目次
採用マーケティングとは
従来の採用活動とは異なり、マーケティングの考え方を取り入れることで、戦略的な人材獲得を目指すのが採用マーケティングです。
ここでは採用ブランディングとの違いや新卒・中途それぞれの効果について解説します。
採用ブランディングとの違い
採用ブランディングは、自社の魅力を発信して求職者に「この会社で働きたい」と思わせるための情報発信を中心とした活動です。
一方、採用マーケティングは、より戦略的な視点で採用全体を設計するアプローチです。また、求職者の行動特性や他社との比較、自社のポジション分析なども踏まえた上で、ターゲットに響く施策を検討・実行していきます。
採用ブランディングは、採用マーケティングの一要素として機能し、両者は密接に関係していますが、マーケティングのほうがより上位・包括的な概念です。
単なる認知向上にとどまらず、「誰に」「何を」「どう届けるか」を多角的に設計するのが採用マーケティングの特徴です。
新卒採用と中途採用での効果の違い
新卒採用では、多くの企業が一斉に採用活動を行うため、他社との差別化が非常に重要です。学生は業種を問わず幅広い企業を比較検討するため、自社の魅力を明確に伝えると同時に、短期間で興味を引きつける必要があります。
また、従来の「大手志向」から「自分らしい働き方」への価値観の変化もあり、企業側も柔軟で多様な訴求が求められます。採用マーケティングを取り入れることで、SNSや動画などを活用し、学生の価値観に合わせた情報発信が可能です。
一方、中途採用では、即戦力となる人材を迅速に確保する必要があり、求人倍率の高い分野では競争が激化しています。特にIT業界などでは、今すぐ転職したい層だけでなく、将来的な転職を視野に入れている潜在層に対するアプローチも欠かせません。
SNSやダイレクトリクルーティングなどの手法を活用しつつ、求職者が反応しやすいメッセージ設計やタイミング戦略も必要であり、これらを支えるのが採用マーケティングの視点です。
採用マーケティングが注目される理由
企業が優秀な人材を確保するためには、従来の手法だけでは限界があります。ここでは、採用マーケティングが重要視される社会背景とその理由について解説します。
労働人口の減少による採用競争の激化
日本の労働人口は少子高齢化の影響で年々減少しており、人手不足は深刻な社会課題となっています。
特に即戦力となる人材をめぐる競争は激化しており、企業は「選ぶ側」から「選ばれる側」へと立場が変化しつつあります。従来のように、求人広告やエージェントを通じて転職意欲の高い顕在層だけにアプローチしていては、採用成功はますます難しくなっています。
こうした状況下では、まだ転職を強く意識していない潜在層への情報発信や接点づくりが重要です。ターゲットの関心や行動に合わせてアプローチを最適化することで、他社との差別化を図りながら継続的な人材獲得が可能です。
求職者のニーズの複雑化
近年、求職者が企業に求める条件や価値観は非常に多様化しています。かつては「年収」や「安定性」が最重視される傾向にありましたが、現在では「働きがい」や「企業文化との相性」「社会貢献性」などが重要視されるケースも増えています。
こうした背景から、企業は自社のビジョン・職場環境・社員の声など、単なる条件面では伝えきれない情報を積極的に発信する必要があります。
採用マーケティングは、こうした「中身の見える化」に最適な手法です。求職者の判断材料となる情報をコンテンツとして届けることで、選考辞退や早期離職の防止にもつながります。
情報のオープンによる採用手法の多様化
テクノロジーの進化と情報のオープン化により、採用手法は従来の型にはまらない多様な方法へと進化しています。これまでのように、求人広告を出して応募を待つという手法では、変化する労働市場や働き方に対応できません。
