目次
こちらの記事は、多様化する採用手法の全体像から自社に合った選び方までを網羅的に解説します。求人広告など主要15手法のメリット・デメリットや、新卒・中途採用の最新トレンドも紹介します。この記事を読むことで、採用課題別に最適な手法の組み合わせや成功事例が分かります。
採用手法の概要
採用活動を効果的に進めるには、まず基本となる採用手法の特徴を理解することが重要です。ここでは、採用手法の定義や重要度が高まっている背景について解説します。
採用手法とは
採用手法とは、企業が新しい人材を見つけ、応募へと導き、評価・選考を経て採用に至るまでのプロセスやアプローチを指します。求人広告や人材紹介といった従来の手段に加え、近年ではSNSやAI(人工知能)を活用した新しい方法も登場しています。
手法は企業の規模、求める人材像、採用ターゲット、予算などによって適した形が異なります。また、採用活動は大きく「母集団形成」「選考・評価」「効率化・運用」の段階に分けられ、それぞれで有効な手法を選び組み合わせることが成果につながります。
採用手法の重要度が増している理由
採用環境が大きく変化する中で、どの採用手法を選び組み合わせるかは、企業の人材戦略に直結する重要な課題となっています。背景には、手法の多様化、人材確保の難易度上昇、そして求職者の価値観の変化という3つの要因があります。
採用手法が多様化しているから
かつては求人広告やハローワークといった限定的な手段が中心でしたが、現在はSNS採用、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、合同説明会や採用イベントなど、多岐にわたる手法が登場しています。
それぞれの方法には特徴があり、アプローチできる人材層や適した業種・職種が異なります。そのため、1つの手法だけで企業のあらゆるニーズを満たすことは難しくなっています。
多様化した選択肢の中から、ターゲットとなる人材に最適な方法を選び、複数を戦略的に組み合わせて活用することが不可欠です。
人材確保の難易度が上がっているから
少子高齢化による労働人口の減少は、全体的な採用の母数を縮小させています。さらに、デジタル化や産業構造の変化により、企業が求めるスキルは高度化し、特定の専門人材に需要が集中しています。
結果として、優秀な人材をめぐる競争が激化し、従来の求人広告や紹介だけでは十分な成果を得られないケースも目立ちます。こうした状況では、各社が採用手法を慎重に選定し、自社にとって効率的かつ効果的なアプローチを模索する必要があります。
求職者の価値観が変化しているから
近年の求職者は、従来のように給与や福利厚生といった条件面だけで企業を選ぶのではなく、企業文化や透明性、社会的意義、ワークライフバランスといった要素を重視する傾向が強まっています。
特に若年層はスマートフォンやSNSを活用して企業の情報を調べ、職場環境を入念に見極めるようになっています。そのため、企業は自社の魅力を正確かつ多角的に発信し、求職者の関心を引きつける採用手法を選び取ることが、これまで以上に重要になっています。
採用手法15選|メリット・デメリットやコストも解説
採用手法は多岐にわたり、企業の課題や目的に応じて最適な選択が求められます。ここでは、代表的な15の採用手法について、それぞれのメリット・デメリットやコストの特徴を解説します。
求人広告
求人広告は、就活サイト・転職サイトなどの求人媒体に自社の募集情報を掲載して応募を集める手法です。総合型/特化型といった媒体特性があり、採用ターゲットが利用するサイトを見極めて出稿することが重要です。
課金形態としては掲載課金型(掲載開始で発生)と成果報酬型(応募時または採用決定時に発生)があり、上位表示やDM送付などのオプションで露出を高められます。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 掲載課金型(掲載開始時に費用発生) 成果報酬型(応募時または採用決定時に費用発生) ※プランや上位表示オプションにより追加費用あり。 |
| メリット | 媒体側の制作支援で魅力的な原稿にしやすい 閲覧・応募などのデータを分析して改善可能 利用者が多くスピーディに母集団を形成しやすい 転職潜在層にも一定のリーチが期待できる (掲載課金型の場合)複数名採用でも料金は一定 |
| デメリット | 掲載数・掲載期間に上限がある 採用に至らなくても費用が発生(掲載課金型) 安価なプランは表示順位が低く埋もれやすい |
