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新卒採用において「ジョブ型採用に興味はあるけれど、導入の手順やメリット・デメリットが分からない」「実際に導入している企業事例も知りたい」と思われる採用ご担当者さまも多いのではないでしょうか。近年、専門性の高い人材の確保や採用の効率化を目的に、ジョブ型採用は多くの企業で注目されています。
本記事では、ジョブ型採用の基本的な特徴や、新卒採用における導入メリット・デメリット、ジョブ型採用の導入手順を徹底解説します。さらに、実際にジョブ型採用を取り入れている企業事例も具体的にご紹介します。記事を読むことで、自社でジョブ型採用を導入すべきかどうか、そしてジョブ採用成功に向けたステップが明確になります。ぜひ、新卒採用戦略の参考にしてください。
ジョブ型採用(=ジョブ型雇用)とは?
ジョブ型採用は、職務内容や役割を明確に定めたうえで人材を募集・配置する採用方法です。ここではジョブ型採用の特徴や、従来型との違いについて解説します。
ジョブ型採用の特徴
ジョブ型採用は、企業が事前に「職務記述書(ジョブディスクリプション)」を用意し、そこに記載された業務内容や必要スキルを基準に人材を募集する方式です。
報酬も年齢や勤続年数ではなく、担当する職務やポジションに応じて決定されます。欧米では広く普及しており、求められる成果やミッションが明確に定められ、定量的に評価される点も大きな特徴です。
メンバーシップ型採用との違い
メンバーシップ型採用は、日本の新卒一括採用に代表される仕組みで、入社時に職務や部署を特定せず、ポテンシャルを重視して採用する方式です。
入社後は社内教育を通じてゼネラリストとして育成され、終身雇用や年功序列の制度と結びついてきました。これに対し、ジョブ型採用は入社前から担当職務が明確に定められており、両者は正反対のアプローチといえます。
職種別採用との違い
職種別採用は、営業職や技術職など、職種ごとに募集枠を設ける方式です。日本企業では欧米型ジョブ型採用の導入が難しいことから、この方式を取り入れている例も多く見られます。
ただし、職種別採用はあくまで「入口」での区分に留まり、総合職との雇用契約上の違いはほとんどありません。そのため、実務上はジョブ型採用とほぼ同義で使われるケースもありますが、本質的には職務内容や報酬体系まで規定するジョブ型採用とは異なります。
ジョブ型採用が注目されている理由
近年、働き方改革やグローバル化の影響で、従来型の採用からジョブ型採用への関心が高まっています。ここではその背景や注目される理由について解説します。
実力主義へシフトする流れがあるため
近年は年功序列の仕組みが崩れつつあり、実力や成果を重視する傾向が強まっています。勤続年数による昇進の仕組みは減少し、採用段階から即戦力となるスキルや知識が重視されるようになっています。
特にコロナ禍以降は在宅勤務やテレワークが広がり、ITツールを用いて成果を数値化しやすくなったことで、実力主義への移行が加速しました。こうした流れが、成果と職務内容を基準とするジョブ型採用への関心を高めています。
労働環境改善のニーズがあるため
ジョブ型採用では職務記述書により担当範囲が明確化されるため、契約外の業務を依頼しづらく、従業員も不当な業務を断りやすい仕組みです。その結果、長時間労働や過剰な業務負担を減らし、メンタルヘルスの改善にもつながると期待されています。
反対に、従来のメンバーシップ型採用では職務範囲が明示されないため、業務命令を断るのが難しく、曖昧さが長時間労働の要因になりやすい点が課題とされています。
労働人口減少による採用難への対策のため
少子高齢化の影響で労働人口が減少する中、企業は採用難への対応を迫られています。ジョブ型採用は年齢に関係なく専門スキルや経験を評価するため、若手にとっても魅力的で、優秀な人材を惹きつけやすい仕組みです。
