業内容を説明する動画や社員インタビュー、1日の仕事の流れを紹介するものなど、さまざまな形式があります。
制作目的やターゲットに合わせて、どのコンテンツをどのように盛り込むかを決定します。企画段階で方向性を固めることで、撮影や編集をスムーズに進められます。
動画の種類を決定する
企画内容の検討とあわせて、どの種類の動画を制作するかを決めます。事業説明型、インタビュー型、ドキュメンタリー型など、伝えたいポイントに適したスタイルを選択することが重要です。目的とターゲットを踏まえて動画形式を決定することで、必要なシーンや取材対象者も明確になり、制作工程が効率化します。
撮影計画を立て、準備を行う
動画の内容が決まり次第、撮影場所や出演者、スケジュールを決めて事前準備を行います。社員が登場するインタビュー動画の場合、事前に出演の許可を取り、スムーズに撮影できる環境を整えることが必要です。
準備段階で段取りが固まっていないと、撮影が予定どおり進まず工程全体に影響が出るため、計画は重要なステップとなります。
撮影および編集を行う
計画に沿って撮影を行い、その後編集します。伝えたい内容が視聴者に正しく伝わるよう、字幕の追加やBGMの選定などを行い、視認性やわかりやすさを意識した編集が求められます。外注する場合は、あらかじめ編集の方向性や表現意図を共有し合意を取ることが大切です。
公開前の確認を行う
編集が完了したら、公開前に内容の最終確認を行います。情報の誤りや不自然な部分がないか、伝えたい内容が正しく表現されているかをチェックし、必要に応じて修正します。事前の確認作業により、公開後のトラブルや誤解を防ぐことができます。
配信する
最終版が完成したら、SNSや採用サイト、オウンドメディアなどで配信を行います。配信先の選定によってリーチする層が異なるため、制作目的に沿った最適な媒体を選びながら公開します。
効果測定および動画のブラッシュアップを行う
公開後は、視聴数や反応などをもとに効果測定を行い、改善点を把握します。一度公開して終わりではなく、反響に応じて内容をブラッシュアップすることで、採用効果を最大化できます。
採用動画をより効果的にするポイント
採用動画は制作すること自体が目的ではなく、求職者に「自分ごと化」させ、採用成果につなげるための手段です。そのために押さえるべきポイントを理解しておく必要があります。ここでは、採用動画をより効果的にするための重要なポイントについて解説します。
求職者の視点に立って制作する
採用動画は、企業側が伝えたい内容だけを中心に制作すると、一方的な発信となり求職者の心には響きにくくなります。求職者が知りたいのは、企業の理念や雰囲気だけではなく、実際の仕事内容や働く社員の姿、入社後のイメージを持てるリアルな情報です。
就職活動の段階では不安を感じている求職者も多く、その不安を少しでも軽減できる内容を盛り込むことが効果的です。そのため、まずは「求職者が何を知りたいのか」「動画を見た後どう感じてほしいのか」といった視点に立った企画設計が重要です。
事業説明や社員インタビュー、1日の仕事の流れなど、求職者の関心が高いコンテンツを盛り込むことで、理解促進と志望意欲向上につながります。
最適な媒体を選択する
採用動画は、どれだけ内容が優れていても視聴されなければ効果を発揮しません。そのため、ターゲットとなる求職者が普段どの媒体を利用しているのか、どの場所での配信が最も認知につながるのかを考える必要があります。
企業説明会の上映や自社サイトへの掲載だけでなく、採用サイト・動画プラットフォーム・SNSなど複数の配信方法を柔軟に選択することが大切です。また、媒体ごとに視聴環境や目的が異なるため、各媒体に適した動画形式や時間構成を検討することも重要です。
求職者が日常的に利用しているSNSでの発信も効果的です。SNSは幅広い層へ迅速にアプローチでき、企業アカウントを活用した継続的な情報提供により、求職者との接点を増やすことができます。
また、YouTubeのような動画視聴が中心の媒体は採用動画との相性が良く、多くの企業が活用しています。公開後の拡散も期待できるため、視聴導線の設計やシェアされやすい内容の工夫が重要です。求職者に届きやすい場所を理解したうえで、複数媒体を組み合わせて運用することで、採用動画の効果を最大化できます。
採用活動全体に組み込む
採用動画は、認知獲得だけを目的として制作するのではなく、採用活動全体の各段階で活用していくことで大きな効果を生み出します。説明会・面接・内定後のフォローなど、求職者の心理状況に合わせた最適なタイミングで動画を活用することで、理解促進や志望度向上へとつながります。
