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従来の「新卒一括採用」と「メンバーシップ型雇用」の限界を感じていませんか?
労働人口減少と学生の価値観の多様化が進む今、採用戦略の抜本的な見直しは不可欠です。本記事では、激変する新卒採用市場の現状と、「通年・ジョブ型」への変化、候補者体験(CX)を軸とした採用成功への具体的な5つの戦略を徹底解説します。27卒以降を見据えた「攻めの採用」で、競争を勝ち抜くためにぜひ最後までご覧ください。
なぜ今、新卒採用戦略の抜本的な見直しが必要なのか?
新卒採用を取り巻く環境は、人口減少や学生の価値観変化により大きな転換期を迎えています。これまでの慣習的な採用活動では、優秀な人材を確保することが難しくなっています。ここでは、見直しが求められる背景について解説します。
労働人口減少と激化する人材獲得競争
少子化による労働人口の減少が続く中で、企業間の人材獲得競争は年々激しさを増しています。求人需要は拡大する一方、就職を希望する学生数は伸び悩み、企業の求人数に対して人材が不足する構造が定着しつつあります。
とくに中小企業では人材確保の難易度が高く、大企業との競争格差も広がっています。また、中途採用市場の競争激化や人件費の上昇も影響し、企業が新卒採用を「将来の幹部候補を育成するための投資」として再評価する動きが進んでいます。
今後は、限られた若手人材をめぐって採用競争がさらに加速することが予想されます。
新卒採用ルールが形骸化している
経団連が定める「採用選考に関する指針」では、広報開始が3月、選考開始が6月、内定は10月以降と定められています。しかし、実際の採用現場ではこのルールが形骸化し、実質的な「早期化」と「長期化」が進行しています。
企業は3年先の卒業予定者に向けて情報発信を行い、学生も早期インターンシップを通じて志望先を決定する傾向が強まっています。加えて、短期・長期を問わずインターンシップの開催数は増加し、採用活動の前倒しが常態化しています。
政府の就活ルールが変わらない一方で、企業間の動きが先行する現状では、採用スケジュールの実効性が薄れつつあります。今後は、通年採用やジョブ型雇用の拡大により、旧来の「一律型」ルールはさらに形骸化していくと考えられます。
学生の価値観の変化とキャリア観の多様化
近年の学生は、「やりがい」や「自己成長」だけでなく、「安定性」や「報酬」といった現実的な視点も重視する傾向が強まっています。社会情勢の変化や将来不安を背景に、企業選びの基準がより堅実で確実な方向へとシフトしているといえるでしょう。
さらに、口コミサイトやSNSなどを通じて企業情報が広く共有されるようになり、学生は採用広報だけでなく、実際の働きやすさや企業文化を自ら調べて判断するようになっています。
このように価値観が多様化する中で、企業には学生一人ひとりの志向に寄り添った発信や、キャリア形成を支援する姿勢が求められています。
新卒採用市場の現状と変化
有効求人倍率の上昇や採用スケジュールの早期化など、新卒採用市場は年々変化のスピードを増しています。企業がこれらの動きを正しく把握しなければ、採用戦略の立案が後手に回る恐れがあります。ここでは、市場の現状とその変化について解説します。
最新の有効求人倍率と内定率の推移
新卒採用市場は依然として売り手市場が続き、企業の採用意欲は高水準を維持しています。
厚生労働省の最新データによると、令和7年9月時点の有効求人倍率(季節調整値)は1.20倍で前月と同水準。新規求人倍率は2.14倍、正社員有効求人倍率は1.00倍と安定しています。
業種別では教育・運輸・学術研究分野で増加した一方、卸売・小売、情報通信、宿泊・飲食業では減少傾向が見られました。地域別では福井県が1.81倍と最も高く、北海道・大阪府・福岡県が1.02倍と低水準です。(※1)
就職率も高く、2025年3月卒業者の就職率は98.0%、2月時点の内定率は92.6%と過去最高水準を記録しています。学生の動き出しが遅れる一方で複数内定を得て選考を慎重に進める傾向が見られ、採用はより長期的な競争構造になっています。(※2)
企業は人材確保の難化を前提に、早期からの接点形成と継続的なフォロー体制の構築が求められています。