| 運用ポイント | ターゲットが利用する総合型・特化型を選定する 上位表示などの有料オプション活用を前提に予算を設計する 閲覧率・応募率の指標で原稿改善を継続する 競合に埋もれない訴求(仕事内容・魅力の具体化)を徹底する |
求人検索エンジン
求人検索エンジンは、ネット上の求人情報(求人サイトや自社採用ページなど)を自動収集・集約し、プラットフォーム内で横断検索できる媒体です。
基本は無料掲載から始められ、クリック課金型の有料オプションで露出(上位表示)を強化できます。掲載数や期間の制限がなく、幅広い層に届きやすい一方、専門知識や頻繁な更新、クローリング条件への対応が求められ、求人が埋もれやすい点に留意しましょう。
クローリング条件とは、検索エンジンのロボットが「これは求人情報だ」と判断して読み込むための基準のことで、ページの構造や表記が適切ではないと求人が反映されない場合があります。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料 クリック課金型オプションで費用発生(上位表示など) クリック発生時は応募がなくても課金 配信コントロールが可能 |
| メリット | 無料掲載から開始できる 掲載数・期間の上限なし 幅広い求職者に届きやすい クリック率などのデータで運用を改善しやすい 複数職種の募集に向く |
| デメリット | 特定ターゲットへの訴求がしにくい 低コストゆえ競合が多く埋もれやすい 社内に運用の専門知識がないと難しい 頻繁な情報更新が必要 クローリング条件を満たさないと読み込まれない |
| 運用ポイント | タイトル・要約・構造化を整えクローリングに適合させる 入札(クリック単価)と原稿をPDCAで最適化する 表示順位オプションの活用可否を検討する 配信をコントロールして無駄クリックを抑制する |
人材紹介
人材紹介は、人材紹介会社に採用要件を伝え、条件に合致する候補者を紹介してもらう手法です。基本は成功報酬型で、採用決定後に年収の約30%程度を紹介料として支払うことが多いです。
採用担当者の工数を削減しつつ、自社に合う人材と効率的に出会えるのが強みですが、コストが高めで複数人採用には不向きという課題もあります。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 成功報酬型(入社決定時に発生) 紹介料は採用者の理論年収の約30%前後 |
| メリット | 採用決定まで費用が発生しない ターゲットに合う候補者と出会える可能性が高い コンサルタントが調整・紹介を担うため工数削減につながる |
| デメリット | 採用成功時の紹介料が高額 複数人採用にはコスト負担が大きい 自社内に採用ノウハウが蓄積されにくい |
| 運用ポイント | 採用要件を具体的に伝え、紹介精度を高める 複数社を比較し、得意分野や候補者層の違いを把握する 費用対効果を考慮し、中核人材や専門人材の採用に重点活用する |
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業側から「会いたい」と思う人材を探し出し、直接声をかける採用スタイルです。これまでの求人広告のように応募を待つのではなく、企業が積極的に候補者を見つけにいく点が大きな特徴です。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 成功報酬型(採用が決定した時点で費用が発生) 1名あたりの料金相場は35〜40万円程度 定額制(初期費用型)(利用期間や採用枠に応じて初期費用が発生) 料金相場は40〜75万円程度 |
| メリット | 低コストで実施可能 学生の質の向上 ミスマッチを減らせる 採用ノウハウをストックできる |
| デメリット | 採用担当者の負担が増える 長期的な採用活動が必要になる ダイレクトリクルーティングに関する知識が必要になる |
| 運用ポイント | 自社の採用課題を明確にする 自社の魅力を全社をあげて最大限に伝える SNSやITツールを活用する 長期的な活動として取り組む専任の役割を設置する |
合同説明会・就活/転職イベント
合同説明会や転職フェアは、複数企業が集まり、自社のブースで求職者へ事業や求人を直接伝えるイベント型の採用手法です。
50~150万円程度の出展費用がかかりますが、短期間で多数の候補者と接点を持てる点が強みです。直接会話できるため企業文化が伝わりやすく、母集団形成に有効ですが、準備や当日の運営に多大な工数が必要です。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 出展料(50万~150万円) 規模・会場・ブースの大きさによって変動する |
