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母集団形成の5つの課題と解決策!課題から学ぶ成功のポイントとは?

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目次

    「母集団形成の課題はどのようなものがある?」「母集団形成の課題を解決するには?」と悩む採用担当者様必見! 本記事では、母集団形成でよくある5つの課題について解説します。また、課題別の解決策や母集団形成の課題を解決する採用手法も併せて解説しますので、参考にしてください。

    採用活動の土台となる「母集団形成」は、優秀な人材と出会うための第一歩です。ここでは、母集団形成の概要や重視されている背景について解説します。

    母集団形成の概要

    母集団形成とは、企業が採用活動において自社に応募してもらうための求職者を集める取り組みのことを指します。

    ここでいう「母集団」とは、求人に対して実際に応募してきた求職者の集合体を意味し、企業にとっての候補者リストともいえます。優秀な人材を獲得するには、まず十分な数の応募者を集めることが前提となるため、この母集団形成は採用成功の土台となる重要なプロセスです。

    例えば、広告媒体への掲載や企業説明会、SNSでの情報発信など、応募者との接点を増やすあらゆる施策が該当します。新卒・中途にかかわらず、採用の最初のステップである母集団形成をいかに戦略的に行うかが、結果として採用の質と量に直結します。

    母集団形成が重要視されている背景

    近年の採用市場は大きく変化しています。ここでは、母集団形成が重要視されている背景や理由について解説します。

    採用を成功させるには母集団形成が不可欠だから

    1つ目の理由が、採用を成功させるには母集団形成が不可欠だからです。

    かつては、新卒採用であれば「決められた人数を確保すること」、中途採用であれば「空いたポジションを埋めること」が目的となっていました。しかし近年は、事業計画と人材戦略を密接に連携させる「戦略的採用」が重要になっています。

    例えば、採用人数だけでなく、応募から選考通過、内定までの各フェーズにおけるKPIを設定し、データをもとに改善を図る動きが強まっています。これにより、母集団形成も「どれだけターゲット層を含んでいるか」「選考通過にどれだけつながっているか」が重視されるようになりました。

    したがって、戦略的な母集団形成は、企業の成長戦略を支えるための必要条件になっているわけです。

    「売り手市場」により人材の採用競争が激化しているから 

    2つ目の理由が、「売り手市場」により人材の採用競争が激化しているからです。

    少子高齢化やデジタル領域の急成長などにより、採用市場では優秀な人材の確保が年々難しくなっています。特にIT人材や専門スキルを持つ人材の需要が高まり、企業間の人材獲得競争が過熱しています。

    そのため、単に求人を出して待つだけの受け身の姿勢では人材を確保できない時代になりました。企業は能動的にターゲット層へアプローチし、自社にマッチした応募者を確実に集める攻めの母集団形成が求められています。

    採用活動において、理想的な人材の母集団をつくるには多くの壁があります。ここでは、企業が直面しやすい代表的な5つの課題を紹介し、なぜそれが母集団形成の妨げになるのかを整理して解説します。

    課題1. 自社が採用すべき人材要件がわからない  

    採用活動の初期段階で多いのが、「どのような人材を採用すべきか」が明確になっていないケースです。採用要件が曖昧なまま求人を出すと、採用ペルソナのずれが生じ、応募が集まっても自社の求める人材像と一致しません。

    その結果、選考工数が増加し、採用効率が低下します。社内で求めるスキルや人物像、採用目的を定義し、採用担当者間で共通認識を持つことが重要です。採用条件と求人内容を一致させ、一貫性のある発信を行うことで、ミスマッチのない母集団形成が可能になります。

    課題2. 訴求表現が弱く、応募につながらない

    求人が認知されていても、魅力が十分に伝わらなければ応募にはつながりません。タイトルや冒頭文に惹かれる要素がなければ、求人広告はスルーされてしまいます。訴求ポイントが明確でない、内容が抽象的すぎる場合は、応募者が自社で働く姿をイメージしにくいのが原因です。