(※1)参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和7年9月分)について」
(※2)参考:厚生労働省「令和7年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)を公表します」
加速する採用活動の「早期化」「長期化」
経団連が定める現行の採用スケジュール(3月広報開始・6月選考解禁)は形の上では維持されていますが、実際には多くの企業が早期化の流れに乗っています。
2021年以降の採用スケジュールの見直し議論では、広報と選考の一体化や解禁時期の前倒し、さらにはルール廃止といった案も検討されており、企業の自主判断が増しています。その結果、インターンシップ段階から学生との接点を持つ動きが一般化し、実質的な採用活動の開始時期が大幅に早まっています。
さらに、内定後のフォロー期間も長期化しており、採用から入社までのプロセス全体が長く続く傾向にあります。これにより、企業は年間を通じた採用運用体制を整備する必要が出てきています。
学生はどこを見ている?企業選びの軸の変化
学生の企業選びにおいて、かつて重視されていた「会社のブランド」や「知名度」だけでなく、「自分がやりたい仕事」や「働きやすさ」を軸とする傾向が強まっています。
特定の職種やキャリアを意識して応募する「ジョブ志向」の学生が増えており、いわゆる「ジョブ型採用」に対応した企業が支持を得ています。また、ワークライフバランスを重視する学生が多く、転勤や勤務形態の柔軟性、リモート勤務の可否などを重視する声も広がっています。
職業そのものよりも、働くことを通じてどのような幸福や成長を得られるか、という「ウェルビーイング」への関心が高まっているのも特徴です。こうした価値観の変化に対応するには、企業も採用のあり方を再定義することが求められています。
今後の新卒採用で起こる大きな変化5選
ジョブ型雇用の拡大や採用活動のデジタル化など、新卒採用は今後さらに多様な方向へ進化していきます。企業が変化を先取りするためには、押さえるべきトレンドを理解しておくことが不可欠です。ここでは、今後起こる主要な変化を5つ紹介・解説します。
通年採用とジョブ型雇用の一般化
大学だけでビジネスパーソンを育成する時代は終わりを迎えつつあります。現在では、企業が教育段階から学生の育成に関わり、共同でプロジェクトや商品開発を行うケースが増えています。
こうした動きは、学生と企業の接点を在学中から形成し、そのまま採用につながる流れを生み出しています。さらに、従来「経験者採用」とされてきた概念が新卒領域にも広がり、学生時代の実務経験やスキルが評価されるようになっています。
これにより、年次や一括採用に依存しない「ジョブ型」雇用が一般化し、企業は通年で学生を見極める体制を整える必要が出てきています。
インターンシップ(ジョブ)が採用の主戦場に
インターンシップは、もはや「就活前の体験」ではなく、採用活動の中心的な位置を占めるようになっています。とくに、就業経験を伴う「本物のインターンシップ」では、学生が実際の業務を通してスキルや職場理解を深め、企業側も適性や価値観を見極めることができます。
短期的なプログラムを繰り返すよりも、長期的かつ実践的なインターンシップを行うほうが、双方にとって価値が高いとされています。また、こうした就業型インターンは報酬面のメリットもあり、学生の参加意欲を高める要因にもなっています。
今後は、企業がインターンシップを通じて学生を育成・選考する「ジョブ型採用」の主戦場として機能していくことが想定されます。
個のキャリアに寄り添う「採用体験(CX)」が重要視される
大学と企業の連携が進む中で、学生一人ひとりのキャリア志向や成長段階に合わせた支援が重視され始めています。
企業が教育段階から関わることにより、学生は自らの強みや志向を明確にし、企業もそれを踏まえて個別に育成・評価する関係性を築けるようになっています。
このような流れは、「採用体験(Candidate Experience/CX)」の向上につながります。単なる選考プロセスとしてではなく、学生が成長を実感できる体験として採用を設計することが、今後の採用成功の鍵になると考えられます。
