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「今年の採用は目標達成できたからOK」と、漫然と次年度に進んでいませんか?
採用活動はPDCAサイクルを回すことが不可欠です。本記事では、新卒採用の課題や自社の強みを明確にし、翌年度の成功に繋げるための【6STEPの振り返り方】を徹底解説します。目標とのギャップ要因の洗い出しからデータに基づいた仮説検証、そして翌年度計画への反映方法までを具体的にお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。
新卒採用の振り返りを行う目的とは
新卒採用を終えた後の振り返りは、次年度の採用活動をより効果的に進めるために欠かせません。採用の成果や課題を整理し、自社の採用力を高める第一歩となります。ここでは、振り返りを行う目的について解説します。
採用課題や自社の強み・弱みを明確にするため
新卒採用の振り返りの第一の目的は、自社の採用課題を明確にすることです。1年間の採用活動を定量・定性の両面から振り返り、目標に対して「できたこと」「できなかったこと」を棚卸しします。
達成できなかった部分については、その理由を深掘りし、課題を言語化することで、自社の強みや弱みが明確になります。「なんとなく採用できた・できなかった」で終わらせず、採用目的に対して成果を正しく評価することが重要です。
翌年度の採用の成功につなげるため
もう一つの目的は、分析結果を翌年度の採用計画や戦略に活かすことです。振り返りで得た自社の強み・弱みをもとに、課題への改善策を立案します。
振り返りを怠ると、同じ失敗を繰り返したり、非効率な採用活動でコストが膨らむ恐れがあります。データに基づいた検証と改善を毎年継続することで、採用力の強化と人材確保の安定化につながります。
【6STEP】新卒採用の振り返りの進め方
効果的な振り返りには、感覚的な評価ではなく、明確なプロセス設計が重要です。ステップごとに手順を踏むことで、再現性のある改善サイクルを構築できます。ここでは、新卒採用の振り返りを進める6つのステップについて解説します。
STEP1:前年度の採用目標を再確認する
最初のステップは、前年度の採用目標と目的を改めて確認することです。全体の目標(予算・採用予定人数・コスト)や各採用フェーズ(母集団形成、会社説明会、面接など)ごとに、当初どのような計画を立てていたのかを整理します。
どのような手法で母集団を集め、どんな成果を想定していたのかを明確にすることで、実際の結果との差を比較しやすくなります。数値化できる部分は可能な限り定量化し、人材層や人材要件などの定性的な要素も言語化しておくことが重要です。
STEP2:達成できなかった目標がある場合、その要因洗い出す
次に、当初の採用計画と実際の結果を比較し、ギャップの要因を分析します。採用フェーズごとにデータを確認し、どこで想定と異なる結果が出たのかを特定します。
要因としては「適性検査の通過率が低かった」「母集団が不足していた」「二次面接の合格率が低すぎた」「辞退率が前年より上がった」などが考えられます。
各フェーズの小目標がPDCAサイクルに沿って正しく運用されていたかを点検し、どこに課題が潜んでいるのかを洗い出しましょう。
STEP3:要因の仮説を立てる
洗い出した要因をもとに、「なぜその結果になったのか」という因果関係の仮説を立てます。ここでは、表面的な結果にとらわれず、根本原因を探る姿勢が大切です。
たとえば「二次面接の合格者が少なかった」という結果に対して、「一次面接の基準が甘かったのか」「面接官の判断基準がぶれていたのか」など、複数の仮説を立案します。
次に、データ分析を通じて仮説の検証を行い、本質的な課題を特定します。数値だけでなく、面接官の傾向や評価のばらつきといった定性的な情報も組み合わせると、課題の真因に近づけます。
STEP4:データを集めて仮説の検証をする
仮説を立てたら、実際のデータをもとに検証を行います。面接官ごとの合否判断の傾向や応募者アンケートなどを分析し、課題の真因を確認します。
たとえば「一次面接官の判断基準にばらつきがある」という仮説に対しては、面接官の経験年数別に評価傾向を比較し、傾向の違いを明らかにします。その結果を踏まえて、評価基準のすり合わせや面接官トレーニングを行えば、採用プロセス全体の精度が向上します。
データに基づいた検証を繰り返すことで、同じミスの再発を防ぐことができます。
STEP5:検証結果を用いて採用課題や自社の強み・弱みをアップデートする