    改善には、転職希望者の目線に立った具体的な仕事内容や環境の提示が必要です。必要に応じて、プロのライターや広告代理店に原稿作成を依頼することも有効です。視覚的に印象を残すビジュアルや社員インタビューを活用し、魅力を直感的に伝える工夫が求められます。

    課題3. 採用担当のリソースや運用体制に限界がある 

    母集団形成を進める中で、担当者のリソース不足や運用体制の限界に直面することがあります。応募が集まっても、スキルや経験が基準に合わないケースが多いと、書類選考や面接対応に多くの時間を取られ、優秀な人材を見極めにくくなります。

    応募条件に資格や実務経験を加える、ポートフォリオ提出や適性検査を導入するなど、一定の絞り込みを行う工夫が必要です。ただし、要件を厳しすぎると応募が減るリスクもあるため、バランスを考慮することが大切です。採用管理システムを活用して業務を効率化するのも効果的です。

    課題4. 認知度や知名度が足りず、露出に限界がある 

    自社の求人情報がそもそも求職者に届いていない場合、応募数が増えにくくなります。特に中小企業では、企業認知度の低さや露出不足が母集団形成の大きな壁となります。

    オンラインの求人媒体だけに依存していると、情報接触の機会が限られてしまうのも課題です。この場合、認知を高めるための露出方法の見直しが必要です。合同企業説明会や業界イベント、SNSなどのチャネルを併用し、求職者と直接的に接点を持つ機会を増やすことが有効です。

    地道な取り組みでも、接触頻度を高めることで認知拡大と応募増加が期待できます。

    課題5. 応募は来るがマッチング率が低い

    応募者数は確保できても、自社に合う人材が少ないという「質の課題」も多く見られます。ターゲット層以外からの応募が多いと、採用コストがかさむ上、早期離職のリスクも高まります。

    背景には、採用目的やターゲットが明確でないまま母集団形成を進めているケースが多くあります。必要なのは、採用ペルソナを明確にし、それに基づいてメッセージや求人内容を最適化することです。

    自社の強みや文化を具体的に伝えることで、マッチする層からの応募を増やせます。数だけでなく「質」を重視した母集団形成が、最終的な採用成功につながります。

    課題を正しく把握できれば、打ち手は見えてきます。ここでは、先に挙げた5つの課題それぞれに対して有効な解決策を紹介し、母集団形成を成功に導くための具体的なポイントを解説します。

    課題1の解決策:中長期的な視点で自社に必要になる人材要件を設定する

    自社に必要な人材像を定義するには、短期的な欠員補充ではなく、中長期的な採用計画を前提に要件を整理することが大切です。まず、採用ターゲットを明確化し、どのような価値観やスキルを持つ人材が将来的に自社の成長に貢献できるのかを見極めます。

    その上で、求人内容に反映させ、情報量を増やして安心感を与えることがポイントです。社員アンケートを実施し、現場で感じている自社の魅力を抽出するのも有効です。

    さらに、競合他社の待遇やメッセージを分析して差別化を図ることで、より適した人材層へのアプローチが可能になります。

    課題2の解決策:企業ストーリー、社員の声、ビジュアル表現で訴求力を強化する

    求人で応募が集まらない原因の一つに、訴求力不足があります。これを改善するには、自社の魅力を伝える「見せ方」を工夫することが重要です。求人広告の書き方を見直し、タイトルや冒頭で強みを明確に打ち出すと効果的です。

    社員の声や企業ストーリーを取り入れた採用ページを整備すれば、リアリティのある情報発信ができます。加えて、画像や動画の活用も欠かせません。画像は文字の約7倍、動画は約5,000倍の情報量を伝えられるとされ、社風や職場の雰囲気を直感的に訴求できます。