企業は学生との接点を通じ、学びや挑戦の機会を提供する姿勢が求められています。
採用活動におけるデータドリブンな意思決定が必須になる
データアナリティクスの発展により、採用活動や人材育成の領域でもデータをもとにした意思決定が不可欠となっています。
大学では、学生の学習態度や成績から将来の成長を予測する研究が進められており、今後は「どのような学生が、どのような組織でどのように活躍するか」までを予測できる時代が来ると見られます。
企業においても、デジタル化によるデータ収集・分析が進み、採用データと入社後の評価データを連動させる仕組みが整いつつあります。データ活用の進化は、効率化だけでなく、より適正な人材配置や長期的な育成計画の策定にもつながります。
一方で、デジタル化の遅れはデータ取得や分析力の差を生み、企業間格差を拡大させる可能性があります。
採用チャネルの多様化・複雑化
採用のデジタル化が進むことで、企業はさまざまなチャネルを通じて学生と接点を持つようになっています。従来の求人サイトや合同説明会だけでなく、大学連携、オンラインイベント、SNS、インターンシップなど、多層的なチャネルが存在します。
特にデータ活用が進む企業では、これらのチャネルごとの成果を定量的に分析し、最適な組み合わせを見つけ出すことが重要になっています。
今後は、データ分析によってチャネルごとの有効性を比較しながら、学生に合わせた最適なタッチポイントを設計する「戦略的採用マーケティング」が必須になると考えられます。
これからの新卒採用を成功に導く5つの戦略
環境変化を踏まえた採用活動の成功には、従来の方法を見直し、戦略的に対応していくことが重要です。採用体制の再構築やデータ活用、候補者体験の改善など、具体的な取り組みが求められます。ここでは、新卒採用を成功に導く5つの戦略を解説します。
通年・ジョブ型採用に対応した体制を構築する
採用市場の早期化が進むなか、従来の一括採用スケジュールでは優秀な学生との接点を確保することが難しくなっています。
大学4年の5月末には約半数、6月末には9割以上の学生が就職活動を終えるというデータもあり、このタイミングを逃すと採用難度は一気に上昇します。
今後は終了時期のさらなる前倒しも予想されるため、企業は採用計画を見直し、通年で学生と関係を築ける体制を整える必要があります。リクルーター制度やインターンシップなど、早期から学生と接点を持てる手法を積極的に活用することが効果的です。
年間を通じた継続的な情報発信・採用広報の計画を立てる
学生の多くは大学2年の3月頃から就職活動の準備を始めるとされており、この時期には業界研究や企業比較が活発化します。企業はこのタイミングに合わせて、採用広報を計画的に実施することが重要です。
具体的には、オウンドメディアを活用した企業情報の発信や、インターンシップ・オープンカンパニーの企画と集客を進めるなど、年間を通じた継続的な広報体制を整えることが求められます。
こうした取り組みは、学生の認知拡大だけでなく、採用初期段階での母集団形成にもつながります。
専門スキルや職務適性を見極めるための選考手法(実技テスト等)を導入する
通年化・ジョブ型化が進む採用では、単なる学歴や一般的な面接評価だけでなく、職務に直結するスキルや適性を見極める仕組みが必要です。
インターンシップやリクルーター制度などを通じて学生の特性を把握するとともに、実技テストや課題提出など、実践的な選考手法を導入することで、採用のミスマッチを防ぎやすくなります。
これにより、企業は「いつでも・必要なタイミングで・適切な人材を」採用できる柔軟な体制を構築できるようになります。
インターンシップ経由の採用を最大化する
今後の新卒採用では、インターンシップが採用活動の中核を担う存在になると見込まれています。背景には、早期段階で優秀な学生と接点を持てることに加え、「採用直結型インターンシップ」が正式に認められた制度変更があります。
これまで政府は、学業への影響を懸念してインターンシップを採用に直結させることを禁止していましたが、25卒以降はインターンシップで得た学生情報を広報・採用活動に活用できるようになりました。