職務に応じた募集を行うことで、母集団形成を効率的に進められ、採用難の時代でも必要な人材を確保しやすくなります。一方、メンバーシップ型では長い下積み期間や年功的評価が残っており、求職者からは敬遠される可能性があります。
新卒でジョブ型採用を導入するメリット
ジョブ型採用は中途だけでなく新卒にも導入され、採用や育成に多くの利点をもたらします。ここでは新卒採用におけるジョブ型導入のメリットについて解説します。
即戦力となる人材を確保しやすい
ジョブ型採用では、企業が必要とするポジションやスキルを持つ人材を明確に募集できるため、専門知識が豊富な即戦力を獲得しやすいのが特徴です。
学業と並行して資格取得やスキル習得に注力してきた学生にとっては、自身の力をすぐに発揮できる環境が整っており、高いパフォーマンスを期待できます。
また、専門人材が集まりやすい職場は自然とスペシャリストが育ちやすく、将来的には海外企業との競争力強化にもつながります。
高い専門性を持つ人材を確保しやすい
募集段階から職務内容や期待される成果を限定するジョブ型採用では、応募者のスキルや経験との適合度が高くなります。特定の専門スキルが求められる職種での採用活動に適しており、専門性を持つ人材を効率よく確保できます。
さらに、同じ職場に専門知識を持つ人材が集まることで、未経験者を採用した際にも教育や研修がスムーズに行える点もメリットです。
人材育成の工数・コスト削減になる
ジョブ型採用に関心を持つ学生は、インターンシップや独自の学習を通じて応募職種に関連するスキルをすでに身につけている場合が多く、入社後の育成負担を大幅に減らせます。
担当業務への関心も高いため、自ら学び取ろうとする姿勢が強く、早期の戦力化が可能です。在宅勤務の導入もスムーズに進めやすく、メンバーシップ型採用に比べ研修や教育にかかる時間とコストを抑えられます。
採用時の基準が明確で適切な評価をしやすくなる
ジョブ型採用では、定量的に評価できるスキルや実績、経験を基準に選考できるため、人事担当者の判断がしやすくなります。従来のポテンシャル重視採用のように曖昧な基準で評価する必要がなく、採用の精度が高まるのも利点です。
さらに、入社後も勤続年数ではなく成果で評価できるため、モチベーションの維持や組織の健全な成長につながります。
入社後のミスマッチが少ない
職務内容や勤務地、報酬、勤務時間があらかじめ明示されるため、求職者は応募の段階で自分に適した環境かどうかを判断できます。その結果、入社後に「仕事内容が合わない」「待遇が想定と違う」といった理由で早期離職につながるリスクを減らせます。
離職率の低下や従業員満足度の向上に加え、職務範囲や責任が明確化されることで業務効率や生産性の向上も期待できます。
新卒でジョブ型採用を導入するデメリット
一方で、新卒採用にジョブ型を適用する場合にはいくつかの課題やリスクも存在します。ここでは新卒にジョブ型採用を導入する際のデメリットについて解説します。
ポジションにマッチする人材を探すのが難しい
ジョブ型採用は職務やスキルを基準に人材を選考するため、条件を満たす人材が限られ、母集団形成が難しくなることがあります。特に新卒採用では高度なスキルを持つ候補者を探すのは困難で、即戦力を重視しすぎると応募者が集まりにくくなります。
そのため、評価基準をどこまで設定するかを慎重に検討する必要があり、場合によっては基準を緩和して採用の幅を広げる工夫が求められます。
転職率増・定着率減のリスク
ジョブ型採用で採用された人材は専門性が高い分、常にスキルアップやより良い待遇を求める傾向があり、条件が合えば転職してしまうリスクが高まります。
また、職務に限定されることで会社への帰属意識が生まれにくく、チームワークや企業文化の継承が難しいという課題もあります。成果に見合った報酬や成長機会を提供できなければ、人材の定着率が低下する可能性があります。
転勤や異動を命じにくい