| メリット | 一度に多数の候補者と出会える 求職者へ直接アピールできる 企業の雰囲気や魅力を伝えやすく認知度向上にもつながる |
| デメリット | 出展コストと人員負担が大きい ブース設営や装飾にも費用がかかる 担当者にプレゼン力・トークスキルが求められる |
| 運用ポイント | ターゲット層が集まるイベントを選定する 装飾・資料で差別化を図る 当日担当者の説明・コミュニケーション力を磨く イベント後のフォロー体制を整える |
リファラル採用
リファラル採用は、自社の社員が友人や知人を紹介し、その人材を採用候補とする手法です。紹介してくれた社員には2~30万円程度のインセンティブを支払うのが一般的です。
候補者の人柄やスキルがある程度分かった状態で選考でき、定着率が高いのが大きなメリットです。ただし、社員の協力が欠かせず、継続的な紹介を得る仕組みづくりが難しいという課題もあります。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料 (社員にインセンティブを支払う場合は1人あたり2万~30万円程度) |
| メリット | 自社文化や価値観に合う人材を採用しやすい 採用後の定着率が高い 人物面を把握した状態で採用できる |
| デメリット | 社員の理解と協力が必須 継続的な紹介を得にくい 採用人材が特定の層に偏る可能性がある |
| 運用ポイント | インセンティブ制度や表彰で社員の参加を促す 紹介後の選考は公平に実施する 紹介文化を浸透させ、長期的な取り組みとして定着させる |
採用ミートアップ
採用ミートアップは、座談会や交流会、オフィス見学などを通じて、求職者と直接交流するイベント型の採用手法です。数人から数十人規模で開催されることが多く、参加者と双方向にコミュニケーションできるため、自社の雰囲気やカルチャーを伝えやすいのが特徴です。
費用は企画内容や告知方法によって異なり、無料~数十万円程度で実施可能。即効性よりも、長期的な関係構築やブランディングに効果を発揮します。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 自社開催なら無料 会場費や告知媒体を利用する場合は費用発生 |
| メリット | 候補者と直接対話できる 自社カルチャーや強みを自然に伝えられる 参加者との関係を深め、ファン化につなげられる |
| デメリット | 集客・運営に工数がかかる 短期間で大量採用する手法には不向き 成果が採用に直結しない場合がある |
| 運用ポイント | ターゲットに合わせたテーマや形式を設定する SNSや外部サービスで効果的に集客する 当日は現場社員を参加させ、リアルな働き方を伝える イベント後のフォローで関係性を継続する |
ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
ソーシャルリクルーティングは、X(旧Twitter)やInstagram、Facebook、LinkedInなどのSNSを活用して行う採用手法です。アカウント運営を通じて採用情報や企業文化を発信し、潜在層にも広くアプローチできるのが特徴です。
基本は無料で始められ、有料広告を利用すれば細かなターゲティング配信も可能です。ただし、炎上リスクや成果が出るまでに時間がかかる点には注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料 SNS広告を活用する場合は広告費が発生 |
| メリット | 自由度高く企業の魅力を発信できる 低コストで潜在層へアプローチ可能 認知度・ブランディング向上にも効果的広告で細かいターゲット設定が可能 |
| デメリット | 採用目的に特化した媒体ではないため即効性に欠ける 継続的な投稿・運用に人的工数が必要炎上などのリスクがある |
| 運用ポイント | 公式アカウントの継続的運用でファン層を形成する 写真や動画など視覚的に訴求力の高いコンテンツを発信する 広告を活用してターゲット層に的確にリーチする 情報の正確性とリスク管理を徹底する |
大学キャリアセンター・研究室推薦
大学のキャリアセンターや研究室推薦を活用する方法は、主に新卒採用で有効な手法です。キャリアセンターに求人票を提出したり、学内説明会に参加したりすることで、優秀な学生と早期に接点を持てます。