実際、学生の多くが「夏インターン」を通じて志望度が上がったと回答しており、今後の採用戦略において最も重要なチャネルのひとつになると考えられます。
事業内容に直結し、社員と共に働く「実践型」のプログラムを設計する
制度上、インターンシップが採用活動に直結できるようになったことで、企業にはより実践的なプログラム設計が求められています。
表面的な会社紹介や短期体験ではなく、実際の事業に関連する課題に学生が取り組み、現場社員と協働する形式が効果的です。学生にとっては、実務を通じて仕事のリアリティを感じ取れる貴重な機会となり、企業にとっても学生のスキルや価値観を深く理解するきっかけになります。
こうした「実践型」プログラムは、学生の志望度を高めるだけでなく、入社後のミスマッチ防止にも寄与します。
参加学生一人ひとりへのフィードバックを徹底し、成長実感を提供する
インターンシップを採用に結びつけるためには、参加した学生に対して丁寧なフィードバックを行うことが欠かせません。企業からの具体的な評価や助言は、学生に成長実感を与えるとともに、「この会社は自分を理解してくれている」という信頼形成にもつながります。
とくに、採用直結型インターンでは、学生の印象や行動データが今後の選考資料としても活用されるため、個々の学生に誠実に向き合う姿勢が重要です。こうした双方向のコミュニケーションを通じて、企業は優秀な学生との関係を深め、採用成功率を高めることができます。
候補者体験(CX)を軸に選考プロセス全体を設計し直す
採用活動においては、学生と出会うための施策だけでなく、出会った後にいかに志望度を維持・向上させるかが重要なテーマとなっています。選考フローの各段階で辞退者が発生する「歩留まりの低下」は、採用成果を大きく左右します。
これを防ぐには、学生との接点を丁寧に育み、企業理解や共感を深めてもらう工夫が欠かせません。求める人物像を明確にし、学生が自分の将来像を具体的に描けるように支援することで、選考を前向きに進めてもらいやすくなります。
こうした「候補者体験(CX)」を軸に設計されたプロセスこそが、これからの採用活動において差別化の要となります。
迅速かつ丁寧なコミュニケーションを徹底し、選考中の不安を解消する
学生が選考を辞退する理由の多くは、「不安」や「温度差」に起因します。書類選考や面接の結果通知が遅れたり、質問への回答が不十分だったりすると、企業への信頼が低下してしまいます。
こうした状況を防ぐためには、迅速かつ丁寧なコミュニケーションを徹底し、学生が常に安心して選考を進められる環境を整えることが重要です。
問い合わせ対応やフィードバックをこまめに行い、「この企業は自分を大切にしてくれている」という印象を持ってもらうことで、志望度の維持につながります。
面接を「評価の場」から「相互理解と魅力付けの場」へと転換する
従来の面接は企業が学生を評価する場と捉えられがちでしたが、これからの採用では「相互理解」の視点が欠かせません。学生が企業文化や社員の姿勢を直接感じられる機会を設けることで、単なる選考ではなく、企業に対する好感や共感を育てることができます。
特に先輩社員との座談会や現場社員との面談は、学生が自分のキャリアを具体的にイメージする助けとなり、企業理解の促進に効果的です。こうした工夫により、企業は学生に対して魅力を発信しながら、より精度の高いマッチングを実現できます。
内定者一人一人の志向性に合わせた個別フォローをする
内定後のフォローも候補者体験の重要な一部です。特に志向性や価値観が多様化する今の学生に対しては、画一的な対応ではなく、一人ひとりの関心や将来像に寄り添ったフォローが求められます。
内定者懇親会や先輩社員との面談機会を設けるほか、キャリアに関する個別相談を通して不安を解消することが効果的です。定期的なコミュニケーションを継続することで、学生の志望度を維持し、入社後の早期離職防止にもつながります。
採用活動は一度完結するものではなく、毎年変化する学生の志向に合わせて常に改善していくことが重要です。
データに基づいた採用活動(データドリブン採用)を実践する
データドリブン採用とは、勘や経験則ではなく、数値データを基に採用活動の判断や改善を行う手法です。従来のように「応募数が多いから安心」「昔から使っている媒体だから継続」といった感覚的な判断ではなく、応募から内定承諾、入社後の定着・活躍までの各プロセスをKPIとして数値化し、分析を通じて施策を最適化します。