    課題3の解決策:ツールの導入・運用体制の見直しでリソースを効率化する

    採用担当者のリソース不足を補うには、業務効率化の仕組みづくりが欠かせません。応募者対応や選考管理の工数を減らすために、採用管理システム(ATS)などのツール導入を検討すると良いでしょう。

    また、選考プロセス自体を見直すことも重要です。例えば、選考回数を減らしたり、紙の履歴書を廃止してWeb応募を導入したりすることで、応募者・担当者双方の負担を軽減できます。さらに、リモートワーク制度の導入により、勤務地を問わず人材を募集できるようになり、母集団の幅を広げながら効率的な運用が可能になります。

    課題4の解決策:複数チャネルの併用やブランディング強化で認知を拡大する

    求人の露出不足を解消するためには、採用チャネルの見直しが効果的です。採用媒体を変えるだけでも、利用者層が異なるため新たな応募者層を獲得できる場合があります。求人サイト・人材紹介・ハローワーク・SNSなどを併用し、幅広い層に情報を届けましょう。

    また、企業クチコミサイトに社員・元社員からの投稿を増やすことで、求職者からの信頼を得やすくなります。さらに、福利厚生や待遇を相場に合わせて調整すれば、他社との競争力を高められます。これらを組み合わせ、長期的なブランディングと露出強化を進めることが重要です。

    課題5の解決策:ターゲット設計を見直し、訴求内容の再設計する

     応募が集まってもマッチしない場合は、ターゲットの再設計が必要です。

    まずは、自社が狙う人材層を明確化し、残業や働き方、報酬など、求職者の価値観に合った打ち出し方を検討します。社員アンケートを行い、社内で働く実感をもとに自社の魅力を再整理するのも効果的です。また、

    スカウトメールを活用して直接アプローチすることで、マッチ度の高い人材に接点を持てます。スカウト文面を改善し、個別に合わせたメッセージを送ることが応募率向上につながります。求人広告とダイレクトリクルーティングを併用し、数と質の両面から最適化を図ることが母集団形成成功の鍵です。

    母集団形成の課題や解決策を理解したところで、次は母集団形成の課題を解決する方法を見ていきましょう。ここでは、大きく8つの採用手法をご紹介します。

    求人広告

    求人広告を通じて、自社の採用情報を記載してもらうことは、母集団形成に効果的です。

    母集団形成において、まず重要となるのは「数」の確保です。求人広告で採用情報を掲載することで、多くの学生・求職者との接点を持つことができ、認知度向上に直結します。また、その場で企業へのエントリーもしやすくなっているため、エントリーの数を増やすにも適切な方法と言えます。

    中でもワンキャリアは、「学生が1年間で最も使う就職サイトランキング」で第2位に選ばれるなど、高い利用率を誇っています。貴社の採用戦略に寄り添いながら、年間を通じた情報発信・認知獲得を支援するサービスを提供しています。

    ダイレクトリクルーティング

    企業がターゲット人材に直接アプローチするダイレクトリクルーティングは、より精度の高い母集団形成が可能です。

    潜在層に対するアプローチもできるため、中長期的な採用力を高める施策として有効です。定着までに時間と工数がかかる点には留意しましょう。

    メリットデメリット
    ・ターゲット人材に直接アプローチ可能
    ・採用コストを抑えられる
    ・潜在層にも接触できる
    ・採用ノウハウが社内に蓄積される
    ・工数が増え、業務負担が大きい
    ・導入初期はノウハウが不足しやすい
    ・即効性がなく、短期採用には向かない

    ソーシャルリクルーティング  

    ソーシャルリクルーティングは、X(旧Twitter)やInstagram、LinkedInなどを活用し、企業の情報を幅広い層に発信する方法です。求人情報だけでなく、職場の雰囲気や社員の声などを伝えることで、企業への親近感や信頼感を高めることができます。