ジョブ型採用では雇用契約時に職務内容や勤務地が限定されるため、会社都合での配置転換や転勤が難しいのが実情です。業務を追加する場合には再契約や条件変更が必要となり、従業員が同意しなければ退職につながる恐れもあります。
さらに、職務記述書にない業務は原則担当できないため、繁忙期などに業務の引き受け先が見つからないリスクもあります。
給与体系の変更が必要になる場合がある
ジョブ型採用では成果や職務内容に基づいて報酬を決定する必要があるため、従来の年功序列型の給与体系を維持することが難しくなります。
特に同じ新卒社員であっても、担当職務によって給与に差を設ける仕組みが必要になり、制度設計や運用の複雑化を招く可能性があります。公平性や透明性を確保しながら制度を運用するためには、人事制度全体の見直しが不可欠です。
ゼネラリストを育成しにくい
ジョブ型採用は専門スキルを持つ人材を採用・育成する点で有効ですが、その反面、部門横断的にマネジメントを行えるゼネラリストの育成には不向きです。
メンバーシップ型採用では新卒社員を幅広く経験させ、管理職候補として育てることが可能ですが、ジョブ型採用では入社時から職務が固定されるため、そのようなキャリア形成が難しくなります。
実際にはスペシャリストとゼネラリストの両立が求められるため、採用手法を使い分けるなどの工夫が必要です。
新卒のジョブ型採用に向いている企業は?
ジョブ型採用はすべての企業に適しているわけではなく、特定の条件下で効果を発揮します。ここでは新卒のジョブ型採用に適した企業の特徴について解説します。
職務範囲を限定できる企業
ジョブ型採用は、業務範囲を明確に区切ることができる企業で導入しやすい仕組みです。大企業では部門ごとに役割分担が明確であるため、特定の職務に特化した人材を配置しやすく、ジョブ型採用が適しています。
一方で、中小企業は少数精鋭で複数の業務を兼任する必要があるケースが多く、職務範囲を限定する採用方式とは相性が悪い傾向があります。そのため、現状では大企業を中心に導入が進んでいます。
必要とする人材要件が明確な企業
事業改革や新規事業の推進などに伴い、必要とする人材像が具体的に変化している企業では、ジョブ型採用が効果を発揮します。求めるスキルや経験を事前に定義して採用できるため、従来の採用手法よりも効率的にマッチ度の高い人材を確保しやすいのです。
特に、専門性を重視する職種であれば、ジョブ型採用によって的確に人材を獲得できる可能性が高まります。
新卒でジョブ型採用を導入する手順
ジョブ型採用を成功させるには、明確な準備と段階的な導入が欠かせません。ここでは新卒におけるジョブ型採用を導入する具体的な手順について解説します。
1.ジョブ型雇用の適用職種の検討
導入にあたっては、まずジョブ型雇用をどの職種や部署に適用するかを明確にする必要があります。メンバーシップ型雇用からすべてを一気に切り替えるのは現実的ではなく、ジョブローテーションが頻繁に行われる業務では反発が起こる可能性もあります。
そのため、まずは配置転換が少なく、職務範囲を限定しても支障が出にくい職種を対象に段階的に導入するのが望ましい方法です。導入前には社内に存在するすべての職務やポジションを棚卸しし、対象となる業務を丁寧に洗い出して検討することが重要です。
2.業務内容・雇用条件などの決定
対象職種を定めたら、その職務における業務内容や勤務地、勤務時間、報酬といった雇用条件を明確に設定します。ジョブ型採用では「入社後に適性を見て配属を決める」といった柔軟性がないため、事前に定義された範囲で契約を結ぶことになります。
職務にふさわしい報酬を設定することは非常に重要です。他社と比べて待遇が劣る場合には、転職リスクが高まり優秀な人材の流出につながる可能性があります。
そのため、競合他社の相場を踏まえつつ、自社の求めるスキルや成果に見合った条件を検討する必要があります。
3.ジョブディスクリプションの作成