近年では採用管理システム(ATS)やBIツール、RPA、さらにはChatGPTなどの生成AIまで、データを収集・可視化・分析するための基盤が整いつつあります。
これにより、データ取得から改善までを週単位で回せる環境が生まれ、採用活動のPDCAをスピーディーに実行できるようになりました。
採用管理システム(ATS)を導入し、候補者情報や選考データを一元管理する
データドリブン採用を実現するには、まず情報を整理・統合できる仕組みを整えることが重要です。採用管理システム(ATS)は、候補者の応募経路、選考進捗、評価結果などのデータを一元管理できるツールとして有効です。
これにより、従来のように担当者や媒体ごとにデータが分散することを防ぎ、採用活動全体を俯瞰した分析が可能になります。さらに、BIツールやRPAと連携させることで、ダッシュボードでの自動集計やアラート通知など、リアルタイムでの状況把握と改善が行えるようになります。結果として、担当者の作業効率向上と採用精度の両立が実現します。
採用チャネルごとの応募数・選考通過率・内定承諾率を分析する
データを活用するうえで重要なのは「応募数」だけでなく、その質やチャネルごとの効率性を把握することです。
たとえば、求人広告やスカウト、SNSなど各チャネルのクリック率(CTR)・応募率・スカウト返信率・応募単価(CPA)を比較分析することで、どの媒体が費用対効果の高い母集団形成につながっているかを明確にできます。
これにより、コストの最適配分やチャネル戦略の見直しが可能になります。週単位でデータをモニタリングし、数値に基づいて次の施策を設計することで、採用効率を継続的に高めるサイクルを構築できます。
多様化する採用チャネルを戦略的に組み合わせる
採用チャネルとは、求職者を集めるための経路や手法のことです。これまで主流だったハローワークや求人広告といった「待ちの採用」だけでなく、近年はインターネットやSNSの普及により、「攻めの採用」チャネルが急速に拡大しています。
代表的なチャネルには、以下のようなものがあります。
- 求人広告:広く母集団形成が可能だが、費用がかかりやすい。
- ハローワーク:費用を抑えた地域密着型採用に有効。
- 人材紹介:マッチ度の高い人材と出会えるが、成功報酬が発生。
- 自社採用サイト(オウンドメディアリクルーティング):理念や文化を深く伝えられるが、認知拡大の導線設計が必要。
- ダイレクトリクルーティング:企業が直接スカウトする「攻めの採用」。
- ソーシャルリクルーティング:SNSを活用した発信型採用。
- 採用イベント:対面での交流によりマッチング率が高い。
- リファラル採用:社員の紹介を通じた信頼性の高い採用手法。
複数チャネルを組み合わせることで、出会える学生層が広がり、採用の偏りを防ぐことができます。自社の事業内容・規模・求める人物像に合わせて最適なチャネルを選定し、データドリブンに成果を検証することが、これからの戦略的な採用活動の鍵となります。
27卒以降の新卒採用戦略のポイント
27卒以降の新卒採用は、早期化・長期化がさらに進み、企業の競争環境も厳しさを増すと予想されます。学生の志向性や働き方の価値観に寄り添う柔軟な対応が鍵となります。ここでは、27卒以降に向けた採用戦略のポイントを解説します。
就活の早期化・長期化に対応する
就職活動の早期化と長期化が進むなかで、企業には従来の採用スケジュールを見直し、早い段階から学生との接点を築くことが求められています。
最近の傾向として、多くの学生が大学2年の3月頃から本格的に就活準備を始めており、この時期には業界研究や企業比較を進める動きが活発化しています。
そのため、企業側もこのタイミングに合わせて情報発信を強化する必要があります。具体的には、オウンドメディアでの情報公開、インターンシップやオープンカンパニーの開催準備・集客などを通じて、早期に学生へ企業の存在を認知させる取り組みが効果的です。
27卒以降の採用では、こうした「先行型の広報・接点づくり」が採用成果を大きく左右するポイントになります。