SNSやオンライン採用、ダイレクトリクルーティング、動画活用など、求職者との新しい接点を設計する必要があります。背景には、フリーランスや副業人材、リモートワーカーの増加など、働く側のニーズが多様化している現実があります。
企業はこうした変化を捉え、自社に適したチャネルや手法を柔軟に取り入れていかなければなりません。採用マーケティングの視点を取り入れることで、的確なターゲティングと魅力的な発信が可能となり、企業の競争力向上にもつながります。
採用マーケティングのメリット4つ
採用マーケティングには、ターゲット層の理解やコスト削減、離職率低下など多くの利点があります。ここでは代表的な4つのメリットについて解説します。
ターゲット層への理解が深まる
採用マーケティングを導入することで、求める人材像をより深く理解することが可能です。どのような価値観やキャリア志向を持ち、どのチャネルから情報を得ているかを分析することで、響くメッセージや伝え方が明確です。
この理解をもとに、求人広告のコピーや媒体選定、キャリアパスの提示内容などを最適化すれば、応募者の質向上が期待できます。
また、自社に関心を持つ層の行動特性を踏まえた訴求ができるようになり、単なる数の確保にとどまらず、「質の高い母集団形成」につなげることができます。
採用コストを削減できる
採用マーケティングによって適切な人材に的確なアプローチができれば、無駄な広告費やエージェント費用を抑えることも可能です。
特に、定着率の高い人材を確保できるようになることで、短期離職による再採用コストや欠員補填(ほてん)にかかる業務負荷など、「見えないコスト」も削減できます。
また、チャネル選定やメッセージ戦略を最適化すれば、費用対効果の高い採用活動が実現し、限られた予算でも成果を出しやすくなります。
ミスマッチによる離職率を防げる
企業と求職者の間に生じるミスマッチは、早期離職や定着率低下の大きな原因です。採用マーケティングでは、求職者に自社のビジョンや働き方、価値観を事前に正しく伝えることで、入社前後のギャップを軽減できます。
単にスキルや経験だけで採用を判断するのではなく、人柄やカルチャーフィットも含めた「相性」を見極めることが可能です。その結果、入社後の定着率が向上し、人材が長期的に活躍できる土台が整います。
潜在的なターゲット層への認知が広がる
採用マーケティングは、今すぐ転職を考えていない潜在層に対しても継続的なアプローチが可能です。SNSやオウンドメディア、社員のストーリーを発信することで、「この会社で働いてみたい」と思ってもらえる土壌をつくることができます。
こうした情報発信は、採用のタイミング以外でも自社の存在や魅力を認知してもらう効果があり、いざ募集をかけたときの応募率にも大きく関わってきます。
また、自社への共感や信頼を育む「ファンづくり」にもつながり、採用ブランディングの一環として中長期的に機能します。
採用マーケティングの具体的な6ステップ
効果的な採用マーケティングを実現するには、計画から改善までの明確なステップが欠かせません。ここでは、実施の流れを6つのステップに分けて解説します。
1. 自社分析
採用マーケティングの第一歩は、自社の状況を客観的に把握することから始まります。自社の強みや弱みを整理した上で経営理念や事業戦略、人材要件の整合性を確認し、求める人材像を明確にしましょう。
具体的には、3C分析(顧客・競合・自社)やSWOT分析(強み・弱み・機会・脅威)といったフレームワークを活用すれば、自社がどのような立ち位置にあり、どんな人材が必要かが見えてきます。
2. 採用ターゲットとペルソナの選定