次に、ジョブディスクリプション(職務記述書)を作成します。ジョブディスクリプションとは、職務の内容、業務範囲、必要なスキル、期待される成果を具体的に記載した文書であり、Job Description の頭文字を取って「JD」と略されることもあります。
作成の流れとしては、まず経営・事業戦略と組織ごとに求められる役割を整理し、次に各ポジションの責任範囲を明確化します。そのうえで実際に文書を作成し、募集の際に活用していきます。
特に新卒採用においては、学生が社会人経験を持たないため、具体的な業務イメージが伝わるように平易でわかりやすい表現に工夫することが重要です。
4.職務評価基準の作成
ジョブディスクリプションが完成したら、その内容を基に職務評価を行います。職務評価とは、職務の価値やレベルを客観的に判定するプロセスです。厚生労働省が推奨する代表的な手法には以下の4つがあります。
- 単純比較法:複数の職務を全体的に比較し、どちらの職務の方が大きいかを判断する方法
- 分類法:職務レベル定義書に基づき、職務の大きさを分類する方法
- 要素比較法:職務を構成する要素を洗い出し、似た要素を持つ職務間で比較して評価する方法
- 要素別点数法:各要素に点数をつけ、数値で職務レベルを判定する方法
これらを活用することで、定性的な判断に依存せず、公平で透明性のある評価が可能になります。
5.等級の設定
職務評価の結果を踏まえ、職務を複数の等級に区分します。この等級は人事評価や給与制度と連動するため、制度設計の中でも特に重要な段階です。等級区分を細かくしすぎると評価に過度な時間がかかり、逆に粗すぎると給与レンジや評価制度との連動性が失われます。
そのため、自社の報酬制度とのバランスを取りながら適切に区分する必要があります。各等級に応じた報酬設定も同時に行い、採用時のポジションの魅力度や入社後のモチベーション維持に直結させることが求められます。
他社と同等の職務にもかかわらず報酬が低いと転職につながるリスクがあるため、同業他社の水準を常に意識することも欠かせません。
6.ジョブディスクリプションの定期的な見直し
ジョブ型雇用の導入は一度制度を作れば完了ではありません。経営方針や人事戦略、市場環境の変化に合わせて職務内容は変わっていくため、ジョブディスクリプションを定期的に見直すことが不可欠です。
更新が滞ると制度が形骸化し、現場の実態と乖離してしまいます。見直しのタイミングとしては、組織再編や人事異動のとき、半年〜1年ごとの定期的な確認、中期経営計画の策定時などが挙げられます。
こうした見直しを繰り返すことで、常に実態に即した制度運用が可能となり、ジョブ型雇用を持続的に機能させられます。
新卒でジョブ型採用を導入/実施する際のポイント
実施段階では、採用戦略や人材育成の工夫が成否を分ける重要な要素となります。ここでは新卒のジョブ型採用を円滑に導入・運用するためのポイントについて解説します。
中途採用で基盤を作る
新卒でいきなりジョブ型採用を導入すると、就業経験のない学生が多いため運用上の混乱が生じやすくなります。そのため、まずは中途採用を通じてジョブ型の仕組みに慣れ、企業側の受け入れ態勢を整えておくことが効果的です。
前職でスキルや経験を積んだ人材を迎え入れることで、評価や研修体制の運用を検証し、基盤を固めてから新卒採用に広げていくのが望ましい方法です。
職種・業務内容を具体的に提示する
ジョブ型採用では、応募時点で職務内容が明示されていることが大前提です。総合職として幅広い仕事を任せる従来型と違い、学生が自分のスキルや希望に合うかどうかを判断できるよう、求人票や説明会で具体的な職種・業務内容を提示する必要があります。
これにより、入社後のミスマッチや早期離職を防ぐ効果が期待できます。
学生にも分かりやすく工夫する
中途採用と異なり、学生は就労経験がないため、ジョブディスクリプションを読んでも具体的な仕事内容をイメージできない場合があります。