検証が終わったら、採用課題とともに自社の採用上の特徴を整理します。これまでの分析結果から「どこが課題か」だけでなく、「何が自社の強みか」も言語化します。
たとえば、応募者アンケートの結果から「社員の人柄に魅力を感じた」という声が多かった場合、それは採用上の強みとして活かせます。
一方で「キャリアの見通しが不明確」といった弱みが見つかれば、強みを活かしながら改善する施策を検討します。このように、強みと弱みをセットで整理することで、採用活動の精度が高まります。
STEP6:翌年度の採用計画に反映させる
最後に、これまでの検証で得られた知見をもとに翌年度の採用計画を策定します。課題を克服する手段や強みを活かす戦略を洗い出し、施策ごとに「効果性」「実現性」「コスト」などの観点から優先順位をつけて実行計画を立てます。
やるべきことを詰め込みすぎると実現性が下がるため、現実的な範囲で絞り込むことが重要です。また、翌年度の振り返りに備え、施策ごとに数値指標を設定して効果を検証できるよう準備しておきましょう。
振り返りを行う際のポイント4選
新卒採用の振り返りをより深く、効果的に行うためには、単に結果を評価するだけでなく、多角的な視点を取り入れることが重要です。ここでは、採用活動の質を高めるための4つのポイントを解説します。
採用担当者だけでなく現場社員も巻き込む
採用のプロセスにおいて、面接官や説明会対応、内定者フォローなど、現場社員は数多く候補者と接しています。
採用担当者だけが振り返りを行うのではなく、彼らが持つ「面接で感じた候補者の印象」や「入社後のミスマッチリスク」といった貴重な定性データを収集することが不可欠です。面接官を務めた社員や内定者の教育担当となる社員を集め、率直な意見交換の場を設けることで、採用担当者だけでは見えなかったリアルな課題や自社の真の強みを発見できます。
定量データと定性データの両面から分析する
振り返りの精度を高めるためには、客観的な定量データと、その裏にあるストーリーを示す定性データの両方を分析することが重要です。
定量データである「応募者数」や「内定承諾率」などを用いて効率性を評価する一方で、「内定辞退者へのヒアリング結果」や「現場社員の意見」といった定性データを用いて、数値の背景にある理由や感情を深く理解する必要があります。
この両輪で分析することで、「応募者数が少ない」という定量データの背後にある「会社説明会の内容が魅力的でなかった」といった具体的な要因を発見し、本質的な改善につなげることができます。
候補者体験(CX)の視点を持つ
候補者体験(Candidate Experience: CX)とは、応募者が採用プロセス全体を通じて企業に対して抱く感情や印象のことです。この視点を持ち、自社が候補者にどのように見られていたか、どこで魅力を感じ、どこで離脱したのかを明確にすることが重要です。
選考スピードや面接官の態度、連絡の丁寧さなどがCXを形作りますが、CXが悪いと優秀な人材の辞退につながり、企業のブランドイメージをも損ないます。内定辞退者へのヒアリングや、実際に候補者と同じプロセスを体験することで、客観的に自社のCXを評価し、改善点を見つけることが可能です。
KPT法などのフレームワークを活用する
振り返りを属人的にせず、構造的かつ網羅的に進めるために、KPT法などのフレームワークを活用することは非常に有効です。
KPT法は「Keep(継続)」「Problem(課題)」「Try(挑戦)」の3つの視点で振り返りを行う手法であり、成功した点(Keep)を軽視せず、課題(Problem)を解決し成長するための具体的な次の行動(Try)までを導き出すことができます。フレームワークを活用することで、振り返りが単なる反省会で終わることを防ぎ、翌年度の採用計画に直結する行動計画の策定を可能にします。
振り返りで見つかるよくある新卒採用の課題とその解決策
新卒採用の振り返りを行うと、多くの企業で共通する課題が見えてきます。ここでは、各課題について、その背景と具体的な解決策を合わせて解説します。
母集団形成の難易度が高い
新卒採用の初期段階で多くの企業が直面するのが、母集団形成の難しさです。特に知名度の低い企業や中小企業は、情報が他社に埋もれやすく、十分な応募数を確保できないと、最終的な採用人数に大きく影響します。
この課題を解決するためには、まず学生に届く情報そのものを見直すことが重要です。募集要項の羅列ではなく、「若手が活躍できる環境」や「柔軟な働き方」など、学生の関心が高い自社ならではの魅力を、社員インタビューや写真とともにキャッチーに発信しましょう。