ターゲットとは、「どのような人材に入社してほしいか」を定義した理想像です。ここで重要なのは、抽象的な表現を避け、スキルや志向、キャリア観を具体的に言語化することです。
さらに、ペルソナはそのターゲットを象徴する1人の人物像として作成され、年齢、職種、生活態度、行動パターン、情報収集経路なども含めて詳細に設計します。複数の職種や応募チャネルを想定するなら、ペルソナも複数作成しましょう。
自社をまだ知らない人材
潜在層へのアプローチでは、まず自社の存在を知ってもらうことが課題です。自社を知らない人材は、当然ながら転職先の選択肢にも含まれていません。そのため、まずはSNSや動画、記事コンテンツを通じて「認知」のきっかけをつくる必要があります。
訴求内容は企業理念やカルチャーなど、「会社としての思い」や「働きがい」が伝わるものが効果的です。知名度のある企業でなくても、共感を呼ぶ発信を続けることで潜在層の心に残り、採用につながる可能性が高まります。
自社の選考を進んでいる候補者
すでに選考中の候補者に対しては、「自分はこの会社に合っている」と実感してもらうための情報提供が重要です。
たとえば、働き方や成長環境、実際に働く社員の声などを届けることで、候補者の意思決定を後押しできます。内定辞退の防止にもつながるため、選考過程に合わせた細やかなコンテンツ設計が求められます。
選考中の不安や疑問に先回りして答えることで、企業への信頼感が生まれ、入社への前向きな気持ちが育まれます。
面談しか実施していない将来の潜在層
カジュアル面談やイベントを通じて接点を持ったものの、すぐに選考へは進まなかった人材も有力なターゲットです。この層は、将来的に転職意欲が高まる可能性があるため、継続的なアプローチが重要です。
メールマガジンやSNS、スカウトメッセージでの定期的な情報発信を通じて、自社との関係性を維持しましょう。企業側が候補者の状況を理解し、適切なタイミングでアプローチできる仕組みづくりが、採用成功の鍵です。
自社を退職したアルムナイ候補者
アルムナイ(元社員)は、自社のカルチャーや業務内容に精通している即戦力です。一度離職した背景を踏まえた上で、再び「戻りたい」と思える環境づくりと情報発信が求められます。
企業としての変化や制度の改善点、社員の活躍状況などを可視化し、アルムナイ専用のコミュニティや採用窓口を設けることで、帰属意識の再構築も可能です。
近年では、アルムナイ採用を積極的に推進する企業も増えており、持続可能な採用戦略の一環として注目されています。
3. カスタマージャーニーの設計
カスタマージャーニーとは、求職者が「企業を知る」から「入社を決める」までの行動や心理の変化を時系列で可視化したものです。この設計により、求職者がどのタイミングでどの情報を必要としているのかを把握でき、より効果的な情報発信やアプローチが可能です。
たとえば「自社を知る→興味を持つ→応募する→内定を承諾する」といった流れに沿って、最適なチャネルやメッセージを設計すれば、エントリー率や選考通過率の向上にもつながります。求職者視点に立ったストーリー設計が、採用成功のカギを握ります。
4. 採用ファネルごとのチャネル選定
求職者の状態に応じたチャネルの選定は、採用マーケティングの中核となる施策です。たとえば認知段階ではSNS広告やイベントを活用し、興味段階ではオウンドメディアや社員インタビューで魅力を伝えることが有効です。
応募を促す段階では、応募フォームのUI改善やEVP(従業員価値提案)の明示がポイントです。そして志望・選考段階では、面談やダイレクトリクルーティングを通じて候補者と関係性を深める施策が求められます。
ファネルの各ステージに応じて最適なチャネルを選ぶことが、歩留まり改善や辞退防止につながります。
そもそも採用ファネルとは?
