目次
採用コンセプトとは?
採用コンセプトとは、自社にマッチする人材を採用するために、「誰に、何の目的で、何を伝えるか」という方向性を定めたものです。企業の魅力や強みを言語化し、採用活動の軸となる概念です。
例えば、「組織を多様に、チームをしなやかに」というメッセージは、自社のありたい姿や共に働く仲間への思いを言葉にした採用コンセプトの一例です。
こうしたコンセプトは候補者に向けた自社紹介であると同時に、「こんな人と働きたい」という採用要件の明示でもあります。
なお、採用コンセプトは一度決めたら終わりではなく、事業の変化や採用方針の変更にあわせて更新していくものであることを覚えておきましょう。
採用キャッチコピーとの違い
採用キャッチコピーは、社外の候補者に向けて発信される採用メッセージです。一方、採用コンセプトはあくまで社内の採用活動における軸であり、誰に何を伝えるかという戦略そのものです。
つまり、採用キャッチコピーは「発信の形」、採用コンセプトは「考え方の根幹」といえるでしょう。
採用コンセプトが重要になった背景
企業の採用活動において、採用コンセプトの重要性が高まっています。その背景には、求職者の価値観や志向の変化、企業間の人材獲得競争の激化など、複数の要因が存在します。ここでは、採用コンセプトが求められるようになった社会的背景を解説します。
企業間の人材獲得競争の激化
日本では少子高齢化の影響により、年々労働人口が減少しています。こうした背景のなか、企業は優秀な人材を確保するために競合他社との激しい競争にさらされています。
そのため、求職者に「ここで働きたい」と思ってもらうための工夫が不可欠です。採用コンセプトを設定することで、自社の魅力を端的に伝え、応募を後押しする役割を果たします。
「社風」を重視する求職者の増加
求職者の企業選びでは、給与や勤務地などの条件だけでなく、「社内の雰囲気」や「働いている人の印象」といった定量化しにくい要素を重視する傾向が強まっています。
実際、株式会社ワンキャリアが実施した2026年卒向けのアンケートによると、「興味がわく仕事内容」や「専門性を活用できるか」といった個人の志向性を重視する声が上位を占め、「平均年収が高いこと」は4番目にとどまりました(※1)。
採用コンセプトを通じて会社のありのままの姿を発信することは、共感を呼び、競合との差別化にもつながります。
(※1)参考:ワンキャリア「【2026年卒 就活実態調査】給与・成長よりも「働きやすさ」を重視する傾向が明らかに」
採用コンセプトを設定するメリット4つ
採用コンセプトを設定することで、採用活動全体に一貫性が生まれ、企業と求職者の双方にとって多くのメリットがあります。ここでは、採用活動をスムーズかつ効果的に進めるための4つの利点をご紹介します。
採用活動で1つの軸ができる
採用コンセプトを設定することで、「どんな人材を採用したいか」や「採用活動で大切にすべきことは何か」といった軸が明確になります。これにより、採用に関わる社員間で認識を共有しやすくなり、選考時の評価にも一貫性が生まれます。
また、発信する情報にも統一感が出るため、企業イメージをブレさせずに伝えられ、採用ブランディングの強化にもつながります。万が一、採用方針をめぐって社内で意見が分かれた場合でも、立ち返る基準として機能します。
他社と差別化した採用活動を行える
同じ業界や業種の企業同士では、ターゲットとなる人材が重複することが多く、人材獲得競争は激化しています。そこで有効なのが、採用コンセプトによる差別化です。
採用コンセプトを通じて、自社の独自性や価値観を伝えることで、競合他社との違いを明確に打ち出すことができます。求職者に「この会社ならではの魅力がある」と感じてもらうことができれば、応募意欲の向上も期待できるでしょう。
自社の理念・思いを簡潔に伝えられる
採用コンセプトは、企業の理念や価値観を簡潔にまとめたメッセージとしても機能します。理念や社風などの「自社らしさ」を起点に設定されるため、求職者に思いを直接伝える手段として非常に有効です。
また、採用に関わる社員間でも共通認識が形成されることで、面接や会社説明会などで一貫した情報提供が可能になります。外部の制作会社にパンフレットなどを依頼する際も、採用コンセプトがあることで自社の意図が的確に伝わりやすくなります。
採用のミスマッチを防げる
採用コンセプトを採用サイトなどで発信することで、自社に合わない人材からの応募を抑える「セルフ・スクリーニング」の効果が期待できます。これにより、求職者と企業の間にある認識のギャップを事前に減らすことができます。
実際、株式会社ディスコの調査では、就活生の約半数が採用コンセプトを確認してから応募しているという結果も出ています。コンセプトの発信は、母集団の質を高め、採用ミスマッチの防止に大きく貢献する取り組みといえるでしょう。