「働きやすさ」を軸とした採用ブランディングを強化する
近年の学生は、給与や企業規模だけでなく、「働きやすさ」や「ワークライフバランス」を重視する傾向が顕著になっています。福利厚生の充実度やリモートワークの可否、フレックスタイム制度の有無などが、企業選びの重要な基準となっています。
企業はこうした価値観の変化を踏まえ、自社の制度や取り組みを具体的に示しながら、学生に共感される採用ブランディングを構築する必要があります。単に「働きやすい会社」と謳うのではなく、社員の声や具体的な事例を交えた情報発信を行うことで、企業の信頼性と魅力を高めることができます。
27卒以降の採用においても、この「働きやすさの可視化」が学生の志望度向上につながる鍵となります。
「攻め」の採用手法を積極的に導入する
依然として大手企業への志向が強い中で、中小企業が「待ちの姿勢」で優秀な学生を確保するのは難しくなっています。大手企業への一極集中傾向が続くなか、企業規模に関わらず、積極的にターゲット層へアプローチする「攻めの採用」が不可欠です。
具体的には、採用イベントへの積極的な参加や、求める人材に直接アプローチできるダイレクトリクルーティングの導入・強化などが挙げられます。こうした施策を通じて、学生と接触する機会を増やし、自社の魅力や独自性を効果的に伝えることが重要です。
待ちの採用から脱却し、自ら発信・接点創出を行う企業こそが、27卒以降の競争環境で優位に立てるでしょう。
注目すべき最新の採用手法・サービス
新卒採用の環境が多様化する中、従来の就職情報サイト(ナビサイト)や合同説明会といった手法に加え、企業が主体的に、あるいは効率的に優秀な人材を獲得するために、新しい採用手法やサービスの活用が進んでいます。ここでは、特に注目すべき最新の採用手法とサービスについて解説します。
ダイレクトリクルーティングサービス
ダイレクトリクルーティングは、企業が自ら主体的に候補者を探し出し、直接アプローチをかける「攻め」の採用手法です。学生データベースなどのプロファイル情報を活用し、自社の求める人材像に合致する候補者に対してスカウトメッセージを送ります。この手法の最大のメリットは、応募を待つ従来の採用とは異なり、企業が能動的に動くため、応募者の質が向上し、ミスマッチを減らせる点です。また、成功報酬型や定額制のサービスが多く、従来の広告型手法に比べて低コストで実施できる可能性があります。ただし、候補者の検索や継続的なフォローが必要となるため、採用担当者の工数が増える傾向がある点には注意が必要です。
採用ミートアップ
採用ミートアップとは、企業が主催する小規模な交流会や座談会を通じて、学生と非公式な形で接点を持つ手法です。大規模な説明会では伝えにくい社風や職場の雰囲気、社員のリアルな人柄を深く伝えることができるため、学生は企業に対して親近感を持ちやすく、深いコミュニケーションを通じて志望度を高めることが可能です。この手法は採用ブランディングにもつながりますが、一度に多くの学生と接点を持つ母集団形成には不向きであり、イベントの企画や集客、運営に手間がかかるという側面もあります。
リファラル採用
リファラル採用は、社員や内定者が知人・友人を紹介することで候補者を募る手法です。社員の紹介であるため、候補者が企業の文化や価値観を理解している可能性が高く、価値観の合う人材を採用しやすいという大きなメリットがあります。結果として、入社後のミスマッチが減り、定着率が高まる傾向にあり、採用コストも低く抑えられる点が魅力的です。一方で、短期間で大規模な母集団を形成するには限界があり、社員の協力を得るための制度設計や、人間関係に配慮した運営が必要となります。
アルムナイ採用
アルムナイ採用は、過去に自社を退職した人材(アルムナイ)を、再び採用する手法です。アルムナイは企業の文化や業務内容、求めるスキルをすでに理解しているため、入社後の教育コストが低く、即戦力として期待できます。企業にとって信頼できる「出戻り」人材の再雇用は、ミスマッチのリスクが極めて低いという大きなメリットがあります。ただし、この手法を有効活用するには、退職者との関係性を良好に保ち続けるための仕組み(アルムナイネットワークなど)の構築・維持が不可欠です。
採用代行(RPO)