そこで、職務内容を理解できるようにする補助施策が重要です。たとえば、OB・OG訪問や職場見学を通じて現場の雰囲気を伝えたり、先輩社員の体験談を共有することで、学生が自分の働く姿を思い描けるようになります。
帰属意識が高まる施策を実施する
ジョブ型採用では配属先が限定され、他部署との交流機会が少なくなりやすいため、会社全体への帰属意識が低下するリスクがあります。その結果、スキルを習得した人材が早期に離職してしまう可能性もあります。
これを防ぐためには、同期交流会や社内イベントなどを企画し、社員同士のつながりを強める工夫が必要です。コミュニケーションの活性化を図ることで、組織全体への愛着を醸成し、定着率向上にもつながります。
専門性とマネジメント力を兼ね備えた人材を育成する
ジョブ型採用は専門スキルを持つ人材を前提に採用しますが、それだけではチームを統率し企業目標を達成するのは困難です。部門をまとめるリーダーや教育を担う人材がいなければ、せっかく採用した人材の力を十分に発揮させられません。
従来型の人材育成のように、マネジメント能力を持つリーダー人材を各部署に配置することが不可欠です。自社に該当人材が不足している場合には、専門性と教育力を兼ね備えたリーダーを育成する体制を整える必要があります。
ジョブ型新卒採用を導入している企業一覧
すでにジョブ型採用を取り入れ、成果を上げている企業も増えてきています。ここでは新卒ジョブ型採用を実施している代表的な企業事例について解説します。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は、2024年度から2025年度にかけて人事制度を大幅に刷新し、ジョブ型の仕組みを一部導入しました。従来の総合職・一般職といった区分を撤廃し、すべての行員を「プロ人材」と位置づけることで、事業領域や勤務地の選択を柔軟にしています。
具体的な仕組みとして、2024年4月にデジタル金融サービスなど高度な専門性を必要とする分野に従事する行員向けに「Ex」資格を新設しました。ジョブディスクリプション(職務記述書)に基づき、職務実績を評価や処遇に反映させることを取り入れました。
さらに2025年4月からは、全行員を「プロフェッショナル職」として統一し、部門横断の人事異動を維持しつつも、勤務経験から得た専門性や能力を重視する制度へ切り替えています。
また、高度な専門性や戦略企画力を持ち実務で高い成果を出す人材(SJ1)、組織運営や実務推進で欠かせない人材(SJ2)といった区分を設け、従来以上の処遇を可能にしました。新制度では、基本給与を専門性評価で決定し、賞与は業績評価と連動。部長職を上回る水準の処遇も可能となっています(※1、※2)。
(※1)参考:読売新聞オンライン「三菱UFJ銀行が人事制度刷新、全行員を「プロフェッショナル職」に…「ジョブ型」も一部導入」
(※2)参考:三菱UFJ信託銀行「第5回 三位一体労働市場改革分科会 三菱UFJ信託銀行の 人事制度について」
日立製作所
日立製作所は、新卒採用において「ジョブ型採用」への完全移行を進めています。これまで進めてきた職務内容やスキル要件を明確に定義したジョブ型の仕組みをさらに拡大し、従来の「オープンコース」を廃止しました。
すべての応募を職種やポジションに基づいた「ジョブベース」で受け付ける体制へと転換しました。これにより候補者はエントリー時に希望するキャリアとマッチした職種を選択でき、入社と同時にその配属が確約される仕組みとなっています。
さらに、候補者が十分に仕事内容を理解した上で応募できるよう、キャリアに関する社員とのコミュニケーション機会を大幅に拡充しています。
また、就業前から具体的な職務イメージを持てるようにするため、ジョブ型インターンシップも拡大しています。2020年度に130名から開始したプログラムは年々規模を拡大し、2024年度には初めて1,000人を超える約1,130名(26年卒予定者)を受け入れました。