採用コンセプトの作り方【4ステップ】
採用コンセプトは、ただキャッチーな言葉を考えるだけでは不十分です。企業の理念や採用目的、求める人物像を丁寧に整理し、段階的に設計していくことが重要です。以下では、採用コンセプトを構築するための4つのステップをご紹介します。
1.ミッションやターゲットの明確化
まずは、どんな人材を採用したいのか、ターゲット像を具体的に言語化します。年齢や職種、これまでの経歴、性格や価値観など、ペルソナレベルで整理することが重要です。曖昧な人物像のままでは、採用基準がばらつき、ミスマッチが生じやすくなります。
例えば「好奇心の強い人」などの抽象的な表現ではなく、「新しい技術を自主的に学び、周囲を巻き込んで挑戦できる人」といった具体性を持たせましょう。
必要な要素を「MUST(必須)」と「WANT(望ましい)」に分けると、選考の幅を持たせつつ、軸もぶれにくくなります。
2. 自社の強みや魅力の洗い出し
次に、自社のポジションや魅力を整理します。会社の沿革や経営陣、事業内容、働き方、待遇などを明文化し、どんな価値を提供できるかを把握します。採用媒体に載せる項目を洗い出すことで、採用メッセージの骨格も明確になります。
さらに、競合企業の調査も重要です。自社がどのような人材を求め、どんなメッセージで訴求しているのかを比較することで、差別化のポイントが見えてきます。自社の「自己実現的価値」「社会的価値」「独自性」の3つを軸に、強みを言語化しましょう。
3. コンセプトの伝え方とストーリーの工夫
採用コンセプトの核が定まったら、それをどう伝えるかを検討します。採用サイトやSNS、オウンドメディア、動画、社員インタビューなど、活用する広報施策によって伝え方が変わるため、自社に合った手法を選びましょう。
例えば現場のリアルを伝えたい場合は、社員インタビュー動画を採用サイトに掲載すると効果的です。逆に短時間で多くの人に知ってもらいたい場合は、SNSや採用ピッチ資料の活用が有効です。
ターゲットにどう届けるかを意識しながら、媒体とストーリーを設計していきます。
4. 採用コンセプトの言語化
最後に、採用コンセプトを端的な言葉に落とし込みます。伊藤忠商事の「アオい情熱を待っている」のように、理念やターゲット像を反映した印象的なメッセージが理想です。
言葉のセンスが問われるフェーズですが、サントリーホールディングスの「やってみなはれ」のように、理念や期待をそのまま伝える方法もあります。候補者にどんな印象を与えたいかを明確にし、心に残るメッセージとして仕上げましょう。
採用コンセプトを作る際のポイント3つ
採用コンセプトを効果的に機能させるには、いくつかの視点を押さえて設計することが欠かせません。ここでは、求職者に響くコンセプトを作るうえで意識したい3つの重要なポイントを解説します。
他社と差別化されているか
せっかく綿密に設計した採用コンセプトも、競合他社と似たような内容であれば埋もれてしまいます。まずは、自社の競合となる企業を分析し、自社にしかない魅力や特徴を明確にしましょう。
例えば「挑戦できる環境」や「若手が活躍できる社風」といった一般的な文言ではなく、他社では実現できない具体的な制度や文化に着目することがポイントです。自社ならではのオリジナリティを意識して、印象に残るコンセプトを目指しましょう。
実現できるコンセプトか
採用コンセプトには理想やビジョンを込めることが多いですが、それが実現可能であるかどうかは非常に重要です。現実との乖離(かいり)が大きすぎると、求職者に不信感を与える原因になります。
掲げたコンセプトが、実際に社内で体現されているか。あるいは、実現までにどのくらいの時間や取り組みが必要か。こうした点を逆算し、無理のない範囲でメッセージ化することが信頼性につながります。
求職者から共感を得られるか
採用コンセプトは、発信する企業側の自己満足であってはなりません。大切なのは、求職者が「自分もこの会社で働きたい」と共感することです。
そのためには、自社のビジョンを押しつけるのではなく、ターゲット層の志向や価値観を理解したうえで、双方の接点となるメッセージを設計することが必要です。自社と求職者のビジョンが重なったとき、初めてコンセプトが効果を発揮します。
有名企業の採用コンセプトの事例一覧【10社】
自社に合った採用コンセプトを考えるうえで、他社の成功事例は大いに参考になります。ここでは、ソニーやニトリ、伊藤忠商事など、日本を代表する10社の採用コンセプトをご紹介します。
ソニーグループ
ソニーグループの採用コンセプトは「あなたは感動の原動力」です(※2)。世界中に多様な製品やサービス、コンテンツを届ける同社は、「心を動かす体験」の創出に情熱を注いでいます。