採用フロー全体に動画を組み込むことで、求職者に対して一貫したメッセージを届けることができ、企業の魅力が伝わりやすくなります。
リアリティのある情報を積極的に発信する
採用動画を制作する際は、企業の良い面だけを誇張するのではなく、実際の働き方や現場で起きている課題、苦労などリアルな情報も意識的に盛り込むことが重要です。求職者は、表向きのイメージだけでなく本音ベースの情報を求めており、リアリティのある内容は企業への信頼感や共感を高める効果があります。
具体的には、社員がこれまでの困難をどう乗り越えたか、何にやりがいを感じているか、実務の流れや働き方に関する具体的な視点を映像で伝えることが効果的です。良いことだけを提示すると入社後にギャップが生まれ、ミスマッチや早期離職を招く可能性があります。
ありのままの姿を発信することで、求職者はより納得感を持って応募の判断ができ、結果として採用活動の質も向上します。
コンセプトの一貫性を維持する
採用動画は単体で完結するものではなく、採用活動全体の中で統一されたメッセージを届ける必要があります。そのため、採用動画ごとに方向性や表現が大きく異なると、求職者に混乱を与え企業イメージを損なう可能性があります。
動画のテーマやトーン、伝える価値観、ビジュアルの雰囲気などを統一し、採用ページや説明会資料、採用担当者の発言内容など他の情報とも整合性を持たせることが重要です。経営層や現場社員など組織全体で共通認識を持つことで、求職者に「一貫性のある企業」「信頼できる組織」という印象を与えられます。
動画と他の採用接点が結びつくことで、より高い説得力とブランド価値の向上につながります。
データやアンケートを活用する
採用動画の効果を最大化するためには、制作段階での「コンテンツへのデータ活用」と、運用段階での「視聴者フィードバックの活用」という2つの視点が重要です。
まずコンテンツ面では、動画内に客観的な数値を盛り込みます。「社内の雰囲気」という定性的な魅力に加え、社員アンケートに基づいた「働きやすさの満足度」や「有給取得率」などの定量データを提示することで、動画の説得力と信頼性は格段に高まります。
そしてさらに重要なのが、動画視聴後のアンケート活用による質の向上です。 企業側が「伝えたい魅力」と、求職者が「実際に感じた印象」にはズレが生じることがあります。説明会や選考フローで動画を視聴してもらった後に、「志望意欲は変化したか」「どのシーンが印象に残ったか」「動画の長さは適切だったか」といったアンケートを実施しましょう。
ここで得られた「視聴者の生の声」を分析し、構成の見直しや次回の制作に反映させる(PDCAを回す)ことが重要です。独りよがりな発信にならず、求職者の視点を取り入れながら改善を繰り返すことで、採用動画はよりターゲットに響く強力なツールへと進化していきます。
理想と現実の両方を見せる
採用動画で企業の魅力を伝えることは重要ですが、理想像のみを強調しすぎると、入社後の実態とのギャップが大きくなり、早期離職などのミスマッチを招くリスクがあります。
そのため、働く中での厳しさや課題、改善に向けた取り組みなど、現実の側面も正直に提示することが大切です。弱みや課題を公開することはネガティブな印象につながると思われがちですが、実際には透明性のある姿勢として評価され、求職者の共感や信頼を強化する結果につながります。
「その課題にどう向き合っているのか」「どのように改善してきたのか」といったストーリーを含めることで、企業の成長意欲や文化が伝わる採用動画になります。
動画の量を重視して発信する
採用動画は、1本の完成度の高い映像だけで採用効果を最大化できるわけではありません。動画制作にこだわりすぎると、編集工数や制作費用が膨らみ、公開までの期間が長くなるという課題も生じます。
また、動画は鮮度が短いため、時間が経つほど情報の価値が低下してしまいます。そのため、細部までこだわりすぎるよりも、複数のテーマでテンポよく制作・公開することが重要です。
短尺の動画を多く制作し、PDCAを高速で回すことにより、常に最新の情報を求職者に提供できます。部署紹介・社員インタビュー・制度紹介・働き方紹介などテーマ別の動画をシリーズ化することで、視聴者が知りたい情報へスムーズにアクセスできる導線をつくれます。
動画の量を確保し、継続的な発信を行うことで、採用活動全体の成果を高めることが可能です。
SNSを活用する