採用ファネルとは、求職者が企業との接点を持ち、入社に至るまでのプロセスを「認知→興味→応募→選考→内定」と段階的に可視化したモデルです。
この構造を理解することで、どのフェーズで候補者が離脱しているのかを数値で把握し、改善策を立てることができます。
もともとマーケティングで用いられていた概念を採用活動に応用したもので、「受け身の採用」から「戦略的な採用」へとシフトするために不可欠な考え方です。
認知
認知は、求職者が自社の存在を「知る」初期段階です。ここではSNS広告やイベント、プレスリリース、求人検索エンジンへの掲載など、情報の広がりを意識したチャネル選定が重要です。ターゲットに「この会社、聞いたことがある」と思わせることが第一歩です。
応募
応募段階では、自社の魅力がしっかりと伝わっていないと離脱されやすいため、オウンドメディアや採用ページでの情報設計が問われます。エントリーフォームの入力のしやすさや、応募後の対応スピードも重要なポイントです。
選考
選考段階は、企業との接触が密になるタイミングです。カジュアル面談や複数回の面接を通じて、候補者の不安を払拭(ふっしょく)し、志望度を高めていく必要があります。面接官の対応やフィードバックの質が、印象を大きく左右します。
入社/内定
内定段階では、候補者に「この企業で働きたい」と最終判断してもらうためのコミュニケーションが鍵です。入社後のイメージを伝える動画や内定者フォロー施策を通じて、承諾率を高めることが目指されます。
5. 採用マーケティングの実施
各チャネルとコンテンツの準備が整ったら、いよいよ施策の実行に移ります。SNS投稿、スカウト配信、採用イベント開催など、多様なアクションを計画的に実施します。
重要なのは「やりっぱなし」にせず、仮説を持ってトライし、都度の反応を記録しておくことです。
たとえば「ターゲットに合った内容で反応率が上がったか」「選考ステップに沿って情報提供できたか」などを評価することで、次の改善点が明確です。社内での連携や施策の優先順位も常に見直しながら、柔軟に対応していきましょう。
6. データ分析に基づいた改善
採用マーケティングの施策は、実施して終わりではありません。成果を最大化するには、定期的なデータ分析と改善が欠かせません。エントリー数や選考通過率、内定辞退率などの定量データだけでなく、応募者アンケートや面接時の質問傾向など、定性情報も活用してボトルネックを見極めます。
たとえば「選考中に志望度が下がっている層が多い」といった傾向が見えれば、面接内容やタイミングを調整する必要があるでしょう。こうした改善を支援するサービスの1つが「ワンキャリア」です。
学生のクチコミや選考体験談など、豊富なリアルデータを活用することで、自社の採用課題や競合比較がしやすくなり、施策の精度を高めることができます。中長期的な採用ブランディングや母集団形成においても、データに裏打ちされた改善が可能です。
データに基づいたPDCAを回すことで、自社に最適な採用戦略を磨き上げることにつながるでしょう。
採用マーケティングに役立つフレームワーク5つ
戦略的に採用活動を進めるには、状況を整理し判断するためのフレームワークが有効です。ここでは代表的な5つの手法について解説します。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の採用活動を取り巻く内部・外部環境を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つに分類して整理するフレームワークです。
たとえば、自社の魅力的なカルチャーや成長機会が「強み」となり、人材リソース不足が「弱み」にあたる場合があります。
一方で、業界の注目度の高まりは「機会」、人材獲得競争の激化は「脅威」として捉えることができます。複数の部署や社員からのヒアリングやアンケートを活用し、主観的な印象ではなく客観的な情報をもとに分析することで、採用戦略の方向性を定める土台になります。
3C分析
3C分析は「Customer(求職者)」「Competitor(競合企業)」「Company(自社)」の3つの視点から環境を整理し、採用市場における自社の立ち位置を明確にするフレームワークです。
採用においては、求職者が求める価値や行動特性を「Customer」とし、どのような企業と人材を取り合っているのかを「Competitor」、自社の提供価値や魅力を「Company」として分析します。
競合に対してどのような差別化ポイントがあるかを明確にすれば、自社独自の訴求軸が見え、ターゲットに刺さる採用コンテンツの方向性が定まります。市場を俯瞰(ふかん)的に捉えるために、欠かせない視点です。
4P分析
4P分析は、「Philosophy(理念)」「Profession(事業内容)」「People(人材・文化)」「Privilege(待遇)」の4つの観点から自社の魅力を掘り下げ、候補者への効果的な訴求ポイントを導き出すフレームワークです。
たとえば、企業理念に共感して入社を決める人材もいれば、福利厚生や柔軟な働き方を重視する人もいます。自社の強みがどの要素にあるのかを把握すれば、適切なチャネルでの発信にも生かせます。
また、4Pは求職者の価値観と自社の提供価値をマッチングさせるための軸となるため、ミスマッチの防止にも効果的です。採用広報を強化する際に、非常に実用的な視点です。
5A理論