    特に若年層との接点づくりに効果的です。ただし、継続的な運用が必要で、誤投稿へのリスク対応も求められます。

    メリットデメリット
    ・潜在層にも情報を届けられる
    ・採用コストを抑えられる
    ・自社の雰囲気や魅力を柔軟に発信できる
    ・応募以外の接点づくりに有効
    ・情報更新を継続する手間がかかる・SNS利用者でない層には届かない
    ・炎上や誤発信などリスク管理が必要
    ・即効性に乏しく、長期的視点が必要

    自社ホームページ

    自社のホームページは、求職者が企業研究を行う際に必ず確認する重要な情報源です。

    発信内容を自由に設計でき、求人情報に加えて理念・社風・働き方なども伝えることで、企業理解と応募意欲を高められます。構築や更新に一定のコストが発生する点には注意が必要です。

    メリットデメリット
    ・求職者に直接、正確な情報を届けられる
    ・自社ブランディングや訴求の自由度が高い
    ・採用ミスマッチを防ぎやすい
    ・応募者の質向上に寄与
    ・サイト制作や更新にコスト、工数がかかる
    ・効果が出るまで時間がかかる場合がある
    ・知名度が低いと流入が限られる

    合同説明会・オンライン説明会 

    複数の企業が一堂に会する合同説明会・オンライン説明会は、知名度の低い企業が広く学生や求職者にアプローチできる機会です。

    ただし、他社と比較されやすく、自社の魅力を短時間で伝える準備が不可欠です。

    メリットデメリット
    ・認知度向上につながる
    ・多様な求職者層と接点を持てる
    ・会社の雰囲気や価値観を直接伝えられる
    ・ブースでの対話により採用候補者の印象をつかみやすい
    ・大手企業に埋もれるリスクがある
    ・個別対応が難しく、浅いコミュニケーションになりがち
    ・来場者数にばらつきがあり、効果にムラがある

    ミートアップ

    ミートアップは、交流会形式で求職者とカジュアルに接点を持つ機会として注目されています。

    自社のカルチャーを共有しやすく、共感ベースでの応募動機を醸成できます。母集団形成のきっかけづくりとして有効ですが、即効性は乏しく、企画や運営の工数も考慮が必要です。

    メリットデメリット
    ・自社のファン、共感者を増やせる
    ・求職者と双方向の対話ができる
    ・応募ハードルを下げる効果がある
    ・企画や運営の準備に手間がかかる
    ・直接応募につながらないケースも多い
    ・短期的な採用成果は出にくい

    リファラル採用

    社員からの紹介によって候補者を獲得するリファラル採用は、マッチ度の高い人材を集めやすく、定着率向上にもつながる方法です。

    紹介者・候補者ともに企業文化をある程度理解した上で応募するため、採用の質が高まりやすい一方、紹介の件数や広がりには限界があります。

    メリットデメリット
    ・自社に合った人材を紹介してもらえる
    ・採用後の定着率が高い傾向にある
    ・採用コストを抑えられる
    ・選考スピードが速くなる
    ・紹介できる人数に限界がある
    ・社員の協力度に成果が依存する
    ・人間関係への配慮が必要

    人材紹介サービス

    専門エージェントを介した採用は、時間や手間をかけずに条件に合う人材を紹介してもらえる手段です。

    非公開案件にも対応できるため、機密性の高い採用にも適しています。ただし、成功報酬型の手数料が高額になる傾向があり、コストとのバランスを見極める必要があります。

    メリットデメリット
    ・条件に合う人材を効率的に獲得できる
    ・採用ミスマッチのリスクを低減
    ・採用担当者の業務負担が軽減される
    ・非公開求人にも対応可能
    ・大量採用には不向き
    ・自社に採用ノウハウが残りづらい
    ・紹介対象となる人材が限られることもある
    ・成功報酬が高額な場合もある

    せっかくの施策も、基本を押さえていなければ成果につながりません。ここでは、母集団形成を進める際に陥りがちな4つの落とし穴と、その回避のために押さえておくべき注意点を解説します。