採用動画の効果を最大化するには、SNSの積極的な活用が欠かせません。SNSは幅広い世代に普及しており、多くのユーザーが日常的に情報収集に利用しています。そのため、SNSを通じて採用動画を公開・共有することで、従来の説明会中心のアプローチだけでは届かなかった求職者にもアプローチできる可能性が高まります。
動画を投稿する際は、ただ掲載するだけでなく、シェア促進の仕組みを取り入れることが重要です。例えば、企業の従業員に対して動画投稿の共有を依頼したり、ハッシュタグを活用して関連コミュニティへ届きやすくするなどの工夫が効果的です。
また、コメント対応など双方向のコミュニケーションを大切にすることで、求職者との信頼関係を築き、エンゲージメントの向上につなげることができます。SNSでの発信は単なる広告ではなく、求職者との対話の場として機能させることがポイントです。
公開のタイミングも大切
採用動画の成果を高めるためには、配信するタイミングにも注意が必要です。求職者は応募前から内定後まで各フェーズで知りたい情報が変わるため、求職者の状況や行動に合わせて最適な時期に動画を公開することが重要です。
例えば、企業認知を高めたい場合は選考開始前の早い段階での配信が有効であり、仕事内容や職場の雰囲気を伝えたい場合は選考フローの途中、内定承諾を後押しする目的であれば、内定後のフォロー段階で配信することで高い効果が期待できます。
応募者のカスタマージャーニーを意識し、「どの段階でどんな情報が求められているのか」を整理したうえで動画制作と公開計画を進めましょう。また、採用環境や社内状況の変化にも柔軟に対応し、定期的に動画の更新を行うことで、常に最新情報を届けられる採用体制を構築できます。
採用動画の制作事例集
株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントは「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」を掲げ、メディア・広告・ゲーム・AI・DXなどを展開する企業です。新卒では「素直でいい人」を重視し、社内で事業を創る人材の採用を目指しています。
同社の課題は、オフライン説明会の負担の大きさや「自社発信ではなく第三者視点で魅力を深掘る動画を作りたい」というニーズでした。学生の動画視聴傾向を捉え、会社説明会を動画視聴→選考へと最適化する方針と相性が良かったことから、ワンキャリアの動画コンテンツを活用しました。
導入の成果として、従来の「1年目から新規事業」から「まずは既存事業の修羅場を経験」という新しい採用ブランディングの確立に成功したことに加え、日系大手や外資系企業を志望する学生へのリーチができました。
株式会社SHIFT
株式会社SHIFTは、ソフトウェアの品質保証やテストを中心に事業を展開している企業です。
同社はBtoB企業のため学生の認知度が低いことや、採用拡大に伴い従来のナビサイトやイベントだけでは集客に限界を感じていた点が課題でした。そこで、優秀な学生が多く視聴するYouTube説明会「ワンキャリアライブ」であれば、ターゲット層へ効果的にアプローチできると考え、導入に至りました。
得られた成果としては、自社の企業理解が進んだ状態で選考に臨む学生が増えてきたことが第一に挙げられます。また、ワンキャリアライブでは、司会者が第三者目線で深掘りをして、魅力を引き出すことに成功しました。採用動画を通じて効果的にターゲットに訴求することができた好事例と言えるでしょう。
公益財団法人 日本財団
公益財団法人 日本財団は、幅広い分野で助成事業や自主事業を展開する国内最大規模の民間財団です。同財団の新卒採用では、多くの学生へ理念や事業内容を的確に伝える手段の不足や、担当者が一名体制のため工数をかけられない点が課題でした。
そこで日本財団は、ワンキャリアを活用し、動画による説明会を実施しました。オンラインで気軽にアクセスできる動画形式にすることで、地域を問わず幅広い学生にアプローチ可能となり、参加のハードルを大幅に下げることに成功しました。さらに、動画を通じて財団の取り組みや求める人物像をわかりやすく伝えたことで、学生の理解と共感を深める効果も得られました。
この取り組みにより、選考に進む学生の企業理解度が向上。互いに納得感の高い状態で内定を出すことができ、結果として「1年目の新卒離職率ゼロ」を達成しました。
採用動画の相場
採用動画の相場は、動画の目的や制作規模、撮影日数、演出方法によって大きく変動します。
まず、50万円未満の費用帯では、会社紹介や社員インタビューを中心としたシンプルな構成を短時間の撮影で制作するケースが一般的です。既存素材を活用することでコストを抑えられ、初めて採用動画を導入する企業にも向いています。