5A理論は、フィリップ・コトラーが提唱した購買行動の変化を捉えるためのフレームワークで、「Aware(認知)」「Appeal(興味)」「Ask(調査)」「Act(応募)」「Advocate(推奨)」の5段階で構成されます。
採用活動においては、候補者が企業を知り、関心を持ち、情報を調べ、応募し、最終的には他者にも勧めるようになるまでのプロセスとして置き換えられます。
この理論を用いれば、各段階でどのような情報や接点が必要かを可視化でき、ファネルごとの施策立案に役立ちます。また、「Advocate」を重視することで、アルムナイや紹介などによる次の採用機会にもつなげる視野を持つことができます。
カスタマージャーニー
カスタマージャーニーは、求職者が企業を知り、興味を持ち、応募し、選考を経て入社するまでの行動や感情を時系列で整理する手法です。
求職者がどの段階で何を求めているかを明確にすることで、的確なタイミングで適切な情報を届けることができ、エンゲージメントを高めることにつながります。
また、チーム内でジャーニーを共有することで認識を統一でき、候補者の体験価値(CX)向上にも寄与します。
たとえば、認知段階ではSNS発信、検討段階では社員インタビュー、内定後はフォローメールなど、各タッチポイントに最適な施策を設計することが可能です。
採用マーケティングにおすすめの手法5選
多様な手法を組み合わせることで、採用マーケティングの効果を高めることが可能です。ここでは特に有効な5つの手法について解説します。
就職・転職サービス
就職・転職サイトは採用マーケティングの「入り口」として優れたチャネルといえます。
就職・転職サイトにはすでに多くの学生・求職者が集まっており、認知度向上・エントリー数の確保に直結します。サイトによっては、企業ページや社員インタビュー、クチコミ情報を通じて、効果的なデータ収集が可能です。
中でも、多くの学生が利用していると知られている「ワンキャリア」でも、年間の採用マーケティングを徹底的にサポートするサービスを展開し、学生が求めるような情報提供を行っています。
効果的な採用マーケティングを目指す企業は、ワンキャリアの活用をぜひご検討してみてください。
リファラル採用
リファラル採用とは、既存の社員から知人や友人を紹介してもらう採用手法です。紹介される候補者は、社員との信頼関係を背景に企業文化や業務内容を事前に理解しており、高いカルチャーフィットと即戦力が期待できます。
また、採用媒体やエージェントを利用しないため、コストパフォーマンスにも優れています。さらに、転職潜在層へのアプローチが可能である点も大きな利点です。
制度化を進める企業では、紹介者に報奨金を支給したり、会食費用を補助したりといったインセンティブ設計を取り入れ、仕組みとしての定着を図っています。売り手市場のなかでも、質の高い人材確保が期待できる手法として、多くの企業に導入が進んでいます。
オウンドメディア
オウンドメディアは、自社が運営・発信する独自の情報発信媒体であり、採用マーケティングにおいて非常に有効な手法です。会社のビジョンやカルチャー、社員の声などを自由に表現できるため、企業独自の魅力を深く伝えることができます。
また、アクセス解析や読了率といったマーケティングデータの収集・分析も可能で、コンテンツの改善にも活用できます。
一方で、サイト設計やコンテンツ制作、運用には専門的なノウハウとリソースが必要となり、初期コストや運用コストが課題となる場合もあります。
採用広報に注力したい企業には有効ですが、スモールスタートを望む場合はWantedlyなどの既存サービスを活用する選択肢もあります。
SNS
SNSは、認知拡大からエンゲージメント向上まで幅広く活用できる採用マーケティング手法の1つです。X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどを通じて、企業の雰囲気や職場環境、社員の素顔をリアルに発信することで、求職者との心理的な距離を縮めることができます。
特に動画や画像といった視覚的なコンテンツは、文章では伝わりにくい企業文化を効果的に伝えることができます。コストがかからず拡散力も高い反面、運用には継続的な投稿と戦略的なコンテンツ設計が必要で、人的リソースの確保も重要です。
自社のターゲットに合ったSNSを見極め、適切なトーンとテーマで発信を続けることが、成果につながるポイントです。
note
noteは、文章や画像、動画を組み合わせて企業の魅力を発信できるプラットフォームであり、「note pro」を活用することで採用マーケティングにも効果を発揮します。カスタマイズ性が高く、自社らしさを打ち出したブランディングが可能な点が特徴です。
また、社員による記事を法人アカウントの「マガジン」にまとめることで、多様な視点から企業文化や働き方を伝えることができます。これにより、求職者にとってのリアルな情報源として機能し、入社前の不安やギャップを減らす効果が期待できます。
フォーマットが固定された他媒体と異なり、柔軟に表現できることから、企業独自の採用ストーリーや思いを発信したい企業にとっては非常に有効な手法です。
採用マーケティングの成功事例
ここでは、採用マーケティングにおいての課題を解決して成功できた企業の事例をご紹介します。
多様な手段を通じて、それぞれの課題を解決できた流れを詳しく解説しますので、参考にしてください!