どんな感動も、ひとりの思いから始まります。夢や好奇心、ひらめき、挑戦する意欲が、同じ志を持つ仲間と響き合うことで、やがて世界を動かす力になる。そんな信念がこのコンセプトに込められています。
また、ソニーは多様な人材が活躍できる環境や、挑戦を尊重する自由闊(かっ)達な企業文化を大切にしています。社員一人一人の思いに真剣かつ対等に向き合う姿勢は、個人の力を引き出し、企業の原動力として結実させる力強いメッセージとなっています。
(※2)参考:ソニー「採用情報」
ニトリ
ニトリグループの採用コンセプトは「君の夢は、君を創る。」です(※3)。学生一人一人が持つ「なりたい姿」や「成し遂げたいこと」に正面から向き合い、挑戦心や高い目標を大切にする姿勢がこの言葉に表れています。
ニトリは、どんな時代でも自分らしく働ける場所を目指し、変化と挑戦を通じて未来を切り開く人材を歓迎しています。その中心にいるのは、他の誰でもない「あなた自身」であるというメッセージは、主体的なキャリア形成を促す力強いメッセージとなっています。
また、採用活動においては、専属リクルーターが学生一人一人に寄り添いながらサポートを行っています(※4)。夢や目的をしっかり描いた状態で入社できるよう、学生の立場に立った丁寧なコミュニケーションを重視しています。
(※3)参考:ニトリ「Recruitment 2026」
(※4)参考:ニトリ「未来へつながる、採用活動」
NTT DATA
NTT DATAの採用コンセプトは「世界を変える、変わらぬ信念。」です(※5)。創立から30年以上の間、同社は大きく姿を変えながらも、売上高2兆円を超えるグローバル企業へと成長してきました。
変化の激しい時代においても、創業時から掲げる「情報技術で新しいしくみや価値を創造し、より豊かで調和のとれた社会の実現に貢献する」という企業理念は、今もなお変わらぬ軸として受け継がれています。
この不変の信念を胸に、NTT DATAは未来の社会に価値をもたらすための挑戦を続けています。時代の変化に柔軟に対応しながらも、本質的な思いを貫く姿勢が、採用コンセプトにも色濃く反映されています。
(※5)参考:NTT DATA「NTTグループ採用メッセージ」
日立製作所
日立製作所の採用コンセプトは「ゆずれないものがある。」です(※6)。時代や社会がいかに変化しても、創業以来大切にしてきた「社会に貢献する」という理念は、日立で働くすべての人に受け継がれています。
日立では、現場で理想と現実が対峙(たいじ)するなかでも、何を成すべきかを常に問い直し、それぞれが大切にする「ゆずれないもの」を胸に挑戦を続けています。前例にとらわれず挑戦を選ぶ人や未来を見据える人といった多様な価値観を持つ仲間が、共通の意志のもとに走り続けています。
「損得より善悪を尊ぶ」という価値観に基づいて前進する日立の姿勢は、社会に本質的な価値を提供したいと考える求職者にとって、強い共感を呼ぶものとなっています。
(※6)参考:日立製作所「Hitachi New Graduate Recruiting Site」
野村総合研究所
野村総合研究所(NRI)の採用コンセプトは、「Dream up the future. 未来創発」です(※7)。この言葉には、変化の激しい時代のなかで、未来が見えないものだからこそ、自分たちの手で大胆に創り出していこうという強い意志が込められています。
「Dream up」は、ひらめきや革新に満ちた発明を意味し、想像力と行動力をもって未来を切り開く姿勢を表現しています。また「未来創発」は、思いがけない新しいビジネスモデルを次々と生み出そうとするNRIの価値観を象徴する言葉です(※8)。
「社会の変化を的確にとらえながら、新しい価値を創造し、世の中に貢献したい」そんな情熱と誇りを胸に、NRIは挑戦を続けています。このメッセージは、未来を主体的に構想し行動できる人材への強い訴求となっています。
(※7)参考:NRI「NRI RECRUIT」
(※8)参考:NRI「企業理念」
三井住友銀行
三井住友銀行(SMBC)の採用コンセプトは「挑戦者よ、世界を揺らせ」です(※9)。この力強いスローガンには、現状に満足せず、変革に挑み続ける人材を求める強い思いが込められています。
同社は、社員の思いと経営戦略を両立させる「人財ポリシー」を掲げ、「プロフェッショナル」「チームワーク」「挑戦」を社員に求める姿勢を明確にしています。一方で、「自分らしさの表現」「社会への貢献」「キャリア形成」を提供価値とし、社員の夢の実現を後押しする環境を整えています。