研究室推薦は、専門性の高い分野の学生に直接アプローチできるのが強みです。基本的に費用は無料ですが、大学との信頼関係を築くためには、定期的な訪問や情報提供が欠かせません。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料 求人票の掲載や学内説明会への参加に費用はかからない場合が多い |
| メリット | 優秀な学生と早期に接点を持てるコストを抑えて採用活動できる 大学との関係構築を通じて継続的に学生を紹介してもらえる可能性がある |
| デメリット | 人気大学は大手企業に集中しやすく、知名度の低い企業は参加しにくい 関係構築に時間がかかる 遠方大学への訪問は負担が大きい |
| 運用ポイント | 定期的に訪問し関係性を維持する 自社の強みを分かりやすく伝え、学生に魅力を訴求する 研究室や教授との信頼関係を築き、推薦枠につなげる |
採用代行(RPO)
採用代行(RPO:Recruitment Process Outsourcing)は、企業の採用活動の一部または全てを外部業者に委託する手法です。求人媒体の選定から応募者管理、面接日程の調整、場合によっては内定後のフォローまで幅広く対応してもらえます。
採用担当者の負担を大幅に減らせる一方、外部依存度が高まり自社にノウハウが蓄積されにくい点がデメリットです。費用は委託範囲や契約形態によって大きく変動します。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 委託範囲に応じた固定報酬型または成果報酬型業務内容(求人広告出稿、候補者管理、面接代行など)により変動する |
| メリット | 採用担当者の業務負担を軽減できる 専門ノウハウを活用できる 採用活動のスピードや効率が向上する |
| デメリット | 外部依存度が高まり、自社内にノウハウが蓄積されにくい 業者選定を誤ると成果が出にくい 委託範囲が広いほどコスト増につながる |
| 運用ポイント | 委託範囲を明確に設定し、成果指標を事前に合意する 自社と代行業者で定期的に情報共有を行い進捗(しんちょく)を管理する 短期的な課題解決だけでなく、長期的に生かせる体制づくりを意識する |
インターンシップを通じての採用
インターンシップは、学生に一定期間の就業体験を提供し、相互理解を深めることで採用につなげる手法です。2025年卒からは「5日間以上」かつ就業体験を含むことが条件となり(※1)、従来の1day説明会的なインターンは区分が変わりました。
費用は基本無料ですが、プログラム設計や受け入れ体制に人員コストがかかります。優秀な人材を早期に見極められる一方、準備や運営に大きな労力を要する点が課題です。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料。 ただしプログラム運営や人員配置に社内コストが発生 |
| メリット | 優秀な学生を早期に確保できる 学生との相互理解が深まり定着率向上につながる 企業イメージやブランド向上の効果がある |
| デメリット | 実施にあたり人員・工数が必要 人事以外の部署の協力も不可欠 短期間では学生の適性を見極めにくい |
| 運用ポイント | 受け入れ目的と評価基準を明確化する 実務を含むプログラムを設計する 社員の積極的な関与で企業文化を伝える 終了後はフィードバックや継続的な関係構築を行う |
自社サイト採用
自社サイトを通じて求人情報を発信する手法です。採用専用ページを設けることで、仕事内容や社員の声、働く環境などを自由に掲載でき、企業の魅力を直接伝えられます。
外部媒体に依存せずに応募を集められるため、コストを抑えやすい一方、知名度が低い企業ではアクセスが少なく、応募につながりにくい課題もあります。制作・運営費は無料~100万円程度(外部制作依頼の場合)と幅があります。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料。 新規制作やリニューアルを外部委託する場合は10万~100万円程度 |
| メリット | 自社の魅力を自由に発信できる ブランディングや認知度向上に寄与 応募情報を自社で直接管理できる 長期的に使えるためコスト効率が高い |
| デメリット | 知名度が低いと応募数が集まりにくい サイト制作や運営の知識が必要 効果が出るまでに時間がかかる |
| 運用ポイント | SEOやSNSと連動し流入を増やす 写真・動画・社員インタビューでリアルな情報を発信する 定期的に情報を更新し鮮度を保つ 他の手法と組み合わせて母集団形成を補完する |
アルムナイ採用