サイバーエージェント
サイバーエージェントは、「アメーバブログ」や「ABEMA」などのサービスを提供している企業であり、特に独自のSNSを活発に使って採用活動を行っています。
サイバーエージェントは、はじめに社内で動画での企業説明会を行い、学生には説明動画を見た後に選考会に参加してもらうようにしました。その際に、第3者の観点から企業の魅力を説明できる手段を探していました。
そこで、会社説明会動画を提供しているワンキャリアを導入することを決定。
その結果、自社の企画ではアプローチできない母集団にもサイバーエージェントの事業を紹介できました。さらに、ワンキャリアの企業説明会動画を見て選考に進んだ学生が多く、優秀層にもリーチできる可能性が高くなりました。
このように、効果的な動画配信により、自社のことについて詳しく知った上で、優秀な人材が集まりやすい採用活動が可能になりました。
ロート製薬
ロート製薬は、医薬品、化粧品、食品などの幅広い製造販売業を行っている企業であり、動画配信で採用活動の成功を導きました。
ロート製薬が抱えていた課題は、ビジネス創りに意欲のある学生を採用するのが難しかったことです。商品のイメージが強く、個人の成長や仕事内容を重視する学生に刺さりにくかったそうです。
そこで、「理系就職LIVE」の企画でビジネス創りに興味のある理系の学生にアプローチできると判断し、ワンキャリアクラウドの導入を決定。
その結果、当初ロート製薬への関心が薄かった学生の73%が動画配信後に就職先候補に転換し、ワンキャリア以外でエントリーした学生にもアーカイブ動画を共有することで、効率的に企業理解を促進できました。
このように、企業の事業について丁寧に解説されている動画などを配信することは、特に企業理解を深めて辞退率を下げるのに役に立つ方法といえます。
メルカリ
メルカリは、誰もが簡単にモノを販売できるフリーマーケットアプリを提供している企業であり、独自のオウンドメディアで効果的な採用活動を展開しています。
採用候補者とのマッチング精度を上げるため、「メルカリの『人』を伝える」というコンセプトをもとに、メルカリは2016年から「mercan(メルカン)」の採用特化オウンドメディアを運営し始めました(※1)。
このメディアでは、メルカリ社員へのインタビューや社内イベントのレポートなどが記載され、メルカリという企業が持つ価値観について理解が深まるコンテンツが中心となっています。特に「#メルカリな日々」という連載では、社内の日常風景も生の声とともに確認できます。
このように、オウンドメディアを通じて、メルカリは採用候補者とのマッチング精度を上げることを目的に、同社への理解・共感を得ることに力を入れています。
LINE
LINEは、メッセージアプリ「LINE」を軸に、生活インフラとして多様なサービスを展開するIT企業であり、オウンドメディアで独自の採用活動を行っています。
当初、LINEには「LINE HR BLOG」というメディアがありましたが、2020年8月にリニューアルされ、「たくさんのWOWへとつながるように」を新たなコンセプトに、「OnLINE」という新しいオウンドメディアを運営し始めました(※1)。
OnLINEでは、社内にあるさまざまなチャレンジや取り組みの記事をインタビューやレポート形式で配信し、社内のヒトやカルチャーの情報をありのままに公開しています。さらに、記事のカテゴリーは「VISION」「CULTURE」「WORKS」のシンプルな3構成で、知りたい情報がすぐに見つかる設計になっています。
そうすることにより、企業理念への共感者を増やし、マッチ度の高い採用につなげるのに貢献しています。