数週間にわたる職場体験を通じて学生のキャリア形成を後押しし、エントリー後のミスマッチ防止にもつなげています(※3)。
(※3)参考:日立製作所「人的資本の充実に向けた2026年度採用計画について」
富士通株式会社
富士通は2026年度入社の新卒採用から「ジョブ型人材マネジメント」を本格的に拡大し、入社時から一人ひとりのジョブを起点とした処遇へ移行しています。
これまで幹部社員や一部社員に導入してきた仕組みを新卒にも適用し、全社員を対象とすることで、事業戦略と連動した人材ポートフォリオの実現やグローバルでの人材流動化を加速させています。
処遇面では学歴による一律の初任給を廃止し、ジョブの成果や職責の高さに応じて入社時から処遇を設定します。さらにインターンシップも強化し、従来の短期型に加えて1〜6か月の有償長期プログラムを導入しています。
研究や学外活動を通じてキャリア志向を明確にした学生に、スペシャリストとともに実務に挑戦する機会を提供し、学業との両立や既卒者の参加も可能にしています。こうした仕組みにより、入社前からキャリア形成を支援し、即戦力として活躍できる人材育成を進めています(※4)。
(※4)参考:富士通プレスリリース「新卒採用への『ジョブ型人材マネジメント』の拡大について」
株式会社KDDI
KDDIは変化が激しい時代に対応するため、2021年より全総合職を対象に「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入しました。独自のジョブディスクリプションを基盤に「プロを創り、育てる」ことを目的とし、社員一人ひとりが成果を創出できる環境を整備しています。
人財育成では広範な事業領域を活かした多様な成長機会を提供し、専門スキルだけでなく組織を成功に導く「人間力」を重視しています。評価制度は「成果の最大化」と「能力開発」を軸に設計され、過去を振り返る「成果・挑戦評価」、現在を測る「能力評価」、未来を予測する「人財レビュー」の三層で構成されています。
KDDIでは個人と仕事の両方に焦点を当て、両者を関連づけることで相乗効果を期待しています。さらにキャリア制度として、人事本部からの情報展開と社員同士の自律的な学習を促進し、評価制度と連動させながら「人間力」と「専門性」を兼ね備えた人材の育成を進めています(※5)。
(※5)参考:KDDI新卒採用プレスリリース「環境・制度を知る」
NEC
NECは「適時適所適材」と「キャリア自律」の実現を掲げ、社員と会社が「選び・選ばれる」関係を築く仕組みを「ジョブ型人材マネジメント」と定義しています。「適時適所適材」とは、経営戦略を起点に必要な組織とジョブを明確化し、最適な人材を登用する考え方で、個々の力を結集して事業成長を加速させることを目指しています。
2024年4月からは全社員を対象に本格導入し、グローバル競争力強化とダイバーシティ推進に直結する採用計画を展開しました。あわせて、2025中期経営計画の実現に向け、報酬体系の見直しやDX人材の強化、グループ内での人材流動化を推進し、変化に強い人材と組織づくりに取り組んでいます。
さらに、制度改革や職場環境の整備を「人への投資」と位置づけ強化。2024年春季労使交渉では労働組合の賃上げ要求に満額で応じ、大卒初任給を約7.2%引き上げ月額28万円とする過去最高水準を実現しました。これにより、将来の成長を担う人材獲得競争力を高め、ジョブ型人材マネジメントを基盤とした持続的な事業成長の実現を進めています。
アクセンチュア株式会社
アクセンチュアは創業当初からジョブ型雇用を前提としており、「出る杭を伸ばす」という方針のもと、成果を重視するマネジメント文化を築いてきました。クライアント企業のオフィスで働くケースも多く、リモートワークにも早くから対応しています。
採用職種は多岐にわたり、応募者が自分に合う職種を見つけやすいよう、公式サイトでは中途採用職種を9分類し、各募集要項に直接アクセスできる仕組みを整備しています。応募を迷う人向けにはキャリア登録制度も提供しています。