アルムナイ採用は、過去に自社で働いた経験のある元社員を再雇用する手法です。自社文化や業務に精通しているため、即戦力として活躍しやすく、育成コストを抑えられるのが強みです。また、転職先で得た知識や人脈を還元してもらえる効果も期待できます。
一方で、退職理由によっては既存社員の不満や反対を招く恐れがあり、実施には慎重な検討が必要です。費用は基本的に無料で取り組めます。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料。 外部サービスやネットワークを利用する場合のみ費用発生 |
| メリット | 即戦力人材を確保できる 転職先で得た知見を自社に還元してもらえる 勤務経験があるためミスマッチが起こりにくい |
| デメリット | 退職理由によっては再雇用に社内反発が生じる 「辞めても戻れる」と思われ、離職のハードルが下がる可能性がある |
| 運用ポイント | 退職理由や当時の実績を事前に確認する 再雇用方針を既存社員に共有し理解を得る アルムナイネットワークを維持・活用して関係を保つ |
ヘッドハンティング
ヘッドハンティングは、専門業者が特定スキルや経験を持つ人材を直接探し出し、スカウトする手法です。経営層や高度専門職の採用で活用されることが多く、「サーチ型」(市場全体から探索)と「登録型」(自社データベースから候補抽出)の2タイプがあります。
非公開で採用活動を進められるのが利点ですが、成功報酬+着手金が必要で、費用は年収の約40%程度と高額になりやすい点に注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 成功報酬型が基本。 採用者の年収の30~40%程度サーチ型の場合は着手金が別途必要 |
| メリット | 公募せずに優秀人材へ直接アプローチ可能 経営層や専門人材などハイスキル層を採用できる 非公開ポジションの採用に有効 |
| デメリット | 高コスト(成功報酬+着手金)になりやすい 候補者が見つからず採用が長期化する可能性がある 面談調整などの負担が大きい |
| 運用ポイント | 役職・スキル要件を明確に設定する サーチ型・登録型のどちらが自社に適するか検討する 費用対効果を踏まえ、重要ポジションに限定して活用する |
タレントプール
タレントプールは、過去の応募者やイベント参加者など、自社での活躍が見込める人材情報をデータベース化して蓄積し、将来の採用に活用する手法です。
外部サービスを使わずに自社で管理すれば長期的にコスト効率が高まりますが、データの構築や管理には一定の工数が必要です。即効性はなく、中長期的な視点で人材確保を行いたい企業に適しています。
| 項目 | 内容 |
| 課金形態 | 基本無料。 自社データベース構築や外部ツール導入時のみシステム費用が発生 |
| メリット | 将来的に活躍が期待できる人材に効率的にアプローチ可能 外部サービスに頼らず採用コストを削減できる 質の高い母集団を形成できる |
| デメリット | 成果が出るまで時間がかかる データ管理や運用に人的リソースが必要 蓄積した情報を活用できなければ効果が薄れる |
| 運用ポイント | 過去応募者やイベント参加者を継続的に登録する 定期的な情報更新と関係維持を行う 採用計画に合わせてプール人材へアプローチする CRM的な発想で中長期的に運用する |
新卒採用・中途採用の動向とトレンド
採用市場は大きく変化しており、新卒採用と中途採用では注目すべき動きも異なります。ここでは、それぞれの最新動向やトレンドを取り上げ、企業が押さえておくべきポイントを解説します。
新卒採用の動向とトレンド
近年の新卒採用は、従来型の「マス型採用」だけでは人材を確保しにくくなり、多様な手法を組み合わせる動きが加速しています。背景には、コロナ禍を経て進んだオンライン化、少子高齢化による採用難、そして学生から「選ばれる企業」になるためのブランディング重視があります。
その結果、オンラインでの情報発信・選考、個別採用の強化、自社ファンづくりの取り組みがトレンドとなっています。
オンラインでの採用活動が進んでいる
コロナ禍以降、ウェブ会議ツールを用いた説明会や面談が一般化し、採用活動は大きくオンライン化しました。学生もSNSや採用サイトから企業情報を集めるようになり、オンライン対応が不十分な企業は情報発信面で競合に後れを取るリスクがあります。
そのため、説明会や面接だけでなく、日常的な情報発信を含めてオンラインでの接点を増やすことが、引き続き重要視されています。
個別採用も行う企業が増えている
少子高齢化による労働人口の減少で、新卒採用は年々難しくなっています。そのため、従来のマス型採用に加え、候補者一人一人にアプローチする個別採用を導入する企業が増えています。