また、採用チャネルの見直しや強化も不可欠です。就職情報サイトに頼るだけでなく、ダイレクトリクルーティングや大学との連携、インターンの活用といった多様な手段を組み合わせ、効果的に母集団の質と量を確保する必要があります。
求める人材からの応募が少ない
応募数は確保できているにもかかわらず、自社が本当に求める人材からの応募が少ない場合、採用のミスマッチリスクが高まります。これは、入社後の早期離職やモチベーション低下につながり、企業・学生双方にとって不利益です。この課題の多くは、「誰を採用したいのか」という人物像が曖昧であることに起因します。
解決策として、まずは採用ペルソナを具体的に設定し、社内で活躍している社員の特徴をベースに求める人物像を明確化しましょう。その上で、設定したペルソナが関心を持つであろう「挑戦できるキャリアパス」や「具体的な業務内容」といった訴求内容を前面に打ち出し、情報発信の内容をターゲット層に合わせて調整します。
また、選考における評価基準を統一し、面接官間のばらつきを抑えることも、適切な人材を獲得する上で重要です。
学生の見極めが難しい
新卒採用では社会人経験がない学生の能力や適性を見極める必要があるため、中途採用に比べて判断材料が少なく、見極めが困難になりがちです。履歴書や面接では表面的な情報に偏りがちで、性格や志向性、将来の伸びしろといった本質的な要素を見抜くには限界があります。
この課題に対処するためには、学歴や印象だけで判断するのではなく、客観的な指標を取り入れることが重要です。一つは、学力や論理的思考力、職務適性などを数値化できる適切な適性検査の実施です。もう一つは、インターンを通じた実践的な評価です。
実際の業務やチーム活動を体験してもらうことで、学生の行動特性やコミュニケーション力などを直接観察し、潜在的な能力や価値観を深く理解することができます。これらの仕組みによって見極めの精度を向上させ、ミスマッチを防ぐ効果が期待されます。
内定の辞退率が高い
複数の企業から内定をもらい比較検討する学生が増えている近年、内定辞退率の増加は多くの企業で共通する課題です。選考中や内定後のフォローが不十分であることや、学生の期待と入社後の業務内容にギャップがあることが、辞退率増加の主な要因です。
辞退を防ぐためには、選考フロー全体の質を高める取り組みが求められます。具体的には、選考フローの見直しを行い、面接回数の削減や連絡の迅速化など、学生の志望度が低下しないようスピード感を意識した対応が重要です。
また、内定後には、LINEやメールでの情報提供に加え、専属のリクルーターを配置したり、内定者向けイベント(懇親会や研修)を継続的に実施したりすることで、内定者との信頼関係と同期意識を醸成し、企業への帰属意識を高めることが、内定辞退の防止に直結します。
採用コストが高い
オンライン採用ツールの導入、広告出稿、イベント参加など、新卒採用に投資するコストは年々増加しており、特に予算が限られる企業にとって大きな課題です。投資した費用が必ずしも採用成功に結びつくとは限らないため、費用対効果の分析と効率化が強く求められます。
この課題の有効な解決策の一つは、採用管理ツール(ATS)の活用です。ATSは、学生情報の一元管理や面接日程の自動調整などを可能にし、採用担当者の業務負担を大幅に軽減するとともに、ヒューマンエラーの防止や対応スピードの向上にもつながります。
さらに、説明会や面接などの採用活動をオンラインで積極的に実施することで、交通費や会場費、移動時間といった直接的なコストを削減できるだけでなく、広範囲の学生にリーチできるというメリットも得られます。
自社の魅力発信が難しい
中小企業や知名度の低い企業にとって、新卒採用における「自社の魅力発信」は大きな壁です。学生が一般的に知名度の高い企業を好む傾向があるため、情報が少ない企業は検討対象に入りにくいのが現状です。また、オンライン説明会が増えたことで、対面で伝わりやすかった企業のカルチャーやビジョンが伝わりにくくなっています。
この課題を解決するためには、多彩な媒体とコンテンツを活用した戦略的な発信が必要です。具体的には、企業のビジョンや働き方の文化を、企業専用のSNSやオウンドメディアで積極的に公開し、学生の注目を集めます。
また、現役社員による座談会やブログ記事などでリアルな働き方や成功体験談を紹介することで、求職者の共感を生み、親近感を持ってもらうことが、自社ブランドの形成と応募意欲の向上に貢献します。
新卒採用の課題解決にはワンキャリアがおすすめ