SMBCには「失敗を歓迎する文化」が根づいており、前例にとらわれず挑戦する姿勢を称賛します。「一人一人の挑戦が顧客や社会に影響を与え、結果として世界を動かす原動力になる」そんな信念がこの採用コンセプトに込められています。
(※9)参考:SMBC RECRUITING SITE「採用担当者からのメッセージ」
電通
電通の採用コンセプトは「いま、自分にないものを。まだ、世の中にないものを」です(※10)。この言葉には、自分自身の限界を越え、未知の世界に挑戦することを恐れない姿勢が込められています。
「道のりが見えすぎていると面白くない。意外な選択肢に飛び込んでみたり、未知の人と出会ったり、解決の糸口すら見えない問題に向き合ったり」電通では、そんな「自分にないもの」にあえて挑む働き方を大切にしています。
広告の枠を超え、新たなフィールドに挑み続ける電通の姿勢は、変化の先にこそ価値があると信じる人材に響くメッセージです。既存の枠にとらわれず、想像を超える未来を創る仲間を求めています。
(※10)参考:電通「DENTSU INC. RECRUITING」
サントリーホールディングス
サントリーホールディングスの採用コンセプトは「やってみなはれ」です(※11)。この言葉には、失敗を恐れず挑戦する精神、そして挑んだ先に新しい価値を生み出す力への信頼が込められています。
ウイスキーやビール事業への挑戦、ライフスタイルに寄り添った飲料の提案、ウェルネス分野への進出など、サントリーホールディングスは常に「やってみなはれ」の精神で前例のない取り組みに挑戦してきました。その積み重ねが、新たな市場や価値の創造につながっています。
さらに、挑戦を後押しする文化のなかには「みとくんなはれ」という考え方もあります(※12)。やるからには最後までやりきるという気概を持ち、仲間と支え合いながら自分らしく挑戦を楽しむ人を歓迎する、温かさと情熱を感じるメッセージとなっています。
(※11)参考:SUNTORY「採用情報」
(※12)参考:SUNTORY「人事部メッセージ」
伊藤忠商事
伊藤忠商事の採用コンセプトは「アオい情熱を待っている」です(※13)。この言葉には、未完成であってもまっすぐな情熱を持ち、自らの信念を胸に未来へ挑む人材への期待が込められています。
急激に変化する時代のなかで、同社は総合商社という枠を超え、新しい未来の道を切り拓こうとしています。その道のりは決して平たんではなく、壁にぶつかり、悩む日々もあることが前提とされています。だからこそ、互いを支え合える仲間の存在が何よりも大切にされています。
伊藤忠商事が求めるのは、行動で信念を示し、常識を壊して道をつくる人。たとえ笑われても、でっかい夢に真剣に挑める人です。技術や経験ではなく、「人の心にあるアオい情熱」こそが未来を動かす原動力になる。そんな思いが、この採用コンセプトに込められています。
(※13)参考:ITOCHU RECRUITING「採用にかける想い」
JR東海(東海旅客鉄道)
JR東海の採用コンセプトは「次なる日本の創造 Dear Japan」です(※14)。鉄道が運んできたのは人や荷物だけではなく、「大切な人に早く会いたい」という思い、その温かさこそが、同社が社会に提供し続けてきた価値です。
発足以来、変わらず胸に抱き続けてきたのは、日本の大動脈としての誇りと使命です。鉄道は未来を運ぶインフラであり、より美しく豊かな日本を次の世代へ届けるという夢を支えています。
同社が求めるのは、未知への挑戦を恐れず、道なき道を切り拓ける人です。固い意志と柔軟なアイデア、そして果てなき挑戦心が、新たな日本の景色を創る原動力になります。誇りを胸に、今日も未来へ向かって走り続ける姿勢が、このコンセプトには表れています。
(※14)参考:JR東海 採用・インターンシップ情報「JR東海の想い」
採用コンセプトが決まったら、ワンキャリアの導入をおすすめ!
自社にとって納得のいく採用コンセプトを一度決めたら、次はどのように採用活動を行えば良いのか悩む段階です。その際に、ワンキャリアの導入をおすすめします!
ワンキャリアでは、年間の採用マーケティングを徹底的にサポートするサービスを展開しております。
単なる媒体掲載にとどまらず、新卒採用の成果最大化・業務効率化を実現する、以下のような特徴があります。
(1)就職活動に積極的な学生が多数登録
(2)圧倒的な学生の口コミ・選考体験談を保有
実際、2024年12月末時点で導入利用社数が4,200社を突破し、大手から中小企業・ベンチャー企業まで幅広くご活用いただいていますので、ぜひ一度ワンキャリアをご検討ください!
おわりに
こちらの記事では、採用コンセプトの重要性から、有名企業の採用コンセプトの事例や採用コンセプトの具体的な作り方とポイントまで詳しく解説しました。
自社にピッタリな採用コンセプトを設定し、優秀な人材が集まるようにしましょう!