採用代行(RPO: Recruitment Process Outsourcing)は、母集団形成から選考運営、内定者フォローに至る採用プロセスの一部または全部を外部の専門業者に委託するサービスです。採用ノウハウを持つ外部のプロを活用できるため、採用活動の効率が向上し、採用担当者不足を補うことができます。特に、繁忙期や大規模な採用を行う際に有効です。しかし、委託費用が発生するほか、依頼範囲を明確にしないと自社の文化や魅力を十分に伝えきれないリスクが生じるため、依頼範囲の明確化と、外部業者との連携体制の構築が重要となります。
採用管理システム(ATS)
採用管理システム(ATS: Applicant Tracking System)は、応募者情報の一元管理から、選考進捗管理、日程調整、メール送信などの採用業務全般をシステム化し、効率化するためのツールです。応募者データの管理や選考状況の可視化、業務の自動化により、採用担当者の工数を大幅に削減し、ヒューマンエラーを防ぎます。選考フロー全体のボトルネックを把握しやすくなるため、採用プロセスの最適化に不可欠な基盤となります。ただし、導入コストや運用コストが発生するため、自社の採用規模や必要な機能に見合ったシステム選定が求められます。
採用管理にはワンキャリアがおすすめ
新卒採用の効率化と質的向上を両立させたい人事担当者の皆様には、「ワンキャリア」の活用がおすすめです。
これは、多くの学生が利用する就職サイト「ワンキャリア」と連携した、新卒採用向けの採用マーケティングプラットフォームです。候補者情報の一元管理や選考進捗(しんちょく)の可視化はもちろん、学生へのスカウト機能、イベントやインターンの効果測定、データに基づいた魅力的な求人票作成まで、戦略的な採用活動を支える機能が満載です。
煩雑な事務作業から解放され、学生との対話といった本質的な業務に集中できるため、採用成果の最大化に大きく貢献します。
新卒の採用を強化したい方はぜひ一度ワンキャリアをご検討ください。
最新の採用手法を取り入れた採用成功事例
株式会社マネーフォワード
株式会社マネーフォワードは、事業拡大に伴う新卒採用の強化と、全国の優秀な学生への認知度向上・母集団拡大という課題に直面していました。この解決策としてワンキャリアを導入し、媒体掲載を一本化しました。
同社は通年採用に対応し、早期には就活意識の高い学生に対し、SaaS勉強会やキャリア相談会といった「ミートアップ形式」のラフなコンテンツを提供して接点を確保。その後、応募意欲が高まる時期に本選考直結型へ切り替える戦略を取りました。
この結果、22卒では約1,800名の集客に成功し、内定出し学生の43%がワンキャリア経由となりました。特に、アプローチが難しかった岡山県などの地方学生からのエントリーも獲得し、全国規模での母集団の質と量の向上に貢献しています。
株式会社FUSION
新卒採用を本格化したところ応募者が急増し、従来のスプレッドシートでの情報管理が限界に達していた同社。学生へのメール連絡や面接官の評価入力といった作業が採用担当者の大きな負担となっており、業務効率化が急務でした。
そこで、応募者情報を自動で取り込むことができて、直感的に操作できるワンキャリアクラウドの採用管理システム(ATS)を導入しました。その結果、応募者数が倍増したにも関わらず、従来と変わらない工数での管理が可能となり、実質的に業務効率を50%改善することに成功しました。
まとめ
労働人口の減少、新卒採用ルールの形骸化、そして学生のキャリア観の多様化が進む今、従来の「一斉・横並び」の採用戦略は限界を迎えています。
今後の新卒採用を成功に導く鍵は、「通年・ジョブ型」への対応、そして「個」に寄り添う戦略への転換です。インターンシップは採用の主戦場となり、専門性を見極める「実践型」プログラムの設計が不可欠となります。
さらに、選考全体を候補者体験(CX)を軸に再設計し、データに基づいたデータドリブン採用を実践することで、多様なチャネルから優秀な人材を獲得します。
27卒以降を見据え、「早期化・長期化」への対応と「働きやすさ」を軸としたブランディングを強化し、「攻め」の姿勢で変革を進める企業こそが、人材獲得競争を勝ち抜くことができるでしょう。