(※1)参考:PRTIMES「広報PR担当者が選ぶオウンドメディアの成功事例15選【成功要因を解説】」
【10選】採用マーケティングに役立つ本
実践的な知識や成功事例を学ぶには、書籍からの情報収集も有効です。ここでは、採用マーケティングに役立つおすすめの本10冊について解説します。
1. 採用コンテンツマーケティング』
- 『採用コンテンツマーケティング』(クマベイス出版、2021年)
本書は、求職者と信頼関係を築くための情報発信方法を学べる一冊です。
企業が発信するメッセージは、ただ魅力を並べただけでは信頼を得られません。求職者はSNSやクチコミサイトなどで企業のリアルな姿を把握しようとするため、表面的なPRでは逆効果になることもあります。
本書では、求職者視点に立ち、適切なタイミング・媒体・内容で情報を届ける重要性を解説しています。誠実かつ効果的な情報発信を行いたい採用担当者におすすめです。
2. 人が育つ組織が内緒でやっている「採用マーケティング戦略」
- 『人が育つ組織が内緒でやっている「採用マーケティング戦略」』(Independently published、2023年)
本書は、採用未経験から短期間で複数人材の採用に成功した著者による実践的なノウハウをまとめたものです。
ターゲティングやポジショニングといったマーケティングの基本に加え、情報発信の具体的な手法まで網羅されており、特に中小企業の人事担当者や経営者にとって有用な内容です。
難解な理論ではなく、現場で実践できる施策が紹介されているため、採用活動を体系的に進めたい初心者にも最適な一冊です。
3. いい人材が集まる、性格のいい会社
- 『いい人材が集まる、性格のいい会社』(クロスメディア・パブリッシング、2017年)
本書は、給与や福利厚生だけでは差別化が難しい中小企業やベンチャー企業が、いかにして優秀な人材を惹(ひ)きつけるかを実践的に示した一冊です。
タイトルにある「性格のいい会社」とは、制度や社風、ビジョンといった「会社の中身」に魅力があり、社員が安心して働ける環境を指します。本書では、リファラル採用やダイレクトリクルーティングの活用を前提に、企業文化を強みに変える考え方を丁寧に解説しています。
知名度や待遇では大手に勝てない企業でも、共感を武器に採用力を高められることを教えてくれます。組織の本質的な魅力を磨きたい企業におすすめです。
4. 第2版 はじめて人事担当者になったとき知っておくべき、7の基本。8つの主な役割
- 『第2版 はじめて人事担当者になったとき知っておくべき、7の基本。8つの主な役割』(労務行政、2017年)
人事業務に初めて関わる方向けに、基本的な役割や業務フローを丁寧に解説しているのが本書です。図解やテンプレートが豊富で、採用・評価・育成といった人事業務の全体像を理解するのに役立ちます。
現場で使える知識が詰まっているため、新任の人事担当者だけでなく、人事育成を任されたマネジャーにもおすすめです。体系的に人事の仕事を学びたい方にとって、基礎から実務レベルまで一貫して学べる良書といえるでしょう。
5. 上手な求人広告の出しかた―元リクルートのベテラン営業マンが教える、中小企業のための人材採用法
- 『上手な求人広告の出しかた―元リクルートのベテラン営業マンが教える、中小企業のための人材採用法』(ライティング、2016年)
求人広告の出し方1つで応募者の質と数は大きく変わります。本書では、媒体の選び方や求人原稿の書き方、応募後のフォローアップまで、実践的なノウハウが詰まっています。
特に中小企業が抱えやすい「人が集まらない」という課題に対し、予算や地域性を踏まえた現実的な対応策を提示してくれます。Q&A形式で法的な注意点まで網羅されており、求人広告の運用に悩む担当者にとって頼れる一冊です。