特にダイレクトリクルーティング(ダイレクト・ソーシング)は、候補者と継続的にコミュニケーションを取り、自社との適合性をじっくり判断できる点が強みです。応募を考えていなかった学生にアプローチできる点も注目されています。
自社のファンを増やす取り組みが重要になってきている
企業間での採用競争が激化する中で、学生から「選ばれる企業」になることが不可欠です。そのため、SNSで魅力を発信したり、採用ミートアップを開催したりと、自社のファンを増やす活動が広がっています。
自社ホームページを活用して詳しい情報を発信することも、入社動機を高める有効な手段とされています。こうした取り組みは母集団形成だけでなく、志望度を高める効果も期待できます。
中途採用の動向とトレンド
中途採用は、これまでのように即戦力人材のみに依存するのではなく、採用手法や対象人材の幅を広げる流れが強まっています。
近年はスカウトやリファラルといった「攻め」の採用の活用、売り手市場を踏まえた内定辞退防止策、さらに未経験者を育成する採用方針への転換が見られます。これらの動向を理解することが、効果的な中途採用戦略の構築につながります。
「攻め」の採用を積極的に行う企業が増加している
中途採用でも、従来の求人広告や応募待ちの姿勢では必要な人材を確保しにくくなっています。そのため、スカウトメールやダイレクトリクルーティングを通じて企業から直接アプローチする「攻め」の採用が広がっています。
加えて、リファラル採用やアルムナイ採用を導入し、社員や元社員のネットワークを活用する企業も増加。これにより文化的なミスマッチを防ぎつつ、効率的に人材を確保する動きが強まっています。
内定辞退をいかに防止するかが重要になっている
中途採用市場は求職者に有利な「売り手市場」が続いており、1人の候補者に複数社から内定が出やすい状況です。そのため、企業は選考辞退や内定辞退への対策を重視せざるを得ません。
具体的には、選考プロセスを見直してスピード感を高めること、面接や説明の中で自社の魅力を丁寧に伝えることが有効です。辞退防止策を講じるかどうかが、採用成功を左右する大きなポイントとなっています。
未経験者採用に力を入れる企業も増加している
即戦力人材は限られており、獲得競争が非常に激しい状況です。そのため、未経験者を採用し、社内で育成して戦力化する方針を取る企業が増えています。
これにより必要な人員を早期に確保できるだけでなく、自社の文化や業務フローに合わせて育成できる利点があります。経験者採用と未経験者採用を組み合わせることで、人材不足への対応力を高める動きが広がっています。
【図解】採用手法の比較一覧表
数ある採用手法の中から自社に最適なものを選ぶには、それぞれの特徴を正しく理解することが重要です。ここでは、各採用手法を「コスト(費用)」と「時間軸(短期的か長期的か)」という2つの軸で整理した比較図をご紹介します。

この図を見ると、採用手法は大きく4つの領域に分類できることが分かります。
- 左上(短期・高コスト): 求人広告や人材紹介がここに該当します。費用は高めですが、比較的短期間で母集団形成や採用決定につながりやすいのが特徴です。
- 右下(長期・低コスト): SNS採用やリファラル採用、オウンドメディアなどが含まれます。直接的な費用を抑えられる一方、すぐに応募につながるわけではなく、長期的な情報発信や関係構築を通じて成果を出す手法です。
- 中央(バランス): ダイレクトリクルーティングは、これらの中間に位置します。コストと期間のバランスを取りながら、企業側から能動的にターゲット人材へアプローチできる手法と位置づけられています。
このように、採用手法に絶対的な正解はありません。「すぐにでも採用したいのか」「コストを最優先したいのか」「長期的な資産として採用力を強化したいのか」といった自社の状況に合わせて、最適な手法を組み合わせることが成功の鍵です。
【採用課題別】自社に最適な採用手法の選び方・組み合わせ方
自社の課題に合わせて採用手法を選び、効果的に組み合わせることが成功の鍵です。ここでは、課題別に適した採用手法の選び方や活用方法を解説します。
短期間で人材を確保したい場合
急な人員補充や欠員対応など、短期間で採用を完了させたい場合は「スピード重視」の手法を組み合わせる必要があります。
求人広告サイトで幅広く募集をかけ、人材紹介サービスや派遣サービスを併用することで、効率的に候補者と接触できます。応募を待つ「待ち」の手法と、紹介会社などを通じた「攻め」の手法を並行して進めることで、スピーディーな採用が可能です。