    採用要件が曖昧なまま始めてしまう

    採用要件を明確にしないまま母集団形成を進めると、ミスマッチが発生しやすくなります。経験・スキル・勤務条件・価値観・求める能力といった5つの項目を整理し、詳細に定義しておくことが重要です。

    特に、経験・スキル・勤務条件は実務と直結するため、曖昧なままだと採用後の齟齬につながります。採用ペルソナ設計のフレームワークを活用し、「自社にどんな人材が必要か」を具体化することで、母集団の質と量を安定的に確保しやすくなります。

    1つの採用手法だけに集中してしまう  

    自社の採用活動において、1つの採用手法だけに依存してしまうと、ターゲット層への接点が限られてしまいます。

    母集団形成の方法は複数あり、求人広告・人材紹介・自社採用ページ・ダイレクトリクルーティングなど、それぞれに特徴があります。自社に最適な方法を見極めながら、複数の手法を計画的に組み合わせることが大切です。

    特に近年は、企業が主体的にアプローチする「攻めの採用」が重視されています。自社にとって効果的なチャネルを選定し、偏りのない施策を実行することで、より強固な母集団形成が実現できます。

    顕在層にのみアプローチしてしまう 

    「転職を積極的に検討している層」だけにアプローチしてしまうのも大きな落とし穴です。母集団を拡大するには、「転職に関心はあるが今すぐ動くつもりはない」という潜在層にも働きかけることが欠かせません。

    SNSやWebコンテンツ、ダイレクトリクルーティングなど、ITテクノロジーの発展により潜在層へもアプローチしやすくなっています。企業発信の情報を通じて関心を持ってもらう機会を増やすことで、質の高い応募者を確保しやすくなり、長期的な母集団形成にもつながります。

    PDCA を回さず、同じミスをしてしまう 

    母集団形成では、施策を一度きりで終わらせるのではなく、継続的に見直すことが重要です。採用手法やチャネルの効果を定期的に検証し、自社に最適な方法を見極めることで、再現性のある成果を出せます。

    PDCAを回さないまま同じ手法に固執してしまうと、非効率な運用が続き、改善の機会を逃すリスクがあります。特に売り手市場の中では、求職者の動向が変化しやすいため、定期的な分析と改善のサイクルを維持することが、持続的な採用成功の鍵となります。

    最後に、ワンキャリアを活用して母集団形成を成功させた事例を3つご紹介します。自社の採用課題と照らし合わせながら成功事例を見ることで、良い解決策を発見できるでしょう。

    小田急電鉄

    小田急電鉄は、小田急グループ約70社の中核を担う企業で、東京や神奈川で鉄道をはじめとしたさまざまな事業を展開しています。

    そんな同社は、多様な事業を展開しているにもかかわらず、「鉄道」のイメージが先行しすぎているという課題がありました。また、コロナ禍で就活の仕方が変わり、アクティブで優秀な学生との接点を持つことが難しくなったことも課題でした(※1)。

    そこで、同社はワンキャリアを活用し、学生の認知を変容させることに成功しました。具体的には、「まちづくりに興味がある学生」に向けたイベントに参加したり、NTTドコモとベルク、小田急電鉄の3社でオンライン合同説明会を実施したりしました。

    このようなイベントに参加することで、小田急電鉄の事業の幅広さや総合職のキャリアの幅広さを学生に伝えることに成功しました。その結果、「鉄道会社は堅いイメージがあったけど、小田急ならやりたいことに挑戦できる」と学生の認知を変えることができ、「入社後はこういうことをやりたい」と熱い思いを持ってエントリーしてくれる人が増えました。