50万円〜100万円未満では、複数部署の社員インタビューや仕事風景を交え、企業文化や働く人の多様性を伝えられる表現が可能になります。編集の幅も広がり、より具体的な職場イメージを提供できます。
100万円〜200万円未満では、社員への密着取材など撮影日数を複数日に分ける制作が増え、働く姿をリアルに描くことでミスマッチ防止にも効果を期待できます。
200万円以上になると、ドラマ仕立ての演出やナレーションを組み合わせたブランディング動画として制作され、視聴者の感情に強く訴求できる表現が可能です。
採用動画の外注費を抑える方法
採用動画は高額になりがちですが、工夫次第で費用を最適化できます。事前準備や制作体制の工夫により、品質を保ちながらコスト削減を実現することが可能です。ここでは、採用動画の外注費を抑えるための具体的な方法について解説します。
徹底した事前準備を行う
採用動画の制作費を抑えるためには、撮影前の事前準備を徹底することが重要です。企画や構成が曖昧なまま制作を開始してしまうと、撮影のやり直しや編集作業の追加が発生し、費用が膨らみやすくなります。
求職者に伝えるべき要素を明確に整理し、必要な撮影カットや出演者、撮影場所などを事前に決めておくことで、無駄な工数を削減できます。費用を抑えつつ効果の高い動画に仕上げるには、事前の設計段階で方向性を固めておくことが最も重要なポイントになります。
制作工程の一部内製化
動画制作は企画、撮影、編集など複数の工程に分かれて進むため、その一部を自社で担うことでコストを削減できます。例えば、企画や絵コンテ制作、出演者調整、動画編集の一部を内製するなど、外部委託の範囲を限定することで費用負担を減らせます。
ただし、訴求力の高い採用動画に仕上げるには、メッセージ設計や構成作成はプロの知見が重要となるため、企画段階から制作会社へ依頼する方法も検討すべきです。役割分担を整理し、自社で可能な部分を明確にすることがポイントです。
動画の尺を短縮する
動画制作費は、撮影日数や編集工数に影響する動画尺によって大きく変動します。そのため、伝えたいメッセージを絞り込み、短い尺で構成することで制作コストを抑えられます。
短い尺の動画は、求職者が見やすく検索性も高いため、採用活動における活用性が広がる点もメリットです。特にインタビュー形式や社内密着型の動画は、短い時間でも内容を伝えやすく、費用対効果の高い制作が可能です。
自社スタッフを活用したキャスティング
採用動画にタレントや外部モデルを起用すると出演料が発生し、制作費が大きくなる場合があります。そこで、自社のスタッフを出演者として起用することでキャスティング費用を抑えられます。
実際に働く社員のリアルな声や働く姿を映すことで、求職者にとって社内の雰囲気や人の魅力が伝わりやすくなるメリットもあります。ただし、出演者が退職する可能性も考慮し、肖像権に関する誓約書などの取り交わしを行うなど、トラブル回避の体制を整えておくことが重要です。
パッケージプランの利用
制作会社のなかには、採用動画向けに企画・撮影・編集を一定価格で提供するパッケージプランを用意している場合があります。フルオーダーで制作するより費用が抑えられることが多く、予算に応じて効率的に導入できる点がメリットです。撮影内容や編集範囲があらかじめ決まっているためスケジュール進行がしやすく、初めて採用動画を制作する企業でも利用しやすい方法といえます。
フリーランスに依頼する
制作会社に依頼する場合と比べて、フリーランスのクリエイターへ依頼することで費用を抑えられる可能性があります。ディレクター、カメラマン、編集者など、必要なスキルのみを個別に依頼できるため、柔軟な体制で制作が進められます。
ただし、実績や品質にばらつきがある場合もあるため、過去の制作物や得意なジャンルを確認し、適切な人材を選定することが重要です。
助成金・補助金を活用する
採用活動の一環として動画制作を行う場合、対象となる助成金・補助金を活用することで、制作費の負担を軽減できる可能性があります。
助成制度の内容や対象要件は自治体や時期によって異なるため、事前に情報を収集し、自社に適用できる制度がないか確認することが大切です。条件に合致すれば、採用広報の費用負担を抑えながら効果的な動画制作につなげられます。
採用動画に関するよくある質問
採用動画の制作方法や費用、効果測定などについて、多くの企業が共通して疑問を抱えています。制作を検討する前に理解しておくことで、失敗を防ぎ、効率的な活用が可能になります。ここでは、採用動画に関するよくある質問について解説します。
採用動画を作る際には、内製と外注どっちがいいの?