6. 失敗しない求人広告の作り方: はじめて求人広告を出すときに読む本
- 『失敗しない求人広告の作り方: はじめて求人広告を出すときに読む本』(2021年)
求人広告に慣れていない中小企業の採用担当者に向け、広告出稿の基本を分かりやすく解説した実用書です。
媒体選定のコツから、ターゲットに響くコピーライティングの手法、反響の出る構成まで、求人原稿の「設計図」を描けるようになります。Web集客の視点が強いため、オンラインでの応募獲得を強化したい企業にも有益です。
はじめて求人広告を出す方にとって、基礎を固める上で非常に心強いガイドブックです。
7. 採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石
- 『採用広報から、スカウト文章、面接術まで 「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』(日本実業出版社、2023年)
ベンチャーや成長企業における即戦力採用に特化した本書は、採用広報、ダイレクトスカウト、面接対応まで一貫して実践的な手法を紹介しています。
著者の今啓亮氏は、350社以上の採用支援実績を持ち、ノウハウに裏打ちされた施策が豊富です。候補者の心に響く文章の書き方や、選考辞退を防ぐコミュニケーション術まで、すぐに実践できるテクニックが詰まっています。
中途採用に課題を抱える企業にとって、頼れるバイブル的存在です。
8. 1人採るごとに会社が伸びる! 中途採用の新ルール
- 『1人採るごとに会社が伸びる! 中途採用の新ルール』(すばる舎、2010年)
「1人採るごとに企業の成長を促す」ために必要な採用設計を学べる本です。著者の豊富な現場経験に基づいた、中途採用における戦略設計・面接ノウハウ・入社後フォローまで、フローに沿って丁寧に解説されています。
特に、「いつ、どんな人材を、どのように採るか」という視点から採用計画を見直したい企業にとっては、実践的なヒントが多く得られます。
無駄な採用を避け、事業成長と採用を連動させたい企業にぴったりの一冊です。
9. 戦略採用
- 『戦略採用』(東京堂出版、2014年)
『戦略採用』では、企業の採用活動を「属人的な感覚」から「戦略的な設計」へと引き上げるためのノウハウが紹介されています。採用基準の作り方、面接で見落としがちなポイント、面接官の教育など、採用の上流から下流までをカバーしている点も魅力です。
著者の経験と実例が豊富で、特に自社に合った採用体制を構築したい企業にとって有用です。終盤にはリクルートOBによる座談会も収録されており、現場のリアルな声をもとに実践のヒントを得ることができます。
10. 人事で一番大切なこと 採用・育成・評価の軸となる「人事ポリシー」の決め方・使い方
- 『人事で一番大切なこと 採用・育成・評価の軸となる「人事ポリシー」の決め方・使い方』(日本実業出版社、2023年)
採用だけでなく、育成・評価までを一貫して考えるための「人事ポリシー」の重要性にフォーカスした一冊です。
多くの企業が採用において陥りがちな「短期的な成果重視」や「表面的なアピール」に対して、本書は人事戦略の本質を問います。
失敗事例をあえて紹介する構成も特徴的で、読者にとっては他山の石とすべき学びが多く詰まっています。組織づくりに本気で取り組みたい人事担当者や経営層に特におすすめです。
おわりに
こちらの記事では、採用マーケティングの意味から、具体的なステップや採用マーケティングに役立つ本のおすすめまで、詳細に解説しました。
自社に効果的な採用マーケティングを実践し、優秀な人材を集めていきましょう!