さらに同社では、管理者が適切に業務を割り振り、職位に応じた改善点をコーチングできるよう、フィードバックの支援を実施しています。特にデジタル人材の育成では「2 in a box」という仕組みを導入し、同社メンバーとクライアント社員をバディーにして、DXトレーニングカリキュラムとOJTを通じてカルチャーやノウハウを移管しています。
こうしたサポートにより、ジョブ型人材マネジメントの定着を後押ししています(※6、※7)。
(※6)参考:東洋経済オンライン「ポストコロナでの労働生産性を高める人材戦略」
(※7)参考:アクセンチュア中途採用サイト「採用職種の紹介」
株式会社サイバーエージェント
サイバーエージェントは、2027年3月卒業予定の大学生を対象に、2025年6月6日から3日間のビジネスコース(総合職)向けインターンシップを開始します。
今年度は従来よりプログラムを拡充し、6月から12月にかけて全5種類を実施予定です。同社は以前から学生にキャリアを考えるきっかけを提供し、企業理解を深めてもらうことを目的にインターンシップの充実を進めてきました。
今回のプログラムは2027年度卒向けの「超早期内定直結型」と位置づけられており、早期就職活動が増加する状況を背景に2025年度卒から導入しました。ジョブ型採用の広がりによって仕事内容を基準に企業を選ぶ学生が増えている点を踏まえ、より多角的な事業やキャリアパスを体感できる内容としています。
具体的には、AIをはじめとした最先端テクノロジーを活用し、新たな主要事業の創出に挑むプログラムを用意しています。設計は子会社AI Shift代表の米山結人氏が担当し、AI事業に携わる社員18名がメンターとして参加します。
このように、サイバーエージェントは超早期内定直結型インターンシップを通じて、学生にリアルな業務経験とキャリア形成の機会を提供し、優秀な人材獲得を図っています(※8)。
(※8)参考:サイバーエージェント公式オウンドメディア ニュース「超早期内定直結型インターンシップ選考サイバーエージェントの事業創出を体感する3daysインターンシップ」
味の素株式会社
味の素では従来、一般職に職能資格制度を採用しており、職務や職責を明確に定めるジョブ型の要素は含まれていませんでした。そのため、成果が待遇に反映されにくく、安心して働き続けられる一方で「やってもやらなくても同じ」と受け止められる側面がありました。
実際には、入社数年の若手が難しい業務で成果を上げても、職能グレードの高い社員が優先的に評価されるといったケースが見られ、若手の挑戦意欲を削ぐ要因となっていました。
こうした状況はエンゲージメントサーベイにも表れており、「有能な人材が適切に昇進できているか」「成果を出せない人材に適切な処遇がなされているか」といった設問のスコアが低迷し、本人だけでなく周囲のモチベーションにも悪影響を与えていました。
課題は労働組合との協議でも取り上げられ、労使協働のプロジェクトとして新たな評価制度の設計に着手しました。新制度では、目標設定時に挑戦テーマを掲げ、それを評価に加点する仕組みを導入しました。
現在は、基幹職への昇進についても、従来の年1回ではなく、空きポジションがあれば毎月1日づけで登用可能とする柔軟な運用へ移行し、公平で意欲を引き出す仕組みを構築しています(※9)。
(※9)参考:日本の人事部「従業員のWell-beingに寄り添い、志の実現へ味の素が取り組む「人を大切にする」包括的支援」
新卒採用の課題解決にはワンキャリアがおすすめ!(執筆不要)
多くの学生が利用する就職サイト「ワンキャリア」と連携した、新卒採用向けの採用マーケティングプラットフォームです。この導入により、応募者数・応募者の質の向上や、学生認知度の上昇、業務効率化、内定承諾率の改善などを図れます。上記以外にもさまざまな新卒採用の課題解決をサポートするサービスになるので、新卒採用活動の成果向上を考えている採用担当者さまにおすすめです。