採用動画の制作方法は「内製」と「外注」のどちらにもメリットがあります。内製は費用を抑えやすく、迅速に制作しやすい点が魅力です。SNS用の短尺動画や社員インタビューなど、日常的に更新する動画は内製と相性が良いでしょう。
一方で、企業のブランドを強く打ち出す動画や、ストーリー性・演出が必要な映像は、専門知識や技術が求められるため外注が適しています。どちらか一方に絞るのではなく、目的と難易度に応じて使い分けることが重要です。
採用動画の効果測定をする際、何を確認すればいいですか?
採用動画の効果を測定する際には、視聴数や視聴維持率、再生完了率、問い合わせ件数、応募数などの指標を確認します。特に視聴維持率は、動画の内容がターゲットに適しているかを判断する重要なポイントです。
また、動画視聴前後で採用サイトの訪問数や回遊率が向上しているか、面談や説明会での志望度が上がっているかといった定性的な変化も合わせて確認すると、改善点を導きやすくなります。
最近人気の採用動画のスタイルを教えて?
近年は、短尺でテンポよく情報を伝える「ショート動画」や、社員のリアルな働き方を映す「密着ドキュメンタリー形式」が人気を集めています。
また、ストーリー仕立てで感情に訴求するブランディング動画や、若年層に向けた縦型SNS動画の需要も高まっています。従来の会社説明型だけでなく、共感やリアリティを重視するスタイルが選ばれる傾向にあります。
新卒をターゲットにした採用動画の作成ポイントを教えて?
新卒向けの採用動画では、仕事内容だけでなく「社員の1日の流れ」「働く人の人柄」「入社後の成長イメージ」を明確に伝えることが重要です。
学生は働くイメージが持ちにくいため、現場のリアルな様子や先輩社員の声を映すことで、安心感や共感を生みやすくなります。また、長尺よりも短尺で複数本制作し、SNSなど若者が利用する媒体で発信することが効果的です。
専門職をターゲットにした採用動画の作成ポイントを教えて?
専門職向けの採用動画では、仕事内容の具体性や求められるスキル、担当プロジェクトの事例など、専門性の高さを正しく伝えることが重要です。
深い理解を求める視聴者が多いため、技術者や専門職社員へのインタビュー形式で、やりがいや挑戦できる環境を伝える構成が向いています。また、使用ツールや開発環境などを明示することで、応募者の納得感が高まり、質の高い応募者の獲得につながります。
おわりに
採用動画は、現代の採用市場において、企業のありのままの姿を伝え、ミスマッチのないマッチングを実現するための必須ツールです。
導入にはコストや工数がかかりますが、適切なターゲット設定と構成作りを行えば、採用効率の向上や内定辞退の防止など、多大な成果をもたらします。
重要なのは、制作して満足するのではなく、効果検証を通じて改善を続けることです。ぜひ本記事のノウハウを参考に、自社の魅力を最大限に引き出す動画活用を始めてみてください。