高い専門スキルを持った人材を採用したい場合
ハイスキル人材を確保するには、求人広告だけでは十分ではないことが多いため、「待ち」と「攻め」の手法を組み合わせるのが効果的です。求人広告で広く情報を発信しつつ、ダイレクトリクルーティングでターゲット人材に直接アプローチします。
さらに、人材紹介サービスやヘッドハンティングを活用すれば、経験豊富な専門職や管理職候補と出会える可能性が高まります。コストはかかりますが、効率的にターゲット層と接触できます。
企業の認知度を上げたい場合
自社の認知度を高めたい場合は、情報発信力の高い手法を選ぶのが有効です。求人広告サイトで広く募集をかけるとともに、自社ホームページやオウンドメディアを活用して、会社の魅力や価値観を伝えましょう。
また、SNS採用や採用ミートアップを実施することで、潜在層にも自社を知ってもらう機会を増やせます。採用活動を単なる募集ではなく、ブランディングの場として捉えることがポイントです。
低いコストで母集団を形成したい場合
採用コストを抑えながら人材を集めたい場合は、無料または低額で利用できる媒体を中心に組み合わせます。求人検索エンジンやハローワークは費用をかけずに情報を掲載できる代表的な手法です。
加えて、リファラル採用を取り入れることで、マッチ度の高い人材を低コストで確保することも可能です。3つの手法を組み合わせれば、コストを抑えつつ効率的な母集団形成が期待できます。
首都圏以外で採用したいとき
地方での採用は、候補者との接点づくりが課題となりやすいため、現地型と全国型の手法を組み合わせるのが効果的です。現地開催の合同企業説明会に出展して直接アピールする一方、求人広告サイトや求人検索エンジンに情報を掲載し、幅広く求職者へリーチします。
さらに、ダイレクトリクルーティングを活用すれば、該当地域にどれだけターゲット人材が存在するか事前に把握でき、効率的に採用活動を進められます。
採用手法ごとの成功事例
続いて採用手法ごとの成功事例について解説いたします
ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
医療系BtoB SaaSを開発するカケハシは、BtoB企業ならではの知名度の低さや、独自の企業文化が求職者に伝わりにくいという課題を抱えていました。
そこで同社は、採用広報の一環としてXとブログプラットフォーム「note」を積極的に活用。CEO(最高経営責任者)や社員が自らの言葉で、仕事のやりがいから失敗談、社内の雰囲気までリアルな情報を発信しました。
この地道な情報発信は、単なる求人広告を超えて会社の「人」や「価値観」を伝え、多くの「ファン」を生み出しました。結果として、カルチャーに深く共感した質の高い学生が増え、採用におけるミスマッチの低減と入社後の定着率向上に大きく貢献しています。
イベント採用
ロート製薬では、商品の知名度が高い一方でそのイメージが先行してしまい、企業が求める「ビジネス創りに意欲のある学生」の採用に苦戦していました。また、大阪に本社を構えるため、関東エリアの学生と接点を持つ機会が少ないという課題も抱えていました。
そこで、関東圏の学生や求める人材層へ効果的にアプローチするため、「ワンキャリア」のオンラインイベント「理系就職LIVE」などを活用。結果として、参加前は同社への関心が低かった学生のうち73%が「就職先候補になった」と回答し、課題であった関東圏からのエントリー数を伸ばすことにも成功しました。
まとめ
本記事で解説したように、現代の採用活動は、人材確保の難化や求職者の価値観の変化を背景に、単に求人を出すだけの時代から大きく変化しました。
成功の鍵は、画一的な方法に頼るのではなく、まず自社の採用課題──「短期間で人材を確保したいのか」「専門スキルを持つ人材が必要なのか」「コストを抑えたいのか」──を明確にすることです。その上で、求人広告、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用といった数多くの選択肢の中から、それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社のフェーズやターゲットに最適な手法を戦略的に組み合わせることが不可欠です。
特に近年のトレンドである「攻め」の採用や、自社のファンを増やすブランディング活動は、企業の持続的な成長に欠かせない要素となっています。この記事でご紹介した15の採用手法や課題別の選び方を参考に、ぜひ貴社にとって最適な採用戦略を構築し、成功に繋げてください。