    小田急電鉄の事例は、単なる「数」の拡大ではなく、「質の高い母集団形成」へと進化した好例といえます。

    (※1)参考:ワンキャリア「アクティブな学生と早期から接点を持てる。オンライン合説だから伝えられるメッセージで、“鉄道会社”のイメージを払拭した小田急の人材採用

    首都高速道路

    首都高速道路は、首都圏の大動脈を建設・維持・管理するインフラ企業です。

    同社は働きやすい環境を整え、社員もフレンドリーな方が多いのですが、そのことが学生には伝わっておらず、むしろ「堅そう」「男社会」といったネガティブなイメージを持たれていました。また、企業理解の面でも壁があり、学生からすると「首都高速道路の人たちって、黄色いパトロールカーに乗るのかな」「料金所の人かな」というイメージしかないようでした(※2)。

    そこで同社は、採用広報における学生との認識ギャップを解消するためにワンキャリアを導入しました。具体的には、インフラ業界トーク(現:動画版業界地図「インフラ業界編」)に出演し、学生に首都高速道路の「ありのままの雰囲気」を伝えました。また、エントリー済みの学生に動画のURLを送って見てもらったり、インターンやイベントの合間にアーカイブを流したりしました。

    その結果、同社は本選考のエントリー数を10%増やすことができました。また、企業研究をしてから選考に臨む学生が増え、応募者の質も高めることができました。

    首都高速道路の事例は、母集団形成において重要な「認知から志望への転換」を実現し、採用の質と効率の両立に成功した好例です。

    (※2)参考:ワンキャリア「『首都高のイメージが変わった!』 堅い印象を動画で払拭し、エントリー数が10%増

    電通デジタル

    電通デジタルは、デジタルマーケティングの全ての領域に対する、コンサルティング、開発・実装、運用・実行を提供している企業です。

    同社は2016年創業という比較的新しい企業であったことから、学生からの認知度が低く、採用予定数に対してエントリーの数が不足している状況でした(※3)。

    そこで、100名超の採用をする上での大きな母集団を形成するために、ワンキャリアを活用しました。具体的には、「採用計画」というサービスで学生のクチコミを見ることで、自社が学生からどのように映っているかを確認し、それを新卒採用に生かしました。また、YouTube上で行う企業説明会に参加し、社員の「生の声」を伝えることで、今までタッチできていなかった学生層からエントリーを獲得することができました。

    その結果、エントリーの数が2021年度から2022年度にかけて1.5倍増加し、その中でもデジタル志向の学生が多く応募するようになりました。さらに、ワンキャリア経由の学生が内定者の20%を占めたことから、マッチ度の高い学生の募集に貢献できたそうです。

    (※3)参考:ワンキャリア「デジタル志向の学生求む!ワンキャリア経由で1,000人超、電通デジタルのエントリー数が伸び続ける理由

    母集団形成は、採用活動の入口でありながら成果が見えづらく、改善の難しい領域です。しかし、本記事で解説したように、課題の正体を1つずつ明確にし、それに合わせた打ち手を選ぶことで、採用成果は大きく変わります。特に近年は、求職者の情報収集行動が多様化し、企業への期待も高まっています。だからこそ、企業側には「誰に来てほしいのか」を具体化し、その人に届くストーリーや魅力を丁寧に発信する姿勢が欠かせません。

    また、求人広告・ダイレクトリクルーティング・SNS・イベント・リファラルなど、活用できるチャネルは年々増えています。重要なことは、1つの手法に頼り切らず、自社に合う組み合わせを見つけることです。複数施策を掛け合わせ、データをもとに改善を続けていくことで、母集団の量と質は安定していきます。

    さらに、ワンキャリアを含む採用支援ツールや外部サービスを使えば、限られたリソースでも戦略的な採用活動が可能になります。「人が足りないからできない」ではなく、「どうすればできる状態をつくれるか」を考えることが、これからの採用担当には求められるでしょう。

    母集団形成は一朝一夕で成果が出るものではありません。しかし、正しい方向で改善を積み重ねれば、必ず結果につながります。本記事が、あなたの採用活動がより前向きに、より再現性の高いものになるための一助となれば幸いです。

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