新卒採用の効率化と質的向上を両立させたい人事担当者の皆さまには、採用担当者向け「ワンキャリア」の活用をおすすめします。これは、多くの学生が利用する就職サイト「ワンキャリア」と連携した、新卒採用向けの採用マーケティングプラットフォームです。
候補者情報の一元管理や選考進捗の可視化はもちろん、学生へのスカウト機能、イベントやインターンの効果測定、データに基づいた魅力的な求人票作成まで、戦略的な採用活動を支える機能が満載です。
これにより、採用担当者は煩雑な事務作業から解放され、学生との対話といった本質的な業務に集中できるため、採用成果の最大化に大きく貢献します。
新卒採用の振り返りの注意点
振り返りの質を高めるには、形式的な報告や反省会に終わらせないことが大切です。目的や分析の視点を誤ると、次の採用に活かせません。ここでは、新卒採用を振り返る際に注意すべきポイントについて解説します。
振り返り自体を目的にしない
採用活動を丁寧に振り返ることは大切ですが、振り返りそのものが目的化してしまうのは避けるべきです。振り返りは「手段」であり、「目的」ではありません。目的を見失うと、時間をかけて報告書を整えても改善に活かされず、本末転倒になります。
あくまで新卒採用の精度を高め、課題の発見と次の打ち手につなげるためのプロセスとして実施しましょう。そのためにも、事前に論点を設定し、検討の筋道を明確にしておくことが重要です。
社内に報告するために振り返りをしない
振り返りが「上司や経営層への報告のため」になってしまうと、表面的な数値整理や報告資料の作成に時間を取られ、実質的な改善が進まなくなります。データを整えること自体が目的ではなく、次の採用活動でどのように活かすかが本質です。
報告のための美しい数字づくりに終わらせず、問題点も含めて正直に可視化し、翌年のアクションにつなげることを意識しましょう。
すべての採用課題を解決しようとしない
振り返りで見つかった課題をすべて一度に解決しようとするのは現実的ではありません。採用課題や組織課題は尽きることがなく、すべてに手をつけるとどれも中途半端に終わってしまう恐れがあります。
採用に使える時間や工数、予算は限られているため、影響が大きく改善効果が出やすい部分から優先的に取り組みましょう。特に2:8の法則のように、効果が見込める2割の課題に集中してPDCAを回し続けることが、成果を出す近道です。
前年度との比較だけで振り返らない
前年との比較は改善点の発見に役立ちますが、それだけに依存すると誤った判断につながる恐れがあります。採用環境は、就活ルールの変更や社会情勢など外部要因の影響を強く受けます。
たとえば前年よりエントリー数が減っても、それが必ずしも失敗を意味するとは限りません。過度に前年データにとらわれず、参考指標の一つとして位置づけ、1年ごとの状況に合わせた柔軟な振り返りを行うことが大切です。
良かった点や継続すべき点を軽視しない
振り返りというと課題発見に意識が向きがちですが、成果を上げた取り組みを分析・継続することも同様に重要です。うまくいった要因を明確にし、再現性のある施策として次年度の計画に組み込みましょう。
成功要素を軽視してしまうと、せっかくの強みを活かせず、改善ばかりに偏った非効率な採用活動になってしまいます。
社内ばかりに目を向けない
振り返りを社内のデータだけで完結させるのは危険です。社内で良好とされていた結果でも、同業他社と比較すると課題が見える場合があります。
業界全体の内定率や応募数などをベンチマークし、外部データも参照することで、自社の立ち位置を客観的に把握できます。ただし、他社と比較しすぎるのも禁物です。大手人材会社が発表する統計などでマクロの傾向を把握しつつ、応募者アンケートでミクロな視点を補うなど、バランスの取れた分析を行いましょう。
まとめ
新卒採用の振り返りは、単なる活動報告や反省会ではなく、翌年度の成功に向けた戦略策定そのものです。その主な目的は、採用活動のプロセス全体を深く掘り下げ、真の採用課題や自社の強み・弱みを明確にすることにあります。
振り返りは、前年度目標の再確認から、要因の仮説検証、そして最終的な翌年度の採用計画への反映という6ステップで構造的に進めるべきです。効果を高めるためには、採用担当者だけでなく現場社員を巻き込み、定量データと定性データを両面から分析し、候補者体験(CX)の視点を持つことが重要です。
また、「振り返り自体を目的にしない」「良かった点を軽視しない」といった注意点を踏まえ、母集団形成や内定辞退といった課題に対し、ペルソナ設定やダイレクトリクルーティング、ATS活用など適切な解決策を講じることが、企業の継続的な採用力強化へとつながります。