ワンキャリアとは
候補者情報の一元管理や選考進捗の可視化はもちろん、サイト上での求人掲載、学生へのスカウト機能、オン・オフライン説明会の場の提供、イベントやインターンの効果測定までさまざまな機能があり、戦略的に新卒採用を支えるサービスです。
これにより、採用担当者さまは煩雑な事務作業から解放され、学生との対話といった本質的な業務に集中できるため、採用成果の最大化に大きく貢献します。
また学生利用率が高く、2023年卒学生の登録率は60%を突破し、利用率についても4年連続2位を獲得しています。多くの学生が利用しているからこそ、母集団形成を強化できます。
2025年5月時点で導入企業は5,000社を突破し、大手から中小企業・ベンチャーまで幅広い企業様にご活用いただいております。以下にその事例の一部をご紹介します。
日本生活協同組合連合会
日本生活協同組合連合会(日本生協連)は、地域生協や大学生協などが加入する日本最大級の消費者組織です。通称COOP(コープ)とも呼ばれ、コープマークのついたPB(プライベートブランド)商品の開発や全国の組合員への商品供給、会員支援などに取り組んでいます。
同会はワンキャリアを導入したことにより、応募者の質向上と、内定辞退率の低減という成果を得られました。具体的には、ワンキャリア経由で選考に参加した約48%が1次選考を通過し、大手ナビサイトでは得られなかった成果を実現できました。これはワンキャリアに登録している学生の質が高いことを示しています。また、大手ナビサイト経由で同会にエントリーする学生の多くが、安定志向から志望されていたのに対し、ワンキャリア経由では「同会で活躍したい」、「新規事業を作りたい」などチャレンジ精神にあふれた方が多かったという結果が出ました。
また内定辞退率に関しては、ワンキャリアを導入し、1社独占LIVEや動画共有など戦略的なコンテンツ共有を行うことで、約4割減らすことができました(2022年卒採用、6月中旬時点)。
住友商事グローバルメタルズ
住友商事グローバルメタルズ(SCGM)は、世界を相手にトレードと事業投資を行う「鉄の商社」です。
同社は、ATS(採用管理システム)の連携機能に制限があり、採用業務の工数が増加しているという課題がありました。
そこで、「sonar ATS」「i-web」の2つのATSとの自動連携により、応募者データを一元管理できるワンキャリアを導入しました。
このサービスにより、ワンキャリアでエントリーがあった応募者情報が、ATS(採用管理システム)である「sonar ATS」にリアルタイムで取り込まれることによって、応募者データベースを手間なく一元化することができるようになりました。他社のサービスは特定のATSしか利用できないなど制限がある中で、ワンキャリアは「sonar ATS」と「i-web」の2つのATSとの自動連携ができる点に満足されていました。
就職活動サイトとATSが自動連携されていると、学生にとっても手間が省けて非常に利便性が高まります。学生は就職活動サイトのマイページに興味のある企業を登録するだけで、当該企業のイベントやインターンへの応募も可能になり、マイページ登録のしやすさ、応募のしやすさが向上します。
同社でも実際に活用をはじめてから、年間のマイページ登録数は2倍ほどとなり、その半分はワンキャリア経由での登録によるものでした。
まとめ
本記事では、新卒採用におけるジョブ型採用の基本から、導入のメリット・デメリット、具体的な導入手順、さらに実際に導入している企業事例まで幅広く解説しました。ジョブ型採用は、専門性の高い人材を効率的に確保できることや、入社後のミスマッチを減らせるといったメリットがあります。一方で、適切な職務設計や評価基準の策定が求められ、導入には計画性が必要です。まずは本記事の内容を参考に、自社の採用課題や人材要件を整理し、新卒ジョブ型採用が自社に合うかどうかご検討ください。

